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 『あらしにあこがれて』7


 シャビの港は慣れているのだけれども、タルボット同伴ははじめてなので、いろいろと戸惑う。タルボットは浮遊船から大量の荷をおろして、それを勢い良く市へと運んでいく。
 シドで仕入れたのだからたぶん香辛料だろう。
 たとえば、ジャングルでは恐ろしいほどの安値で買われるキノコ。これが都市に運ばれると恐ろしいほどの高値で売られる。なんでも薬効があるらしい。それでトランの浮遊船団は儲ける。
 シドの船団が劣るのは、船足が遅いということになる。
 同じ船でも海水の抵抗と、空気の抵抗では天地の差がある。
 これが同じ風を受けながらシドの船足が遅い理由で、しかも上空のほうが海面よりも強い風が吹いているのだ。
 それでもシドと帝国との航路が維持されているのは、トランが5ギルドある船団同士で争い合っているからだ。トランの敵はトラン。しかしシドには敵がない。唯一あるのはシスティアという味方の海洋国家だけで、システィア人の傭兵はトランと戦っても恐ろしく強い。システィア流の剣術は超文明の技術に頼っているトランに対して強く、簡単に制圧をする。
 もちろんそこにキュディスが入ってくるとよくわからないのだけれども。

 トランはよくわからない国だ。
 荷では競合しているのだけども、トランの浮遊船団が恐ろしく暴利で、シド経由の海路のほうが安いことになっている。トランがシドの航路を潰そうと思えばできるのだけれども、空路の覇権争いをしているのでその資金のために利を稼がなければならず、あきれるほど海路が安くなる。
 彼らは荷の行き来のほとんどが、荷の積み下ろしと、荷の積み込みに左右され、たどり着くのにかかった時間に左右されないことを理解していない。
 みすみす見逃してもらっているのは、ありがたくはあるのだけど。
 多分トランの失敗は、利益を上げるためにえげつなくなりすぎる点で、乗車中のお茶が5グロアとかありえないことを言う部分にある。シドの帆船では無料だし、トイレにいくたびに高額の賃料を払うこともない。まるで自分たちが特権階級であるかのように思っていて、恐ろしい暴利がまかり通る。
 タルボットはひどいにしても、ヒンギス、ブルークスタ、ライカルのギルドもひどい。
 ヒューメリックが唯一残っているまともなギルドなのだが、このギルドは単独航行を許しているので、ギルドとしてのまとまりはない。
 トランのめちゃくちゃな覇権争いの漁夫の利を得ているのが、通商国家シドなのだ。
 だから、従順にバカをさせておくのが得だ。

 シャビに近づくと、荷降ろしの奴隷たちが叩き起こされる。
 それは船中を叩き起こすような騒音で、ハンモックで本を読んでいるのも、暴利な茶を飲んでいるのもばかばかしくなる。
「なんなんですかこれ?」
「あー、荷降ろしって分かる? シャビについてからが戦場なの。数千箱の荷を降ろして、また数千箱の荷を積む。もちろんわたしたちはお暇するわよ、お客だし。ダマスカス鋼を探しに来たんだから」
 セレンはしばらく考えて、遠慮気味に言う。
「ルナさまは、いいひとですね」
「なにそれ?」
 意味がわからずに聞く。セレンは慌てて言う。
「あの、いえ、とてもわかり易かったので・・・、でもわたしを侮辱しなかった・・・」
 ルナは考え込んでしまうが、セレンが無学だというコンプレックスを強く持っていることにまで思いが及ばない。
「なに言ってんのよ! タルボットが暴利だと言ったのはあなたでしょ? わたしもそう思うし、トランは恐ろしく暴利よ! 茶に5グロアっておかしいと言ったのあんたでしょ!」
 セレンは言葉を謹んだ。

