CALENDAR
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>
本家STORY FACTサイト
NEW ENTRIES
CATEGORIES
RECENT COMMENTS
  • GB解析 -NG- 邪聖剣ネクロマンサー イシュメリアの悪夢 やったことあるんだよね・・・
    hikali (11/24)
  • GB解析 -NG- 邪聖剣ネクロマンサー イシュメリアの悪夢 やったことあるんだよね・・・
    マイケル村田 (11/21)
  • GB解析 -NG- 新・鬼ヶ島 暗黒の化身を討て! 成功した理由が良く分かりました。
    hikali (06/27)
  • GB解析 -NG- 新・鬼ヶ島 暗黒の化身を討て! 成功した理由が良く分かりました。
    マイケル村田 (06/24)
  • GB解析 -NG- ルパン三世/灼熱の監獄島 なかなかドラマチックなはなしなのだが・・・。
    hikali (06/23)
  • GB解析 -NG- ルパン三世/灼熱の監獄島 なかなかドラマチックなはなしなのだが・・・。
    マイケル村田 (06/20)
  • GB解析 -NG- トップをねらえ! 燃えろ! 国際マシーン兵器大会!! 戦闘大会・・・。
    hikali (05/21)
  • GB解析 -NG- トップをねらえ! 燃えろ! 国際マシーン兵器大会!! 戦闘大会・・・。
    マイケル村田 (05/17)
  •  『あらしにあこがれて』15
    hikali (05/02)
  •  『あらしにあこがれて』15
    hikali (05/02)
RECENT TRACKBACK
ARCHIVES
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS
無料ブログ作成サービス JUGEM
 
管理人hikaliの開発の日々の備忘録です。
本家はこちら。
http://plaza.rakuten.co.jp/hikali/
<< 何の話だかよくわからないのだけど、たぶんタクシーの話。 | main |  『あらしにあこがれて』5 >>
『あらしにあこがれて』4



 わたしが初めてシルバにあったのは、薄暗い小雨の日だった。
 シルバは孤児院から引き取られてきた子供で、兄はシルバに炉を担当させるつもりだったよう。幼いわたしに知る由もないが、高齢の炉の主が徒弟を欲しがったのだろう。
 それで遠巻きに見ていたのだが、いつもあちこちにやけどの跡があったのを覚えている。かちん、かちんと鉄を鍛えるのは重労働だし、ひょろっとした子がいつまでもつのかと心配したのだが、おそろしい粘り強さがあって、結局は今に至る。
「あんた、いつまで続けるの? こんなの奴隷じゃない。文句ぐらい言わないの?」
 わたしがみかねてそう言ってしまったのは、世界をよく分かってなかったからで、シルバはしばらくわたしを見た後に、躊躇していった。
「ぼくは運がいいんだ。流行病にもかからなかったし、親方はぼくを実の息子だと思ってくれた。だからここが家だし、ぼくの家族はここなんだよ。炉の前なんだ」
 事実、この親方はシルバを実の息子のように自分の知るすべてことを仕込んだ。
 今になって思えば、シルバがひとり立ちできるだけのものをすべて植え付けようとしていたのだろう。ただそれは幼いわたしには虐待のように見えて、どうしても自分がどれだけ恵まれているかを考えさえせずに、ひどいことだと思っていた。
「あなた、ちゃんと給金もらってるの?」
「ないけどさ、住むところも食事もあるからさ、必要なことは全部もらえるんだ」
 シルバが卑屈に見えるのは、わたしが特権階級にいたからだと今は分かるのだが、それは少し大人になってから。いまになってはいかに間違えていたが分かるし、シルバはシルバなので、その作ってしまった関係を恥ずかしく思う。
 自分を消し去ってしまいたくなるほど。
 ただシルバは優しくて、どんなにへんてこりんなことを言っても、だいたい普通に受け止めてくれる。それがわたしを大胆にした。
 わたしが書いた、一通の文章で何もかもが始まった。(23)

