CALENDAR
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< August 2017 >>
本家STORY FACTサイト
NEW ENTRIES
CATEGORIES
RECENT COMMENTS
  • GB解析 -NG- 新・鬼ヶ島 暗黒の化身を討て! 成功した理由が良く分かりました。
    hikali (06/27)
  • GB解析 -NG- 新・鬼ヶ島 暗黒の化身を討て! 成功した理由が良く分かりました。
    マイケル村田 (06/24)
  • GB解析 -NG- ルパン三世/灼熱の監獄島 なかなかドラマチックなはなしなのだが・・・。
    hikali (06/23)
  • GB解析 -NG- ルパン三世/灼熱の監獄島 なかなかドラマチックなはなしなのだが・・・。
    マイケル村田 (06/20)
  • GB解析 -NG- トップをねらえ! 燃えろ! 国際マシーン兵器大会!! 戦闘大会・・・。
    hikali (05/21)
  • GB解析 -NG- トップをねらえ! 燃えろ! 国際マシーン兵器大会!! 戦闘大会・・・。
    マイケル村田 (05/17)
  •  『あらしにあこがれて』15
    hikali (05/02)
  •  『あらしにあこがれて』15
    hikali (05/02)
  •  『あらしにあこがれて』15
    綴 (05/02)
  •  『あらしにあこがれて』15
    綴 (05/02)
RECENT TRACKBACK
ARCHIVES
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS
無料ブログ作成サービス JUGEM
 
管理人hikaliの開発の日々の備忘録です。
本家はこちら。
http://plaza.rakuten.co.jp/hikali/
<< 『あらしにあこがれて』4 | main |  ストーリーってなんだ! >>
 『あらしにあこがれて』5


 ルナは結局来た道を戻り、ラスペへ向かう。
 内海を通る航路はシドの首都経由だし、シャビはラスペの東方の東岸諸国のさらに向こう、大きな島国に全世界へのジャンクションがある。トランの浮遊船団が中継地点にしている商都だし、ラスペからの航路もある。
 そうなると、ぐちゃぐちゃと雨季が過ぎたばかりの泥の中を歩き、山塊を超えて、湿度の高い山道を歩くしかない。騎乗用の竜ぐらい用意すればよかったのだけれども、ルナは工房中のコストを管理している都合上、贅沢はできないのである。
「ニホには告白しなさいよ」
「またそれですか。興味ないんです」
 セレンは冷たい。
 正直ここまで言われると、どうしたらくっつけられるかしか興味がなくなる。
「ニホが言ってたわよ、セレンっていい名前だって」
「からかっているんですか!」
 うん。それしか興味がない。
「だって、ニホが言ってたよ? セレンの声が好きだって。コロコロと高いセレンの声が聞こえると、居ても立ってもいられないって。あなた普通に言えば、ニホに溺愛されるの。わかる? そういう意味?」
 シルバとのことを思うと、複雑すぎるのだけれども、いったいシルバはどう思っているのだろうと考えるのは、わたしには難しすぎた。
「お、お金がほしいんですか?」
「ど、どうしてそうなるの!」
「だって、ルナさまの仕事はそれじゃないですか!」
 たしかにわたしは、シルバからお金を絞ることを仕事にしている。それが唯一の使命で辛いことは否定しない。でも、わたしはシルバのお金がほしいわけではない。いや、欲しいというよりは全部強奪している。実行犯はわたしだ。
「たしかにさ、全部認めるけど、シルバに使う分は残そうと思っている。あいつから全部取ろうとは思わないよ、だって理不尽じゃない。だからダマスカス鋼の正体が知れるならばどこにでも飛ぶ。しょうがないでしょ? サウスの文献に書いてあるんだから、ダマスカス鋼って。一切の助けさえせずに、むざむざ金を生む鶏を殺すの?」
 セレンは考える。
「わたしにはわかりません。ルナさまは、高級すぎるのです。だってシルバさまを助けてばかりで、迫らないじゃないですか! 全部握っているのに、脅さないなんておかしいです! 好きなんですよね!? そんなにお綺麗なのに!」
 いろいろ図星を言われて、本音が出た。
「シルバは外見には興味ないの! それがいいの! わたししか見てないの!」
 わたしは自分を戦友としてみてくれるシルバがたまらなく好きだった。
 一緒に戦えている自分が幸せだった。
 セレンはしばらく立ち止まり、トボトボと歩を進めるルナを見た。
「あ、あの、ごめんなさい・・・」
「謝らないで。いつものことだから。こんなので心が折れてたら仕事にはならない、ラスペについてからが地獄だから、覚悟してよね。外観でしか評価されない世界は地獄だから。わたしは慣れてるけど」

