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 『あらしにあこがれて』1


 山道の空が開けると、河が見えた。
 と、いっても、密林の大地を削る、激流のような大河だ。
 わたしはその崖下の眺めに一息をつき、やがて南の大河クローナに合流する支流の流れの見事さに息をのむ。
 強行軍だったから息も荒いし、汗もひどい。
「ずいぶんな、さ、流れじゃない?」
「雨季が終わったばかりですから、流れが速いんです」
 セレンはそつなく答え、ぬかるみの残る谷沿いの泥道を、ぐちゃぐちゃと歩いていく。
 底なしの体力というよりは、わたしがこもりすぎなのだ。
 おいていかれるような気さえして怖くなるのだが、この子は従事の仕事を果たすことに一生懸命なのだし、やっと追いついて聞く。息が荒い。
「きみはさあ、彼氏はできたの? ニホとはいい感じだったじゃない」
「興味ありません!」
 にやけてつつくと疲労困憊ながらも、だいたい元気が出る。
 軽薄なことは分かっている。それでも、聞かずにはいられない。
 シドの首都ラスぺから辺境のぺネスまで向かわなければならなくなったのは偶然の気まぐれで、そのときたまたま空いていたのが不愛想なセレンしかいなかっただけ。
 しかしこんなにも理不尽な旅程になるとは想像なんてできず、こんなになるんだったら軽はずみに行くことにしなければよかったと、ルナは後悔し続けることになる。
 ラスぺの兄の工房は大所帯で、国の大層なところから大量の資金を支援されている。
 ルナは妹としてやんごとなき立場にあることになっている。それでもやっていることは雑用で、研究らしい事に時間を使わせてもらったことはないし、実権なき重職ほど面倒くさいものはない。予算がないと言って誰もに不満をぶつけられるし、頭を下げてお金をかき集めてきても、誰もが見てみぬふりをする。
 実妹で、なおかつ高名ということになっている研究者なのだから、わたしに任せておけばだいたいうまく行くと思われている。それは一切の助けがないという意味だし、実際に手助けする者は、いない。
 正直わたしは疎まれている。研究資金が足りないのはお前のせいだと。
 だから人に使役されることには心底腹が立つ。
 だいたいこんな辺境くんだりまでわたしを必要とするなんて、なにさまのつもりだ。
 竜狩り都市で名高いぺネスは、ラスぺから数日の行程で、こんなジャングルのど真ん中に都市があること自体が間違っている。
「あー、もう、面倒なのよ! ぺネスになにがあるっていうの? あいつが稼いでいるっていう以外に用はないじゃない! あのめんどくさいやつが!」
「それは重要だと、ルナさまが……、」
「口答えするな! 面倒な仕事しか思い浮かばなくて不愉快!」
 ルナは立場上、多額の研究資金を貴族たちより託され、それを分配する重要な立場にある。
 ルナにしてみれば、研究資金は重要。
 そもそも兄であるパルがもっともらしい成果をあげられないのが問題で、その報告書に載るのはいつも辺境の天才。だから、わざわざこいつのために足を運んでる。
「なんで、あんなに情けないやつのために、来なきゃいけないのよ!」
 セレンは黙っている。
 数百人はいたはずの兄貴の愛弟子の中で、唯一食い扶持を稼げているのが、この憎たらしい幼なじみであることは否定しない。それでも、あまりにも野蛮すぎる場所じゃないか、ここは! ジャングルのど真ん中じゃないか!
 兄貴と銀頭が親しく話しているのはいらいらするんだけど、あの馬鹿はわたしなんかには興味がないんだ。

