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 『あらしにあこがれて』12


 日が暮れて、夜気が冷えてくるとさすがに頃合いになる。
 松明を炊いて綿密に数値を取っている少年たちの間にたたずむバーナードに、無言で視線を送った。
「耐えたと思っていいのでしょうか?」
「充分。はじめから分かって分かっていたけど。でも軽さ。もっと軽くして。ダマスカス鋼は使えると思うからそう言ってるの。あなたはこの鉄の実力をハッカビー兄弟よりは理解していると思っているでしょ? だったら証明して」
 わたしの仕事はだいたい現場の尻を叩くことだ。
 脅しはしないけれども、顧客が望んでいるであるであろうことを確実に伝える。
 それをちゃんと達成してきたら、それは命をかけて売る。
 それで利益が入ってくると、だいたい信用される。
 殺伐としているけれども、それがわたしのサイクルだ。これが商売だよ、お兄さん、と思うのは皮肉なのだけれども、核にシルバがいないと回らないサイクルではある。シルバの信用の力はすごくて、シといえばだいたいうまく回る。
 このバーナードだって、シルバのシステムに入ってしまえば、たぶん資金になる。
「ずいぶん寒くなってきましたね。明日の朝にはペネスに立つのですが、」
「ああ、すみません。泊まるところが薪の前とはいきませんね。部屋は用意してあります。それよりも夕食ですよね。実は用意してあるんです」
 キャンプファイアのような篝火の前にクッションの効いたマットを用意され、そこに座る。セレンを側に呼んで、細かなペネス行きの打ち合わせをしながら、お茶が振るまわれて、それをおいしく飲む。
 前菜は、わらびの塩漬けで、それからオイリーな魚の燻製が出た。
 そうするとだいたいくるのは、サーモンだ。
 臭いほどに新鮮なサーモンが刺し身ででて、暴力的なほどにわさびとしょうがで食えと主張する。ひとくち口にするサーモンは美味しいけど、どう食べたら一番美味しいかが分かっていない味付けだ。
 たぶん、アボガドとわさびを合わせると凶悪なのだけれども、それに合わせるパンの塩分が気になってしまう。醤油はどの醤油がいいのだろうとか、魚醤がいいのだろうかとか、生醤油がいいのだろうかとか、つい考えてしまう。
「ルナさま、明日なのですが」
 うん、分かっている。
「バーナード、どれだけダマスカス鋼を置いていけばいい? シルバの方でも使うから必要最低限にしてほしいのだけど? もし足りなかったら発注して、届くのは1月後だけど」
「もっと薄いほうがいいのですが、5ミリ板を20枚ほど」
「そんなのでいいの?」
「あー、モーターは細かい部品の集合体なのです。それを加工するのに1月はかかります。つまり作業している間に次の荷が届くのです。それにモーターの心臓部はコイルです。そこが一番重いのですが、電気抵抗の関係で鉄を使うわけには行きません。銅線なのです。それに強度の必要なところではありませんし。要らないと言っているわけではありませんよ? ペネスからお戻りになる頃にはだいたい試しし尽くしていますので、そのときに発注します。ですから、かならず寄ってください」
 ルナは、うんと頷く。
「安心したわ。わたしも自分の工房を見なくちゃ、こんなの久しぶりなの、わくわくしているのよ? あのクレーンの旧型がわたしの蒸気機関だなんて思われたくないじゃない? ぼろいじゃない?」
 苦笑する初老の男がこれほどに楽しそうにするのを見たのは初めてだった。
「ルナさまがこんなに機械狂いで、仲間だとは思いませんでしたよ」
「あら、わたしはこれでも蒸気機関の技師なのよ。機械にさわれない雑用なんてしたいだなんてこれぽっちっも思ったことはないの。でも、わたしが好きな機械いじりを犠牲にしないと、兄の工房は回らないでしょ、仕方ないの」
 気おくれしているセレンに気付いて、夢中になっている心を取り繕う。
「ですがお料理は、落第点があります」
「え? はい?」
「醤油にお詳しくないですよね。醤油は新鮮なほど美味しいのですが、これは数年経っている醤油です。調味料は厨房にずっとおいておくのではなく、その日使う分を市場で買ってくるといいですよ? できれば一番美味しいところを選んで。お店ではこれは出せません。あ、そう・・・、いやですよね、こんな知識ばかりがつくんです、接待ばかりしてると」
 おもわず言ってしまって、あわてて誤魔化すが、こういうのが、だめなのだ。率直に言い過ぎる。
 言ってしまったあとに、さりげなく打ちひしがれるセレンを見た。
 あなたに言ってるんじゃないのよ。
 これを引き継げと言っているわけではない。
 こんな汚れ仕事を引き継いで欲しいとは思っていない。