 ラスペについてまず確認したのはトランの浮遊船団のスケジュールで、どうも数日後に大船団がやってくることが分かる。しかし、その船団はタルボットギルドで、トランの5大ギルドの中で1番こすっからいギルドとして知られている。
 もちろん重要な中継地であるシャビには寄港する。
 ラスペのタルボットギルド支部に、顔を出す。
「ああ、ルナさんじゃないですか! なにかお仕事ですか?」
「こんちわ! 久しぶり! 急用があってね、シャビに行きたいの。もう少ししたら、船団が来るんでしょ? 乗賃は弾むから、なんとか押し込んでもらえないかしら? 2人」
 トランのギルドの案内人はだいたいへらへらしている。
 精鋭は商売をしていて、ここにいるのは下っ端だからだ。
「50グロアでどうでしょう、二人分の乗賃ですよ? すいませんね、暴利でしょう? ギルドの規定の乗賃なんです」
 しめたと思って、突っかかる。規定料金を出してくることはじめから読めていた。
「あなた達はわたしたち以外の荷物を運んで儲けるんでしょう? たった、えーと、セレン、体重いくつ? ああ、たかだか100キロ未満が増えて、経費が増えるの? そもそもトランの技術は、わたしたちが再現するからいつまでも天下があると思わないでね? この際恩を売っておきなさい」
 これが有効なのは、わたしがお得意様だからだ。
 それで乗賃は12グロアになる。
 まだ高いけれど、シルバ様々である。いくらでもこれから稼ぐと有望視されると、交渉は有利になる。
 脚は確保しても、面倒は大量にある。
 兄の屋敷に帰ると、ばあやに取り憑かれる。
「ルナさま! 面会の依頼が殺到していまして!」
 手紙を受け取るとうんざりとした。だいたい想像つく面倒ばかりで、中でも一番面倒そうだったのはわたしに惚れている貴族で、だいぶ金があるので無下にはできない。
「会いますけど・・・」
「お嬢様、ご自分をご大切に」
 んなこと、わかってるよ。
「会うと言ったんです。そこで何をするかはわたしの仕事でしょう? どうなるかはわたしが決めます。それで不満?」
「いえ」
「じゃあ、黙ってて」
 ルナはその貴族との会食を設定して、とりあえず評判のいい料理人を当てる。
 シドに景色のいい名店はないけれども、だいたい格が高い料理人は決まっている。それに景色のいいロケーションを組み合わせる。あとはだいたい料理人がなんとかしてくれる。
 そこはオートマチックだ。
 たとえば蟹が好きだとわかれば、蟹だという。
 この客はよく知っているので、蟹で決まる。
 ただ、面倒な客で、新鮮な蟹しか好きでないのだ。
「新鮮な蟹蒸しでね、1時間以内の蒸しは禁止」
 なんで、こんなことをしているのだろうとはいつも思う。
「ルナさま!」
 さまと言うな! ばっちい仕事の棟梁みたいじゃないか。
「柑橘も添えたらどうでしょうか? お屋敷の料理人が長く考えていた提案なのです」
「それは、なにを言っているの?」
 ばあやはしばらく迷って、蟹肉に絞るのだという。
 しばらく考えて味を想像すると、だいぶ合っていた。
「じゃあ、柚子で。魚醤に合わせて。あとは料理人に任せるから」
 ああ、こんな仕事してしまっている。
 わたしはシルバのために、資金が必要だ。
 こんなに露骨な、資金集めを絶対にしたくない。