 ゆりかご都市と呼ばれるぺネスは、深い谷間に築かれた橋上にある。
 サウスの遺構の上に建っているというのだが、サウスが建造した、いまだにどうやって創ったのかよく分かっていない橋の上に、太守を置くほどの重要な都市がある。簡単に言えば、失われたこの大地から立ち去った超文明の遺構の上にペネスはある。シド全土で起こっているルネサンスは、その超文明を取り戻す運動であり、最強の文明国の地位を取り戻すことを標榜する運動なのだ。そのための金は惜しまない。
 サウスの巨大な遺構の上にあるセントラルを擁すラスペが首都であり、辺境のペネスが副都とみなされているのはそういう理由だし、それがルナには理解はできるけど、納得は行かないのだ。
 橋というのは両端があって、真ん中があるので、両端を強固な城塞にしてしまえば難攻不落の城塞都市になる。肉食獣脚竜だらけなジャングルにあってのほほんとしているのはそんな理由で、単なる大きいだけの橋上都市にも関わらず、周辺ジャングルの重要な物産の集積地になっている。唯一の安全な都市なのだ。
 入り口の城塞の幅は数百メートル。中央付近まで行くと幅1キロ近くになる、全長数キロの橋上都市がぺネスだ。
 城門を抜けると長い下り坂で、つり橋なのだから真ん中が低くて、なぜだかひろい。そのあたりは中心部というか山の手で、高い両端の方から見えるとその全貌が容易にわかる。
 まるで盆地を見下ろしているよう。
 数層の高層建築が建ってはいるが、さすがにラスぺの街並みと比べるべくもない。
 幌をかけた竜車が頻繁にすれ違うが、積んでいるのは高価な香辛料の類。岩塩、ターメリック、サフラン、ナツメグ、シナモン、胡椒。数え切れないほどのジャングルの産出物が集まるのが、ぺネスなのである。
「まだだいぶ約束の時間には早いのですけど?」
 セレンの言葉にムッとする。
 急がせたのはお前だろとは言わないが、約束より前につくことは悪いことではない。
「市へ行こうか。ちょっとおいしいものを探そう」
 東西に伸びるぺネスには北と南に市がある。南は特権階級の街で、庶民であるルナが向かうのは北の市だ。
 ルナにとって、ぺネスは慣れ親しんだ都市で、手を握ると心が急いた。
 それはシルバがいるということもあるのだが、ラスぺにはない食材の豊富さは目移りがする。まず第一に河口地帯にあるラスぺと、上流にあるぺネスでは川魚の肥え方が違う。激流を登ってくる川魚はだいたいが美味で、ラスぺでふらふらとしている魚とは違う。
 そしてさらに言うべきは、この魚を前提とした料理である。
 引き締まった川魚には、岩塩が合う。
 脂っぽい料理はいろいろと誤魔化しが効かせやすくて、香辛料をまぶすと何を食べているのかさえ分からなくなる。魚が食している苔の味までするのがぺネスの魚だ。
「お姉さん、活きのいいコウナゴがあがってるよ、どうかい? 美人さんだからおまけしとくよ?」
 いつもの売り文句だ。
「この辺で採れるの?」
「ああ、上のサンザ湖が豊漁でね、今が売り時なんだよ、溢れてるんだ」
 みると、菜種油で揚げているコウナゴで、岩塩をかけると確かにおいしそうだった。
「安くしとくよ」
「じゃあ、10尾」
「まいど」
 驚くほど安い値段でコウナゴを買って、こんなに食べられないからとセレンに分ける。
「熱いですね」
「揚げたてだから」
 二人でほくほくと食べると心が落ち着く。
 卵がおいしい。
 そんなことは考えていなかったのだが、市で売ってもらったのはメスばっかりだったみたいで、そのおいしさのほとんどが卵だったのではと思ってしまう。

