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 作家性は相続できるのかの実験 ディック・フランシス「祝宴」
(だいぶ前に読んだのだけど、そういえば書いていなかった)

 まず感想。
 なんか、これでいい気がしてきた・・・。

 ディック・フランシスの最新作「祝宴」を読んだ。
 若き将来有望な料理人を主人公に、競馬場を舞台に国際的な犯罪が展開されるという、ディック・フランシスお得意の展開で、読み応えがあり、そこで繰り広げられる犯罪も、非常にユニークだった。
 前作の「再起」で多少の失望を感じ、もうディック・フランシスの胸が躍るような新作は読めないかもしれないと、ファン心ながら諦めていただけに、まさにこの「祝宴」こそ「再起」だと、思ってしまった。
 しかし、どうも、文体の雰囲気が違う。
 なんか、ちょっと軽い感じがするのである。
 例えばこうだ。

 こんなに近くにいるのに、ドアをほんのひとつかふたつ抜けた先にいるのに、これほど遠く感じるのはなぜだろう? 私は旅行かばんに向かって話しかけてさえいた。「どうして彼女はおれを置いて行くことができるのだろう?」とたずねても、旅行かばんは答えなかった。かばんの脇ポケットに入っているパスポートのことを考えた。シカゴへ飛ぼうか? 私が行けば、キャロラインは喜ぶだろうか、それとも困るだろうか? あと一週間<ヘイ・ネット>に顔を出さなければカールはなんと言うだろう?


 正直、読むほうが戸惑ってしまう恋愛感情表現である。
 言うまでもなく、非常にすぐれた感情表現であることは間違いない。
 ただ、あまりこういう弱い心を書く作家ではなかったので戸惑うのだ。
 というか、かばんに話しかけてる。
 やけに現代的だ。

 翻訳が女性に代わったからと思いきや、衝撃的な文字が眼に入る。
「ディック・フランシス&フェリックス・フランシス」
 フェリックスは、ディック・フランシスの実の息子であり、ディック・フランシスファンとしては、親父の権利関係の仕事をしていると知っている。高校の先生を17年ぐらいやっていたのだが、結局家業を支える仕事に就いた。
 そのフェリックスが共著になっている。
 これ自体が衝撃だった。

 ディック・フランシスは、非常に大量のリサーチを行い、まるで現地に行ってきたかのように作品を書く作家なのだが、近年になって、そのリサーチを妻のメアリー・フランシスがやっていたことが分かった。
 2000年にメアリー夫人が亡くなると、ディック・フランシスは哀しみのあまり「もう書けない」といい始め、下世話な雑誌などでは実はメアリー夫人が書いていたのでは、と憶測が流れたほどだった。
 しかし、6年間の沈黙ののち、息子のフェリックスがリサーチ担当となって「再起」が描かれたのであるが、微妙に設定を生かしきれない展開に、がっかりとはした。なんたってディック・フランシスは、1920年生まれであるから、すでに88歳。
 88歳まで最高傑作を書き続けた作家を、わたしは聞いたことがない。
 今回も、フェリックスがリサーチしてたので、フェリックスも共著にしたのかと思いきや、訳者あとがきをみて、凍りついた。
 なんと、フェリックスが書いているのである。
 ん? うーん・・・。
 これはいいのだろうか・・・。
 いや、親父のあとをついで作家になったのは格好いいのだが・・・。

 訳者あとがきをみるとその経緯が語られている。
 長くなるが、簡潔にまとめられていて、わたしの力でこれ以上分かりやすい文章を書くことができそうにない。ちょっと重なる部分もあるが、引用してみよう。

 あるインタビュー記事によると、ディック・フランシスのデビュー作が書かれたとき、フェリックスは9歳(引用者注:つまり現在55歳)。以後、新たな作品について議論・検討する両親の会話を間近に聞きながら育った。2000年9月にメアリ夫人が亡くなると、フランシスからは気力が枯れてしまったように見えたという。そのときには、これで、一種の”家内工業”でやってきたディック・フランシスの小説工房は永遠に閉鎖されると覚悟したらしい。だが六年後、フランシスは「再起」を引っさげてみごとにカムバックし、世界中のファンを喜ばせてくれた。そして本作「祝宴」のプランを練りはじめ、フェリックスが中心となってこの新作を話し合いを重ねながら、ときには一緒に、ときにはそれぞれの作業を進めたのだという。そして、出版社側の強い勧めもあり、フェリックスは共著者としてカバーに名前を連ねることになった。


 これが全貌である。
 正直、聞いたことのない展開で話が進んでいる。

 まあたしかに、ディック・フランシスの新作が読みたいファン、出版社、フィリックスと全員うれしい展開ではあるのだが、作家の親子が、そのブランドを承継するという、なんとも不思議な状況なのである。
 んー、法的には問題ないはずだけど、ディック・フランシスが書いてないのに、ディック・フランシスの名前を使ったらまずいだろうか。しかし、ディックも御年88歳。いつ倒れてもおかしくない歳である。実質上は、フィリックスが書いているはずなのである。

 ディック・フランシスのブランドは、英語圏ミステリー界ではかなり大きいはずである。
 ミステリー界の大きなタイトルは何度も取っているし、いつだったかのあとがきで、最多取得作家だと聞いた。

1970年 MWA賞 エドガー賞長編賞『罰金』(Forfeit)
1979年 CWA賞 ゴールデンダガー賞 『利腕』(Whip Hand)
1981年 MWA賞 エドガー賞長編賞『利腕』(Whip Hand)
1989年 CWA賞 ダイヤモンドダガー賞
1996年 MWA賞 エドガー賞長編賞 『敵手』(COME TO GRIEF)
1996年 MWA賞 巨匠賞

 もう、この1989年のダイヤモンドダガー賞という言うレベルで意味不明なのだが、とにかく最高の名誉を得ているといってもよい(おっと、ピーター・ラビゼイもダイヤモンドダガー賞を取っているのか、サラ・パレッキーもか・・・)。たぶん英語圏では10指に入る作家であり、そのブランドは、極めて高い。
 このページがくわしい。

 ■MISDAS ミスダス
 http://www.ne.jp/asahi/mystery/data/index.htm


 そのブランドを、息子とは言え、小説を発表したことのないフェリックスが継いでいるのだ。これは何だろう、どうなっているのだろう、と戸惑ってしまうのである。

 しかし、「祝宴」においては、このフェリックスの経験不足を心配する必要はない。
 はっきりと言ってディック・フランシスの新境地ではないかと思われるほどの出来で、この作品をフェリックスが書いているという時点で、驚愕を憶えるほどなのだ。
 なんといっても父は10指に入る歴戦のミステリー作家、そしてかたやフェリックスは小説を書いたこともなさそうな、この世界においては新人なのである。それが、父の作品に新しい風を吹き込んでしまうのである。
 念のために言っておくと、幾ら父の指導があったからといって、一年足らずで商業小説がかけるようにはならない。
 そんなに小説は簡単なものではない。
 ぶっちゃけ言えば、剣道を始めて1年で全国大会で優勝する、みたいな世界だ。
 逆に言えば、「ディック・フランシスの小説工房」に蓄積されたノウハウが普遍性を持っているものであったということになるのだが、どうなのであろう。

 この事実を知って、まず真っ先に思い浮かべたのは宮崎駿・宮崎吾朗の親子である。
 果たして、工房は相続によって継承できるものなのだろうか。
 まあ、日本の美術史はその連続なので、できないこともないのだろうけど。


祝宴
| 雑記 | 22:12 | comments(0) | trackbacks(0) | 昨年の記事









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