 金を配っている工房を訪れると、だいたい恐れられる。
「ルナさんじゃないですか! どうしたんですが?! なにかうちの工房に不足がありましたか?」
 不足はいくらでも語りたかったが、少しでも貢献できる目がある限りは無碍にはできない。わたしはその恐ろしく赤字を垂れ流れしている工房に用があった。
「電動モーターの発注をしたいの。とりあえず、試作用に2つ。発電用と動力用。モーターは作れるわよね? 大口の話になりそうなの」
 その工房主はいたく感動したようで、言葉を失う。
「利益はあなた達で研究資金に使っていいわ。全部あなた達のものよ。ただ初号機の性能で採用されるかどうかは決まる。うまく行けば数が出るから。最高のモーターを作ってちょうだい。繰り返すけど、これで研究資金を稼いで」
 ルナが巡っている稼げない工房にも、そこそこイケている工房はある。その失敗も含めて数百なので、だいたい良さそうな所はルナには見当がつくのである。
「十日後には仕上げてね! 忙しいの! ボーナス払うから! シャビに飛ばないとならないの。帰ってきた時に仕上がっているのが望ましいの。分かる?」
 その工房主はだいぶ覚悟を決めて、無言で頷く。
 こういうやつが信頼できるのだ。それから、ポンプ屋に立ち寄って、蒸気機関のポンプが失敗した話をする。
「あれは、駄目だったでしょ? 坑道で石炭をたくと坑道の酸素がなくなる。そうすると坑内の奴隷が死ぬ。だけど新しいポンプを考えたの。蒸気機関は坑外に置くの。それを発電機にして、坑内のポンプを動かす」
 ポンプの研究者はだいぶ考えたが、
「モーターはどうするんですかい?」
「さっき、バーナードに発注してきた。蒸気機関はわたしが作る」
 ポンプ屋は訝しげに聞く。
「それで利益は出るんですかい?」
 たぶんモーターが高い事を言っているのだ。
「それはわたしの仕事ね。高く売ってくればいいんでしょ? あなたたちが損するような取引はしない、だから安心して。それで得た利益をは全部研究資金にしていいわよ。こっちに上納する必要はない」
 これできっちりと金銭が合う。
 シルバに4割取られるのは厳しいが、蒸気機関を暴利で売って、それで賄えばいい。
 となると、蒸気機関はフルスペックの最上級を出さないとなあ。
 なんかいいネタあったっけ?


 えーと、事前の予定では、ほぼ全てがペネスでの事件になる予定だったのです。
 だけれども、予定されていたペネスでの竜狩りの様子を書くよりも、ルナとシルバがどんなふうに事業を進めているのかを書いたほうが楽しいな、となってしまったわけで、ラスペ編、シャビ編を書きたくなったのです。
 これは総集編の解説で書きますが、この中編はシルバを書くためにあったのです。
 それがあまりにもルナが格好良すぎて、プロデューサーとしてのルナに焦点が当たる形になりました。物語は生き物なので、企画どおりに進まないのは仕方ないと逃げたくなるのですが、ルナが予想以上に格好良かった、という言葉になります。
 ルナの生命力が意図していなかったのだけれども、あまりにも格好良かった。
 これだけのキラキラを見てしまうと、そこにカメラを向けるしかなくなる。
 小説家の多くが、小説は自由にならないと言うのは、たぶんこれなのです。

 ラスペに戻って、ペースが変わるのですが、たぶんここはマニアックすぎて分かりにくいのですが、生活のリズムが変わるんです。それを書いていて、あ、こんなに変わるんだと思いました。それが生き方のチェンジ・オブ・ペースになるんです。これはたぶん直感する人は少ない気がするので、書いておきます。


| 自作小説 | 23:01 | comments(0) | trackbacks(0) |









http://blog.story-fact.com/trackback/1195979