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<< 鉄鎖の次王の恋、の第一章ができた。 | main |  『鉄鎖の次王の恋』のチャプター1のリリースにあてて >>
鉄鎖の次王の恋 1.

 正直言いますと、こういう形はとりたくなかった。
 ですが、あまりにも、これまで配信に使ってきたパブーのインターフェイスがひどすぎることにさんざんに悩まされたので、もう、あんなとこで書かなくてもいいかと、思った次第です。
 正直言いますと、これを読んでほしい方は、数人しかいません。
 たぶん、後ほどbccksでは正式編集版を出すと思います。これはひとえに、それによって製本してくれるサービスを(有料)しているからです。これはちょっと感動品質なので(『死神の帰還』をオンデマンドプリントしてもらった)、もし書き手の方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひお試しください。

 さて余談がすぎました。
 早速行ってみましょう。


 『鉄鎖の次王の恋』


 1.

 ──イオは女の子なのに泣かないから、つよい子だね?
 そうやってあたしをあっという間に口説いたその青年は、自分をヴァンダル族の次王だと名乗って無防備な背中をみせ、泣きはらして放心していたあたしの腕をひいて連れまわし、帯剣を許して側近として扱うようになる。
 ──あたしに? できる? かな。
 ──できなければ、いつでもやめろ、イオ。無理強いはしない、追い出しもしない、好きなだけいつまでもそこにいればいい。
 放り投げるように言う。
 その剣を、宙に投げた短剣を受けとると、ちのりのにおいでずしりとした。
 それがこの青年との馴初め。
 あたしはその短剣を抜き、背に突き刺すようにして、広い背中を追いかけるようになる。あたしが文字を書けると知ると次王は嬉々として、すぐさま高価な筆記具を揃えて与え、自分の言葉をそっくりそのまま記録させようとした。
 ──おれが王になるならばその言葉を、ジャングルは知らなければならない。
 蛮族の王にしては珍しく、読み書きに通じている次王は物知りで、あたしを腹心で学友であるかのように扱って、議論を好んで吹っ掛けた。
 勇猛というよりは狂気にちかい部族を率いるこの青年を、ボルニアの諸族長たちは族名をつけずに、単に次王と呼ぶ。
 ヴァンダルの戦士たちの王。
 凄惨な抗争を乗り越えて、ボルニア全土の兵団を率いる次の王と諸族の長たちが青年を認めるのは、怒り狂ったヴァンダル族を敵にしてまで、ほかの王を立てようとする者がないからにすぎない。青年のほんとうの価値を知るのはごく僅かな側近たちに限られ、側近たちのあいだの信奉に近いものさえも、次王への忠誠と呼んでよいのか、ほんとはそんなことは誰にも分からないのだ。
 あたしを含めて直属の精鋭たちの間にヴァンダル族の者はわずかしかなく、実際のところ次王の号令に、あの狂気の部族が従うかは定かじゃない。それでも側近たちと、あの思いあがったお利口なろくでなしは、自分たちが動けば世界は容易に降伏すると信じきっていた。
「イオ、エストの騎竜兵団の動きはどうか。斥候からの伝文はまだか」
 顔を上げ、その広い背をみる。大声で叫ぶ。
「そろそろ、来る頃かと」
 疾走する大型獣脚竜の鞍から腰を浮かせ、右手を空に掲げると、短い赤毛が風になびく。上空に視線を向けると、寒空の低い雨雲の間に翼竜たちの姿がちらと見えた。
 北方の豊かな湖水に抱かれるエストは、ジャングルの蛮族であるボルニアの兵と竜には、すこしさむい。それでも血塗られた牙に飲み込まれた弱小国――水郷ザブンテからの行軍は迅速かつ長距離とあって、疾走に躍動する竜の背は湯気をあげていた。
(竜が息をあげるなんて)
 はっはと荒い鼻息にイオはびくりとする。
 たしかに次王が騎乗する竜は、特別に優れた竜というわけではない。
 そもそも戦闘的で凶暴な肉食獣脚竜は、戦場毎の消耗と損傷が激しいし、とくにボルニアの兵団は竜を消耗品のように乗り捨てられることで知られる。
 ボルニアを巨大な侵略国家にのしあげた『鉄鎖操竜法』は、初歩者の騎乗を容易にすることに特徴があり、慣れない竜と騎竜兵であっても、騎乗者の意のままに竜を操るのに適しているからだ。狂戦士たちの王ともなれば、騎乗する竜の一頭や二頭の損傷など気にも止めないだろうし、次王の気性からしても竜の扱いが荒いことぐらいは、容易に想像できる。
 竜を乗り捨てることは日常。
 それでも代わりに用意される竜はどれも大きく、若いものが選ばれ、それは鉄鎖兵団の竜の中では優れた部類に入るはずだった。
「イオ、どう思う? アイギスの連中は籠城か、それとも会戦か。その……、」
「聖楯騎竜兵団」
 この青年は覚えようとしないものをまったく覚えない。
 あたしは態のよいメモ紙か、覚え書きだ。
「籠城戦はやっかいです、湖都アイギスまでの間によく知られた大城塞があるのです、籠もるならそこでしょう。それにアイギスは湖上の群島からなる、難攻不落の要害で、エストの重装騎士団は諦めが悪いんです」
 次王は不機嫌に鼻を鳴らし、傲慢な鋭い視線でイオを射抜いた。
「ならば、会戦にしよう。アイギスまでの間に一戦したい。完膚なきまでに叩きのめす。いいな、それで」
