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管理人hikaliの開発の日々の備忘録です。
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 『あらしにあこがれて』15


 朝に目覚めると、いつもどおりぎりぎりの時間だった。
 みるとシルバの工房は早起きで、予定されていた納品作業のすべてを終えていた。
「あーあーあー、ごめん、寝過ごした、かも」
 メイファは気付くが、嫌みは言わない。
「起きるのを待っていたんだよ、ルナ」
 嫌みを言ったのは、シルバだった。
「うるさい。お茶は沸いているの? 朝はお茶を飲まないと目が覚めないの」
 もちろんこれは言ってはいけない言葉だ。
 それでもシルバは鉄瓶を火に焚べ、そこに茶葉を散らす。
 だいぶ、自分がいけないことをしていることに気付き始めるのだが、どうすればわたしの恥ずかしさを消せるのだろう。
 お湯がわき始めるとだいたいそれが朝食の合図で、崖上から、崖下から、ぞろぞろと工房の面々が集まり始める。パンが配られ、それを浸けるためのスープが配られる。今日はエンドウのスープ。クリームが溶かされていて、甘い。そう言えばもうそんな季節かと思うのだが、たしかに暑いからそうかも。
 季節を忘れている。
 シルバの工房に来るたびに、それを思い出さされる。
 自分が忙しすぎて人らしくしていないと気付かされるのが、シルバの工房なのだ。
「これ、おいしいじゃない? そらまめでしょ?」
「うん、メイファが作ってくれたんだ。メイファ、いつも美味しいね」
 それで頬を赤らめるメイファを見るのは恒例行事なのだが、これに対抗しようとは思わないのもわたしなのかもしれない。別の貢献の仕方があると思っているし、資金調達で負ける気はしない。
 一晩中テストした評価は良好で、それが心を暖かくしていた。
 目立った問題はない。
 唯一、蒸気機関のノイズが気になったくらいで、それはわたしの領域なので、最終調整をすればいい。なんだろうなあとは思うのだけれども、たぶんどこかで強度不足が出ているのだ。間に合うのかと言われれば、間に合う。グリスを塗れば解決するのか、素材を変えればいいのかわからないけど、些細な問題。
「ルナ、いいのこれ? なんか音うるさくない?」
 シルバが不思議そうに聞く。
 そう思うのはあんたが世界最高峰の蒸気機関しか体験したことがないからだよ。
 ルナは落ち着いて、グリスを指に塗って、
「この油が燃えないってほんとだと思う?」
 ああ、ずるい。もちろん、シルバが言うことは決まっていた。
「あ、えーと、試そうよ。燃えたら考えよう」

 もちろん燃えるはずがないのだけれども、そんなに危険なものが工場ラインに入っているわけがない。サウスがそんな物質を放置しているとは思えないし、数千年も先行している文明なのだ。いつでも、サウスの最新技術を導入するときには、これはつきまとう。そもそも理解して使っているわけではないし、借り物でしかないし、宣託を告げるシルバという天才は、わたしには理解不能なのだ。
 シルバは調合したグリスを塗り、なんの問題もないというように、ゴーサインを出そうとした。
「まってよ、これが失敗したら、50万グロアが飛ぶの。せめてわたしに判断させて。これはわたしの蒸気機関だし」
 正直恐ろしい。
 蒸気機関の爆発的なエネルギーがわからないと任せられないし、それが暴走する可能性を想定できるのは、その装置の危険性を理解している人間だけだ。予知できない摩擦熱が生まれる可能性がある。
「少なくとも人知は超えているの。悔しいけどわたしが知り尽くせないほど。だって、これまで莫大なお金を払ってきた奴隷が救えるとかおかしいでしょ、あなたが発想したことだけど。世界を変えてしまうの。世界がぜんぜん違うものになってしまうの。あなたが、基準点になって世界が違う時代に行くの。それはいいの?!」
 恐ろしく正確に伝えたつもりだったけど、シルバは、しばらくゆっくり考えた。
「そんな光栄な事はないよ」

