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物語解析 鋼の錬金術師 〜情報分断戦術の傑作〜 迄17巻 (後編)

 みなさま、おはようございます! hikaliです。

 ・・・って、なぜ、この挨拶わざわざしてるんだろうと、書きながら思うのですが、メールマガジン時代からの癖でしょうか・・・。

 土曜、日曜と、なぜかがしがし書いていたにも関わらず、約束の土曜日に間に合わず・・・、それでも、こんな朝日を浴びながらの、なんとか、土曜のうちじゃない? 日曜日が始まる前に出しちゃえば、それは土曜日って事だよね、という、いかにもweb屋さん的な発想でお届けしている物語解析です(^_^;

 前編では、「動の物語解析」の基礎的な部分をお伝えしましたが、後編では実際の物語のシーンについて踏み入っていきます。
 しかし、その前に、原則を確認しておきましょう。


 ■原則の確認  情報 + 人物 = 行動

 さて、ここから詳細解説と相成るわけですが、確認しておきたいことがあります。それは、人物の行動とは、なんらかの情報がきっかけになるということです。
 例えば、主人公に、「あいつがお前の母親を殺したんだ」ということが伝われば、さすがに主人公はそれを無視することができないでしょう。
 それと反対に、主人公に、「あいつがお前の母親を救ったんだ」ということが伝われば、戦いをすることをやめるかもしれません。

 この際、重要なのは、
 「どの情報が」「だれに伝わり」「どんな行動を起こしえるか」
 なのです。

 つまり、誰かを選んで、その人物にある情報をぶつければ、期待する行動を起こさせることができます。もしくは激しい感情を呼び起こすことができます。
 わたしが、情報で物語をコントロールできると言っているのはこのことです。
 情報のコントロールが、物語のコントロールになるのです。
 情報のリークするタイミングに気をつけていれば、案外物語は素直に動いてくれるのです。
 さらに重要なのは、この情報は真実である必要はないことです。
 誤報で十分だし、意図的なデマでも構いません。
 これを使えば、主人公同士をいがみ合わせることもできます。
 こういうのは三国志で散々やっていますね(笑)。

 なので、そういう展開を作りたいときは(あまりにも、あくどいので以下略)、
 ・・・ということになります。
 これを一般に情報操作と言います。
 実際に物語を作る場合は、もっともドラマチックになるように、そう物語が動くように、情報をリークする(開示する)相手とタイミングを図ります。どのタイミングでばらすかみたいな話です。
 ぶつけるべき情報を手配しておき、適せん絨毯爆撃のようにピンポイント爆撃をしていく行くわけです。
 そのために、作者は謎という防壁を作って、情報格差を作ります。
 この情報格差がなければ、情報の開示という物語を大きく動かす爆撃を行うことができないからです。

 とてつもない蛇足ですが、これは愛の告白に似ています。
 告白は情報の開示です。
 もちろん、それがデマでも、誤報でもいいのですが(笑)。

 そして、鋼の錬金術師という作品は、あまりにも凄まじい精密爆撃の連続で、物語が動いていくのです。

 その話をしましょう。



 ■情報分断戦術 初級編    ムスタング←→エルリック兄弟


 さて、テクストの準備はよいでしょうか。
 まずは、3巻を見てみましょう。

 この巻で、エルリック兄弟は第一レイヤーにたどり着きます。
「1.賢者の石は人の生命で作られること」
 これですね。

 これを知ったのは、まず、エルリック兄弟。
 そして、ロス少尉たち護衛。
 その直後アームストロングに知られます。

 ここで、エルリック兄弟は研究所を調べに行こうとし、アームストロングに止められますが、そのまま二人で単独で調べに行ってしまいます。ここで賢者の石の精錬場だった場所を見て、戦闘がありますが、特に重要なことはなく、ラストたちにやっつけられて(つまりラストたちにばれて)、ロス少尉たちに助けられます。

 この辺、ヒューズ中佐も含めての近親感の作り方は非常に巧みです。
 秘密を共有している人々のグループになっています。ムスタングチームと完全にこっちが違う世界に見えるのは不思議です。
 ウィンリィをここに絡めるのもうまい。
●そして、ヒューズがムスタングに、エルリック兄弟が入院していることを伝え忘れます。
 もし伝えたら、賢者の石のことはムスタングにすぐに伝わったでしょう。

