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 ドイツのエイプリルフール色商標問題の解決
 長い時間、ずっと頭のどこかに残っていた問題が解決した。
 以前、このブログで書いた、色商標の問題である。

 ■どうも、ドイツ商標法の脆弱性が悪用されているっぽい件について
 http://blog.story-fact.com/?eid=819258


 問題のエントリー。

 ■ドイツテレコム、「色商標」を主張してEngadgetにロゴ変更を要求
 http://japanese.engadget.com/2008/04/02/engadget-mobile-vs-t-mobile/


 これは、後にエイプリルフールネタだったことが判明。
 ただ、この問題を突き詰めているうちに、かなり深い地点にたどり着いてしまった。
 結局わたしが追いかけていたのは、テルケルマーク(もしくは、テルケル商標)の問題で、実はあまりにも特殊なケースなので、弁理士試験には出てこない(授業では多少触れるけどね)。
 なんで出てこないのに触れるのかというと、これがパリ条約最大の難問で、日本の特許庁の公式見解にほぼ近い(つまりテストに出る)パリ条約講話という書籍で、膨大な量にわたって(具体的には70ページに渡って)触れているのである。ちなみにこの書籍を書いているのは、特許庁の高官で条約の翻訳をしていた人。ただ、かなり難解な内容なので、普通の人が読むにはかなり苦痛であろう。
 テルケル商標の問題は、国際的にはまだ、150年近く経つのに「まだ」解決していない。パリ条約講話では日本の基本的解釈が導き出される過程が記述されるが、たぶんあまりにも難解だからであろう、ほとんどの人が間違って理解している。
 ひょっとしたら裁判所も間違うかも知れない。
 世界中のテルケルマークの裁判では、両方の判決が出ている。
 認める判決と認めない判決である。

 テルケルマークというのは外国の商標をそのまま同盟国で保護するというものだ。
 この「そのまま」がフランス語で「テルケル」なので、テルケル商標と呼ばれている。直訳するれば「そのまんま商標」である。
 例を挙げて説明しよう。
 新興企業マクロソフトが新しい商品「窓たち 8」を発売するとして、米国で「窓たち8」の商標を取るとする。小さい方のマイクロソフトであれば、全世界展開しており、商品名が決まったらすぐさま全世界に商標登録することができるだろう。マドリッドプロトコルを使用して国際出願してもいい。もしくは米国での商標登録後六ヶ月以内にパリ条約の優先権を使用して各国に出願してもいい。
 でも、この大きい方のマクロソフトが名前にそぐわず、たった4人で立ち上げた零細企業であればそんな資金的な余裕はない。というか、この「窓たち8」がそんなに売れるソフトだとは思っていなかった。
 このとき、「窓たち8」を試してみてこれは売れると思った、日本のミクロソフトが日本で「窓たち8」の商標出願をしてしまう。ミクロソフトは超大企業で宣伝もばんばん打って、周知著名性を獲得してしまうとする。そして、マクロソフトにこの商標を不法な高値で売りつけようとする。
 これを 防止するのがテルケル商標なのである。
 マクロソフトの米国出願がミクロソフトの日本出願より先で、マクロソフトが「窓たち8」の米国出願「そのまんま」の出願を日本にすれば、ミクロソフトの野望は尽き果てるのである。