 シルバが世界を変え始めたのは、鉱山の奴隷を開放する運動だし、そのための機械を高価で売る活動だった。
 そして商売上支えていたのは、奴隷は高くて経費がかかるので、継続費用の掛からない機械のほうが安いというルナのロジックだった。だからはっきり言ってとても売れたし、それでシルバの工房は羽振りがよくなった。
 しかしこれは、奴隷業者を完全に敵に回したし、非合法な妨害工作が来てもおかしくなかった。それを救ったのは、大スポンサーを抱えていると明言しているクリフォード社で、シド全土のに大影響を与える週報で、ひたすらにシルバの思想を語り続けた。
 他のだれが、鉱山の出水に対して、機械を使えば奴隷が死ななくなるし、お金も儲かると言ってくれるのだろう。誰もが警告する通りにこれはこわいし、莫大な資金を投じての反撃があった時にこれを救ってくれるセーフハウスはない。
 側にいるのは脳天気なリラだし、直接工房を擁護してくれるスポンサーはいなかった。
「だってさあ、クリフォード社は支えるっていってるんでしょ? だったら乗るべきじゃない? チャンスなんだし」
 これはわたしの未熟な主張。シルバは賢明にも結論を先送りにしていて、実際に利益が出始めるのを待っていた。これはシルバのバランス感覚がすさまじかったという話になるのだけど、これを慎重すぎると言うのは失礼だろう。
 シルバがたぶん考えていたのは、これはたぶん壁が厚いということだけなのだ。
 この感覚がシルバの本質なんだけれども、いつも口うるさい沈黙をするのがシルバ。たとえば非公式だとしても、常に沈黙を挟んでくる。
「なんかいいなさいよ」
 納品先に機械を運ぶ竜車を先導しながら、話しかけてもシルバは黙っている。
「話してくれないとなに考えてるのかわからないんだけど」
「うん、時間を使いたいんだ。ルナはなにかを言うとすぐに大陸の端まで飛んでいってしまうから。シャビまで行ったんだろ? やりすぎだよ」
 ルナはむくれて反論する。
「でも、ダマスカス鋼の調達ルートを作ってきたじゃない!」
「それは感謝しているよ、でも、働きすぎだよ。困ったな、この工房にはすごいメンバーしかいないんだ。あまりにもすごすぎて、おいて行かれそうになる」
 シルバはいつもこんな感じで、常にバックヤードにたたずむ老人のよう。まるでその遅さで全工房の時刻調整をしているようで、掴み難い。気付くと工房の標準時になっている、そんな感じ。言葉をかわすと時間が溶けて、シルバの時間に染まっていく。
「あの、ルナさん、シャビ行きの話聞かせてもらえませんかねぇ? わたし、ボーナスで釣られているので、社主の思うツボなんですが、出すと言うんだから貰うのが筋ですよね!」
 あー、面倒くさいのが来た。
「どうせ、シルバの評伝の隅っこにちょろっと乗るぐらいでしょ?」
「ええ、まあ、そういうことは言わない約束になっているので」
 へらへらとリラは笑うが、このときの取材内容は最終的にはルナの評伝のほとんど全てになるのである。神秘に包まれた蒸気の女王の評伝として。
 ルナが野バラの諸侯のひとりになるのは、この取材のおかげだった。


 まず、短かすぎるw
 これは勘弁して下さい。いちおうこの文章は表紙をデザインした後に書いているので。
 けっこうラストに向けての作業が目白押しで、完結と同時にパブーに全部読める体裁で載せられるように動いているのです。一人何役だよと嘆くのですが(^_^; まあこの文化祭のようなお祭りも、ラストに向けての楽しみと思わないと辛いなあw などと思っています。

 当たり前になるんですが、ルナはシド側のヒロインですので、大量の仕掛けがあったりします。これは仕掛けないほうが不誠実というか、ここでドラマが起こらないとおかしいんです。
 たぶんこの感覚は分かりにくいと思うのですが、何だこいつと目立つやつには、何らかの意図があって目立たせているのです。ルナが物語を面白くすることは保証するのですが、どう面白くするかは言えないんですね。これが明らかになるのは第三作のクライマックスですねえ・・・。
 あんまり中身の無いことを書いていても仕方ないですので、解説いきますか。

 この回はシルバを書いています。
 シルバがなぜ恐ろしいほどの混成部隊をまとめられたのかを、端的に書いています。その答えは積極的な沈黙を駆使していたからとなるんですが、他者が何かをするのを、積極的に傍観しているのです。
 観察していて、それに一切の言葉を挟まないのです。
 シルバは我がないことが超人的な人なのですが、自分の意のままになる方策があったとしても、それを一切しないというところが超人的なのです。
 こんな人はたぶんいません。わたしも含めてありえない人です。
 わたしももちろん欲望はありますし、シルバの立場に立ったらやりたいことはいくらでもあります。それをやっているのがルナで、ルナは主にシルバの欲望(金銭的予算的な)機関として機能しています。ルナが、ひたすらにシルバの研究資金を集めているのが分かりやすいと思うのですが。
 そして思いのほか資本主義の話をしています。ルネサンス人はどう商売をしていたのか、というような。どう資本主義が生まれていったのかを端的に書いています。
 そもそもこのお話は、世界最強の蛮族国と世界最強の文明国はどっちが勝つのか。それを追求すると、文明とはなにかということが分かるはずだ、という確信のもとに書かれているので、ひとりひとりの生き様には、共感するのですが、それは歴史という数百年単位のひとりだろうという意識で書いています。
 わたしは年表の中にいる人達も生きていたんだ、ということを書きたい。
 ただ、テーマが広大すぎて、わたしの手には余ります。

 まあ何よりもお楽しみいただければ幸いです。
 それだけでも大変です(^_^;