                   ※

 上空から見ていたシャビは、密集する街区の中にちらほらとひらけた広場やら寺やらが散在していて、行き交う人々の活気が聞こえてきそうな気さえする。
 降り立った広場はトランの船団の船着き場になっているためか人はまばらで、縱圓梁臘未蠅鯒舛と商売の呼び声が聞こえてくる。シャビは石造りの密集した街区と、賑やかなバザールと、荘厳で静かな寺院と、活気ある職人街の都市だ。バザールも職人街も通りごとにその役割が分かれていて、北の市と南の市という大雑把にしか分けてないペネスとは違って、宝飾品の通り、革製品の通りとそれぞれがまとまって商いをしている。
 街区はおおよそ住宅街で、それが四方の関と人がすれ違うのもやっとな細い路地とで塊になった地区を形成している。その中には大邸宅もあるが、殆どが庶民の家だ。中庭づくりの家々はそこに噴水と緑をたたえ、どのように水を引いているのかは謎なのだが、清潔な水が流れている。もちろんルナは街区には入ったことはないし、用があるのは街路沿いにあるバザールと職人街なのだ。
「この辺なのよねえ」
 ルナはタルボットギルドで買った(貰えないのだ)地図を片手に、街路を歩く。
 タルボットギルドの話では、どうも鉄を鍛えている工房で、ダマスカス鋼のヒントが得られそうなのだ。シャビはだいたい暑い。それは炉の数のせいではと思ってしまうほどなのだけど、詳しい人に聞くと、このシャビという巨大な島を通っている海流のせいらしい。それで雨が多いし、バラが育つ理由になるらしい。
「バラってさ、甘いじゃない」
 セレンはうんざりした様子で、はい、まあ、そうですね、と答える。
「それなら、ここでじゃがいもを育てたら甘くなるのかな?」
「試してみますか?」
「じゃあ、やってみようよ! じゃがいもが甘くなるかもしれない!」
 もちろん、めちゃくちゃな提案なのだが、突拍子のないむちゃくちゃさは本人が自覚していないルナの武器なのだ。
「じゃあ、じゃがいもを植える農地をご用意頂けるんですね?」
「あ、そっかー。そんなのないなー。いまどんぐらい資金に余裕がある?」
 セレンは律儀に考えた。
「50グロアぐらいですかね、もちろんダマスカス鋼の交渉用は別に考えていますが」

 紹介された工房にたどり着くと、見慣れた光景が広がっていた。
 結局工房は、ペネスでもシャビでも変わらない。
(浸炭法だ、どこでも同じなんだなぁ、これは)
「タルボットギルドの紹介できました。わたしはシルバ工房の会計を担当しておりまして、」
 じろりと見られるのを、はははと照れ笑いで返す。
 老舗だと聞いてきただけに、初老からいつ亡くなるかわからないお爺さんまで、熟練の職人ばかりが無心に鉄を叩き続けている。その姿は尊いようにさえ見え、昼過ぎから深夜まで無言で見ていた。
 工房の音はシンプルだ。
 一定のリズムに従ってカチンカチンと叩く。
 そして炎の音。
 ごうごうと鳴る炎の音を聞いていると、安らぎさえ感じる。
 セレンはいらいらとしていたけれども、小声でよく見ておきなさい、という。
 たぶん若いと、その人たちがなにをしているのかを、ひたすらに肌で感じることに価値を感じられないのだ。わたしは身体を溶かして、その工房の空気に染めていくのがたぶん好きなのだ。それで信用できるかどうかが分かる。
 深夜になると、老人たちは片付けを始め、思い出したようにわたしたちを見る。
「あしたは、7時から始まります。また来ますか?」
 笑うと、おかしなお嬢さんだと笑われる。

「ルナさま、全然なにもしてないじゃないですか!」
 セレンがぷりぷりとして吐き出すのを、先に荷を預けた宿泊先に街路を歩きながら、そう言えば夕食食べてないね、という。忘れていたのだ。
「忘れていました」
「じゃあ、なに食べたい? もうだいぶ遅いし、屋台ですます?」
「あ、いえ」
 セレンには珍しく抵抗する。
「じゃあ、海鮮の串焼きにでもする? シャビの食べ物はだいたい辛いけど」
「辛くないほうが・・・」
 ルナはうーんと考え、
「じゃあ、野菜出汁の海鮮麺かなぁ・・・。いい店知ってるよ! 屋台だけど・・・」
「・・・じゃあ、それで・・・」


 えーと、今回からシャビ編となります。
 シャビの街の描写は結構簡素ですが、以前資料を集めていただけあってだいたい正確です。街区が描かれていないので説明が入ってないのですが、イスラム都市はイスラム法学で綿密にどう作らなければいけないかが決められていたりします。
 たとえば通り抜けができる公道は、幅が3.5メートル以上、高さ3.5メートル以上、これは大人のフタコブラクダに騎乗し荷物を満載してすれ違えるサイズなのだとか。こう言った規則が事細かに法律になっているのだそうです。
 もっと細かい規則も写真も図面も満載の資料を見ているのですが、さっきちらっと見たら、はい? という言いたくなるような定価が書いてあって、なんでこんなん買ったんだ、と唖然としました・・・。
 また文中に噴水とありますが、これは現代人の感覚からすると五メートルぐらい水が吹き上がるようなものを想像してしまいがちですが、この資料に中庭の噴水として紹介されているのは公園によくある水飲み場のようなものです。おそらくいつでも喉を潤す事ができ、小鳥がやってきてそれを飲むようなものだと思われます。写真を見ている印象では、中庭というのは私的な公園なのだなあと、そんなふうに見えます。
 というわけで今回が1番シャビの街中が描写される回ですので、そのあたりに触れてみました。
 

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