 シルバの工房は、平屋のせまっ苦しい建物で、貧しい工房にしか見えない。
 これがシド随一の知恵者である兄の一派の研究資金のほとんどをたたき出している工房で、その実情をルナは知りすぎるほど知りすぎている。
 数人の弟子たちがふいごを踏み、あまりの暑さに汗をだらだらに流しながら、レモン水を飲んでいた。思わず鼻白む。その器を取って、飲む。それから言う。
「これ、塩入ってないじゃない! 味で誤魔化さないで! あんたたち死ぬわよ!」
 シルバは、わたしを見て開口一番に言った。
「ルナ、なに? なんできたの?」
「あんたのためでしょ! あんたの仕事は何? このぺネスで研究資金を稼ぐこと! あんたが望んだんでしょう! あんたは馬鹿なんだから、最新のサウスの書物が見つかったの。それを届けに来たわけ。あと塩。工房は炎で暑いんだから、汗で失った分の塩は取らないと駄目。この前、危なかった子がいたでしょ!」
 この幼馴染は自分の興味があること以外はほとんど興味がない。
 彼はおそらく我がないし、執着するものがほとんどない。
 だからその後の激動にも冷静沈着な振る舞いができていたのだろうし、名君と呼べる冷静沈着さもそこから生まれていたのだろう。でも我がない彼は、ほんとうに人なの? 彼には欲望がない。
 彼の寛容さを航海した人たちは、存分に自由を満喫したのだし、わたしでさえもありえないぐらいに許された。どうやってバランスを取っているのかさえ分からない、とりつくところのないふわふわしたクラゲが、シドをうまくまとめていたのだ。
 それがおもいのほか心地よくて、つい、つつきたくなる。
「そうだね。塩レモンにしよう。えっと、きみはなんというの? 初めてだよね?」
「セレンです」
 シルバは頭を撫でて、塩レモンの作り方を教えてやってくれ、と簡単に言う。セレンはわたしを見たのち、しぶしぶ頷くのを見て、工房の男の子たちに、号令をかけていく。
「いい子だね。きみが仕込んだのかい?」
「ルナでしょ?」
 シルバはしばらく考えた。
「ルナ、久しぶりすぎて照れるんだ」
「先月も来た! サウスの書物が見つかったの。あなたサウス語読めるの?」
「いやあ……、でもそれってさあ、翻訳して送ってもらえればいいんじゃない?」
「そしたら、わたしがここに来る口実がなくなるでしょ?」
 もごもごと言いながら、シルバは不承不承ながら納得する。
「じゃあ、読み上げるから、ちゃんと写筆してよね!」
 シルバはその横暴に耐えるが、すぐに速記ができる者を呼び、ため息をついた。



 えーと、いい加減に出さないとまずいなあと思っていたところで、とにかく強制的に出すことにした。この辺は固まっていたし、修正点があんまり見つからないところなので、単純に出してしまったわけです。ルナはけっこういろいろある子なので、どうしてこうなったと言われると、あー、ネタバレ絡むよね、となるのですが、無邪気な子なので、とりあえずいい子だなあと・・・。  たぶんこのシリーズ最強の苦労人ですw
| 自作小説 | 06:02 | comments(2) | trackbacks(0) |
新しい章、おめでとうございます。

巨大な橋の上にあるというペネスの都市の地理が一風変わっているのが面白くて好きです。

ルナはサウス語を読める数少ない人材ということでしょうか? 今回は読み上げることを口実にシルバに会いに来たのですね。

セレンとルナの2人だけでジャングルを抜けて来たとすると、セレンはなかなかやり手の登山家だったり?

パルは弟子が数百人以上というのはすごいですね。高名な壮齢の方なのか、あるいはラスペの工房が大規模なのか。

では今後の展開、ゆったり楽しみに待ってます。
| 綴 | 2016/12/31 12:03 AM |

 綴さん

 コメントありがとうございます。hikaliです。
 サウス語はだいたい上級研究者であれば読めるというぐらいの設定です。
 現代で言えば医者がドイツ語を読めるぐらいの感じでしょうか。魔術書のような特別な人にしか読めない言語ではなく、高等教育を受けていれば読める言語ぐらいの感じで思っています。
 ペネスの地形は、ジャングルですがシドの副都ですので、街道筋は整っているというつもりで書いていました。たぶん、ルナが弱音を吐くために辛い描写をしたせいですね(^_^; ルナからしてみると、常識の範囲を超えていると、横暴に暴れてほしかったのです。シド側のヒロインなので、波乱を産んでほしいのです。

 あー、パルの工房は基本的に失敗しているベンチャー企業だと思っていただければ。
 今だとどこですかねえ・・・。2000年当時のグーグルでしょうか(16年前だ・・・)。
 ポテンシャルはあるのだけど、金稼ぎができていない。
 わたしはだいたい、オイゲン・ディーゼル(ディーゼル・エンジンを開発したルドルフ・ヂーゼルの息子)の「技術論」がベースなので、すばらしいルドルフ・ディーゼルの言葉しか言えないんです。
 偉人です。
 尊敬します。

 これ以外の見解がないんです。

| hikali | 2016/12/31 3:16 AM |









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