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 『あらしにあこがれて』16


 蟹伯爵の鉱山に向かう山道は、ひたすらに喋っている道中だった。
 しつこいリラに噛みつかれる毎日で、取材者というのは噛み付くことが仕事なのだと思ったほどだ。あ、といえば噛みつかれ、い、といえば噛みつかれ、う、といえば噛みつかれる。
 音ってどれだけ必要なんだろうと思うんだけれども、その一つ一つに説明を求められる。「だますかすこう」とか言ったら、何日かかるかわからない。7音もあるし。
 ダマスカス鋼の話は、恐ろしいほどしたはずで、それでも一切の妥協はおそらくない。もう決着がついている問題なのに、一切の決着はない。すべての特性は話しているのに、それを納得しない。それは分かる、受け入れがたいのだ。
 常識を超えている。
 わたしたちは工業製品を売っているのであって、セールストークを売っているわけではない。言葉なんて単なる言葉でしかないのだが、リラは言葉を売るのが商売なのだ。
「まあ、暇だし、とことん付き合うけど、この銃に触ってみないことにはなにもわからないわよ?」
「わたしは銃なんて撃てません」
 まあそうだよねえ。ふと思いついて、旧式の銃と新式の銃をリラに渡す。
「重さがぜんぜん違うでしょ? 持ってみて?」
「あ、軽いですね」
「そう、これがダマスカス鋼。軽いのに、同じ強度を保てる。だいたい半分の重さかなあ、正確には計ってみてはいないけど、鋼板を薄くできるの」
 リラはしばらく考えていたが、
「薄いと軽くなるんですか?」
 と恐ろしくよく分かってない言葉を返す。
「使う鋼鉄の量が減れば軽くなるでしょ? たとえばリラさんは大量の書類を背負ってくるけど、それが半分に減ったらどう?」
「楽ちんですね、社主がうるさいんですよ、とにかく文字は小さく書けと、それですか!」
「うん、まあ、そんなもんかな」
 リラと話しているのは正直楽しい。
 たぶんそれがリラが重宝がられている理由なのだけど、妹ができた気分になるし、どんどんと教えてあげたい気持ちになるぐらいに素直なのだ。ときおり、猛禽のように執拗になるけれども、問題ないところを答えているときには不快だと思ったことはない。
 たぶん、甘え上手。
 その上手に心を許してしまっているのだ。
「上長から報告せよと言われています。簡単に言うとシルバさんの工房がどう動くつもりなのか。神経質ですよね。わたしもそう思いますし、なんで、こんなに神経質になるのかわかりません。なにか動いているのかわかりませんが、週報を発行していてもわからないことはあるんです」
 リラは正直で、率直で助かる。
 ルナが対峙しなければいけないのは、世界の情報を権力と絡んで統制しているクリフォードなのだ。
「あのさ、シルバ。ドライゼ銃の効能は出してしまっていいの?」
 シルバはぽかんとしたが、あー、考えてないんだなと理解した。
 これはわたしが管理する問題だ。
「これは極秘だと、週報は守れるかしら? それを守れるならば、いくらでも話すけど、書いては駄目。だけど、すべてを話す」
 リラはしばらく考えた。
「社主の、」
「だめ! あなたの問題なのよ! あなたは奴隷なの? わたしはあなたと向き合っている。あなたに話すんだから、あなたが問題なの。リラ、あなたは信頼できるの?」
 時間は長かった。
 震えるちびを見ている時間は拷問に等しかった。
 一時間ぐらい経って言葉が出た。
「わたしには手にあまるんですよ。社主が書けと言えば、書かない訳にはいかないですし・・・」
 散々考えてこれか。
 まあ結局クリフォードと面と向かうしかない。会ったことはないけれど、若く情熱的な貴族の青年だと聞いている。つまり私財を投じて事業をしているわけで、社を傾けないために悪事を働く恐れがないことだけは分かっていた。それに噂では、リニーに頼み込んで体験談を野バラの装丁の本として、ただしフィクションとして発刊し、それで現在を書く使命に目覚めて、週報を発行するようになったと聞く。
 生粋の大公派。
 あらしにあこがれるシルバを悪いようにするようには思えなかった。
「直接、クリフォードと交渉をします。それぐらいの用心は許してほしいの。あなたが信頼できないのではなく、全権を握っているのはクリフォードだから、あなたの社主と直接話さないと埒が明かないの」
 リラは不満げに眉根にシワを寄せるが、不承不承納得をする。
「なにか、戦場を変えてしまうような銃なんですね? たとえばボルニアの騎竜兵団に対抗できるような?」
「クリフォードに会って、話すかどうかを決めます」
 まあ、実際に現物は見ているので、銃に詳しければ、それがどういうたぐいのものなのかはわかったはずではあるんだけれども。

