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 『あらしにあこがれて』15


 朝に目覚めると、いつもどおりぎりぎりの時間だった。
 みるとシルバの工房は早起きで、予定されていた納品作業のすべてを終えていた。
「あーあーあー、ごめん、寝過ごした、かも」
 メイファは気付くが、嫌みは言わない。
「起きるのを待っていたんだよ、ルナ」
 嫌みを言ったのは、シルバだった。
「うるさい。お茶は沸いているの? 朝はお茶を飲まないと目が覚めないの」
 もちろんこれは言ってはいけない言葉だ。
 それでもシルバは鉄瓶を火に焚べ、そこに茶葉を散らす。
 だいぶ、自分がいけないことをしていることに気付き始めるのだが、どうすればわたしの恥ずかしさを消せるのだろう。
 お湯がわき始めるとだいたいそれが朝食の合図で、崖上から、崖下から、ぞろぞろと工房の面々が集まり始める。パンが配られ、それを浸けるためのスープが配られる。今日はエンドウのスープ。クリームが溶かされていて、甘い。そう言えばもうそんな季節かと思うのだが、たしかに暑いからそうかも。
 季節を忘れている。
 シルバの工房に来るたびに、それを思い出さされる。
 自分が忙しすぎて人らしくしていないと気付かされるのが、シルバの工房なのだ。
「これ、おいしいじゃない? そらまめでしょ?」
「うん、メイファが作ってくれたんだ。メイファ、いつも美味しいね」
 それで頬を赤らめるメイファを見るのは恒例行事なのだが、これに対抗しようとは思わないのもわたしなのかもしれない。別の貢献の仕方があると思っているし、資金調達で負ける気はしない。
 一晩中テストした評価は良好で、それが心を暖かくしていた。
 目立った問題はない。
 唯一、蒸気機関のノイズが気になったくらいで、それはわたしの領域なので、最終調整をすればいい。なんだろうなあとは思うのだけれども、たぶんどこかで強度不足が出ているのだ。間に合うのかと言われれば、間に合う。グリスを塗れば解決するのか、素材を変えればいいのかわからないけど、些細な問題。
「ルナ、いいのこれ? なんか音うるさくない?」
 シルバが不思議そうに聞く。
 そう思うのはあんたが世界最高峰の蒸気機関しか体験したことがないからだよ。
 ルナは落ち着いて、グリスを指に塗って、
「この油が燃えないってほんとだと思う?」
 ああ、ずるい。もちろん、シルバが言うことは決まっていた。
「あ、えーと、試そうよ。燃えたら考えよう」

 もちろん燃えるはずがないのだけれども、そんなに危険なものが工場ラインに入っているわけがない。サウスがそんな物質を放置しているとは思えないし、数千年も先行している文明なのだ。いつでも、サウスの最新技術を導入するときには、これはつきまとう。そもそも理解して使っているわけではないし、借り物でしかないし、宣託を告げるシルバという天才は、わたしには理解不能なのだ。
 シルバは調合したグリスを塗り、なんの問題もないというように、ゴーサインを出そうとした。
「まってよ、これが失敗したら、50万グロアが飛ぶの。せめてわたしに判断させて。これはわたしの蒸気機関だし」
 正直恐ろしい。
 蒸気機関の爆発的なエネルギーがわからないと任せられないし、それが暴走する可能性を想定できるのは、その装置の危険性を理解している人間だけだ。予知できない摩擦熱が生まれる可能性がある。
「少なくとも人知は超えているの。悔しいけどわたしが知り尽くせないほど。だって、これまで莫大なお金を払ってきた奴隷が救えるとかおかしいでしょ、あなたが発想したことだけど。世界を変えてしまうの。世界がぜんぜん違うものになってしまうの。あなたが、基準点になって世界が違う時代に行くの。それはいいの?!」
 恐ろしく正確に伝えたつもりだったけど、シルバは、しばらくゆっくり考えた。
「そんな光栄な事はないよ」

