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 『あらしにあこがれて』9


 ラスペに空路で着くと、ルナは5ミリの鋼板を一枚持ち上げて、それを胸に抱えた。
「セレン、竜車を調達してちょうだい。これ、工房まで運ばないといけないから。わたしは一足先に工房の様子を見てくるから」
「はい」
 背丈ほどもある鋼板を抱えて歩く姿は、たぶん異様だろう。
 それでも兄パルの工房はそれなりに名は通っているので(儲かってないけど)、後ろ指を指して笑うものはいない。それよりもダマスカス鋼を真っ先に届けてやりたかった。わたしは工房が好きだし、思い描いていたものが形になっていくことは好きだった。
 それに設計図を渡した蒸気機関がどう仕上がっているかを見るのも楽しみだ。
 胸がすく。
 鼻歌を歌っていたかはわからないのだけれども、わたしの工房となっている貴族の旧邸宅にたどり着くと、ウキウキが止められなかった。
「みんな! 帰ったわよ! 大収穫! みて! これがダマスカス鋼! びっくりするぐらい安く買えちゃった! もし性能がよかったらじゃんじゃん使っちゃってちょうだい!」
 ハイテンションに唖然とする、工房の面々の間を歩きながら、
「蒸気機関はできてる?」
「あ、ああ、はい、あそこに……」
 広間の中央にある設計したとおりの蒸気機関を見て、無骨な機械の表面がピカピカに磨かれているのを見て、わかってきたなと嬉しくなる。
「もうテストはできる? できるなら河岸に運んで、ポンプと合わせてみるから」
「ポンプの方はもうできていると聞いています」
「まあ、もともと昔使ったやつをちょっと丁寧に作るだけだからね。ハッカビーには、ちょっと儲けさせてやらないと、いい仕事するから。すぐに鋼材を乗せて竜車をよこすから、蒸気機関を運べる準備をしておいてね。それからポンプを回収して、河岸の桟橋に。うちの7番桟橋に。ハッカビーには通しておくから」
 手はずを整えると、ふいに工房の職人が聞いた。
「このダマスカス鋼はどうするんですか?」
 ルナはしばらく考えるが、うまい方法が思いつかない。
「好きにして。別に転売してもいいのよ?」
 さすがに溜飲を下げた。
「技術者ですから、端くれですけど」
「じゃあ、頼んだ。ぜんぶ任せるから、なにに使ってもいいから、でもこの鋼板は自信があるから、おもしろく使ってね」
 ルナは簡単に言うが、蒸気機関の第一人者だけに、言葉が重い。
 工房の誰もがわたしなど気にもせずに、熱心にダマスカス鋼板の特性を測定する算段に入るのを眺めながら、わたしはこの場所が好きなのだという想いを新たにする。
「じゃあ、頼んだから、ハッカビーのところへ行ってくる」
 軽く声をかけても誰も聞いていない。
「スイッチ入っちゃったみたい」

