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 MS−14F ゲルググ・マリーネ シリーズ MS解体新書
 そういえば、こういうの書いてたの忘れてた。

  最強のモビルスーツは何か。そんな疑問がある。
 EX−SV2ノイエジールサイコガンダムクインマンサ、タイラントソード、ゾディアック、……、初代ガンダム
 挙げようと思えばいくらでも出てくる疑問ではある。
 当然、時代毎の論証が必要であるだろうし、そのどれもが万人に満足いく答えにはならない筈だ。F−91とラフレシアのどちらが強いかはあまり意味のある議論ではない。スペックを見れば差はあるが、問題は論じる人たちの意識にこそある。初代ガンダムが最強ととるのに間違いはないし、EX−S最強は根強いであろう。逆に、タイラントソードを最強とする論者はほとんどないに違いない。私見を言えば、最強はビグザム
だ。頷く論者も多いだろう。しかし、デンドロビウムとビグザムでは勝負にならない。時代が違う。白亜紀の最強と新生代の最強を比べるようなものだ。問題はスペックではなく、その議論をする人物の世代にこそ、ある。
 さて、私は大胆にもMS−14F最強伝説を流布しようとしている。
 いったい、最強のモビルスーツは何か。
 それは意外にも、涙をさそう落ち武者伝説にひそんでいる。

 ゲルググをめぐる秘話が多いのは誰もが認識を同じくする事実であろう。
 一年戦争随一の傑作機。
 ゲルググが二ヶ月早くロールアウトすればジオンは勝っていた。ハマーン・ネオジオンはゲルググを指揮官用訓練機にしていた。ゲルググは終戦までにわずか200機が生産されそのパイロットのほとんどが学徒兵だった、等々。
 アナベル・ガトーが初めて試作されたビームライフルを装備して宇宙(そら)を駆ったのはゲルググだったし、ジョニー・ライデン、シン・マツナガも当然のようにゲルググを駆っている。勿論、シャア大佐閣下もそうだ。
 ゲルググの系譜は、一年戦争終結をもって地下に潜るが、ハマーン・ネオジオンのリゲルグ・ガズエル・ガズアルによって再びひかりを浴びる。つまり、ゲルググ−ガルバルディαと続く、ゲルググの系譜がである。
 ゲルググの特色を一言でいえば、重装甲重出力の重白兵戦機となる。
 ビームライフルだけがゲルググの特色に思われがちだが、ゲルググの真のトレードマークはあのナギナタにこそある。
 ハマーン・ネオジオンの系譜を再び見てみよう。
 ズサ・ガルスJドライセンの陸戦用の系譜と、量産機ガザシリーズの系譜、ハンマハンマ・キュべレイドーベンウルフのNT専用機の系譜、そして騎士用MSと呼ばれる試作MS、バウバウ・Rジャジャがこれに含まれる。この四系統が主軸であるのは誰もが頷くことであろう。ほとんどのMSがこの系譜に見事にはまることになるが、不思議なことに、たった二つの流れだけが、見事にここから遊離する。
 ザクザク靴肇殴襯哀阿侶鷲茲澄
 いったい、どんな意味があって開発されたのか。多彩なハマーン・ネオジオンMS群にあって、この二つだけが説明できないのである。ザク靴呂いぁあれはザクではない。少なくともザクの魂を引き継いではいない。しかし、リゲルグ・ガズアル・ガズエルは?
 そう、これこそ、生っ粋ジオン軍人に脈々と受け継がれてきた、ゲルググ最強のセンチメンタリズムなのだ。