 エルリック兄弟は、その情報をヒューズに伝えてしまいます。
 いやー、よりよって、情報局(おっと、軍法会議所勤務らしい)の人間に(笑)。
●そして、ここで強引にブラッドレイが登場。
 どこまで知っているかが、ここでばれてしまいます。
●この後、エルリック兄弟はこれまた強引に他所に移動し始めます。
 その後、ヒューズが殺されます。


 ●の部分に注目してください。
 わたしも書いていてかなりぞっとする部分です。
 こう思いませんか?
 なぜ、エルリック兄弟は移動する必要があったんだろうか?

 これは情報分断戦術なのです。
 ムスタングとエルリック兄弟の情報を分断したかったのです。

 その後、ムスタングとアームストロングが接触しますが、アームストロングは語らず、しかし、その言葉尻から、ムスタングに、賢者の石がどうも中心にあったと悟られます。
 ムスタングは動き出そうとします。
(これはどうも、中央へ異動するということだったらしい)


 さて、この辺で、俯瞰をしておきましょう。
 なぜかというと、この後8巻に至るまで、謎がまったく動かないからです(笑)。
 ちなみに鋼の錬金術師は、4巻から8巻まで、エルリック兄弟の過去編、グリード戦と何か消化試合を見ているように、この辺で片付けておかないといけないことを片していきます。特に、グリード戦はあまり意味があるようには見えないのですが・・・。
 まあ、ここは、即座にリン・ヤオを登場させて、予防線を張り始めます。

 ここで重要なのは、この流れが非常に精密に作りこまれている点です。
 特に最後の五行は、かなり強引だと思いませんか?
 なぜこのような構成にしたのでしょうか。

 これは実は、物語の展開を遅くするためです。
 その後、8巻まで物語を進めないことによってもそれが証明されます。
 もし、ここでムスタングがこの情報に気づいていたら、どうしたでしょうか。
 つまり、
「1.賢者の石は人の生命で作られること」
 をヒューズが知り、何か調べているうちに、別の謎に気づいてしまった。
 これがなんともまずいことに、
「3.国土全部を使っての賢者の石の練成」
 なのですね。
 レイヤーを一つすっ飛ばしてます。
 これは、謎の構成が、


 1. →
    ←  2.
 3. →
    ←  4.(?)
   (?)

 という構造になっているため、1.から3.にワープしてしまったのですね。


     1. →
ヒューズ ↓  ←  2.
     3. →
        ←  4.(?)
       (?)

 これは、実は、たまねぎの皮型の謎を組むときのセオリーだったりします。
 つまり、第一層と第二層、第二層と第三層、第三層と第四層・・・という層間の距離を大きくすることにより、謎を解くのに掛かる距離を長くするという戦術なのです。そのために構成が、二次元で見ればジグザグな構造になることが多い。

 イキナリ3.がばれてしまうと、もう、一気に2.ばれてしまいます。
 そこで、ここでは断固として、ムスタングとエルリック兄弟を情報分断する必要があったのです。

 そして、8巻から、第2レイヤーのネタばらしが始まるのです。
 また、リン・ヤオの登場で、実は、アメストリス以外にも国があることが明示され、これは、第3レイヤー、そして、たぶん第4レイヤーの伏線が張られ始めます。

 なるほど、なかなか巧みです。
 初級編はこの辺でいいでしょう。

(しかし、イキナリ、8巻でロス少尉がヒューズ殺しの疑いが提起されるところは苦笑してしまいます。おいおい、今までなにやってたんだよ、という感じ。この辺の流れが理解できると、なぜロス少尉かは分かるかと思います。あー、そうか、関わってたんだね、忘れてたよと)




 ■情報分断戦略 中級編   エドワード←→アルフォンス


 テクストの準備はよいでしょうか。9巻です。
 アームストロングにより、エドワードとアルフォンスが分離されてしまうということが起こります。しかも、バリー・ザ・チョッパーが襲ってくることがもう分かりきっている時点でです。
 これはなぜでしょうか。