 それから返す踵で、ポンプ屋のハッカビーの邸宅に向かう。
 入ると別案件のポンプの試運転中で、わたしが過去に設計した蒸気機関にポンプを繋いで、たぶん耐久テストだと思うのだが、張り詰めた様子でポンプの音を聞いている。
 暗号にも似た専門用語が飛び交い、それを聞いて設計者のハッカビー兄弟が頭を抱えている。わたしはそれをしばらく見ていたのだが、二人のところまで歩いて、声をかける。
「トルクはどの辺まで耐えられそう?」
「え、ああ、ルナさん、帰ってたのですか。新設計の蒸気機関、見ましたよ。でもあの馬力に耐えられるかなあ、ちょっと厳しいかなあ」
 ルナはすかさず言葉を挟む。
「じゃあ、朗報。ダマスカス鋼の製板工房をつかまえたの。ちょっと試してみてくれない? サンプルはもうすぐ運ぶから、もしよかったら、なんでも発注してちょうだい。もしシャフトが欲しければ言って? 径さえ言ってもらえれば、それを用意してもらうから。強度の強いシャフトはほしいでしょ?」
 ええ、まあと戸惑いがちに言うのは、精密な加工が必要なシャフトは外注したことがないからだ。
「別に、精度に問題があるなら、ここで直すのは問題にしないわよ?」
 ルナは軽いように見えて、独裁者的なプロデューサだ。
 サディストとは言わないけれども、押しが強くて、話し相手に何かを押し付けるのを苦に思わない。シルバと不思議な協調関係にあるのは、なにも言い出せない奥手なシルバを、ぐいぐいと引っ張る力があるから、というのは変な見解だろうか。
 ハッカビーの工房の少年が、軽く言う。
「じゃあ、サンプル持ってきてくださいよ! 現物を見ないと、発注もできません!」
 ハッカビー弟は申し訳無さそうな表情をしていたが、ルナは気楽に片手を上げる。
「まあいいわ。でも、それを使って大儲けして! ダマスカス鋼よ! こんなの使ってるの、ラスペでもうちぐらい!」
 ルナが特異な地位にあるのは、血の問題もあるのだけれども、工房全体の原材料の流れを全部把握している事にある。本人はひたすらにその仕事を捨てたがっているのだけれども、それをできる人が他になくて、やめられない。
 ルナには代わりがいない。
 たしかに突拍子もない性格をしている。
 でも、それが好循環で進んでいるうちは文句も出なくて、代替不能で、ルナはその役割から開放されないでいる。ルナがうんざりしているのはまさにその部分なのだけれども。
「あの、シャフトの径って・・・、いくらぐらいがいいですかね・・・」
 わたしが決めるの!? 少年は怖気づいたが、
「すみません、やはり現物がないと、どうにもならないんですよ」
 ルナの表情を見て、申し訳なさそうに、ハッカビー兄が言う。
「あ、ごめんなさい。いま、竜車を手配して運んでくるから。特性テストが終わったら、欲しいものをリストにして渡して。空路で運ぶととんでもない事になるから、海路になるから、試作機には間に合わないわね。でも、量産機ができたらそれに交換してもらうから、それに間に合えばいい。試作機の納品から1月後でいいわ。それまでに、ダマスカス鋼で仕上げたものが出てくればいい」
 理路整然というのに兄弟が安堵の視線を合わせた。
「できそう?」
「あ、いえ、現物を見ないと」

