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『あらしにあこがれて』8



 数日経つとだいぶ馴染んで、だいたい工房がどう動いているのかが分かってくる。
 それでも大人しくしていると、さすがに気にし始める。
「お嬢ちゃんたちは、シルバさんの工房の方なのでしたよね?」
 そろそろ、帰りの便も近いし、本題に入ろうかと思っていた矢先だった。
 ルナはゆったりと考える。
「ええ、まあ、小さな工房ですが」
 老人たちはお互いに目配せをし、一人がゆっくりと口を開く。
「シドの方ではずいぶん名の通った工房だと聞いていますよ。あれから他の工房などにあたってみたのです、シルバさんの工房を知らないか、と。そうしたらずいぶん稼いでいる工房というではないですか、それでピンときたのです。何か相談があってきたのではないか、と」
 なるほどシャビの工房ネットワークというのは情報通らしい。
 それはそうだ、なんたって全世界の浮遊船が中継地とする一大ジャンクションなのだ、この都市は。ルナはおそるおそる聞く。
「ダマスカス、鋼を探しているのです。ふと耳に挟んだものですから、このシャビの古名がダマスカスなのだと、それで着の身着のままで浮遊船団に飛び乗ってやってきたというわけです。ダマスカス鋼というのは・・・」
「ああ、うちで打ってるのがダマスカス鋼だね」
 やっぱりと思うのは軽薄だけれども、気持ちが急くのを止められなかった。
「お嬢ちゃん、その話は昼にしませんか? まだ仕事が残ってるし、もうすぐ昼だ。わしらと一緒に食べないかね? たいしたものはないけれど」
「はい!」

 昼になると老人たちは疲れたというように背を伸ばし、立ち上がって、工房の中央に集まってくる。数人が何処かへと向かい、残りは中央に車座になった。そこに薄く伸ばした円形のパンが運ばれ、それに続いて野菜の籠、ベーコンなどの肉魚類、そして香辛料、お茶が運ばれてくる。
「質素なものですが、好きに食べてください」
 お茶が注がれ、座った先に敷かれた布の上にカップが置かれた。
 老人たちはめいめいにパンに手を伸ばし、そこに禍々しいほどに真っ赤な香辛料のペーストを塗りつけ、ベーコンを乗せ、玉ねぎとレタスを乗せる。
「あー、そのチリソースはたぶんお嬢ちゃんたちには辛いはずだよ。だからそっちの黄色いの、そっちはそんなに辛くないから好きなように食べてください。それと今日はリーズデルからのニシンの酢漬けが入ったんだ。瓶にあるからそっちも試してくださいな」
 黄色いのはたぶんマスタードだ。見慣れた香辛料にセレンは早速手を伸ばし、パンに塗ったくって、ベーコンを乗せ、レタスを乗せる。それを半円に包んで満足気に食べる。
「おなかすいてたんです」
 はきはきというのに、老人たちの頬が緩む。
 ルナはさすがに礼儀としてチリソースに行くべきかと悩んだが、老人たちが汗をたらたら流しているのに勇気が出ず、マスタードと思わしきものを塗って、それにニシンを乗せ、みじん切りにした玉ねぎを乗せた。口に運ぶと、黄色いソースが思いのほか辛くて、多分からめに調合されたマスタードなんだろうなと思いつつ、それでもニシンと玉ねぎとの相性が抜群で、貪るように食べて茶を飲んだ。
「おいしい!」
 もはや茶なのかパンなのか分からないのだが、普段食べる外国人向けにマイルドになっていたシャビの料理よりもずっと美味しく感じた。それですぐさま次のパンに手が伸びる。
「あ、すみません、わたしったら・・・」
「いいんですよ、いくらでもお食べください、そんなに高いものではありませんから」
 許しが出て、すぐさま次のパンをどうするかを考える。チリソースに行くべきか、いやそれは冒険すぎる。でも同じものばかりというのつまらない、たいへん悩ましい。