 「クリフォードへの取材依頼」という名称で当の本人のクリフォードが語ることになるわたしの手紙は、ひかえめに言ってシドを変えてしまうほどのインパクトがあった。わたしはパルの実妹で、もうちょっと自分の影響力の大きさを考えたほうが良かったかもしれない。
 兄の高弟の、竜狩り用の銃を作る工房に見学に来ませんか?
 ルナとしては、どこに出しても問題のない工房であるし、もしかしたら幅広い週報発行者たちの人脈の中に資金の出し手はいないだろうか、と思ったのだ。
 あの脳天気な者たちがどうもこれは取材すべきだと嗅ぎ分けて、即座に記者がやってきた。出会うと素朴な印刷業者で、あの人たちはよくげらげらと笑った。食いつきが良かったのは工房の奇っ怪な機械で、これで鋼鉄の直管を作るのだと説明すると、同伴の銅版画家が素早く姿を記録していった。
 ドライゼ銃にはまったく触れていないのが片手落ちだったけれども、それは不幸中の幸いだ。このときにドライゼ銃を世の中に周知すべきではなかったし、爆発的にシド中に広まる恐れのある週報には載らなかった。
「わたしが担当になりました! 社主は別の取材に忙しいのです! ご勘弁ください!」
 それは元気だけはいい小柄な女の子で、はきはきとした笑顔が印象的だった。これがあのシド全土に支持されている週報の記者かとは思ったが、どうも野ばらのベストセラーを書いているのはこの子ではないっぽい。肩透かしだったし、本物に会いたくなった。このときはその社主が来るまでもないと判断されたようなのだ。
 仕方ないから塩レモンの特別に冷やしたものを出し、たぶん好きそうだとわたしが勝手に思って、はちみつをお好みで入れてくださいと添える。その蜂蜜が大好評で、何杯入れたかわからないくらい注がれて、恐ろしいほどの甘さになっているであろうと思われるカップの中身を想像して恐怖した、喉にはいいかもしれないけど。
 それでもこの蜂蜜ガールはまったく怯むことはなく、
「リラです。まず聞きたいのですが、この技術はシドをどう変えるのでしょう? 兵器の革新ですよね? となるとボルニアとの衝突をもう予定しているのでしょうか?」
「ま、まって……、なんで、ボルニアと戦うことになっているの? この工房の目的は、騎竜兵を増やしたい貴族たちの、竜を用意することなの。なんでこの技術を使ってボルニアと戦わなければならないの? 銃は人を殺すためにあるものではないの」
 リラはきょとんとする。
「だって竜を無力化できるんですよね? ボルニアを無力化できるんではないですか?」
 この言葉はたしかに本質をついていたが、飛躍しすぎている。
 そんなかんたんな話じゃないと言うことはできるかもだけども、この子はあさましいぐらいには積極的で、なんでも聞いてやろうと瞳をらんらんと輝かせていたのを見て、この子がなぜ銅版画家同伴で派遣されたのか分かった気がした。
 たぶんこの常人ばなれした、思考の飛躍がこの子の最大の武器なのだ。
 それで不意を打たれて、ついつい彼女ペースで取材が進む。
「ルナさんは、この工房の監督をしているんですよね? じゃあ、何がほしいのか教えてください。やっぱりお金ですか? それは理解できるのですが」
 それが以外はないだろうとは言わない。ルナには無数の研究資金で苦痛を味わっている開発者の姿が浮かんで、なんと言えばいいか考える。
「わたしは、わたしは配りたいの。どの研究も結果が出ないと切り捨てられるべきではないの。どれも大切だし、たったの3年で切られるべきものなんてたったの一つもない。それを守るためなら、稼ぎ頭を犠牲にする。一生償えないひどいことをしても」
 リラはまたきょとんとした。
「パルさんの工房には期待されている方がいるんですよ、だからちょっと見てきてもらえないかって。異例なんですよぉ、こんなこと」
 ルナにはだいたいのからくりが分かってきた。
(面倒な筋に目をつけられてるなあ・・・)
 資金の流れを見ていればだいたいそれがどこなのかの見当がついた。
「ルナ! あれ、お客さん? どうしたの? 出資者? あのさ、蒸気機関をルナに任せたいんだけど、やってくれるかな?」
 申し出は願いどおりだけれどもタイミングが最悪だった。
 遠ざけていたのに、面倒くさいのがやってくる。
「し、シルバさんですよね! クリフォード社のリラです! お会いしたかったんです!」
「は、はあ。」
 食いつく速度は猛禽のよう。