 セレンが待っているであろう浮遊船の港につくと、荷台に鋼板を満載した竜車が待っていた。セレン一人では搬出は無理だろうだったから、幾ら使ったんだろうと心配になったのだが、どうも賢く周辺の配金している工房から動員したらしい。
 話を聞くと、それがダマスカス鋼だと触れ回っていなかったのが玉に瑕で、それでも十分な仕事をしていた。
「テストするから。まず竜車を工房にやって、蒸気機関とポンプを7番埠頭に運ぶ、それはいい? テストが終わったら忙しいわよ」
「え、えーと」
 ここがオーバーフロウの地点のようだ。
 そうするともう少し前の地点を探す。
「テストをします。それは7番埠頭でします。そこに蒸気機関とポンプを運びます」
 それでセレンは頷いて、わちゃわちゃと動き始めた。
 わたしがしていなかったというかサボっていた連絡までいれ始め、お金の交渉まで始める。そこまでくるとわたしはやることがなくなる。
(ニホと組んだら、いいコンビなんだけどなあ)
 工房の有望格はセレンを始め大量にいる。しつこくニホといい仲にしたがっているのは、ニホと組むと良さそうだから。セレンは律儀で細かい数字の計算をさせたら間違いは起こらない。ニホは、大雑把だけれども本質を掴む力だけはすごくて、大局観だけは誰にも負けないホープなのだ。
 正直に言うとルナはセレンとニホに、自分とシルバを重ねている。
 ああ、こいつは不器用だなと、自分と同じだなと思う時に、救いであるシルバを重ねてしまう。セレンはたぶんニホに、自分にはない才能を感じるだろうと。
「ニホに相談しなさいよ。あなた、ニホを侮りすぎ」
「なんで、そんなに言うんですか!」
 さすがに10歳も年齢が離れていればわからない。
 わたしが思春期の頃にシルバにどう接していたのだろうと考えてしまうし、たぶんセレンがするようなことしかしていなかったようなきがするのだ。
「聞かなくていいから、聞きなさい。誰だっていつも足りないの。一人でできる人なんてどこにもいないの。あなたの良さを褒めようとすると、どうしても他の人が頭に浮かぶの。その人と組めばどんだけいいかって」
 セレンはためらった。
「じゃあ、ルナさまは、なんでシルバさまと公の関係にしないんですか!」
 どきりとして、いろいろと言い訳は思いつくのだけれども、説明として説得力のあるものはない。
「あなたは全部見ているでしょ」
 これはヤケクソに近かった。
「わたしはシルバを搾取するしかないの! 罪の意識なんて、もう無限に感じている! でもこのあの無能な兄の工房群を維持するにはそれしかないの! どうしたら良いというの?! わたしがシルバにどう謝ったらいいの? 謝って、好きですと言えば、許されるの!? そんな簡単なの!?」
 セレンは圧倒されて、それから内省して、考えた。
 たぶんこの子は賢いのだ。
「・・・、はい・・・、シルバさまは全部許すでしょう・・・」
 それを信じるには時間がかかった。
「・・・、じゃあわたしが言ったら、あなたもニホに告白する?」
「なんでそうなるんですか!」
 わたしは冷静なつもりだったけども、冷静なはずがない。それでもしばらく考えて、正直に言う。
「ニホはシルバに似ているの。わたしはシルバが好きだけれども、ニホもいいやつだなあと思っている。それをセレンが助けてくれれば、工房が回るでしょ。リラと話したとき、わたしがシャビに飛ぶわよと言った時に、あなたはそれに備えていた。その時にわたしと同じ考え方をするんだと思った。なんでわたしの後継者と思ってはいけないの?」
 セレンはひたすらに黙っていた。
「不快?」
 セレンは黙っている。
「お金の計算は叩き込んだとは思っているから、会計の能力でセレンよりも上回る人はいないと思うわ。あなた才能あるわよ。数字で間違ったことがないじゃない。あなた以上を見つけるのが難しいの」
 ルナのそばにいて、セレンはその数字の正確さがもたらす秩序は見ているのだ。ルナの愛弟子という地位は否定し難いが、それで人生を決めてしまっていいのかと思う。
 難しい問題だ。


 今回はあんまり書くことがないのですが、一週間に15枚程度とか短いなあと、そのへんですかねえ。
わたしが尊敬する作家の中で、1番作品を書くペースが速いとされるのが、ディック・フランシス(故人)の年一作(長編)なのです。それも本人が一度書き上げた作品を、第二稿、第三稿と書き直すのは信じられないと言っているので、ほぼリトライなしのペースだと思われるのですが、だいたい一週間に15枚ならば、同じペースなのではないかと思ってしまっているところがあるのかもしれません。
 もちろん、広い世界を見渡せば、2週間で書いた(長編)などと変態的な事を言っているフィリップ・k・ディック(故人)とかもいるのですが、彼が生活のためにとにかく量を書かなければならなかったことを考えると、それが適したペースだったのかというのは疑問に感じますし、日本語版のwikipediaの作品一覧(ただし邦訳されたもののみ)を見ている限り、多くて年二作が普通のペースだったようです。
 いまふと思ったのは、大河ドラマを小説化したらどれぐらいの文章量になるのだろうということなのですが(もちろん去年の大河ドラマ真田丸を念頭に言っている)、誰かやってくれないですかねえ(他力本願w)。
 なにかとりとめがないのでこの辺で。

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