| 自作小説 | 22:01 | comments(6) | trackbacks(0) |
 『あらしにあこがれて』14


「あれ? ルナさんじゃないですか、なんでこんなところに?」
 見慣れたとはまだ言い難い猫のような猛禽顔の女の子が、しらじらしくへらへらとして立っていた。
「ひどいですよ〜、工房に行ったらどなたもいなくて、近所に聞いたら谷底に向かったと言うじゃないですか。それで、たぶん降りるならここからだろうなと思って先回りしていたんです。しかしなんですかそれは? ずいぶんたくさんの機械があるじゃないですか。これからなにが始まるんです?」
 ルナはシルバをみて戸惑うが、
「リラさんですよね? 週報の。なぜうちの工房に?」
 シルバが聞くのに、リラは爆竹のように話す。
「上がしつこく言うんですよ。もっと取材してこいって。わたしの取材が片手落ちだって言うんです、なんで竜狩りの方法を聞いてこなかったんだとか、銃の最新型はどうなっているんだとか、大規模なスポンサーが興味を持っているんだとか、全社的にこれは追わなければならない案件だとか、たまったもんじゃないですよ! ちゃんと取材できたと判断できたらボーナスは弾むとかまで言われているんですよ!」
 リラは相変わらず、要らないことまで話すけれども、この無邪気であけすけのない性格にはどうしても心を許してしまう。リラは上と言っているが、クリフォード社は各国の支局を除けば、本体と言えるラスペ・ペネスを担当するのはクリフォードとリラしかないはずだ。となるとそう言っているのは自然とクリフォードになる。
「取材は受けるから、落ち着いて。これからテストするのはぜひシド全土、いえ、他国にも広めてほしいことだから」
 リラは複雑な機械群を眺めて眉をしかめるが、
「これは何の役に立つのです?」
「これから実演するから、みてて! これで世界から奴隷を一掃するの!」

 竜車を動員して、谷底まで下り道を重機械を運ぶのは予想通りに難儀で、ペネスの吊橋から谷底まで何百メートルあるんだと大げさに思ったほどで、実質的には曲がりくねった数キロの数十メートルの高さだったかもしれない。
 そうやって河面まで降りると、ごつごつした河石の上に無骨な機械を設置していく。
 発電機のモーターは遥かに崖上、コンパクトなモーターとポンプを設置して、油紙を針金で補強したホースを河面に浸す。
 上空を見上げると、果てしないホースが伸びている。
 ちらりと見ると、シルバの表情が輝いていて、声をかけていいか迷った。
「ゴーサインは出してね。これはあんたが考えたんだから」
 ためらうことはなかった。
「やろうよ! いますぐ、今すぐさ! なんでやらないの?!」
 なんで失敗するとは思わないのだろう。そうなったら、大失態なのに。シルバは未来に対して太陽のように明るい。片手を上げると、わたしの蒸気機関が動き始めた。こうなると止められない。暴力的な機関が動き続け、この揚水システムが失敗であるかそうでないか以外の結論は出なくなる。
 シルバが確信していた蒸気機関は動いて、それはわたしが信頼されていたことになるんだけれども、シルバが信じてくれたから動くというのは、まるで宗教のようで気持ち悪い。機械は造ったとおりにしか動かない。何百ものパーツが組み合わされたシステムを個々にはテストしているけれど、すべて組み合わせてテストするのはこれが初めてなのだ。
 水を数十メートル上に汲み上げる負荷に、蒸気機関の部品が耐えられるのか、モーター・ポンプもこんな負荷で作動させるのは初めてなのだ。
 ポンプに近い給水側のホースが短くて、遥かに崖上に伸びるホースが長いのは、お粗末なホースが圧力に弱いからだ。吸い込み側のホースは基本的にホースの径が狭まる力が働き、揚水側のホースには外側に広がる力が働く。径が狭まると流れる水の量が減る。なので吸い込み側の径を保つためには、ホースを短くしてできるだけ補強する必要がある。
 こういう話が通じるシルバの工房は楽しくて、なんで誰もが当たり前のように、それを理解しているのだろう、たぶんメイファが、こまごまと言い含めているのだと思う。
 ただそれが、実質的に全権限を握っているわたしに対する抵抗だと考えると複雑になる。お金だけじゃない、わたしがしてることなんて。なんで、お金を差配すると、仲間に入れてもらえないのだろう。
「ルナ! ポンプの様子はどう!? ポンプは動いてる!?」
 明るい声にあわてた。
 理論上は光速で電力は伝わるので、聞くまでもないのだが、作動しているポンプを確認して崖上に両腕で丸印をおくる、どうでもいいけど、これも光の速度だ。声よりは速い。
 ぶるぶると水を吸い上げるポンプを見ながら、これは役に立つのだろうかと考えるのは贅沢な時間だろうか。たぶんシルバはいつまでも見ていて、組み上げられた水にずっと興奮している。
「そっちにいったでしょ! これはだめなの?! いいの?!」
 大声で音速で返すと、光速で丸をくれた。
「これはどこに売るんですか?」
 リラが崖上より崖下を選んだのはさすがの猛禽類だった。
「鉱山、もう最初の売先、ああ、お試し価格だから、売ってはいないかな。そこでテストしてもらうことはもう話はついているけど」
「ああ、テスト協力費と、製品価格は相殺なんですね?」
 うるさい。
「鉱山は頻繁に地下水を掘り当ててしまって出水するでしょ? それをこれまでは奴隷を大量に使って、命の危険にさらせて掻き出してたの。でも、シルバはそれが許せなかったの。だって死ぬじゃない? そんなことさせたら。だけど、機械にそれをやらせれば誰も死なない。計算してみると、奴隷を継続的に買うよりも、機械を買ってそれにやらせたほうが安いの。だったら、機械を買うほうがいい。だから売りたい」
 リラは考えていたが、しつこく考える。
「それって、奴隷業者に喧嘩売ってますよね?」
「売ってる。それがシルバの意思。機械を使って、奴隷をこのシドからなくすのがシルバの意思。わたしはそれを最大限に尊重する。奴隷は悪でしかない。書いてもいいわよ、奴隷を買うより遥かに機械を買った方が安いって」