 ハマーン・ネオジオンは、アクシズに逃げ込んだジオン残党によって構成される軍で、ドズル中将閣下の落とし子、ミネバ・ザビを擁立する、センチメンタルな組織である。
 時代はティターンズ・エウーゴの争い、連邦製とジオニックを吸収したアナハイム製のモビルスーツが高性能・高出力を競い合う世界である。そこにやってきて、漁夫の利を得たのがハマーンで、その時代に合わせて、ハイスペック機を次々と開発する。
 しかし、その新機軸・新発想の開発ラッシュにあって、過去の姿を止める系譜がある。それがゲルググの系譜であることは先に述べたが、ネオジオン製MSを俯瞰すると、この系譜だけがどっしりと構えて見える。パイロットもそうだ。若々しく、ハマーンの色香に惑わされた、血の気の多い連中が前線に赴くが、後方を守る生っ粋のジオニストは、なぜか新機軸には乗らない。リゲルグは指揮官用訓練機で、ガズアル・ガズエルはロイヤルガード機なのだ。つまりハマーン、より正確に言えば、ミネバ・ザビを守護する役目を負ったのはゲルググの系譜なのである。
 思い出してもらいたい。
 ゲルググは重装甲重出力の重白兵戦機なのである。
 分厚い装甲を持ち、鋼鉄のスカートに大出力スラスターを隠している。ビームナギナタを装備し、信頼性の高いライフルを携帯する。
 ザビ家の正統な後継ぎミネバ・ザビを守護する光景を想像してもらいたい。
 平家の落人伝説を連想しないだろうか?
 源氏に、義経に追われながら、森林を、葦野を、山岳を、峡谷を、息をひそめ、泥にまみれ、腹をすかし、具足を乱しながらも必死に逃げる一行。不安に泣きべそをかく幼姫をなだめ、守護し、周囲を警戒する無骨な大鎧。戦は騎馬武者に任せ、黙々と警護を堅める。
 隠し里に辿り着き、仇敵と戦う体制が整った後も、やはり姫君の警護役は、ゲルググなのである。
 何故だろう? 
 なぜ、ドムやザクではないのか。パーフェクトジオングではないのか。
 わかり切っている。
 ゲルググこそ、ジオン公国のモビルスーツの中で最も信頼の厚い傑作機であるからなのだ。これこそ、ゲルググ最強の所以だ。
 そして、それは八年の時が過ぎ去っても変わらなかった。

 さて、長々と話した。
 一年戦争時のゲルググの系譜を述べよう。
 プロトタイプゲルググ(後のMS−14S)ゲルググ(MS−14A)高機動型ゲルググ(MS−14B)ゲルググキャノン(MS−14C)、デザートゲルググ(MS−14D)が初期のゲルググ、そして後期型にゲルググ・イェーガ(MS−14JG)ゲルググ・マリーネ(MS−14F)がある。
 歴戦のパイロットが乗ったのは初期型で、数々の伝説を打ち立てた。しかし、ゲルググの完成形は、後期型のイェーガ・マリーネにこそある。
 イェーガは狙撃タイプ、最終生産型と呼ばれるゲルググで、高出力一点張りのモビルスーツで、稼働時間が極端に短い。しかし、そのスペックは圧倒的で、おそらく、87年製のモビルスーツと互角に戦う。
 一方、マリーネは現実的なゲルググだ。
 マリーネが脚光を浴びたのは、シーマ・ガラハウさまの御一行が旗艦リリー・マルレーンに秘蔵していたからだが、これはあまりにもお寒い状況だった。補給が全くままならず、懐刀――ビームライフルを装備さえしていなかった。結果は、モンシア中尉らに、“股間に熱いビームを撃ち込んでやれ!”の言葉どおり熱い一撃を食らって、あえなく敗退した。しかし、これがマリーネの実力でないことは確かだ。
 マリーネはMS−14Bから派生したゲルググで、海兵仕様と分類される。簡単に言えば、ありとあらゆる任務を遂行する臨機応変なモビルスーツとなるのだが、どうも、マリーネはシーマさまのご活躍により海賊的モビルスーツに思われてしまう。本来は、特殊任務を負った艦隊に搭載され、様々な工作活動に駆り出されていたのだろう。信頼性とモビルスーツ本来の汎用性を兼ね備えたモビルスーツということになる。
 さて、ここで結論に近づく。
 いったい、ミネバ・ザビを守護していたゲルググはどのゲルググだろう?
 この重要な任務を負ったゲルググは?
 ハマーン・ネオジオンのロイヤルガード機へと受け継がれる、センチメンタリズムの象徴は、いったい、どんなゲルググだったのか?
 真相は歴史の闇に包まれている。
 しかし、こう言ってもきっと差し支えがないに違いない。
 MS−14F――ゲルググ・マリーネにこそその任務を負う資格があった。
 そして、それこそが、MS−14F最強を標榜する、私の結論なのだ。


 注:論証はかなりいい加減です(笑)。

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