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 作家性の相続はできたのか。フェリックス・フランシス「強襲」

 えーと、書評を書くのが数年ぶりなのですが(最新が2年以上前)、ちょっとこれは書かなければいけない小説に出くわしましたので、お届けします。

 多分ほとんどの方が、この作家のことを知らないと思うのですが、これからこの書評を読み始めると、お、なるほどと想うかと思います。また、このブログを長年お読みになっていただいている方には、ああ、ついにあれが来たのか(笑)と思う作品であると思います。

 フェリックス・フランシスは無名の作家であると同時に、有名な作家です。
 なぜかといえばフィリックスの父であるディック・フランシスが英語圏の冒険小説の名手として知られ、
 米国探偵作家クラブ賞 3回
 英国推理作家協会賞 2回(ただし1回は作家賞)
 受賞という、名だたる受賞歴を持っており、

 米国賞では複数回受賞は他に、2002年、2005年受賞のジェファーソン・パーカーと、2008年、2010年受賞のジョン・ハートのみ、
 また英国の作家賞に匹敵する、巨匠賞を受賞しています(つまり米国では4回受賞)。

 実は以前に触れていたりします。
 時系列順に並べると、

 ■作家性は相続できるのかの実験 ディック・フランシス「祝宴」
 http://blog.story-fact.com/?eid=858410


 ■もはやこれは最高傑作 え? 書いたのはフェリックス?
  [書評]「審判」ディック・フランシス&フェリックス・フランシス
 http://blog.story-fact.com/?eid=1085080


 と、これまで注目してわけなのです。
 しかし、残念なことに父フランシスが死去すると、日本のパブリッシャーであった早川書房が出版をやめるんですね(^_^; いやー、わかるんですよ。だって書いている本人に受賞歴があるわけでもないのですから。ただ、英語圏ではフィリックスの新作が出版されていく中で悶々としていたことはお察しください。
 ただ英語圏のパブリッシャーというかエージェントは、父の頃とまったく変わっていないのです。なので英語圏のディック・フランシスファンがフィリックスをどう思っているかはまったくわからないのですが、ついに動きました(笑)。

 少なくとも海外ミステリーの出版社としてはまったくの無名である、イースト・プレス社。この出版社がどういう交渉をしたのか、日本語翻訳権を得て、これまでのフランシス親子の訳者を使って新シリーズとして、出版を始めたんです。
 これがクレジットを見ると今年の2月になっているのですが、まさか再開しているだなんて思いませんから完全な不意打ちです。そして、このたび読み終わることができたということです。


 ■で、どうだったの? 読む上でポイントとなるところは?

 この作品は2007年に始まり2008年にピークとなったリーマン・ショックを受けて考え始めた物語なのではないかと思います。まあ詳しくはあらすじを読んで欲しいのですが、

 ファイナンシャル・アドバイザーのフォクストンは首の骨折で引退を余儀なくされた元競馬騎手。グランドナショナル観戦に出かけたところ、彼の真横で同僚のハーブが射殺された。どうやら彼はインターネットギャンブルに手を染めていたようだ。
 そんな折、フォクストンの同居する恋人の態度が急変し、別の男の存在が気にかかり始める。
 やがて投資の急な解約を迫ってきた騎手の顧客サールが何者かに襲われ、別の巨額投資に疑いを抱くロバーツ大佐は急死した。
 事件を追うフォクストンの元にも銃を持った暗殺者がやってくる。電話線が切断され、携帯電話も通じず、母と恋人を巻き込まざるをえない状況で――。

 父の死後、ひとりで書いた本作は本国でも絶賛された。フェリックス・フランシスによる新・競馬シリーズ、ここにスタート!


 だいたいの雰囲気はこれで異論はありません。
 ただ付け加えることがあるとすれば、けっこう後のほうで序盤に出てきた人物たちが実は重要だったということがわかるなど、そういう仕掛けに満ち溢れた、けっこう複雑なお話です。

 お話を楽しく読んでいくためには定石ですが、誰が犯人なのかを常に考えながら読んでいくと、序盤の謎、中盤のサスペンス、終盤の大どんでん返しが大いに楽しめると思います。
 あ、あとディック・フランシスを知らない方にですが、この作家の小説は競馬ミステリーと揶揄されるほど、競馬界を特に扱った推理小説を書くのが特徴です。これはひとえに、ディック・フランシスが元名ジョッキーであり(障害競馬)、その経験を元にして書かれた小説であるからです。
 元プロ野球選手が書いているプロ野球界ミステリーとでも言えばわかりやすいでしょうか。
 もちろん後期になるとどのへんですかね、「告解」(第33作目)辺りからこの作品は映画監督と、けっこうあちこちを取材して書くようになるのです。わたしはその最終期が一番好きというひねくれた人なんですが(^_^; まあ読み手にはいろいろな楽しみ方があります(と、言い訳しておきますw ちなみに一番好きなのは「不屈」)。