 10枚ないんですが、この辺が限界かなあと。
 単純に時間がかかっているのは、終わりに向けての文章を整えているからで、だいたいそこに一週間ぐらいは使っています。
 この終わり方は、自画自賛ですが、ルナがかっこいいんですよね(笑)。
 だからここで切ったのですが、えーといちおうこの後に10枚程度の検討していない原稿はあったりします。
 「リラを使う」というのが見えてなかったので難儀したのですが、ながい事考えているうちに、リラを使えばいいんじゃない? と気付いて、このような形になりました。ネタバレはしないのですが、だいたい先が見えるような内容になっているのではないでしょうか。

 機械工学的な話では、ホースの問題ですね。
 吸い込む側のホースは短くて、送り出す側のホースは長いという話です。
 これはこの書いているポンプシステムの問題になるのですが、そもそも、蒸気機関を坑外において長いホースを垂らして、汲み上げればいいのではと思う人もいる気がするんですが、これは簡単な実験でそれが無理であることがわかります。
 それは、ストローの袋をストローから分離させて、袋の方です、袋を思いっきり吸ってみてください。そうすると潰れて吸えないのです。吐く方はいくらでも吐けます。
 ポンプというのは、現在の日常で一番馴染み深いのは掃除機なのですが、掃除機のホースって執拗なほどに針金で補強されていないでしょうか。それは単純に、掃除機の機構上ポンプに当たる部分が、吸込口から遠いからです。掃除機のホースはビニールですが、そんなものはない設定になっているので、油紙を分厚く重ねたものに針金の芯をいれたものという描写になっています。これは実際に機能するのか微妙なんですが、半年ぐらいなら持つかなあとか。こういうところが感覚だよりになっているのは面白い、というか自分で面白がっているだけなのですが。
 まあシルバとルナが設計したなら、そういうところは抜かりがないだろうとか、設計図まで文章上で書いているわけではないので、登場人物のせいにしてしまうのですが、まあたぶんあいつらならちゃんとしたものを造っているだろうなどと思っています。


| 自作小説 | 21:02 | comments(0) | trackbacks(0) | 昨年の記事
 『あらしにあこがれて』13


 シルバたちが作り始めたのは、ドライゼ銃のボルトアクション部分で、その両端が閉じられたものだ。銃の装填部分だけがあって、銃身がない。装填するのは本来は打ち出す弾と火薬と起爆装置から弾を除いたもので、一弾ごとに油紙で包んで携帯しやすくしている。シルバはベルトに革のポーチを付けたものをどこかで作ってきてもらったのか、そこに数十発の弾を入れる。
「じゃあ、やろうか、まず10ミリから」
 おもむろに言って、出来上がった試作機を、必要はないのだけれども構える。
 たぶん、シルバにしてみればドライゼ銃の使い勝手のテストのつもりなのだ。
「お金がないから、それぞれ20発ずつ」
 誰にも見えない標的に照準を合わせて、放つ。それから射線の先を凝視して、舌打ちをする。外したようだ。装填口を開き、革のポーチから新しい弾を掴んで装填して、また放つ。
 それはうつくしい所作を見ているようで、流れるような動作にルナはシルバがなぜ射撃の天才なのかが分かる気がした。10分も経っていないはずなのだけれども、その狂気の時間に出資をしたくなった。
「こんなもんかな。銃身がないと結構ぶれるね。銃口を重たくした方がいいかな?」
 シルバは装填口に手袋越しに触れ、それから手袋を脱いで触る。
「あち! まあ、いつもこんな感じだし、やっぱりこの銃は熱が弱点だなあ」
 にこにこと笑っていう。それから、手袋をして装填口付近の様子を綿密に見る。先込め式の場合は爆発させた火薬のすすを取るのが普通なのだ。それですすがどれだけついているかを見ているようで、うんうんと頷いた。
「20発までは大丈夫。限界がどこにあるかはわからないけど、冷却も必要だし複数持つか、整備をしてくれる人が必要になるのかな?」
 ルナにはそれが異次元の発想すぎて、なにを言っているのかわからなかった。
 なにを想定しているのかがまったくわからない。
 まるでサウス人と話しているよう。
「じゃあ、5ミリ行こうか」