 リラは、あさりのバター蒸しの餌食になった。
 丁寧に砂吐きをさせたあさりは、とにかく美味い。
 夕食をまさかのシーフードだとは思わない。鉱山に向かっている山道である。
「わたしたちはおいしいの。それが全部だしね。あなたをどうこうしたくない。でも、いつでもおいしいから来て。あなたは家族だわ」
 リラがどう考えたかは知らない。
 それは知らないほうがたぶん美しい。
 リラは感心し、なんでペネスで海の幸が手に入るんですか? と聞く。
「それは謎だし、わたしは市場で買っているだけだから。確かにふしぎよね。塩水で活かしたあさりが届くのかしら? 市で聞いてみてはどうかしら」
 ルナの答えにリラは心を膨らませ、わくわくとしている姿は、見ていて可愛らしかった。
「リラさんは、生粋の記者ね?」
「はい?」
「だって、知りたいことが大量にある。どんなことでも知りたいんでしょ? それを知るためならなんでもする。それが記者じゃない?」
 リラはしばらく唖然としていたが、言葉の意味がわかって、震え始める。
「あ、あの・・・」
 泣きそうなリラをあわててなだめる。
「わたしは、正直なところを言ったつもりよ。リラさんが立派な記者だと言ったつもり。正直に言えば面倒くさいのだけれども、その面倒臭さも含めて、立派な記者なの。もしかして言われたことがなかった?」
 リラは耐えた。
「ルナさんにお聞きしたいことがあります」
「聞くわ、手短にね」
 とても手短にリラは聞く。
「シルバさんは恋人ですか?」


 えーと、短すぎてごめんなさい何ですけど、どこで切るかって、けっこう物語の面白さに直結するなあと、書きながら思っています。
 この変な切り方は、わたしが愛読しているディック・フランシスの切り方に近いです。
 すっと書いてきたものを最後で変な方向にぽきりと折る。
 初長編の時から、変な折り方をしているなとは思っていたのですが、あるとき、ああ、これディック・フランシスだ、と気付いて、ああこれが、わたしの長編の流儀なんだと理解したのです。
 変な方向に折りながら螺旋を描くように、ぐるぐると登っていく書き方。
 本家がどう考えているのかは分からないのですが、たぶん話題を分散させてまとめるのに良い書き方のように思うのです。

 さてたいへんおまたせしてしまいましたが(1月ぐらい空いている)、たぶん次がラストです。
 わたしはとにかく終盤が苦手なようで、これは中盤あたりであれば、書かなければいけないことが漏れたら、あとで足せばいいやぐらいの気分でいれるのですが、終盤では一切の漏れが許されなくなるのがたぶん苦手なのです。
 「漏れなく」「面白く」「流れをきれいに」
 とか、どんだけ無理難題なんだと思ってしまうのですが(^_^; わたしはそもそも短編が好きな人なので、長編の大量の情報量をどう処理したらいいのか、という部分でオーバーフロー気味になってしまうのです。

 ここからどう進むのかは、未知の領域です。
 いちおうばらまいていた伏線から回収しなければいけないイベントは自ずと決まってくるのですが、ひたすらに難問を先送りにしてきたつけの精算をしなければなりません。今日が5日で(この文章は5月5日に書かれている)、デッドラインが5月20日ですかねえ・・・。
 いま読み直しながら、次の文章を考えていたら、この終わり方すごいw と理解しました。台詞で終わっているから、受け答えから始められるし、まったく違う領域の話題ができる。
 まあそんなことをうだうだ言ってよりは、次を書き始めますw
 次回、いま書かれている原稿ではクリフォードが出てくるのですが、クリフォード社(リラもそうです)をとてもたくさん出しているのは、シルバが注目されている、ということを書きたいのではなく、クリフォード社を書きたいからだったりします(そう書くと当たり前ですね)。
 このクリフォードは、ルネサンス期のエラスムスとアルド・マヌーツィオがモデルです。
 エラスムスは教科書にも載るような著名人だと思いますが、アルドの方はまったく知らないかもしれません。出版社の父とも言われ、エラスムスの著作を(というか大ベストセラーを)大量に出版した人です。日本で言えば蔦屋でしょうか。で、わたしはこの二人が同一人物だと勘違いしていたんですね(^_^; またエラスムスはルネサンス当時のジャーナリズムの走りだと言われていて、それで現在のなぜか新聞社をやっているクリフォードが生まれました。わたしは正直、人生やり直してなりたいものになれると言われれば、経済紙の記者になりたいと今でも思っています。だからそれを叶えた、クリフォードの活躍をどんどん書いてあげたいのです。クリフォードがやっていることは経済誌(ここで誌になるのは米国では新聞よりも雑誌のほうが格上だから)の記者として、シリコンバレーの英雄たちを取材して、その本を書くということなのです。
 なので、なんでこんなにクリフォードやリラが目立つようになっているのかと言われれば、それがわたしがやりたいことだから、という言葉にたどり着きます。
 欲望に忠実ですみません(^_^;
 
 現状、つぎの稿の原稿が10枚ぐらいはあるようです。
 なんとかデットラインには間に合わせたいなあと思いつつ、あと10枚ぐらいですかねえ・・・。特に苦手問題がなければたぶん間に合います。

| 自作小説 | 17:04 | comments(0) | trackbacks(0) |









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