 しばらく食べていると、満足してきて、老人たちもゆったりと茶を飲み和やかになってくる。すると、工房長と思わしき老人がおもむろに口を開いた。
「ダマスカス鋼を探しに来たと、さきほど聞きました。ですがそうおっしゃる方にはいつも同じように言っているのですが、ダマスカス鋼はシャビで産出される鉄鉱石からではないと作れないのです。これはわしたちにも理由がわからない。試したことがあるのです、何度も。もしお教えした方法で作れなかったら問題になりますから」
「なるほど」
 ルナは多分特殊な成分がシャビ産の鉄鉱石には含有されているのだろうなと思うのだが、それをいちいち解明するのは面倒くさそうに思えた。
「それで、こうお勧めするのです、鋼板はわしらで作りますからそれを買いませんか? と。いかがですか?」
「価格次第、ですかね?」
 老人はゆっくりと頷く。
「では、いくらまでだったら出せますか?」
 ルナはどぎまぎする。
(なんだこの人、手練じゃない!)
 そりゃそうだ、シャビのタルボットギルドが紹介する工房だぞ! 手練でないはずがないじゃないか! あ、でも、紹介し続けているということは、顧客から文句が来ない工房なんだ。あー、なるほどぉ。
「で、では、言い値で買います」
「ルナさま!」
 セレンがたしなめるのを無言で抑えて、繰り返す。
「言い値で買います」
「ほう」
 ルナはすこし落ち着いて、理路整然と話し出す。
「わたしたちは数日この工房を見学させていただきました。その中でわかったのは、この工房は非常に信用ができる工房だということでした。正直に言いますと、もう末永くお付き合いさせていただきたい。長く関係が続くためにはお互いに無理のない価格で合意するのが望ましいと思うのです。わたしたちは最終製品の価格で、いくらでも利益の幅を決めることができます。ですので、まずはあなた様方が無理のない価格をお決めください」
 しばらく老人たちは黙っていた。
 もちろんルナは、言い値で取引できるのであれば、この工房は何か緊急の事態があった時にわたしたちの工房の注文を優先してくれるであろう、という腹はあった。それに価格が割に合わなければ発注量を減らせばいいだけなのだ。
「わかりました。そうですね、この価格でどうでしょうか」
 メモに書いた数字を老人たちは回し、全員が頷いたのを確認して工房長から渡される。
 それは思っていたよりも遥かに安い価格だった。
「えーと、鋼板の在庫はありますでしょうか。この価格で買います、サンプルとして持って帰りますので。セレン、幾ら持ってきたの? どれだけ買える?」
 メモを渡すと、セレンは慌てて計算し始める。
「あ、半分は残しておいてね。輸送運賃がかかるから。海路で帰るわけには行かないでしょ? あのこすっからいトランの船団も流石に荷を見たらふっかけてくるから」
 考えてみればシドでは伝説の鋼板であるダマスカス鋼も、シャビでは一般に普及している普通の鉄なのだ。誰も注目していないだけで、ここではそこいらに満ち溢れている。これは一山当てたかもしれない。
「あの、それで鋼板の厚みはどれほどのものをお望みですか? 在庫には限りがありますので」
「あ、えーと10ミリと5ミリで、在庫あります?」
 一般的にどこでも使われている厚みを言ったつもり。銃に使うのは10ミリなのだけれど、5ミリを試してもいい。もし、5ミリが使えなくても、他の用途で使えればいい。たとえば蒸気機関とか、ポンプとか、モーターとか。
 老人は悩んだ。
「あー、うーん、10ミリは少ないんですよねぇ、厚すぎてあんまり用途がないので。ですが5ミリならばいくらでもあります」
 え? 一山どころじゃなかった?! 5ミリで強度充分なの?!
 5ミリというのは、鉄材の世界では異常すぎて、少なくとも筒内で爆発させることが日常な銃の世界ではあり得なかった。もちろん、5ミリで済むならば、それに越したことはない。銃が軽くなるし、使う鉄が減るので安くなる。
 もし使えるのであればダマスカス鋼は、利益の源泉になる。
 常識的に考えれば、ただの鉄の値段のものが、ただの鉄ではなくなる。
 これを捉えているのは、シルバ工房だけだ。
 ルナには莫大な利益しか見えず、それはもちろん分配されるべきお金であって、配下で冴えない工房が輝き出すのが見えてきそうになった。


 ダマスカス鋼は実はわたしのネタ元にしている書籍では、すでに解明し尽くされた技術と記載されていたりします。まあ簡単に言えば、ちょっと古い本なのですね。最新の情報では、どうも未知な分子構造が発見されたとかで、まだ解明されていないステイタスになっているのが現在のダマスカス鋼です。
 ダマスカス鋼は、ウーツ鋼という特殊なインドの鋼(はがね)がダマスカスに運ばれて最終加工されてダマスカス鋼になります。なので特殊なのはウーツ鋼の方なのです。なので今回ダマスカス鋼として説明されているのはウーツ鋼の話です。
 わたしが律儀にダマスカス鋼を追っているのは、その参考にしている書籍に、トルコ製の銃にはダマスカス鋼が使われていたと書かれているからで、そのへんはルナがダマスカス鋼を追っている理由と代わりありません。

 食べ物ネタは、トルコのケバブをイメージしていたりします。円形のパンというのはピタのことです。もしくはタコス。本当はダマスカスのあるシリア料理で書きたかったのですが、トルコとシリアってだいぶ近いし、実際にシリア料理(正確に突き止められたのはレバノン料理ですが)にもピタに似た円形のクレープ地のようなパンが美味しそうだなあとか、それしか考えていないんですね。

 いま、次どうするつもりだったけと思いながら、草稿を読みながら、ひでーなーw と思っていたりしますw だいたい土日月で次の週の草稿ができるのですが、頭痛いなあとほんとにそういう感じです・・・。


| 自作小説 | 23:53 | comments(0) | trackbacks(0) |









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