 シルバが世界を変え始めたのは、鉱山の奴隷を開放する運動だし、そのための機械を高価で売る活動だった。
 そして商売上支えていたのは、奴隷は高くて経費がかかるので、継続費用の掛からない機械のほうが安いというルナのロジックだった。だからはっきり言ってとても売れたし、それでシルバの工房は羽振りがよくなった。
 しかしこれは、奴隷業者を完全に敵に回したし、非合法な妨害工作が来てもおかしくなかった。それを救ったのは、大スポンサーを抱えていると明言しているクリフォード社で、シド全土のに大影響を与える週報で、ひたすらにシルバの思想を語り続けた。
 他のだれが、鉱山の出水に対して、機械を使えば奴隷が死ななくなるし、お金も儲かると言ってくれるのだろう。誰もが警告する通りにこれはこわいし、莫大な資金を投じての反撃があった時にこれを救ってくれるセーフハウスはない。
 側にいるのは脳天気なリラだし、直接工房を擁護してくれるスポンサーはいなかった。
「だってさあ、クリフォード社は支えるっていってるんでしょ? だったら乗るべきじゃない? チャンスなんだし」
 これはわたしの未熟な主張。シルバは賢明にも結論を先送りにしていて、実際に利益が出始めるのを待っていた。これはシルバのバランス感覚がすさまじかったという話になるのだけど、これを慎重すぎると言うのは失礼だろう。
 シルバがたぶん考えていたのは、これはたぶん壁が厚いということだけなのだ。
 この感覚がシルバの本質なんだけれども、いつも口うるさい沈黙をするのがシルバ。たとえば非公式だとしても、常に沈黙を挟んでくる。
「なんかいいなさいよ」
 納品先に機械を運ぶ竜車を先導しながら、話しかけてもシルバは黙っている。
「話してくれないとなに考えてるのかわからないんだけど」
「うん、時間を使いたいんだ。ルナはなにかを言うとすぐに大陸の端まで飛んでいってしまうから。シャビまで行ったんだろ? やりすぎだよ」
 ルナはむくれて反論する。
「でも、ダマスカス鋼の調達ルートを作ってきたじゃない!」
「それは感謝しているよ、でも、働きすぎだよ。困ったな、この工房にはすごいメンバーしかいないんだ。あまりにもすごすぎて、おいて行かれそうになる」
 シルバはいつもこんな感じで、常にバックヤードにたたずむ老人のよう。まるでその遅さで全工房の時刻調整をしているようで、掴み難い。気付くと工房の標準時になっている、そんな感じ。言葉をかわすと時間が溶けて、シルバの時間に染まっていく。
「あの、ルナさん、シャビ行きの話聞かせてもらえませんかねぇ? わたし、ボーナスで釣られているので、社主の思うツボなんですが、出すと言うんだから貰うのが筋ですよね!」
 あー、面倒くさいのが来た。
「どうせ、シルバの評伝の隅っこにちょろっと乗るぐらいでしょ?」
「ええ、まあ、そういうことは言わない約束になっているので」
 へらへらとリラは笑うが、このときの取材内容は最終的にはルナの評伝のほとんど全てになるのである。神秘に包まれた蒸気の女王の評伝として。
 ルナが野バラの諸侯のひとりになるのは、この取材のおかげだった。


 まず、短かすぎるw
 これは勘弁して下さい。いちおうこの文章は表紙をデザインした後に書いているので。
 けっこうラストに向けての作業が目白押しで、完結と同時にパブーに全部読める体裁で載せられるように動いているのです。一人何役だよと嘆くのですが(^_^; まあこの文化祭のようなお祭りも、ラストに向けての楽しみと思わないと辛いなあw などと思っています。

 当たり前になるんですが、ルナはシド側のヒロインですので、大量の仕掛けがあったりします。これは仕掛けないほうが不誠実というか、ここでドラマが起こらないとおかしいんです。
 たぶんこの感覚は分かりにくいと思うのですが、何だこいつと目立つやつには、何らかの意図があって目立たせているのです。ルナが物語を面白くすることは保証するのですが、どう面白くするかは言えないんですね。これが明らかになるのは第三作のクライマックスですねえ・・・。
 あんまり中身の無いことを書いていても仕方ないですので、解説いきますか。