 テストを終えたシルバは始終満足げで、メイファがいれたおいしい紅茶を飲みながら、ビスケットを食べる。
 テスト結果を聞くまでもなく、シルバが5ミリのダマスカス鋼を気に入っていることは明らかだった。頭のなかではシャビの工房に送る発注書に添える挨拶文の草案が渦巻いていたのだけど、卓を汚さないように丁寧にビスケットを食べるセレンの姿が目に入ってしまって、あれ、セレンって孤児院あたりから来たんだっけ? と思ってしまう。
 それはシルバの姿と重なってしまうからで、そんなに遠慮する必要はないと、どうしても思ってしまうのは、ルナが特権階級の人間だから。
 いや違う、セレンは読み書きができるし、それは修道院で習ったと言っていた。
 そうなると、やはり身寄りがなくて引き取られたのだ。セレンの高潔さはたぶん修道院の空気を引きずっているのだろうし、厳格な規律の中で植え付けられたものなのだろう。
 そんなに丁寧にビスケットを食べなくてもいいのに。
「セレン、もっとざっくばらんに食べていいのよ。難しいかもしれないけど」
「あ、あの、わたし堅苦しかったですか?」
 あわてるセレンの頬に指を触れる。
「いえ、でもあなたが好きよ。それはあなたがあなたである以上変わらない、信じて」
 セレンは当然なのだが赤面する。
 それからもごもごもと何かを言おうとして、やっぱり言えずに黙る。
「セレンはよくやってくれているわ。正直わたしがいなくても大丈夫なのではと思うぐらい。でも汚れ仕事はわたしがやる。それはわたしの永遠の職務だから。でも、それはわたしがやるから、もうちょっと汚れていないところをやってくれないかしら? けっこう手一杯なの」
 セレンは、すこしずつ泣き始めた。
「ルナ、さまは、ずるいです・・・。だって、なんで、断れる、んですか。お金の計算ぐらいさせてください・・・。わたし、算術は習ってるんです。もっと頼ってください・・・。それぐらいできるんです・・・」
 目の前で起こっている光景が信じられなくて、その心細い肩を抱いた。
「わたしはあなたに汚い仕事をしてほしくないだけ、そんな犠牲はわたしだけで充分。わたしにはそれをしなければならない十分な理由があるの。だって、兄の妹なんだもの。でも、セレンがそれを手伝う必要は一切ない」
 セレンは悲しい表情をした。
 しばらく考えて、
「それはわたしが相応しくない、下賤の身だからですか? ルナさまは高貴なご身分ですから、わたしなんかに任せられないと・・・」
 ちがうちがう!
 そんなふうに思っていたのかとショックを受け、それをどうしたらいいのかわからなかった。
 こんな仕事、やっちゃあいけないのよ。
 投げ出していいと言われれば、正直投げ出したい。それをか細いセレンに丸投げするのは虐待のように感じるし、たぶんセレンはわたしに任せきりなのを酷い仕打ちをしているように感じているのだ。
「あの、ルナ?」
 ぽかんとしたシルバを見て、現実に引き戻された。
「なんだかわからないけど、ぼくたちも頼って欲しいかな。この工房は自慢じゃないけれど、みんな優秀だ。メイファのすごさは分かっていると思うけど、手伝えることなんていくらでもあるよ。ルナが抱え込むことではないよ」
 我に返って工房を見ると、好意的な眼差しが自分に向いているのに気づいた。
 照れ隠しにビスケットを齧る。
「じゃあ・・・、テストをするから・・・。わたしの蒸気機関、バーナードのモーター、ハッカビー兄弟のポンプ。それを合わせてみましょう・・・。シルバ、あなたの望みどおりのものになっているかはわからないけれど」
 シルバは太陽のように笑った。
「最高だね!」
 なんでこんなに眩しいのだろう。
 この太陽に照らされると、ぽかぽかと陽だまりにいる気になる。


 もう1シーン書くべきではないかと思ったのだけれども、ここからテストのシーンにつなげるのも何だかなあとと思ったので、短いと思うのですが、ここで切ります(これまで15枚平均だったのが10枚ないですもんねえ)。
 出していないので分からないと思うのですが、この直前に書かれていた文章はひどいものでした。わたし自身のコメントとして、「なんだこれ、ひどい。小説を忘れている」と書いているほどです。ただ、そこからの復旧方法を、なんか会得したかなとか、そんな自信回復につながる回でした(まあそれだけ下書きの時点ではひどいものを量産しているわけなのですが・・・)。
 なにげに前回書きたいと思っていたセレンの話も掘り下げられましたし、ルナがよく書けていて、シルバもよく書けている(唐突に介入してくるシルバとかお気にいりw)。短い文章ですが、まあいいか、というぐらいには書けている気がします。
 ちょっと臭いかなあとは思ったのですが、好きで読んでる漫画とかけっこう臭くて、自分はこういうのが好みなのかなと・・・。まあ前作が結構殺伐としていたというか、ほぼほぼ戦闘シーンの連続だったので、今回は日常モノ(と言うか文法的には少女漫画の文法ですよね・・・)になっていて落差がすごいなあ、などと思っています。

