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夢いっぱいの料理の未来

 わたしの住んでいる家の近くには、大きな図書館がある。
 最寄りのコンビニよりも近く、徒歩で通える。
 近所にスーパーがやたらと多くて、コンビニが恐ろしく遠く、自転車圏にあるという事情もあるのだけど、近くにこんなにでかい図書館があることになんの価値も感じていなかったわたしが、今では恥ずかしい。

 わたしがその価値にふと気付いたのは、2010年からつけているノートを全部手打ちでデジタル化しようとしたとき。
 そのノートはいわゆるエジソンノートで、モレスキンノートに、びっちりと細かい文字で気付いたこと、思ったことを書き連ねたものだ。その中には、新聞やネットで拾った、読みたい本がピックアップされて、リスト化されていた。
 かなり乱暴に間引いた最新版リストで、110冊。
 これが猛烈に読みたいと思った本なのに、読んでない本なのである。
 しかし、この110冊の平均価格を3000円とすると(わたしが欲しい本はたいていハードカバーのバカ高い本なので)、33万円。この値段をはした金だぜ、ほらよ、と出せる人はたいてい、本なんて読む暇のないほど忙しい人だ。
 リストを眺めながら、天啓のように、ふと、ひらめいた。
 ――あれ? これって、図書館に買ってもらえばいいんじゃね?
 たいへん浅ましくあるけど、この考えは完全に間違えていて、それ以上に素晴らしい世界が広がっていたというのがこのエントリーの趣旨なので、まずきっかけはここまで。

 すぐにわたしは図書館のホームページの蔵書検索に、リスト化された書名を打つ。
 読みたい本と言っても、あまりにも専門的すぎて数万円ぐらいしそうな本もあるので(現代訳されていない古書とかもある。そうなると数千万円だ。例として等伯画説を挙げようとしたのだが、国会図書館に現代語訳されたものがあるっぽいねえ・・・。アマゾンでは流通してない)、一般受けしそうな数多く流通していそうなところを狙って調べていく。
 そうすると、びっくりすることに、図書館に蔵書があるのである。
 ただ、あまりにもマニアックなので他人が読んでおらず、現在貸出中という状況を突きつけられたことはなかった。それで宝の山に出会った気分で図書館に出かけて市民登録をし、そのお宝をごっそり借りて、読み漁る。本来の目的に戻って、図書館にない本を買ってくれとリクエストしてみる。そうすると返ってきた答えは、
 ――熊谷の図書館にありました! 取り寄せました! 借りに来て!
 ――たいへん苦労しましたが、新座の図書館で見つけました・・・。
 この意味がわかるだろうか。
 埼玉県700万人の需要を満たす県全土の図書館の、すべての書庫の書籍が利用可能なのである(たぶん県立図書館は例外)。ネットワークで埼玉の図書館はつながっていて、どこかから請求があれば、だいたい一週間以内にすべての本が手元に届く。
 わたしが、これはは無理だろと思う書籍はリクエストしていないせいか、手元に届かなった書籍はない。そして、まだ読みたい本が市の所蔵本の中には大量にある。知的な情報に触れたいと思う人に、これほどありがたすぎるサービスが構築されていたとは思わなかった。

                   ※

 さて、こんな生活をしながら自分の借りた本リストを眺めて気付いたのは、その多くは古いものの本ということだ。映画史の本、各分野史の本、非主流の歴史小説、これとは異質なのは話題の新書、などがある。
 その中で異常に多いのは食文化に関する本。
 枕に、紹介するのは、「ニッポン定番料理事始め」である。

 ■ニッポン定番メニュー事始め
 https://www.amazon.co.jp/dp/4779119340/

 (嫌いなので、アフィリエイトの一切ない純粋なアマゾンリンクです。以下同じ)