 この回はシルバを書いています。
 シルバがなぜ恐ろしいほどの混成部隊をまとめられたのかを、端的に書いています。その答えは積極的な沈黙を駆使していたからとなるんですが、他者が何かをするのを、積極的に傍観しているのです。
 観察していて、それに一切の言葉を挟まないのです。
 シルバは我がないことが超人的な人なのですが、自分の意のままになる方策があったとしても、それを一切しないというところが超人的なのです。
 こんな人はたぶんいません。わたしも含めてありえない人です。
 わたしももちろん欲望はありますし、シルバの立場に立ったらやりたいことはいくらでもあります。それをやっているのがルナで、ルナは主にシルバの欲望(金銭的予算的な)機関として機能しています。ルナが、ひたすらにシルバの研究資金を集めているのが分かりやすいと思うのですが。
 そして思いのほか資本主義の話をしています。ルネサンス人はどう商売をしていたのか、というような。どう資本主義が生まれていったのかを端的に書いています。
 そもそもこのお話は、世界最強の蛮族国と世界最強の文明国はどっちが勝つのか。それを追求すると、文明とはなにかということが分かるはずだ、という確信のもとに書かれているので、ひとりひとりの生き様には、共感するのですが、それは歴史という数百年単位のひとりだろうという意識で書いています。
 わたしは年表の中にいる人達も生きていたんだ、ということを書きたい。
 ただ、テーマが広大すぎて、わたしの手には余ります。

 まあ何よりもお楽しみいただければ幸いです。
 それだけでも大変です(^_^;


| 自作小説 | 22:01 | comments(6) | trackbacks(0) |
こんにちは!
お話面白いです。

最近hikaliさんの物語解析やゲーム論とかの理論を読んだことが心にしみこんできて、すごい理論だなあと思うようになりました。
自分は以前はTRPGを下手くそにしかプレイできなのではないかと恐れていましたが、統治的にマスタリングの環境で能力が自然に引き出される可能性に気がついて、これはきっと多くの人の救いになるのではという可能性に興奮しています。
ただ1つ気がかりなのは、ゲーム論が「悪用される恐れがある」として中断されていることです。自分ももし同じような地点に到達しているとすると、悪用される恐れというのがどのようなものか知りたいと思っています。メールお待ちしてります。
| 綴 | 2017/04/29 9:59 PM |
ごめんなさい。作品追い込みの大変な時期だということを失念していました。メールはいつでもOKです。ゆっくり楽しみにしています。
| 綴 | 2017/04/29 10:01 PM |
統治と支配の話ですが、統治者が支配者に堕してしまう理由として、統治者から統治者自身へ力を与えるパイプが十分ではなかったのではないかと思います。
自分も他者も大切にするアサーションでは、まず自分をなんとかしないと、他者も大切に出来ないから。
祈りが通じることを祈っています。
| 綴 | 2017/05/02 5:53 PM |
自身のある小説がついに書けたので、hikaliさんに早く見せたくてウズウズしています。。。
出版する前に意見が欲しくて。
忙しいところごめん。
| 綴 | 2017/05/02 8:56 PM |

 綴さん

 こんばんわ! コメントありがとうございます、hikaliです。
 なにかばたばたとしてしまい、お返事が遅れてしまいました・・・。
 まあ、いつものことなのですが、わたしは終盤をまとめるのがほんと下手だなあ・・・(^_^; などとへこんでおりました。定常的に終盤は書けなくなるのでスランプというよりは終盤が下手くそなのですね・・・。