 もっとも初期のかわいらしいパリ条約では6条に規定される。

 本国において正規に出願された商標は、他の同盟国においてそのまま出願を認められ、かつ保護される。

 たったこれっぽちの条文である。
 これが改正のたびに拡大に拡大を続け、パリ条約の商標を扱う6条周辺のセクターが、同じく拡大した優先権の4条のセクターをはるかに超えてパリ条約最大のセクターとなる。これは単にこれほどの条文を費やさなければ解決できない(そして今もできていない)根深いものであったことを示唆している。
 知財法では一般的に長く難解な条文は、かなり難しい問題を解決している条文だったりする。補正を扱った17条の2、拡大先願の29条の2、職務発明の35条、国内優先権の41条、パリ優先権の43条・・・、挙げれば切りがない。
 難解になっているのは国際法を考慮しなければならないことが多いからだ。
 先ほども出てきた優先権という文字が見えるだろう。
 ちなみに、商標法ではそこそこテルケルに引きずられているところもあるが、不正競争防止法で解決するという「えええええええ!」と叫びたくなる豪快なアクロバットで解決しているので、かなりシンプルである。
 不正競争防止法で解決すれば、損害賠償もとれるぜ、こっちの方がオトクだろ?
 みたいな調子である。
 パリ条約が各国知財法のマスターコードであることもあって、パリ条約講話には知財法のはらわたをいじくり回しているような生々しさがある。そして、パリ条約最大の難問であり、150年にわたって解決しなかった、テルケル商標こそが、パリ条約のある意味矛盾を象徴している気がする。
 そして、日本は解釈と立法でこの問題を解決しているのである。
 おまけで言えば、ほとんどの日本人の理解は間違っているのだけど・・・。
(まあ、テストにはでないし、実務でも使いませんからねえ・・・)
 これがパリ条約の6条周辺のセクターの全文である。赤い部分が元のテルケルマーク規定。いかに膨大にふくれあがったかが分かるのではないだろうか。




 さて、準備運動はこれぐらいにして、本題に入ろう。
 先の色商標問題でわたしが問題を発見したのは、6条の2のこの条文だ。

第6条の2 周知商標の保護
(1) 同盟国は,1の商標が,他の1の商標でこの条約の利益を受ける者の商標としてかつ同一若しくは類似の商品について使用されているものとしてその同盟国において広く認識されているとその権限のある当局が認めるものの複製である場合又は当該他の1の商標と混同を生じさせやすい模倣若しくは翻訳である場合には,その同盟国の法令が許すときは職権をもつて,又は利害関係人の請求により,当該1の商標の登録を拒絶し又は無効とし,及びその使用を禁止することを約束する。1の商標の要部が,そのような広く認識されている他の1の商標の複製である場合又は当該他の1の商標と混同を生じさせやすい模倣である場合も,同様とする。


 テルケルの実効規定みたいなところ。先の画像では緑色のところである。
 これを読んだわたしの反応は、


 ありゃりゃ、なんじゃこりゃ?
 定義規定がないのに、商標とか書いちゃだめだめ。
 なんか、型定義せずに、POSTをそのままSQLに流すみたいな、そんな世界。

 ん?
 うひょーwww、パリ条約経由で、TRIPs協定ハックできちゃうじゃんwww。
 うわー、なんじゃこりゃ!
 ウハハ、ウマウマ!

 この規定だと、周知商標であると当局(各国特許庁)が認めるものの複製、または周知商標と混同しやすいと認めるものは、その使用を禁止することを約束するとあるのだな。
 要件(つまりチェック項目)が、
 ・周知商標であること(そして、定義規定はないwww)
 ・混同しやすいこと
 のみであって、
 「その使用を禁止することを約束する」
 と、一気に差し止めまで行けてしまうwwww。
 だめだろ、その規定www。



 で、この規定は、先ほど紹介した、
「あ、不正競争防止法で規定したんで、オトクですよ〜」
 で回避しているのである。(二条一項一号〜三号)
 なんで不競法で規定しているかと言うと、テルケルがやっかいだからだと思われる。ここで、もう一個回避手段を行使していて、この6条の2はあくまで「約束する」だから、これは同盟国間の約束であって、相手の同盟国が、約束を守っているとすれば義務は果たしているということになる、という逃げ方である。

「別に商標権者に約束してんじゃねーよ、ばーか。ね、ドイツさん、わたしたち不競法でとりしまってますよ〜。しかも、商標権者にオトクなんです! どうです、すごいがんばって約束を果たしてますよね?」
「うむ、日本はよく約束を果たしておる」