 詳細を追ってみることにしましょう。

 まず、ムスタングがロス少尉を焼き殺すシーン(これは後に偽装と発覚)。
 ここはアームストロング、エルリック兄弟に誤解させて、仲を不仲にする超絶好な(というかこの作品唯一の絶好のチャンスなのですが・・・)機会なのですが、なぜかアームストロングとエドワードを隔離してしまいます。
 これはおそらく、ムスタングチームの活躍を描きたかったからだと思うのですが、この辺は強引さを感じます。
 ここはもっとうまく書けるところです。
 絶望的な不信感の中での、ラスト戦は見てみたかったのですが、力量が足りないか。
 もうちっとムスタングチームに余裕を与えない方法で、追い詰めればよかったのですが・・・。
 まあ、よい。
 鋼の錬金術師は平行進行がウリの作品です!
 (ちょういい加減・・・)
 まあ、この時点での動機は不明なのですが、この後、この分断戦略が効いてくるのです。

 その後、意味不明な「お父様」の間で会話があり、ムスタングチームが第2レイヤーに近づき始めます。
 (ちなみに、お父様の間での会話は何も考えてないと思う(笑))
 そして、エドワードがクセルクセスへ行き、たぶん第4レイヤーである、東の賢者と西の賢者の話になり、ホーエンハイムが出てきます。この辺は短絡的です(^_^;
 お帰り、賢者さんと声をかけたくなりますが、これは大丈夫なのかな・・・。
 結構強力な縛りだと思うのですが・・・。
 まあ、北の賢者も、南の賢者も、東南の賢者も、北西の賢者もいることにしてしまえばいいのですが・・・。
 わたしが心配しているのは、第四レイヤーが細すぎるということなのですが・・・。

 さて、このクセルクセスで、ようやくムスタングチームと、エドワードチームの情報が合流します(というか、アルフォンスに聞けよ、という突っ込みはなしで・・・)。
 ここで、ロス少尉が被害妄想な発言をしますが・・・、まあ、放置しておきましょう。
(というか、気付けよ、エドワード(笑)。まあいいか・・・)
 結構こうやってみると、粗が出てくるものです(^_^;
 ちなみに、この辺は、この作品でも屈指の絶不調な展開が続きます。
 切れ味が空回りしており、後につながる展開がまったくなく、混乱しています。

 その後11巻に入って(早!)、メイ・チャンが出てきて、だいぶ新展開が期待できるようになります。
 もう、困ったときの新キャラ。
 しがらみがなくまっさらなキャラクターは、いくらでも設定を詰め込める、だれとでも組ませられるので、非常に便利です。
 その後、傷の男が出てきて、今後の新展開を期待させます。

 そして、ようやっと、エルリック兄弟が合流するのですが、どうだったでしょうか。
 どうだったって、なにが? とすっとぼかされそうですが(^_^; わたしがあえて語らなかった部分が印象に残っているのではないでしょうか。
 たぶん、それはエルリック兄弟の縦串の部分ですよね。
 なぜ、この展開の中で、この兄弟を分けたのでしょうか、と聞けば、気づくでしょうか。

 強い情報というのは、人物に与えた瞬間に、その人物の生を発生させるものです。
 しかし、その生の発し方は、周りにいる人物たちに影響されます。
 情報と言うのは、いちどズキューンとぶち込んでしまうと、その人物はしばらくその痛みに苦しむものなのです。
 たぶん、ここは、一番強い情報を与えたかったのでしょう。
 なんといっても父親と会うので。
 しかし、兄弟でいると、あっという間に立ち直ってしまいます。
 これではまったくもって面白くない。
 せめて10ページぐらいは悩んでもらいたいところです。
 そこで、この分断戦術が出てくるのです。

 この流れを、情報系で分析すれば、
 「ムスタングチーム」 → 第2レイヤー
 「エドワード」    → 第3、第4レイヤー
 (おっと、エドワードは第4レイヤーにいるんですね・・・気付かなかった・・・)