 この本は、まず古本が安かったので買うことは決めて借りて、予想以上の内容だったので予定通り古本で買って、今手元にある。
 一言でいうと素晴らしい。
 著者が決めた編集方針に従って、書籍資料だけに基づいて書いているとのことで、あらゆる根拠が既刊の書籍にあるという、こんなにガチガチに堅い、岩盤資料はたぶん滅多にない。
 この本でわかるのは、だいたい日本的だと言われるメニューのほとんどが江戸時代以降、洋食は明治維新以降の発祥だということなのである。少なくともこの本で紹介している26の日本の代表的な料理のうち、江戸時代以前からのメニューはひとつもない。
(そういう、調べやすいところを選んでいるのはあると思う)
 食べ物の歴史というは、あんがい短いのである。
 少なくとも平安時代から続く食文化というのは、ない。

 つづいて紹介するのは「ラーメンの語られざる歴史」で、先週末に図書館で継続的に借りようと図書館の職員に聞いたらだれも予約していなかったので(やはりマニアックな本なのだ)、今も手元にあって、完読した。

 ■ラーメンの語られざる歴史
 https://www.amazon.co.jp/dp/4336059403/

 この本が書いているのは、スラムの食事であったラーメンが(極一握りの繁盛店を除く)、高度経済成長期を経て、バブル期を経て、高級料理になっていった過程である。
 多分多くの人が気づかないと思うの書いておくと、この本の中で書かれているのは、日清のマーケティングが、インスタントラーメンの普及を目的に、結果としてラーメン業界のすべてを作っていったという部分である。
 日清の創業者である安藤百福は財界でも著名な起業家で、インスタントラーメンに至るまでにいくつもの発明をして莫大な富を築いた。しかし、頼まれると断れない性格のためか金融業の元締めになるが、貸し倒れが大量に発生して無一文になる。それでも米進駐軍や日本の官僚とのパイプは太く、アメリカからの食糧援助で大量にやってきた小麦粉の使いみちを相談され、それではインスタントラーメンを研究しましょう、となるのである。
 そしてチキンラーメンの開発に成功し、大ヒットを飛ばすが、粗悪な類似品が大量に発生してインスタントラーメン業界自体が潰れそうになる。百福は、競合各社をまとめて業界団体を作って製法特許をライセンスし、製造協同組合を結成して、品質の向上を目指す体制を確立した。
 この「ラーメンの語られざる歴史」でもそうだし、他のラーメン史本でもそうなのだが、歴史は勝者によって書かれる。つまりラーメン史を紐解こうとするとどうしても日清の社史に頼らざるを得ない部分があり、当たり前だがそこで描かれるラーメン史の主役は日清だ。
 実はこの状況は、冷凍食品の分野でフランスだとピカール、米国だとスワンソンで起こっているのではないかと思っているのであるが、まだそれを確認できる資料に出会ってはない。米国の方の資料にはめどが立って安かったので古本を発注したのだが(週末届くらしい)、フランスのピカールは仏語圏ということだけあってまともな邦訳資料がない。

                    ※

 こういう本たちを読んで、わたしは自分が書いているSFへの影響を考える。
 わたしは物語における食事シーンの有用性をこれまでも何度か述べていて、5感に訴えることができる稀有なシーンが食事シーンなのだ、と説明している。使って不快でないならば何度でも使いたいシーンが食事シーン、それぐらい便利なシーンなのだ。
(考えてみると最近はほんとにグルメ漫画は大量に出てくるようになった)
 しかし、わたしはSFを書いている。
 はたして未来においておいしい食事とはどんなものだろう。
 少なくとも、わたしが見てきたSF(アニメなども含む)の中で魅力的な食事が描かれるシーンは記憶にない。そもそも洋画で美味しい料理のシーンがでてくることがあまりない。日本で「孤独のグルメ」や「深夜食堂」が不動のドラマシリーズとなっているのに比すると、食べ物自体をメインに置いた洋画はあんまりない。
 わたしが見たのは、「マダム・マロリーと魔法のスパイス」(いちおうドリームワークス作品なのでスピルバーグが製作総指揮という宣伝文句は入っていた)と、「シェフ 三ツ星フードワゴン始めました」ぐらいである。
 しかしこれを除くと、インディーズではラーメン映画があったらしいことは知っているのだが、映画として食い物のシーンを執拗に挟み込んだのは、「アミスタッド」(これもスピルバーグ映画)ぐらいしかない。
 こんな食に対する意識のアメリカが中心地のSFの中で、食い物に対して深い考察をしている物などないのだ。
 はたして、未来の食文化はどうなっているのだろうか?