「る、ルナ? どなた?」
「週報の発行者・・・」
「ああ、すみません! 来てるなんて知らなくて!」
「いえ、構いません! 本来は社主が来るべきだったんです! それで話が見えないのですが、蒸気機関をルナさんに任せるとはどういうことでしょう?」
 シルバは、ようやく困難な状況だと察して、しどろもどろで説明をしようとする。
「あ、あの、ルナがシド随一の完全蒸気機関の研究者だとはご存知ですよね?」
 リラは戸惑う。
「そ、そこまでは」
「蒸気機関の研究でルナを知らない人はいません。今は研究に没頭できない状況なのですが、サウスの技術を見つけてくることの関しては天才です。ぼくもその恩恵に預かってますし、サウス語をネイティブに読めるのです」
 きわめて正確に表現されると、わたしはつまらない。
「だから、その専門家に発注するのがおかしいことですか?」
 リラはためらってから、白旗を上げた。
「どうも、役不足だったようで」
 愛想笑いを浮かべる。
 シルバはしばらく考えていたが、ルナの方を向き、
「香草茶を作れるかな? あれはとても美味しい」
 ルナが入れ始めると、シルバは改まった。
「ルナのほうが研究者として優れています。ぼくは本当につまらない方で、えーと、リラさんでしたよね? ルナの作るものを見て欲しいな。飛ぶようで、どう表現していいかわからないよ。神がかっているんだ」
 正直どう反応していいのかわからなかった。
 お茶っ葉を蒸しながら、香りを部屋に満たしていく。
 完全蒸気機関に関しては、たしかに自信がある。
 ただ、これは果汁酒じゃない。誰もを酔わせるだけの実力がない。
 お茶として注ぐと、椀が温まった。
 リラはそれを飲み、異国のお茶ですねと、満足そうに言う。
「おいしい・・・。こんなにおいしいなんて、ルナさんよりもすごい人は出てこないのですね」
「はい・・・」
 シルバはそういった。ルナは思いついて聞く。
「あの、リラさんは、もしかしたら知りませんか? 北方大陸を駆け回っていることですし、古いダマスカスって、現在の地名ではどこですか?」
 リラは不意をつかれて、うんうんと考え始め、しばらく考え込む。
「あー、いや、聞いたことはあります・・・、でもどこかは、うーん・・・、クリフォードさまなら即答すると思うのですが、えーと・・・」
 苦しそうに唸る。
 それから頭をかきむしって、やけくそ気味に言う。
「シャビです! たしか、シャビ史を読んだことがあったような・・・」
 自信なさげに言う。
 ルナは立ち上がり、シルバの肩を叩き、じゃあ、言ってくるから、と捨て台詞を投げる。シルバが唖然としているのをよそ目に、セレンに行くわよと声をかける。
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
 これはリラだ。
「間違ってたらどうするんですか!」
 ルナは気にもせずに、
「5%もあってたら幸運のうち。あなたはこの世の中が100%あっているとでも、思っているの? 幸運の神様は飛びつかないと逃してしまうのよ?!」
 セレンは律儀にも旅装を整え始め、案外この娘とは相性が良いのかもとさえ思えてくる。
「ラスペですか?」
「まずはね。そこからシャビへ!」


 ダマスカスは実はパオペラ(ゲームブック)の面々が飛ぶ先として用意してあったので、実はけっこうリサーチがされていたりします。ダマスカス鋼に関しては次回に譲りますが、シャビを舞台とした短編ゲームブックシリーズが4本用意されていたのです。
 まさかそこが生きるとは思いません出した。
 オスマントルコはイニチェリという鉄砲兵を親衛隊にしているぐらいの鉄砲国(わたしが参考にしている本では火薬帝国)なのですが、その版図にダマスカスがあって、必然的にダマスカス鋼が使われているのです。ダマスカス鋼の経緯は複雑なので、次回に譲ります。
 現状のダマスカスの破壊は悲しみを感じますが、日本という国にいると所詮部外者なのが、苦しいというか無力感は感じます。そこはダマスカスだぞ、価値が分かっているのか! と叫びたくなります。  資料で知っているだけのわたしは無力です。


| 自作小説 | 23:19 | comments(0) | trackbacks(0) |









http://blog.story-fact.com/trackback/1195978