 「エルリック兄弟」  → 個別にエルリック兄弟情報系を掘削

 という感じでしょうか。開示されている情報系が、見事にばらばらです。しかも人造人間組が何をやっているのか不明という部分が、さらに流れを散漫にしています。
 ちょっと苦しい流れですね。
 ただ、その中で書きたいシーンを何とか書きつないでおり、それに救われている感があります。
 情報系の中で見ると、結構混乱気味なのですが、局地戦で勝っているという感じでしょうか。情報系でうまくいかなかったときの局地戦頼み、と言うのは、しばしばよく使われる手ですが(^_^; 作者さんは局地戦も強いことが、よかったのかわるかったのか、結果的には情報系はずたずたに混乱しています。

 ストーリーラインが、ずいぶん遠いところから始まっているのが分かるでしょうか。
 それを流しながら、その中ほどで、次の展開を仕込んでおく。
 もう、連載漫画はこの繰り返しです。
 しかし、この鋼の錬金術師のストーリー展開は、長く続く情報の連鎖を、平行させてどこが切れ目か分からないように、ロープのようによっていくという構成をしています。
 エドワードラインはかなり長い。

 この辺りは流れが複雑な上に、たぶん作者が混乱気味だったため、意味不明な展開が多くなっています。まあ、こういうこともあるさと、とつぶやきながら、11巻の作者の言葉が気になります。
 〆切明けに指圧に行った時の事。
 眠気でうとうとしながら
「次回の話どーしよーかなー」などと
 考えていたため、先生に
「右肩こってますね」と言われて
 思わず「機械鎧ですから」と
 答えてしまうところでした。
 マンガと現実がごっちゃに・・・・・・!!


 センセ、お疲れ様です(笑)。
 こうやってマンガって描かれているんですよぉ。



 ■情報分断戦術 上級編   ムスタング・エドワード・アルフォンス・傷の男

 さて、テクストの準備はよいでしょうか。11巻です。
 後半のほうを見てみましょう。
 傷の男に対して共同戦線が開かれる辺りです。

 この辺りでなぜか作者は、傷の男をめぐってエルリック兄弟とブラッドレイが対立するように仕向けます。
 ここでなぜブラッドレイを動かす必要があったのか、まったく不明です。
 中級編で書いたとおり、この辺はかなり混乱気味だった模様なので、その名残なのかもしれません。もしくは、ブラッドレイとエルリック兄弟を衝突させるには、傷の男を出す以外にないと思ったのかも知れません。この辺の思考には、あまり高度な判断があった様子は欠片も感じることができません。
 しかし、これがよい方向に動きます。
 ここから始まる14巻までのノンストップのストーリーは、かなり偶然に作られたといっても過言ではないでしょう。

 さて話を追いましょう。
 まず12巻(早!)。中級編の時点で指摘がありますが、メイ・チャンは傷の男と組ませることがあらかじめ決まっていたキャラ。というわけで既定どおり、そのまま傷の男と組む路線で進んでいきます。これはたぶん、錬丹術コンビということなのでしょう。
 大男に小女は絵的にメリハリを手段。特に難しい事はありません。
 あと、パンダがアルフォンスに拾われるのも、よく使う手。
 なんか意味があるのかと言われれば、そんなに高度な意味はないと思うのですが、まあ保険みたいなものです。この辺は、なんかあとで使えそうな手をばら撒いておくみたいな感覚です。
 撒けそうなものは撒けるだけ撒いておく。
 どう転ぶか分からない動的な物語を扱っている場合には、これは鉄則になります。
 大体そのうち半分ぐらいは意味がないか、結局生かされない展開になったりするのですが、残りの半分が、展開の重要な要素になったりします。撒いている最中は、撒いている側もそれが役に立つか立たないのかわからない状態で撒いているのです。

 さて、ムスタングチームと、エルリックチームと、リン・ヤオチームが合流します。
 この時点で、グラトニーが捕まっているのですが、ここで、分断されていた情報が統合され、ついに第2レイヤーの全開示に向かって全速力で走り始めます。

 いや、ブラッドレイの正体がばれれば、そのまま第2レイヤー全開に向かって突っ走る以外に手がないわけですから、なぜこのタイミングと言えば、首を傾げざる終えません。ちょっとこの辺の情報の管理はルーズすぎるような。
 と言うかかなり危ないシーンありましたよね・・・。
 PBMであったら絶対できないリスクテイクです。
 マンガという、物語を作者が完全に自由に作ることができる世界だから、許されるゆるさなのかも知れません。もっと早く開示されちゃってたら、そこから突っ走るつもりだったのでしょうか?