 ペネスに経つ日は、だれも見送りしなかった。
 バーナードはそんな人だと思っていたし、逆に見送りされたら何か変なものでも食べたのではないか、なんか悪いこと言っただろうか、と考えてしまう。
 ペネスが特別なのは、シルバがいるからで、兄貴の工房からすると、唯一の利益を上げられる工房があるからだ。
 ペネスに竜狩り都市の名を冠されているのは、だいたいシルバのせいで、かれは特別な狩りをし、それを仲間に教えている。もともと伝統的な狩りではあったのだけれども、シルバが完成形といえる領域に磨き上げ、幾つもの狩猟団が繁栄するようになった。
 それは誰も見たことのない狩りの仕方で、ペネスに根付いてしまった鉄砲文化と、シルバが製造する銃で成立している。これに誰も注目していないのがふしぎなほどで、大量に上がる利益は兄の工房を支えているのだが、そこに着目する人はあまりいない。
 シルバの射撃の腕が支えていると思われているからだ。
 その通りであって、その通りではないのだが、もう少し理解しようとしてもいいではないか。
 あのリラという猛禽のような取材者でもドライゼ銃に気付かなかった。たぶん、シルバのような射撃の天才であれば、百発百中なのだろうという誤った理解をしているのだ。
 彼の狩りは特別で、呼子と呼ばれる追い込み衆が竜を特定の場所に追い込み、獣脚竜に乗ったシルバが、その躍動する竜の背から、襲いかかる竜の急所に命中させて、失神させる、組織的な猟なのだ。
 これはなんど見ても手品にしか見えないのだが、何百という失神した竜が、貴族に売られている記録が残っている。
 その中心に、メイファという天才的な工房主がいる。
 シルバがそれを見つけてきたときは、この幼馴染の圧倒的な才能に、打ちのめされた。
 奴隷だったという。
 当たり前のようにシルバに恩義を感じて、見た感じは恋愛感情も持っている気がするので、面倒くさいのだけれども、あの女の言い分なんて聞く必要はないんですよ、と言われてしまう。
 頑張ってお金を回そうとしているのに。

「はー、でも、ほんとにこれがシルバの役に立つのかしらね? だって、あいつ外さないじゃない。後詰めとか意味ないでしょ。だって一発しか打たないんだから」
 セレンはまたかと思い、ルナを諌めようと考える。
「たしかにシルバさまのような射手は稀有です。ですが異常者を前提に工房を考えるのは間違っていますし、商売相手の売り先は下手くそですよね?」
 バツが悪くなるというよりは、まあそうだと素直に思った。
「そ、そりゃ、そうよね。一番気にしなければならないのは、だれがなにを望んで、何がほしいいか。そんなのわかってるし、」
 隊列となった竜車を先導しながら、言葉少ないセレンを、背丈の関係で見下ろす。
 この少女はだいぶ無理をしていた。
 わたしは譲るべきだし、この子が背伸びをしていることを、自分の責任だと思うべきだと思った。というかセレンや各工房にどんだけ低い賃料で働かせているんだよ、と思うし、どんだけわたし無報酬で働いているんだよ〜、と思う。

 ペネスまでやってくると、どうしてもどれだけ稼げるかと思ってしまう。
 それは良くないことだと思う以前に、どれだけ搾取してきたのだろうと思う都市だし、この地に足を踏み入れると、罪の意識でアウェイだと思ってしまう。
 ラスペは盛大にお金を配っているホーム。ペネスはお金をむしり取っているアウェイ。
 連れてきた竜車の列にも、金稼ぎなさいよと言っている気がするし、そもそもわたしはシルバに金を稼げという以外に興味が無い気がないような気がして心細くなる。
「これはなんですか? 書類の申請がないのですが? 鋼板ですか?」
 入り口で捕まって、うっかりしていたことに気付く。
「ダマスカス鋼です! シルバさまの工房から申請が出てませんでしたか!?」
 あー、いえ、えーと、書類は来てませんねぇ。
「へー、シルバさんが、ダマスカス鋼ですか! それはニュースだ」
 何か面倒になりそうなので、セレンをなだめる。
「シャビからの荷受け証はあるから、これで代わりにならないかしら? ダマスカス鋼をシルバの工房で使っていることが証明できればいいんでしょう?」
 ルナの顔を見て、税関の役人の顔が固まった。
 こういうのは楽でいい。
「あ、はい、ルナさんですよね! 光栄であります!」
 税関を通過して、うんざりしたルナはセレンに追い打ちをかけられる。
「ルナさまって、顔パスなんですね!」
「いえ、あれ、不快なの・・・。特権階級みたいに見えるでしょ?」
 ああ、まあ、実際に特権階級の人間なんだけど。