 とちょっと意訳してみましたが、・・・なんという姑息で、悪質ハッキングに強い、セキュアな立法なんだろうwww あまりにもおかしくて笑ってしまった。

 もちろん、不正競争防止法は、本来のテルケルマークの制定趣旨の状況は取り締まれる内容になっている。なので、6条の2の悪用はこれで瞬殺できるんだけど、やっかいなのは、テルケルマーク規定の総本山で規定だ。具体的には6条の5を指す。


第6条の5 同盟国で登録された商標の他の同盟国における保護<外国登録商標>
A (1) 本国において正規に登録された商標は,この条で特に規定する場合を除くほか,他の同盟国においても,そのままその登録を認められかつ保護される。当該他の 同盟国は,確定的な登録をする前に,本国における登録の証明書で権限のある当局が交付したものを提出させることができる。その証明書には,いかなる公証を も必要としない。

 (中略)

B この条に規定する商標は,次の場合を除くほか,その登録を拒絶され又は無効とされることはない。もつとも,第10条の2の規定の適用は,妨げられない。

 (後略)


 この条は長いので重要なところだけ抜き出したが、このテルケル商標規定がなぜ問題なのかはシンプルにこの規定が、そのまま商標登録を認めなければならないとしているからである。

 例えば、極端に商標の要件が緩い同盟国があったとして、そこで単色赤の商標が成立したとする。すると、このテルケル規定に従って日本国内でも単色赤の商標を保護しなければならないと言うことになるということだ。
 これは立体商標の問題でもあったのだが、昔日本では立体商標を認めていなかった、もしくは現在でも立体商標は成立しにくい、だけど、緩い国で立体商標が認められてしまうと、それを無条件で認めなければならないというのが、このテルケルの弱点なのである。

 また、この規定はパリ条約の各国の商標の独立の原則に思いっきり矛盾してしまう。
 しかもまあ、商標の定義まで浸食してしまう恐れがあるのである。
 パリ条約講話がダイナマイトパンチクラスの理論武装をしているのもうなずける話であるのだ。商標法の根幹を揺るがす問題なのである。

 なぜ、こんなことが起こるのかと言うと、これはわたしが書いたことが正しい。

 ありゃりゃ、なんじゃこりゃ?
 定義規定がないのに、商標とか書いちゃだめだめ。
 なんか、型定義せずに、POSTをそのままSQLに流すみたいな、そんな世界。


 商標権という永久権を発生させる商標という言葉を定義規定を設けずに条文中に書いてはいけないのである。で、わたしはこれを、こういう問題が発生することが想像できず、放置したせいだろうと思っていたのだが、どうもパリ条約講話を読んでいる限りでは違うようだ(ちなみに、この人は原文の(たぶんフランス語)議事録を全部用意して、状況を子細に追っている)。
 商標の定義規定が作れなかったのである。

 今も昔も変わらないのか、制定当時も各国で商標の定義はばらばらだったらしい。そこで、
「おい、みんなで商標の国際定義つくろうぜ!」
「あー、うちは色のみもokだから(<ドイツ)」
「うちはなんでもOK(<なんというノーガードwww これはアメリカ)」
「ウチは中国語しか認めないアルよ」
「図だけしか認められませんなあ、文字も認めるとは、あきれてものが言えない(<イギリス)」
「立体商標は絶対認めん!(<日本)」
 と結局まとまらなかったという訳なのである。
 まあ、ぶっちゃけわたしは、最小定義を決めればよくて、その最小定義に該当する商標の一部にのみテルケルを認めればよかったと思うのだが、どうなんだろう。ようは最小の商標定義(例えば図形部分のみ。文字の外面も図形に含める)は義務とし、あとは各国の国内法で規定するみたいな感じにすればよかったんでは・・・。
 あー、たぶんイギリスがごねたんだな・・・。
 で、6条の冒頭で、