 しかしグラトニーに擬似真理の扉を開かせる決断をした時点で、第2レイヤーは全開にする決意ができたようです。そこから第3レイヤーをばらしつつ、全開モードに移行し始めます。
 リン・ヤオとエドワードを呑んでしまいます。
 これまでも何度もみてきた分断戦術です。
 ここで、主人公チームが分断された状況で、それぞれが、全開モードで突き進み始めます。
 ムスタングライン。
 エドワード・リンライン。
 アルフォンスライン。
 傷の男ライン。
 この4つのラインで、全開示モードで、それぞれに衝撃的であると思われる情報をぶつけていくのです。
 ここでたぶん、傷の男ラインは主人公ラインなのか、という疑問が浮かぶかも知れません。
 しかし構図は鮮明です。
 第2レイヤーに対峙するという意味では、傷の男も開示される側に立つ以外ないのです。

 ここから、各ラインごとにそのストーリーを追ってみましょう。

 いち早く動くのはムスタングライン。
 軍部が人造人間に牛耳られていることが、あっさりばらされます。そこから、ムスタングチームの解体が始まり、ブラッドレイの過去が明かされます。
 いやー、全開モードです(笑)。

 続いて、先にアルフォンスライン。
 チーム構成はアルフォンスとグラトニー。
 あー、うーん、そういう構成ですか・・・。
 なんだかよく分からない会話で、お父様のところへ(つまり東の賢者なのですが)行くことになります。この辺はおそらく全開モードだから。
 ここで、傷の男ラインに捕捉されます。
 この時点で捕捉されないと、傷の男ラインを全開モードへ持っていけないので、ちょっと早いかなと思いつつも、まあよいでしょう。
 そのまますんなり、お父様のもとへ。
 ここから、エドワードラインとの合流があるので、中断しますが、どうも、このアルフォンスラインは、キャリア(運び人)だったようですね。

 こうやって結構ラインに分解して話を見ていくと、どう動いているのかが分かりやすいのではないでしょうか。

 次にエドワードライン。
 擬似真理の扉の中でエンヴィーに出会い、こちらでもばらしが始まります。
 えーと、イシュヴァール戦のきっかけをばらしはじめますねぇ・・・。
 そこはあんまり重要じゃないのだよ、エドワード君(笑)。
 ここで冷静に第3レイヤーを探りに行くのがクールガイなのだが・・・、あーだめだ、戦いが始まってしまった(笑)。思いの外ガードは固いですね。
 と言いつつ、第3レイヤー、及び第4レイヤーである、クセルクセスの惨劇の話をし始めます。
 そしていろいろあって、真理の扉を開き、アルフォンスラインと合流します。
 この辺は後ほど。

 さて、最後に傷の男ライン。
 まず、アルフォンスをつけて行き、そのまま、エルリック兄弟ラインに合流ですか・・・。
 まあ、時間稼ぎをして、いくつかエルリック兄弟及びリン・ヤオ周りの事件を処理してから合流と言う、なんともご都合主義な展開ですが、よいでしょう。

 さて、合流後ですが。
 リン・ヤオがグリードになるのは既定路線、というか、そのためのキャラだし・・・。
 グリードが死んだ直後に出てきましたよね?
 結構、鋼の錬金術師は、何かが起こった後に、そのフォローが早速登場して予防線を張るという展開なので、細かく読んでいくと、そういう部分が分かりますよ。
 また、第4レイヤーの伏線が張られます。
 錬金術が使えなくなるという部分ですね。
 その補強として、錬丹術チームが登場し、イシュヴァールの惨劇のきっかけを教えられ、激高します。んー、この人々は、アメストリスがブラッドレイによって牛耳られており、そこからイシュヴァールが始まるので、かなり飛躍して激高しているのですが、まあ結果的にそこで怒るの正しいみたいな、展開。
 実はここで重要なのは、錬丹術チームが第4レイヤーの伏線だということ。
 それ以外はあんまり重要じゃないのだが、まあ、傷の男も、ようやっと真の敵を見つけたという感じか。(長い旅でした・・・。お疲れ様)