| 自作小説 | 20:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
 『あらしにあこがれて』12


 日が暮れて、夜気が冷えてくるとさすがに頃合いになる。
 松明を炊いて綿密に数値を取っている少年たちの間にたたずむバーナードに、無言で視線を送った。
「耐えたと思っていいのでしょうか?」
「充分。はじめから分かって分かっていたけど。でも軽さ。もっと軽くして。ダマスカス鋼は使えると思うからそう言ってるの。あなたはこの鉄の実力をハッカビー兄弟よりは理解していると思っているでしょ? だったら証明して」
 わたしの仕事はだいたい現場の尻を叩くことだ。
 脅しはしないけれども、顧客が望んでいるであるであろうことを確実に伝える。
 それをちゃんと達成してきたら、それは命をかけて売る。
 それで利益が入ってくると、だいたい信用される。
 殺伐としているけれども、それがわたしのサイクルだ。これが商売だよ、お兄さん、と思うのは皮肉なのだけれども、核にシルバがいないと回らないサイクルではある。シルバの信用の力はすごくて、シといえばだいたいうまく回る。
 このバーナードだって、シルバのシステムに入ってしまえば、たぶん資金になる。
「ずいぶん寒くなってきましたね。明日の朝にはペネスに立つのですが、」
「ああ、すみません。泊まるところが薪の前とはいきませんね。部屋は用意してあります。それよりも夕食ですよね。実は用意してあるんです」
 キャンプファイアのような篝火の前にクッションの効いたマットを用意され、そこに座る。セレンを側に呼んで、細かなペネス行きの打ち合わせをしながら、お茶が振るまわれて、それをおいしく飲む。
 前菜は、わらびの塩漬けで、それからオイリーな魚の燻製が出た。
 そうするとだいたいくるのは、サーモンだ。
 臭いほどに新鮮なサーモンが刺し身ででて、暴力的なほどにわさびとしょうがで食えと主張する。ひとくち口にするサーモンは美味しいけど、どう食べたら一番美味しいかが分かっていない味付けだ。
 たぶん、アボガドとわさびを合わせると凶悪なのだけれども、それに合わせるパンの塩分が気になってしまう。醤油はどの醤油がいいのだろうとか、魚醤がいいのだろうかとか、生醤油がいいのだろうかとか、つい考えてしまう。
「ルナさま、明日なのですが」
 うん、分かっている。
「バーナード、どれだけダマスカス鋼を置いていけばいい? シルバの方でも使うから必要最低限にしてほしいのだけど? もし足りなかったら発注して、届くのは1月後だけど」
「もっと薄いほうがいいのですが、5ミリ板を20枚ほど」
「そんなのでいいの?」
「あー、モーターは細かい部品の集合体なのです。それを加工するのに1月はかかります。つまり作業している間に次の荷が届くのです。それにモーターの心臓部はコイルです。そこが一番重いのですが、電気抵抗の関係で鉄を使うわけには行きません。銅線なのです。それに強度の必要なところではありませんし。要らないと言っているわけではありませんよ? ペネスからお戻りになる頃にはだいたい試しし尽くしていますので、そのときに発注します。ですから、かならず寄ってください」
 ルナは、うんと頷く。
「安心したわ。わたしも自分の工房を見なくちゃ、こんなの久しぶりなの、わくわくしているのよ? あのクレーンの旧型がわたしの蒸気機関だなんて思われたくないじゃない? ぼろいじゃない?」
 苦笑する初老の男がこれほどに楽しそうにするのを見たのは初めてだった。
「ルナさまがこんなに機械狂いで、仲間だとは思いませんでしたよ」
「あら、わたしはこれでも蒸気機関の技師なのよ。機械にさわれない雑用なんてしたいだなんてこれぽっちっも思ったことはないの。でも、わたしが好きな機械いじりを犠牲にしないと、兄の工房は回らないでしょ、仕方ないの」
 気おくれしているセレンに気付いて、夢中になっている心を取り繕う。
「ですがお料理は、落第点があります」
「え? はい?」
「醤油にお詳しくないですよね。醤油は新鮮なほど美味しいのですが、これは数年経っている醤油です。調味料は厨房にずっとおいておくのではなく、その日使う分を市場で買ってくるといいですよ? できれば一番美味しいところを選んで。お店ではこれは出せません。あ、そう・・・、いやですよね、こんな知識ばかりがつくんです、接待ばかりしてると」
 おもわず言ってしまって、あわてて誤魔化すが、こういうのが、だめなのだ。率直に言い過ぎる。
 言ってしまったあとに、さりげなく打ちひしがれるセレンを見た。
 あなたに言ってるんじゃないのよ。
 これを引き継げと言っているわけではない。
 こんな汚れ仕事を引き継いで欲しいとは思っていない。

 ペネスに経つ日は、だれも見送りしなかった。
 バーナードはそんな人だと思っていたし、逆に見送りされたら何か変なものでも食べたのではないか、なんか悪いこと言っただろうか、と考えてしまう。
 ペネスが特別なのは、シルバがいるからで、兄貴の工房からすると、唯一の利益を上げられる工房があるからだ。
 ペネスに竜狩り都市の名を冠されているのは、だいたいシルバのせいで、かれは特別な狩りをし、それを仲間に教えている。もともと伝統的な狩りではあったのだけれども、シルバが完成形といえる領域に磨き上げ、幾つもの狩猟団が繁栄するようになった。
 それは誰も見たことのない狩りの仕方で、ペネスに根付いてしまった鉄砲文化と、シルバが製造する銃で成立している。これに誰も注目していないのがふしぎなほどで、大量に上がる利益は兄の工房を支えているのだが、そこに着目する人はあまりいない。
 シルバの射撃の腕が支えていると思われているからだ。
 その通りであって、その通りではないのだが、もう少し理解しようとしてもいいではないか。
 あのリラという猛禽のような取材者でもドライゼ銃に気付かなかった。たぶん、シルバのような射撃の天才であれば、百発百中なのだろうという誤った理解をしているのだ。
 彼の狩りは特別で、呼子と呼ばれる追い込み衆が竜を特定の場所に追い込み、獣脚竜に乗ったシルバが、その躍動する竜の背から、襲いかかる竜の急所に命中させて、失神させる、組織的な猟なのだ。
 これはなんど見ても手品にしか見えないのだが、何百という失神した竜が、貴族に売られている記録が残っている。
 その中心に、メイファという天才的な工房主がいる。
 シルバがそれを見つけてきたときは、この幼馴染の圧倒的な才能に、打ちのめされた。
 奴隷だったという。
 当たり前のようにシルバに恩義を感じて、見た感じは恋愛感情も持っている気がするので、面倒くさいのだけれども、あの女の言い分なんて聞く必要はないんですよ、と言われてしまう。
 頑張ってお金を回そうとしているのに。