 わたしが未来予測をする上でよくするのは、同じぐらい過去の時代から現代はどう変わって、その延長線上に同じぐらいの未来があるとすると、どう変化しているのか、と考えるやり方である。
 たとえば400年前の食事というとだいたい戦国時代の食事ということになる。
 この時代を選んでいるのは、わたしが「信長のシェフ」という、現代のシェフが戦国時代にタイムスリップして活躍するという漫画が大好きだからであって、この作品は歴史考証がすごいということで知られている。
 それを見ていると、だいたいは食文化というのは、他国文化との衝突によって変化していくと読むことができる。
 戦国時代は鎖国前なので、海外からの文化が流れ込んできている。
 ワインが生産地から数ヶ月はかかる船便で運ばれてきたなんて話はにわかには信じられないのだが、信長はどうも飲んでいる。それでは400年後の未来ではどんな料理が流行っているのだろう?
 日本人に限って言えば、まだ発掘されていない料理の大鉱脈は、トルコ料理である。
 世界の三大料理と喧伝されるわりには、世界的にこれが話題になっていることを観測していない。正直に言うとこれと同じぐらい穴場なのは、アルゼンチン料理なのだが、アルゼンチン牛の輸入規制が撤廃されないと、こればっかりはどうしようもない。
 もうひとつは、英国の伝統的家庭料理なのだが、たぶんこれが一番破壊力が強い。
 そして、だれも注目していないし、だれも何があるのかを知らない。
 日本の地方にも忘れられていた郷土料理は数多くあるが、たぶん、英国の田舎にも豊かな食文化が眠っている。こういうことを発掘するのは知的冒険のようで、とてもわくわくする。
 こういうのをリサーチするのはけっこう大変なのだけど、なぜそんな引っかかり方をしているのかを探っているうちにピーターラビットと湖水地方にたどり着き、実は湖水地方というのは小さな領域なので、困ったなあと思ってスコットランド料理なんだろうか、などと考えているうちに、すぐそばにアイルランド料理という領域を発見した。
 実はわたしは、「旅する真葛」という古美術商ミステリーの主役のカフェにアイリッシュカフェを登場させた。このカフェはシャムロックという名称なのだが、じつはこのカフェのモデルは存在していて、フォー・ハーツカフェという。
 どちらも四つ葉のクローバーの事を言っていて、四つ葉のクローバーはアイルランドのシンボルだ。アイリッシュコーヒーという特別なメニューが有るぐらいだから、なぜだかわからないけれども、イギリスにはない特殊性があるっぽい。
 まだここまでしかリサーチはできてないのだけど、アイルランドに絞ってリサーチすれば、探しやすいだろうか。

                   ※

 「ラーメンの語られざる歴史」の著者がくり返し言うのは、ラーメンへの信仰というのは偽りの過去への回帰であり、昔ながらのラーメンの「復古」であるという部分である。具体的にはそのような流れが現れ始めたのは2000年代初期で、好んで「支那そば」という名称を使いはじめた流れを指摘している。
 しかし、何度も書いてきたとおり、ラーメンというのはスラムの食事であり、来々軒のような極一握りの繁盛店を除けば、たいへん貧しいお客を相手にしていた商売なのである。それが高度経済成長期、バブル期を経て信仰をまとった料理となり、行き着く先にあったのは、ありもしない過去への回帰だったのだ。
 しかしその醸成された信仰は他国へと伝染し、とても軽い言葉を選んで言うと、熱狂的なラーメンフリークが次々と新しいラーメンを作り始めているのが現状なのである。