 その後、傷の男はマウロと合流しますが、これは、第4レイヤーの謎を解くために、錬金術師が必要だったから。特に理由はありません。

 それ以後は、次の展開へのための、整理整頓となります。
 特に難しいことはないので、流しましょう。



 ■おわりに

 さて、長々とお届けした鋼の錬金術師の解析はいかがだったでしょうか。
 こうやって情報系の視点から物語を見つめると、読む側とは逆側、つまり作る側の視点が見えてきます。物語と言うのは、作る側の思考を超えて固定されていくものなので、その時々の小さな判断が、大きなうねりになったりすることが多々あります。
 全体としてみると、一見どのような意図に基づいて書かれたのかは見えてこないのですが、実際には小さな決断の積み重ねが、偶然の力を伴って、大きなストーリーになるのです。その辺は現実の世界と同じかも。なにも、魔法も、錬金術(笑)も使っているわけではないのです。とても単純なことの積み上げなのです。
 もし、それがこの解析を通じて分かっていただけたのであれば、わたしは嬉しいです。

 あー、長かった(笑)。
| 物語解析 | 07:23 | comments(3) | trackbacks(1) |
 読みました。
 センセ、お疲れ様です(違う(笑))。

 
> ここでなぜブラッドレイを動かす必要があったのか、まったく不明です。

 恐らくリンのキャラを立てたかったのが一番の理由じゃないでしょうか。
 ハボック置いてくから追いついて来いのシーンでは、マスタングと(私はこっちで(笑))、大総統の違いを描いておきたかった、と作者が言っているので、その方式かと。
 長期的に見て、ホムンクルスが軍を仕切っている事を「ここで」バラそうと考えたわけではないでしょうが、流石にこの辺でバラさないと主人公動けない(笑


> ■原則の確認  情報 + 人物 = 行動

 TRPGでのプレイヤーに対する押しと引きみたいな話ですよね。
 私はマンガで考えていたため、情報の開示というと読者に対するものをイメージしてたのですが、物語解析では世界内が中心となってますね。

 そう考えてないと人物を動かせないから、でしょうか。
 押しは行動ではないですから、プレイヤーを満足させるには引きを使わないといけない、TRPGのマスターやると、この辺りがうまくなるのでしょう。
 こうしてみると、物語解析って勝ち負けだけで無いゲーム、模倣(ミミクリー)遊びのゲーム理論って感じだ。


> そのために、作者は謎という防壁を作って、情報格差を作ります。
 
 作者の持っている情報カードを人物に配っとくイメージでいいですか?
 作者の代わりに人物に情報を担当させ煙に巻くのも担当させる(笑


 情報について思いついたことを書いときます。

 情報と世界観(決まり事)はかなり近い感じですよね、媒介を必要とするというか要素に付属させるように使うイメージ。

 情報というのは全て「何かに関する」情報で、つまり「x周りの情報」。
 そして「x周りの情報」は「x周りの要素」によって明らかにされていく。
 例としてハガレンで兄弟の過去回想のために、兄弟周りの人物を登場させた感じ。
 で、この回想は過去だから、鍵と錠が揃っても鍵をひねるかは、かなり自由になるわけですか。

 情報の伝達は関係線を基に行われる、敵対と友好ではもちろん伝達の仕方は違う。
 逆に情報を共有していると仲間らしくなる様に、情報が関係線に影響を与える。
 基本的に情報の共有度が親密度である。
 観客の視点というか感情移入も情報によって変わる。
 (ただ火の鳥異形編で、比丘尼を殺すシーンと、比丘尼が殺されるシーンが単なる情報の差と言えるかは微妙かも、これは高度すぎるし、細かい(笑))。