「はー、でも、ほんとにこれがシルバの役に立つのかしらね? だって、あいつ外さないじゃない。後詰めとか意味ないでしょ。だって一発しか打たないんだから」
 セレンはまたかと思い、ルナを諌めようと考える。
「たしかにシルバさまのような射手は稀有です。ですが異常者を前提に工房を考えるのは間違っていますし、商売相手の売り先は下手くそですよね?」
 バツが悪くなるというよりは、まあそうだと素直に思った。
「そ、そりゃ、そうよね。一番気にしなければならないのは、だれがなにを望んで、何がほしいいか。そんなのわかってるし、」
 隊列となった竜車を先導しながら、言葉少ないセレンを、背丈の関係で見下ろす。
 この少女はだいぶ無理をしていた。
 わたしは譲るべきだし、この子が背伸びをしていることを、自分の責任だと思うべきだと思った。というかセレンや各工房にどんだけ低い賃料で働かせているんだよ、と思うし、どんだけわたし無報酬で働いているんだよ〜、と思う。

 ペネスまでやってくると、どうしてもどれだけ稼げるかと思ってしまう。
 それは良くないことだと思う以前に、どれだけ搾取してきたのだろうと思う都市だし、この地に足を踏み入れると、罪の意識でアウェイだと思ってしまう。
 ラスペは盛大にお金を配っているホーム。ペネスはお金をむしり取っているアウェイ。
 連れてきた竜車の列にも、金稼ぎなさいよと言っている気がするし、そもそもわたしはシルバに金を稼げという以外に興味が無い気がないような気がして心細くなる。
「これはなんですか? 書類の申請がないのですが? 鋼板ですか?」
 入り口で捕まって、うっかりしていたことに気付く。
「ダマスカス鋼です! シルバさまの工房から申請が出てませんでしたか!?」
 あー、いえ、えーと、書類は来てませんねぇ。
「へー、シルバさんが、ダマスカス鋼ですか! それはニュースだ」
 何か面倒になりそうなので、セレンをなだめる。
「シャビからの荷受け証はあるから、これで代わりにならないかしら? ダマスカス鋼をシルバの工房で使っていることが証明できればいいんでしょう?」
 ルナの顔を見て、税関の役人の顔が固まった。
 こういうのは楽でいい。
「あ、はい、ルナさんですよね! 光栄であります!」
 税関を通過して、うんざりしたルナはセレンに追い打ちをかけられる。
「ルナさまって、顔パスなんですね!」
「いえ、あれ、不快なの・・・。特権階級みたいに見えるでしょ?」
 ああ、まあ、実際に特権階級の人間なんだけど。

 シルバの工房にダマスカス鋼を運ぶと、数字を測るテストが行われて、ルナが数字を言って、だいたいそのとおりだとわかると、テストの輪は消えた。
 メイファを伴ってシルバが目の前に座り、興奮した様子で話し始める。
「この鉄はすごいね。どうしてわざわざシャビから仕入れてきたの?」
「ああ、うん、渡した文献にダマスカス鋼って書いてあったでしょ、だからそっちのほうが性能が良くなると思ったから」
「ルナってそういうところ律儀だよね、まあ助かるけど」
 きょとんとして言われると、それぐらいしか取り柄がないと言われているような気さえしてしまうのだが、シルバは明るく他意がないことは明らか。
「まだこれはサンプルで、お金は払ってきたけど、正式に発注したわけではないの。10ミリ板と5ミリ板を持ってきたから試してみて。この工房で使ってるのは10ミリ板でしょ? でもシャビでは10ミリ板なんてめったに使わないっていうの」
 シルバはしばらく考えたが、まあ、爆破してみないとなあ、と不穏なことをいう。
「爆破?」
「そりゃそうだよ、鉄砲なんだから。発砲時の熱と圧に耐えられなくちゃ。しかもドライゼ銃は前込め銃よりも頻繁に連射するんだから、熱はとんでもないことになる」
 ああ、なるほどと理解するが、それ以上突っ込むのは専門でないだけあって野暮だ。
「でもこれで、劇的に軽くなるかもなあ。5ミリ板で10ミリ板並の耐久性が出たらとんでもないことになるよ!」
 まあわたしはこうやって、きわめて精密に有頂天になっているシルバを見ているのが好きなのだ。
「それよりも、例の鉱山のポンプの話、蒸気機関とモーターとポンプを持ってきたから、あとでテストしましょう。それに最初の顧客も見つけてきた」
 なんかそう言ってしまうと自分がシルバに忠実な猟犬のような気がしてしまう。
 でも多分セレンの言うように、わたしはシルバの名前を使って勝手に儲かる商売を作っているだけなのだ。それがシルバの望んでいた事の実現につながるなら、それでいいじゃないか。


 えーと、定型句になっておりますが(^_^; 大変遅れました。
 なんか前回の立て直し部分で持ち込んだものが結構効いていて、ああこう効いてくるんだと、とても勉強になりました。ただセレンの扱い方が雑かなあとか思っていたり、掘ると楽しそうなのですが、掘りすぎると本題があいまいになってしまうかなあとか。本作はルナ視点なので、ルナの内面を大量に書くことになっていて、シルバを客観的に見ているのですが、セレンはルナを客観的に見るのに大変便利だったりするのです。
 でも、セレンにも内面はあるわけで、そこを書き始めるとどうなるのかなあとか。まあ、シルバの衛星である、ルナの衛星である、セレンを掘りすぎるのはどうかなと思ってしまうのは甘いのですかねえ・・・。なんか展開のさせ方があるのですかねえ。
 研究課題です。