 ■良いと気付いた所

 わたしは過去にディック・フランシスを読んでいた時は、けっこうついていくのに一杯一杯で、細かなところまで見ている余裕がなかったのですが、今回読んでみて、案外さっぱり書いているんだなあと感じました。
 たとえばこの「強襲」は385ページあるんです。
 字詰を見ると20行×46字で、同じなので単位を逆にして、20字×46行=40字×23行で、わたしが標準にしている40字10行=原稿用紙一枚を基本で考えると2.3倍なので、385×2.3=885.5枚と、ああそんなにあるのか、とびっくりしてしまったんです。
 原稿用紙900枚弱です。
 わたしが今書いている「鉄鎖の次王の恋」でそこまで長くなるかもしれないと恐れている長さです(現状650枚強)。
 ですが、それをまったく感じさせないんです。
 それはおそらく、記述が簡潔であること、テンポよくどんどんと進むこと、あんまり突っかかるところがないことが原因なのですが、それにちょっと驚きました。なんというのでしょうか、うるさくないといいますか、読むじゃまをしない文章だなあと関心したのです。
 もちろんそれには、訳者である北野寿美枝さんの力量もあると思うのですが、だいたい母国語の書き手は訳者に迷惑をかけるものだと(わたしも含めて言葉を書く人は勝手なものなのです(^_^; )、わたしは思っていますので、そこまでの奮闘があったと考えるのは期待をし過ぎであろうと。

 もちろん、ディック・フランシス時代にも訳者との間に言われていたことがあるのです。
 それは確執があったという話ではなく、英語圏でのディック・フランシスの受け止められ方と、日本でのディック・フランシス作品の受け止められ方が違いすぎるとと言われ続けてきたのです。
 曰く、英語圏ではバイオレンス・サスペンスと思われていて、日本では都市の冒険小説と呼ばれている。格調が邦訳されたもののほうが高いんです。それはひとえにディック・フランシス作品を訳してきた、菊池光さんの功績だとされるのですが、菊池さんが死去したのちに引き継いだ北野さんにも思うところがあったでしょう。
 ただ、訳者は表現は変えられても、書いてある内容を変えるわけには行けませんし、台詞にしても意訳の範囲を出ることはできません。
 わたしはフィリックスの示した書き方を見て、息子が父の書き方の特徴をそこだと見ているのだと思ったのです。
 簡素に、事実ベースで、自分が主体の感情的な報告書のように。
 これに気付いて、まあ書き手に個人差はあって当然多様性なのでいいのですが、いつのまにかディック・フランシスを教科書にしているつもりが、もうちょっと感情的なぶつかり合いをメインに持ってくる書き方をしていたのだな、と思ったのです。
 閑話休題。

 フィリックスは、父は亡くなっているので、書いたのは彼しかいないのですが、思いの外、冷静に書いていますし(忘れてはならないのですが、これがフィリックスのはじめての単著です)、話の筋もまあバイオレンス・サスペンスに流れがちかもしれませんが、なにも知らない世界に放り出されて、とりあえず出版社が勧めるであろう所を書くことのどこがわるいんでしょう。
 ただ、この作品はフィリックスの心情がとても明確に出ているともいえます。
 それは最後の最後まで読んで、で、この作品のタイトルである「ギャンブル(英題)」はなになのかと考えると、ラストシーンのフォクストーンの姿が眩しくなってきます。
 

 ■悪いと気付いたこと

 さて、良いことを指摘したら、悪いことも指摘するのはセットです。
 これはつねに長所は短所なので、その悪い面を指摘するしかなくなるのです。そうでなければフェアではない。
 正直、英語圏のディック・フランシスファンがどのようにフィリックスを評しているかはまったくわからないのですが、たぶん来ている批評は、父とどう違うんだ! 丸々同じものを見たいわけではない! もっと違いを見せろ! ということではないかと思うのです。
 新しい物を見せろ!
 と。
 で、実際ご紹介しているこの「強襲」は2011年発行(たぶん12月)のものなので、その後、2012年、2013年、2014年とその罵倒には答えていると思うんですね。そこでどう変わっていっているかは、イースト・プレスから発刊される邦訳を見ないとわからない。

 わたしが端的に感じたのは、これではディック・フランシスファンの賛同を受けられないだろうということでした。
 それは質が劣るからではない。
 こうやってもっと良くなっていきますというロードマップが見えなかったからです。

 早川書房がリスクを取れなかったのはここなのかもしれない。
 そこに電撃的によくわからない出版社というのは失礼だし、わたしは客なので、確実に発刊情報が届くようにしてくれよと思うのであるが、まあ出版してくれるのはとてつもなくありがたい、こんな売れるかどうかもわからない著者の作品を。
 まずそこを感謝して、まあ、よい、2月を待ってます。


 ■ミステリーサスペンスなので、話しにくいところの数々

 当たり前なのですが、読む前からどういうお話なのかがわかってしまうと、面白さは半減です。ただ、非常に重厚で、あらゆる人物が予想もしていなかった形で物語で重要な役割を果たす物語であるといえます。
 これがディック・フランシス。
 そう思えることだけは、けっこう慎重に踏襲していると思いますので、まずそこだけは保証します。むしろ、フィリックスは(当たり前なのですが)父フランシス・オタクだなと思うような展開がしばしばあります。
 これは、あの作品の展開に似ているとか、個別具体的には、ビリー・サールと、マーティン・ギフォードと、ジャン・セッターの使い方ですね。それを頭に入れながら読むと、うは、ここで使ってきた! というだいぶ初出から離れているので衝撃をうけると思いますよ。
 これがディック・フランシス節です。
 それが狭い競馬業界の人間関係なんですね。

 さてさて、だいぶ書きすぎました。
 そろそろ終わりにしたいのですが、たぶんこれがフィリックスの意図であると思うし、わたしもそれに見事に不満はありながらもはまったので、最後の犯人はどうでしたか? と質問に答えたいと思います。

 冒頭25ページに、書いてある殺された書き置きの内容が、最後に重要になる。

 この答え方は一応フェアだと思う。
 もしフェアではないと言われたら、フィリックスのせいだ。
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