 情報系で物語を見ると作る側の視点になるのもそんな感じのような。


 あ、忘れてました、次のチャットの話もあった(笑
 火曜ぐらいですかね・・・・・・どうでしょう。
 何について話すかは・・・・・・決めないほうがスリルがあるか(違う
| 升斗 | 2007/11/11 6:31 PM |
 こんばんわ。


>> ここでなぜブラッドレイを動かす必要があったのか、まったく不明です。

> 恐らくリンのキャラを立てたかったのが一番の理由じゃないでしょうか。
> ハボック置いてくから追いついて来いのシーンでは、マスタングと(私はこっちで(笑))、大総統の違いを描いておきたかった、と作者が言っているので、その方式かと。

 なるほど。リンを強調した方わけですね・・・。
 わたしはあんまりキャラ立てのために、物語を動かすことが少ない人なので(情報系の原理主義者かもしれない・・・)、なんて無駄な展開を・・・、と思ってしまいます。


> 長期的に見て、ホムンクルスが軍を仕切っている事を「ここで」バラそうと考えたわけではないでしょうが、流石にこの辺でバラさないと主人公動けない(笑

 うーん、そうなんですよね。
 この辺が危うく思えてしまう。
 まあ結果オーライでよいのですが、情報の開示は計画的に・・・、と思ってしまうのです。


>> ■原則の確認  情報 + 人物 = 行動

> TRPGでのプレイヤーに対する押しと引きみたいな話ですよね。
> 私はマンガで考えていたため、情報の開示というと読者に対するものをイメージしてたのですが、物語解析では世界内が中心となってますね。

 えーと、世界内しかみてないですね(笑)。
 これは押しになるんですかね・・・、引きになるんですかねえ・・・。
 わたし自身は押し引きの話はあんまりぴんと来なかったりします。とにかく大量に情報を投げとけば、勝手に動き出すみたいな、感覚だったりします。
 どう動くかは自由。
 ただ、情報構成上は、ここを通らざるおえないとか、結局のところをここに噛まないで解決する方法はないとか、放し飼い状態でセッションは進めるんだけど、要所は締めておくみたいな。
 で、その余裕で、これ投げたら面白いんじゃないかと思えることをぼんぼん投げていく。
 展開はプレイヤーに任せ、こっちは爆撃に注力する。
 よく、作家などが、登場人物が勝手に動き出すなんていいますが、TRPGは勝手に動くことが前提なので、あんまりそっちはいじらないで、動きを見ながら情報を投げていくことに専念するみたいな感じになります。
 だから、押しも引きもないというか。
 ぶつけてみて、どう動くかにやにやしながらみているという感じです。

> そう考えてないと人物を動かせないから、でしょうか。

 うーん、アナログゲームにおいては、人物=プレイヤー=観客なのですなあ(笑)。
 どうなんでしょうか。
 例えば、わたしが推理小説とか書くと、明らかに登場人物が謎解きが上手すぎて(答えを知っている人が書いているのだから、当たり前なのですが)、読み手がついてこれないみたいなことはしばしば起こるような気がします。

> 押しは行動ではないですから、プレイヤーを満足させるには引きを使わないといけない、TRPGのマスターやると、この辺りがうまくなるのでしょう。

 うーん、この辺は違うような。
 どっちかという、うまくなるのは、期待にこたえる/期待を裏切る、のバランス感です。あとは情報を出すタイミングや、意外な出し方みたいなところです。リオ・ヤンのところから、ばらしストーリーに繋ぐとか、動的な展開の作り方だったりだと思います。
 どう動きそうかを見ながら、適切な情報のバランスに調整しておく。
 あとは勝手に動くのを、見てるって言う感じ。
 あんまり干渉はしません。
 適切に情報を出したら、後は2時間ぐらい寝てるとか、平気で起こります。