 シルバの工房にダマスカス鋼を運ぶと、数字を測るテストが行われて、ルナが数字を言って、だいたいそのとおりだとわかると、テストの輪は消えた。
 メイファを伴ってシルバが目の前に座り、興奮した様子で話し始める。
「この鉄はすごいね。どうしてわざわざシャビから仕入れてきたの?」
「ああ、うん、渡した文献にダマスカス鋼って書いてあったでしょ、だからそっちのほうが性能が良くなると思ったから」
「ルナってそういうところ律儀だよね、まあ助かるけど」
 きょとんとして言われると、それぐらいしか取り柄がないと言われているような気さえしてしまうのだが、シルバは明るく他意がないことは明らか。
「まだこれはサンプルで、お金は払ってきたけど、正式に発注したわけではないの。10ミリ板と5ミリ板を持ってきたから試してみて。この工房で使ってるのは10ミリ板でしょ? でもシャビでは10ミリ板なんてめったに使わないっていうの」
 シルバはしばらく考えたが、まあ、爆破してみないとなあ、と不穏なことをいう。
「爆破?」
「そりゃそうだよ、鉄砲なんだから。発砲時の熱と圧に耐えられなくちゃ。しかもドライゼ銃は前込め銃よりも頻繁に連射するんだから、熱はとんでもないことになる」
 ああ、なるほどと理解するが、それ以上突っ込むのは専門でないだけあって野暮だ。
「でもこれで、劇的に軽くなるかもなあ。5ミリ板で10ミリ板並の耐久性が出たらとんでもないことになるよ!」
 まあわたしはこうやって、きわめて精密に有頂天になっているシルバを見ているのが好きなのだ。
「それよりも、例の鉱山のポンプの話、蒸気機関とモーターとポンプを持ってきたから、あとでテストしましょう。それに最初の顧客も見つけてきた」
 なんかそう言ってしまうと自分がシルバに忠実な猟犬のような気がしてしまう。
 でも多分セレンの言うように、わたしはシルバの名前を使って勝手に儲かる商売を作っているだけなのだ。それがシルバの望んでいた事の実現につながるなら、それでいいじゃないか。


 えーと、定型句になっておりますが(^_^; 大変遅れました。
 なんか前回の立て直し部分で持ち込んだものが結構効いていて、ああこう効いてくるんだと、とても勉強になりました。ただセレンの扱い方が雑かなあとか思っていたり、掘ると楽しそうなのですが、掘りすぎると本題があいまいになってしまうかなあとか。本作はルナ視点なので、ルナの内面を大量に書くことになっていて、シルバを客観的に見ているのですが、セレンはルナを客観的に見るのに大変便利だったりするのです。
 でも、セレンにも内面はあるわけで、そこを書き始めるとどうなるのかなあとか。まあ、シルバの衛星である、ルナの衛星である、セレンを掘りすぎるのはどうかなと思ってしまうのは甘いのですかねえ・・・。なんか展開のさせ方があるのですかねえ。
 研究課題です。

 今回解説が必要なのは電動モーターですかねえ。
 電動モーターというのは、電磁石となるコイルを永久磁石の磁界の中で磁力を使って回転させることで動力となるものなのですが(分かりにくい説明だ・・・)。動力となる一方、反対に回してやると発電機になるものです。
 ルナが作っている装置では、蒸気機関を動力にしてモーターを回すことで電力を発し、その電力をもう一対のモーターに送ることで、動力を発生させてポンプを回すのです。
 なにか、なんで2つのモーターを介する必要があるのかと思われるかもしれませんが、これは単純に蒸気機関が排気ガスを出すからです。なので、蒸気機関は坑外に置き、発電側のモーターで発電し、長い電線を通して坑内に電気を送って、そこでポンプを稼働させるという仕組みなのです。
 かなりショートカットして言うと、かなり強烈な電池があって、モーターを稼働させるのに充分な電力が永久に供給できるのであれば(ほとんどありえない前提ですが)、わざわざこんな装置を作る必要はありません。電池にモーターを直結してポンプを回せばいい。それができないので、石炭を燃料とする蒸気機関を動力として、発電機を噛ませて、坑内に電力を送っているのです。また発電所と送電網が整備されていれば、とうぜんにこんな装置は必要ありません(現在使われているのはこれですね)。

 現在と産業革命当時は大幅に前提が違うので、説明が必要になりました。
 いちおう歴史小説なのです・・・。
(かなり苦しいけど・・・)

| 自作小説 | 22:08 | comments(0) | trackbacks(0) |









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