 あーと、アナウンスはこれが終わったあとにするつもりだったのですが、実は終わっていない(笑)、物語解析とhikaliのゲーム論は「次の次」にやる予定でした。つぎが完成させられなかったSFホラーで、その次という意味です。
 えーと、仰る通り、悪用されるおそれがあるので中断中なのですが、その悪用に対してのワクチンとして効くのが、次に書くつもりの「メモリーゴースト」です。お話的にはハッカーたちの熾烈な情報戦が繰り広げられるお話で、その知識を持ってすれば、ああ、なるほどこれはこうなのか、と一撃で見分けがつくようになる寸法なのです。
 ですので、「次の次」なのです。
 支配と統治の話はおそらくギリシャ・ローマ史を読んできた影響が大きいと思います。特にスウェトニウスのローマ皇帝伝の衝撃がもろに出ているもので、いろいろ批判が多い帝政ローマの皇帝たちが、実はいわゆる支配者としての「皇帝」ではなく、調整役としての「元老院の第一人者」であり、当事者である彼らはその重責に散々に苦しんできた、という姿が見えた時に、これは公務なのだな、と思い至ったのがけっこう全面に出ています。
 マスタリングはたぶんそんなに難しいことではなく、主にPBM(手紙で行う商業TRPGみたいなもの)のマスターをやっていたときの経験からすると、面白いことを考えている人を積極的に紹介して、そうじゃない人を陰ながらサポートする、みたいな感じでいれば、みんな楽しみたいだけなので、すごいエネルギーになってくる、という印象でした。
 あの真相を仕組んで、起承転結の転でぶちまけたときの爆発的なエネルギーはほんとうに奔流として浴びていて楽しかったです。
(4回構成として、2回までで起承をやり、2回のラストで転をぶち込んで、ラスト2回で転結をやるという感じでした)

>統治者が支配者に堕してしまう理由として、統治者から統治者自身へ力を与えるパイプが十分ではなかったのではないかと思います。

 ん・・・。ギリシャ・ローマ史で典型的な支配者って、ほとんど存在していないんですよね・・・。たぶんネロとか挙げられそうな気がするんですが、ネロって実際にはめちゃくちゃローマ市民には人気があったのです。
 思い付くのは悪名高きテオドラなんですが、プロコピウスの「秘史」を読んでいる限り、もうこいつダメだろと言うぐらい極悪人なので、統治者から堕ちたというよりははじめから支配者だった印象です。
 それよりもオリエント(だいたいトルコのことを指す)の主君が支配的で、それがだんだん伝染してきて、無意味な儀式で固めた神権的な独裁君主が生まれるという、まあだいたいキリスト教が関わっているのですが、宗教的権威と結びついて支配的になるという、まあビザンツ史は、こいつのせいでビザンツ研究が1世紀止まった(詳しすぎて誰も対抗できなかったので)といわれるギボンでさえ、文中にあまりに面白みがなくて書くのが辛いとか書いてるほどだったりします(^_^;
 ご興味ありましたらお読みくださいませ。
 この辺の古典はほんと面白いです。

 お返事が大変遅れて申し訳ありませんでした。
 このコメント欄の仕様でひょっとしたら途中で切れるかもしれませんが、すぐに付け足しますので、ご容赦ください。
| hikali | 2017/05/02 10:00 PM |

 綴さん

 こんばんわ、hikaliです。
 05/02のコメントを見過ごしておりました(^_^;

>自身のある小説がついに書けたので、hikaliさんに早く見せたくてウズウズしています。。。

 えーと、どのようにすればいいのかご提示いただければ、なんでもします。niftyのSF・ファンタジーフォーラムで同じような境遇の人と交流していましたので、だいたい勝手は分かっているつもりです・・・(たぶん・・・)。
 わたしのメールアドレスは、探しにくいのですがプロフィール欄に書いてある、bxi06773@gmail.com(@を半角の@にしてください)です。
 小説をお書きになるんですね。
 わたしはとにかく小説書く人には甘いので(^_^; 一緒に楽しみましょう。小説のいい所は、たくさんあっても悪いことはほとんどないところな気がします。一生楽しくなりますよ!

| hikali | 2017/05/02 10:23 PM |









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