 今回解説が必要なのは電動モーターですかねえ。
 電動モーターというのは、電磁石となるコイルを永久磁石の磁界の中で磁力を使って回転させることで動力となるものなのですが(分かりにくい説明だ・・・)。動力となる一方、反対に回してやると発電機になるものです。
 ルナが作っている装置では、蒸気機関を動力にしてモーターを回すことで電力を発し、その電力をもう一対のモーターに送ることで、動力を発生させてポンプを回すのです。
 なにか、なんで2つのモーターを介する必要があるのかと思われるかもしれませんが、これは単純に蒸気機関が排気ガスを出すからです。なので、蒸気機関は坑外に置き、発電側のモーターで発電し、長い電線を通して坑内に電気を送って、そこでポンプを稼働させるという仕組みなのです。
 かなりショートカットして言うと、かなり強烈な電池があって、モーターを稼働させるのに充分な電力が永久に供給できるのであれば(ほとんどありえない前提ですが)、わざわざこんな装置を作る必要はありません。電池にモーターを直結してポンプを回せばいい。それができないので、石炭を燃料とする蒸気機関を動力として、発電機を噛ませて、坑内に電力を送っているのです。また発電所と送電網が整備されていれば、とうぜんにこんな装置は必要ありません(現在使われているのはこれですね)。

 現在と産業革命当時は大幅に前提が違うので、説明が必要になりました。
 いちおう歴史小説なのです・・・。
(かなり苦しいけど・・・)

| 自作小説 | 22:08 | comments(0) | trackbacks(0) |
 『ラ・ラ・ランド』を観た!


 のっけからネタバレをしてしまうと、この映画にはストーリーがない。
 おそらく意図的にストーリーが廃されているのであって、すべてはこの映画のラスト10分のための布石なのだ。ロサンゼルスというかハリウッドの中で、売れない女優と売れないジャズピアニストが恋をして、ささいなことで衝突し、ささいなことで泣き、ささいなことで悩み、ささいなことで苦しむ、そんな映画。
 おそらく等身大の姿を描いた作品なのだが、残念なことにわたしは米国人ではない。
 作中にプリウスが出てくるので(ヒロインが乗っている)現代なのだが、たぶんロサンゼルスの古めかしい地区を舞台にしているのか、あれ? これって70年代ぐらいを再現した映画なの? と思ってしまうぐらい日本人にはピンとこないところもある。
 それでもラスト10分は、ああ、これがやりたかったんだね、と思うシーンがやってきて、さまざまな思いが去来する映画なのだけれども、わたしがどう思ったかはネタバレになるので、ぜひ映画館で体験してほしい。

 さて、おそらくこの映画を観た方は、わたしがミュージカル部分に触れていないことを疑問に思っているはずだ。
 実のところわたしはこの映画の前に公開された、ロック・オブ・エイジズ(2012)の大ファンでミュージカル映画はだいぶ慣れてしまっているのだ。こっちはぜんぜん売れてない(2012の興収で94位)からだれも知らないかもしれないけど、ここで一通りミュージカル映画の洗礼を受けてしまっているのだ。
 たとえば、冒頭の大渋滞のシーンとか、ああ、これってこうなるんだよなあ、などと思いながら観ているとその通りで、渋滞でやるなんて面白いなあとは思ったのだけど、ロック・オブ・エイジズでは田舎からやってきたヒロインが乗り合わせたグレイハウンドバス(長距離バス)の車内で同じことがやられる。
 なので、はいはい、これぞ、ザ・ミュージカル、とあそこで頭をぶん殴られなかったのだ。それ以外の部分も同様で、たぶん共通に参照にしている名作があって似るんだと思うのだが、ああ、やっぱりそう来たかと手の内が全部バレてしまっているのである。
 なので、わたしのように擦れた人間でなければ純粋に楽しめるはずである。
 わたしがいちばん好きだったのは、ジャズについて熱く語るジャズピアニスト(セブ)。熱いジャズ愛がすごくて、もう側で何十時間でもその語りを聞いていたい気分になりましたし(たぶんそういう意図がある)、セブの店に入り浸りになるんだろうなぁ、と思うぐらい素敵なジャズが聴けました。
 わたしはジャズは疎いのですが、カンザス・シティ(映画)を恵比寿のガーデンシネマまで観に行ったぐらいには好きです。

 アカデミー賞は残念な結果になってしまったけれど、おそらくあまりにも等身大にこだわるあまりに、ロサンゼルスローカルな映画と思われてしまったのではないか、と思います。そこがいいところなんだけどねえ(笑)。
 ラストシーンを思い浮かべると、わたしもそうだったなあと、深い感慨にひたれるはずだと太鼓判を押して、いい映画ですよ、なのでオススメです、で終わる。

 いやー、去年の日本の映画がすごすぎるんですね(^_^;
 宮駿も細田守もいなかったのに、衝撃的すぎて。
 ああ、聲の形もう一回観に行こうかな、なんて思ってしまいます(まだやってるみたい)。もうわたしは植野さんが好きすぎて。
 豊作年ってすごいですよね。


| 映画評 | 21:07 | comments(0) | trackbacks(0) | 昨年の記事