> こうしてみると、物語解析って勝ち負けだけで無いゲーム、模倣(ミミクリー)遊びのゲーム理論って感じだ。

 うーん、微妙なところではありますが、どうでしょう(としばし考える)。
 例えば、TRPGのプレイヤーとして優秀(と言うことはマスターとしても優秀)な人は、ディプロマシーのようなゲームでも非常に優れた手腕を発揮します。TRPGの名手で、タイトなゲームの名手でない人はほとんどみない。
 なので、実際にはほとんど同じ事をやっているはずだとは思うのです。
 ただゲーム理論は、物語系とも言うべき層がない。
 人は、その場で即物的に物事を決めるのではないので、その背景にあるプレイヤーの物語を理解しないと、世界は動きません。
 マーケティングリサーチでやるのは、実際にはその背景の掘り下げだったりします。
 これは何かというと、顧客の物語を聞くと言う、ただそれだけなのですが・・・。


>> そのために、作者は謎という防壁を作って、情報格差を作ります。
 
> 作者の持っている情報カードを人物に配っとくイメージでいいですか?
> 作者の代わりに人物に情報を担当させ煙に巻くのも担当させる(笑

 お、ん、微妙。そういう場合もあると言う感じです。それは上級編です。
 もっと初級的には、単純に例えば1対100でセッションするときに、マスターの上位性を保持するために、情報権限を一手に握っておくみたいな話です。結局、情報の開示が絶大な威力を持つので、それを無視して行動することができないみたいな世界です。
 慣れてくれば、どんどん情報開示権限を委譲していきます。
 PCに個別に初期情報を与えておいて、後は勝手に開示してね、じゃあ、寝てるから、みたいな世界です。


> 情報について思いついたことを書いときます。

> 情報と世界観(決まり事)はかなり近い感じですよね、媒介を必要とするというか要素に付属させるように使うイメージ。

 んー、微妙です。例えば、ソードワールドのような特定の世界観を選べば、その世界観はすでに共有されている情報です。
 非開示情報をどこに持たせるかは、情報の設計になるでしょうか。
 NPCに持たせてもいいし、PCに持たせてもいいし、道具に持たせても、舞台に持たせてもいい。大切なのは、それを全部開示状況で知っているのはマスターのみで、PCは不完全な情報で動かざるおえないというところです。
 また、勝手な非開示情報を作っていいのも、マスターの権限ですね。

> 情報というのは全て「何かに関する」情報で、つまり「x周りの情報」。
> そして「x周りの情報」は「x周りの要素」によって明らかにされていく。
> 例としてハガレンで兄弟の過去回想のために、兄弟周りの人物を登場させた感じ。
> で、この回想は過去だから、鍵と錠が揃っても鍵をひねるかは、かなり自由になるわけですか。

 これはそうですね。ひねるタイミングは選べるわけです。
 ここは駆使していく部分です。

> 情報の伝達は関係線を基に行われる、敵対と友好ではもちろん伝達の仕方は違う。
> 逆に情報を共有していると仲間らしくなる様に、情報が関係線に影響を与える。
> 基本的に情報の共有度が親密度である。
> 観客の視点というか感情移入も情報によって変わる。
> (ただ火の鳥異形編で、比丘尼を殺すシーンと、比丘尼が殺されるシーンが単なる情報の差と言えるかは微妙かも、これは高度すぎるし、細かい(笑))。

> 情報系で物語を見ると作る側の視点になるのもそんな感じのような。

 あーそうですね。この辺はわたしは書いてなかったですね。
 情報は関係線経由で開示されていく、と言うのはよい示唆です。
 もちろん、例えば全国ニュースのように、全員が知ってしまう情報の開示もあるのですが。
 結局、その情報の濃淡と言うか、そのギャップを最大限に生かして、展開を作っていくのが情報系のキモだったりします。かたっぽには開示されていないで、かたっぽには開示されている状況で展開されている物語が一番おいしかったりするのです。


> あ、忘れてました、次のチャットの話もあった(笑
> 火曜ぐらいですかね・・・・・・どうでしょう。
> 何について話すかは・・・・・・決めないほうがスリルがあるか(違う

 あー、了解です。
 では、11/13(火)の20:00で大丈夫ですか?
 その前までにはなんとかいるようにします。

| hikali | 2007/11/11 9:44 PM |
 大丈夫です。
 11/13(火)の20:00で、何か不都合が起きたら連絡します。
| 升斗 | 2007/11/12 7:51 AM |









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