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 『あらしにあこがれて』14


「あれ? ルナさんじゃないですか、なんでこんなところに?」
 見慣れたとはまだ言い難い猫のような猛禽顔の女の子が、しらじらしくへらへらとして立っていた。
「ひどいですよ〜、工房に行ったらどなたもいなくて、近所に聞いたら谷底に向かったと言うじゃないですか。それで、たぶん降りるならここからだろうなと思って先回りしていたんです。しかしなんですかそれは? ずいぶんたくさんの機械があるじゃないですか。これからなにが始まるんです?」
 ルナはシルバをみて戸惑うが、
「リラさんですよね? 週報の。なぜうちの工房に?」
 シルバが聞くのに、リラは爆竹のように話す。
「上がしつこく言うんですよ。もっと取材してこいって。わたしの取材が片手落ちだって言うんです、なんで竜狩りの方法を聞いてこなかったんだとか、銃の最新型はどうなっているんだとか、大規模なスポンサーが興味を持っているんだとか、全社的にこれは追わなければならない案件だとか、たまったもんじゃないですよ! ちゃんと取材できたと判断できたらボーナスは弾むとかまで言われているんですよ!」
 リラは相変わらず、要らないことまで話すけれども、この無邪気であけすけのない性格にはどうしても心を許してしまう。リラは上と言っているが、クリフォード社は各国の支局を除けば、本体と言えるラスペ・ペネスを担当するのはクリフォードとリラしかないはずだ。となるとそう言っているのは自然とクリフォードになる。
「取材は受けるから、落ち着いて。これからテストするのはぜひシド全土、いえ、他国にも広めてほしいことだから」
 リラは複雑な機械群を眺めて眉をしかめるが、
「これは何の役に立つのです?」
「これから実演するから、みてて! これで世界から奴隷を一掃するの!」

 竜車を動員して、谷底まで下り道を重機械を運ぶのは予想通りに難儀で、ペネスの吊橋から谷底まで何百メートルあるんだと大げさに思ったほどで、実質的には曲がりくねった数キロの数十メートルの高さだったかもしれない。
 そうやって河面まで降りると、ごつごつした河石の上に無骨な機械を設置していく。
 発電機のモーターは遥かに崖上、コンパクトなモーターとポンプを設置して、油紙を針金で補強したホースを河面に浸す。
 上空を見上げると、果てしないホースが伸びている。
 ちらりと見ると、シルバの表情が輝いていて、声をかけていいか迷った。
「ゴーサインは出してね。これはあんたが考えたんだから」
 ためらうことはなかった。
「やろうよ! いますぐ、今すぐさ! なんでやらないの?!」
 なんで失敗するとは思わないのだろう。そうなったら、大失態なのに。シルバは未来に対して太陽のように明るい。片手を上げると、わたしの蒸気機関が動き始めた。こうなると止められない。暴力的な機関が動き続け、この揚水システムが失敗であるかそうでないか以外の結論は出なくなる。
 シルバが確信していた蒸気機関は動いて、それはわたしが信頼されていたことになるんだけれども、シルバが信じてくれたから動くというのは、まるで宗教のようで気持ち悪い。機械は造ったとおりにしか動かない。何百ものパーツが組み合わされたシステムを個々にはテストしているけれど、すべて組み合わせてテストするのはこれが初めてなのだ。
 水を数十メートル上に汲み上げる負荷に、蒸気機関の部品が耐えられるのか、モーター・ポンプもこんな負荷で作動させるのは初めてなのだ。
 ポンプに近い給水側のホースが短くて、遥かに崖上に伸びるホースが長いのは、お粗末なホースが圧力に弱いからだ。吸い込み側のホースは基本的にホースの径が狭まる力が働き、揚水側のホースには外側に広がる力が働く。径が狭まると流れる水の量が減る。なので吸い込み側の径を保つためには、ホースを短くしてできるだけ補強する必要がある。
 こういう話が通じるシルバの工房は楽しくて、なんで誰もが当たり前のように、それを理解しているのだろう、たぶんメイファが、こまごまと言い含めているのだと思う。
 ただそれが、実質的に全権限を握っているわたしに対する抵抗だと考えると複雑になる。お金だけじゃない、わたしがしてることなんて。なんで、お金を差配すると、仲間に入れてもらえないのだろう。
「ルナ! ポンプの様子はどう!? ポンプは動いてる!?」
 明るい声にあわてた。
 理論上は光速で電力は伝わるので、聞くまでもないのだが、作動しているポンプを確認して崖上に両腕で丸印をおくる、どうでもいいけど、これも光の速度だ。声よりは速い。
 ぶるぶると水を吸い上げるポンプを見ながら、これは役に立つのだろうかと考えるのは贅沢な時間だろうか。たぶんシルバはいつまでも見ていて、組み上げられた水にずっと興奮している。
「そっちにいったでしょ! これはだめなの?! いいの?!」
 大声で音速で返すと、光速で丸をくれた。
「これはどこに売るんですか?」
 リラが崖上より崖下を選んだのはさすがの猛禽類だった。
「鉱山、もう最初の売先、ああ、お試し価格だから、売ってはいないかな。そこでテストしてもらうことはもう話はついているけど」
「ああ、テスト協力費と、製品価格は相殺なんですね?」
 うるさい。
「鉱山は頻繁に地下水を掘り当ててしまって出水するでしょ? それをこれまでは奴隷を大量に使って、命の危険にさらせて掻き出してたの。でも、シルバはそれが許せなかったの。だって死ぬじゃない? そんなことさせたら。だけど、機械にそれをやらせれば誰も死なない。計算してみると、奴隷を継続的に買うよりも、機械を買ってそれにやらせたほうが安いの。だったら、機械を買うほうがいい。だから売りたい」
 リラは考えていたが、しつこく考える。
「それって、奴隷業者に喧嘩売ってますよね?」
「売ってる。それがシルバの意思。機械を使って、奴隷をこのシドからなくすのがシルバの意思。わたしはそれを最大限に尊重する。奴隷は悪でしかない。書いてもいいわよ、奴隷を買うより遥かに機械を買った方が安いって」