 (1) 商標の登録出願及び登録の条件は,各同盟国において国内法令で定める。


 となっていて、テルケルと矛盾するわけである。

 パリ条約講話は子細にその議事録を追って、結論として、
「これは、商標を認めるときに、追加の条件を付してはならないという意味である」
 という言ったような解釈をしている。
 このテルケルマークの「そのまま」は、その商標に何かを追加することを要求してはならないという意味だと展開するのである。この辺は執念で(笑)、まあぶっちゃけ商標登録を受けて発行された商標公報の記載事項「そのまま」で認めなければならないとそういう解釈をするのである。

 で、商標の定義は各国で決めるので、例えば立体商標であれば、それを立体とは見ず、あー、これは図形の商標ですね。わかりました。「そのまま」図形の商標として商標登録します。とまあ、こんな感じになるわけである・・・。
 え? 商標として認めましたよ? だって、そのままでしょ? これは図です。我が国の商標に立体商標という概念はありません。

 イヤー、スゴイデスネ・・・。セイカク、ワルイデスネwww

 で、実際の取り締まりは、不正競争防止法でやるので、商標権は有効には発生しなくても、不正競争であると「商標なしで」認定して取り締まるという、まあ、アクロバティックですなと感心したくなる方法で解決しているのである。

 あはは。
 日本の特許庁はすごいね・・・。
 たぶん2色の色商標のテルケルを認めろと言われたら、
 あー、これは図形の商標ですね。なんか国旗みたいですね。こんな「四角い」商標ははじめてみました。とやり過ごすのだろう。

 はぁ・・・。
 ちょっと安心した。
| 雑記 | 23:01 | comments(2) | trackbacks(0) | 昨年の記事
EngadgetとT-Mobileの話は当時「エイプリルフールではありません」って書いてあるのでまんまと信じてしまってました。ネタなのにネタじゃないって書くのはどうしようもなく悪質ですね。Engadgetが嘘でしたって自白したときの記事って読めますか?
| tohri | 2008/10/18 1:57 AM |

 こんばんわ。
 コメントありがとうございます。

 えーと(汗 実はわたしも実物を確認したわけではないのですね・・・。わたしが見たのは、エンガジェットのスタッフの発言とおぼしき引用をして、あきれたと書いているエントリーなのです。一時、色商標で検索するとトップに出てくるエントリーだったのです。今は、わたしのエントリーが出てくるなあ(笑)。本人にとってはスパムでしかないなあ・・・。
 なので、状況をおもしろがっているエンガジェットのスタッフのエントリーはわたしも見ていません。これが事実でない可能性も、ほんのわずかですがあります。現在のわたしは、その自白がエントリーであったのか、それとも実際に聞いた言葉なのかも分かりません。ごめんなさい。スマンです・・・。

 個人的には法律職なため、秩序を愛する人間なのですが、たまにこういう法律を試す混乱はウェルカムな人です。抜き打ちの避難訓練みたいなもので、法律に携わる者として実力を試されます。
 エンガジェットのジョークは、そういう意味でも、なかなかいいところを突いた、かなり洗練された避難訓練であったと思います。問題提起としてのレベルが非常に高い。そういう部分は、いまさらながらですが、6個の月と季節が過ぎたこの秋に、今更ながらに、あれはなかなか優秀だったと思うのです。
 ただ、まあ、哀しいのは、色商標と検索してトップに出てくるのがわたしのエントリーであるということでしょうか。
 わたしの上には数万人のスペシャリストがいるわけでして、その人の見解を伺いたかったとは思うのです。わたしが反応して、これはつぶせると書かなければ、模倣犯が横行したのだろうか、そういう心配がどしても脳裏をよぎってしまいます。

 なので、エンガジェットはそんなに、まあ、ジャーナリズムとしては悪質ですが、社会的には、うーん、まあ、うーん、ギリギリかなあ・・・、という感じがしますよぉ!
 
| hikali | 2008/10/18 9:14 PM |









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