 さてこのような歴史を見た上で、いったいどのような食文化がたとえば400年後に形成されているのだろうか。
 まず考えられるのは、ジャンクフードが洗練されて国を代表する料理になっているケースである。「ニッポン定番メニュー事始め」によれば、江戸の4大料理は、鰻、鮨、蕎麦、天ぷらであるとのことなのだが、これらはどれも屋台で提供されたジャンクフードだ。これまで書いてきたラーメンもしかりであるので、やはりジャンクフードが高級化する路線は実現している可能性が高い。
 日本でまだメインストリームに乗っていないジャンクフードってなんだろう? と考えてみるのだが、パッとはすぐには浮かばない。それで何か資料はないか、と探したときに手元にあった。
 「バクチごはん」(漫画)である。
 この漫画は公営ギャンブル場で提供されるジャンクフード(これがバクチごはん)を、大食らいの女子高生アイドルが、あまりにもマニアックな組み合わせで食べるという漫画で、すっからかんに能天気でじわじわと癖になるアホっぽさがとても好きな漫画である。
 この資料によれば(資料って言うなw つい目的忘れて読み込んでしまうので危険なんですよね・・・)、目次だけ拾うと、「合いがけカレー」「焼きそばとコロッケ」「しらす丼」「みそモツラーメン」「ニラレバライス」「どてデラックス丼」「黒焼きそば」「特製カレーうどん」となります(これが1巻)。
 実際には、合いがけカレーと言いつつも、カレーに生卵とおでんのじゃがいもを乗せ、そこに牛モツ煮込みをかけたりと、この組み合わせの妙がこの漫画の楽しさなので、正確にどの料理ということはできないのですが、なんとなくこのジャンキーなバクチごはんの世界がめくるめくワンダーランドに思えてこないでしょうか。
 というわけでこれは取材に行ってくるのがとても適切であろう(単に聖地巡礼したいだけという話もあるが・・・)。ちょうど予定していた遠征の昼飯をどうしようかと思っていたさなかに、ものすごい近いところにバクチごはんの舞台があることに気付いたので、これに行くことにしよう。

 世の中には未知がある。
 だから本という扉を開くのが楽しいのであって、わたしはトルコ料理の世界も知りたいし、アルゼンチン料理にも熟知したいし、埋もれている英国の伝統的家庭料理も生き返らせたい。
 だから本をむさぼるように読んで、まるでトルコにも、アルゼンチンにも、英国の田舎にも(正確にはアイルランドだが)、そして400年後の未来にも行ったような顔をして、しれっと、こんな感じだったよ? と話し始めたい。
 小説は歌とは違って、瞬間的に場を満たせるものではない。しかしそこにもっともぽい長ったらしい旅路を再体験することによって、他人の人生を生きることができるのが小説だ(最近、藤原さくらという天才を聞くようになって、これは無理だとおもうようになった。わたしがシェリル・クロウのようなトラディショナルな歌い手が大好きだからそう思うのだと思うのだけど)。
 というか、わたし、これを書いていて、気付いた。
 なんで、わたし、小説を書かずにこんな文章書いているのだろう?
 登場人物たちに対する愛着もあるし、「鉄鎖の次王の恋」の書いていたときに、構想を実際に書くことに移さないのは、殺人だ。と言っていたときと同じぐらいには、一人ひとりに思い入れがある。
 なにかが起こるたびにみんなが何を言うのかが楽しみで、これはどうだと言いながら、凶悪な状況をぶつけたりする。それは事前に構築されていた物語の構造上当然にやってくるもので、気まぐれで登場させているわけではない。
 まあよい。わたしの中では登場人物は生きている。
 友達と食事に行くのはとても楽しいし、それがたとえマクドナルドであったとしても、楽しさを見つけるのは簡単だ。それが未知の沖縄料理だったらわくわくするし、アイルランド料理だったらなおよい。

 わかった。
 取材に行かねば。
 湘南バンクが待っている(そこかww)。

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