 10枚ないんですが、この辺が限界かなあと。
 単純に時間がかかっているのは、終わりに向けての文章を整えているからで、だいたいそこに一週間ぐらいは使っています。
 この終わり方は、自画自賛ですが、ルナがかっこいいんですよね(笑)。
 だからここで切ったのですが、えーといちおうこの後に10枚程度の検討していない原稿はあったりします。
 「リラを使う」というのが見えてなかったので難儀したのですが、ながい事考えているうちに、リラを使えばいいんじゃない? と気付いて、このような形になりました。ネタバレはしないのですが、だいたい先が見えるような内容になっているのではないでしょうか。

 機械工学的な話では、ホースの問題ですね。
 吸い込む側のホースは短くて、送り出す側のホースは長いという話です。
 これはこの書いているポンプシステムの問題になるのですが、そもそも、蒸気機関を坑外において長いホースを垂らして、汲み上げればいいのではと思う人もいる気がするんですが、これは簡単な実験でそれが無理であることがわかります。
 それは、ストローの袋をストローから分離させて、袋の方です、袋を思いっきり吸ってみてください。そうすると潰れて吸えないのです。吐く方はいくらでも吐けます。
 ポンプというのは、現在の日常で一番馴染み深いのは掃除機なのですが、掃除機のホースって執拗なほどに針金で補強されていないでしょうか。それは単純に、掃除機の機構上ポンプに当たる部分が、吸込口から遠いからです。掃除機のホースはビニールですが、そんなものはない設定になっているので、油紙を分厚く重ねたものに針金の芯をいれたものという描写になっています。これは実際に機能するのか微妙なんですが、半年ぐらいなら持つかなあとか。こういうところが感覚だよりになっているのは面白い、というか自分で面白がっているだけなのですが。
 まあシルバとルナが設計したなら、そういうところは抜かりがないだろうとか、設計図まで文章上で書いているわけではないので、登場人物のせいにしてしまうのですが、まあたぶんあいつらならちゃんとしたものを造っているだろうなどと思っています。


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