(会戦にしよう、って……?)
 質問を投げかける間もなく、次王は頑強な背中を見せる。
「全軍ただちに全速前進、第二軍は全騎われに続け、少しも遅れるな! イオ、聞こえたか! 信号弾だ! 青色三発、軍旗を掲げよ! 王旗をはためかせろ!」
「ま、まだ、斥候からの連絡が……」
「イオ、二度も言わすな、信号弾をあげろ!」
 すぐさま甲高い笛の音が鳴り響き、次王の周囲で紅い軍旗が翻る。
 有翼の大型獣脚竜を象ったヴァンダルの旗で、王旗というからにはそれは「率いる第二軍」を指す旗ではなく、「率いる王」を指す旗なのだろう。あたしは迅速に動く側近たちに急かされるように、信号弾の筒をにび色の空へと向け、青色を込めた。
(青色三発?! 全速襲歩の合図じゃない?!)
 襲歩命令は、いわば突撃命令である。
 敵陣を急襲するならともかく、対陣もする前から下す命令ではない。そもそもエストの騎士団が堅固な城塞に籠もれば、襲撃戦速の襲歩はほとんど意味がないし、ザブンテを蹂躙した次王の第二軍の名はアイギスにも轟いているはずだった。
 それでもためらいは感じなかった。
 あたしにはその青年がどうなろうと根本的には興味はなかったし、ヴァンダルの次王がエスト攻略に失敗すれば、お役ご免とばかりに次の次王が立てられるだけだから。
(王にふさわしいと証明したい?)
 失敗したければ失敗すればいい。
 次王の命令は単純明快で誤解のしようがない。
 その意図がどうであれ、配下の騎竜兵たちに実行不可能な難解な命令をしている訳ではないし、その結果がどうなったとしても、そのすべての責は王が負い、配下の兵が咎められることはない。
 発火すると、三発が空に昇る。
 後戻りがまったくできなくなる。
(襲歩突撃……、こんなばかげた、)
 イオは周囲を見渡して、あらゆる部族からやってきた精鋭たちが、それに従っていることに驚きをもつ。大地を地鳴りさせる大型獣脚竜の一斉突撃は、確かに迫力は満点で、急襲は確かにアイギスの重装兵団の不意を突く。あわてて言う。
「数が、ついてきている者はわずかです!」
 次王は振り返ってふっと笑った。
「貴公は、ザブンテの渡河作戦には帯同していなかったのだな。かの国のスカイ河防衛線を破った戦いだ」
「え? ええ、まあ。帯剣も許されていませんでしたし、」
「スカイ河の作戦は成功した。それでも信じられないというのだな?」
(き、貴公?)
「いえ、めっそうもない」
「イオ、説明が欲しければいくらでもしよう。王のことばはいくらでも伝えられるべきだ。イオは王のことばを書き記すことができる。それも戦場でだ。イオの文字は王命だ。おれはそんな軍令ではなく、歴史を書いてほしいのだ、わかるか、イオ」
 脂汗がにじむ。
「そ。それほどの力は、わたしにはありません……」
 次王は怖い眼でにらんだ。
「おまえを決してバカにするな、イオ。それは許さん。おれが選んだ。何の不満がある? 世界を制することができると信じなければ、おれたちはジャングルの肥やしとなるんだ、イオ。いのちを預ける相手を簡単に選ぶと思うか?」
「いえ」
 これから起こるバーラルの会戦は確かに著名で、のちにボルニアの次王という化け物じみた戦上手がこの世に存在していることを、誰もが思い知ることになる。
 スカイの渡河戦が前哨戦ならば、アイギス攻防は誰の目にも明らかな証明。
 信じられなかったことが誤謬だというのであれば、いくらでも謗りを受けよう。
 シドを率いた死神リニーの砲兵兵団との大決戦をことごとく打ち破る鮮やかな手並みを、死神が「化け物」と称する鉄鎖の次王の腕前を、まさかこのとき、この目で見ることになるとは、信じることはできなかったのだ。
 それを誤謬というのだろうか?
 アイギスの攻防戦において、ボルニアの次代の王はヴァンダルの青年に決した。
 数週間に及ぶ長い長い戦いの結末が、ヴァンダルの狂気で化粧した新生ボルニアの誕生だった。
 古代の英知を脈々と受け継ぐエストを掌握したことで、ボルニアは南の産業交易強国シドと戦うだけの資格を得たのであるが、そのシドを率いる死神リニーでさえ、この次王との戦いは避けるようになる。
 シドが弱いわけでも、国内がまとまらなかったわけでもない。
 それどころかボルニアに飲まれた国々の残存兵力を結集し、鼓舞し、シド建国の女王の再来とたたえられる天才的な傑物が、全指揮権を掌握していたのである。シドにとって致命的な、絶大なカリスマを有する戦上手がボルニアに誕生したのは、だれも想定していなかった奇跡だ。
 鉄鎖の次王と生涯呼ばれることになるこの青年は、とても楽しそうに、鼻歌まじりに、古代語の戦術書を読んだ。そこには砲兵の戦術が書いてあったし、リニーが知識で先に行くのを防いでいたし、むしろ次王がシドを率いた方が強かったのではと思う。
 この鬼神を中心に新生ボルニアは誕生し、そして度量の広い次王の配下を目指して、ボルニア全土の諸部族から癖のありすぎる傑物が集結する。
 それはエストを絶望の底に叩き落とすことになるが、次王がもっとも欲しがったどころか恋をしていた、エストのアテナイス姫でさえ、ジャングルから湧き上がってくる人材の数々に絶望したのだ。
 アイギス攻防戦はそういうものだった。
 だれもがボルニアの真の力を発見し、震えあがった戦いだったのだ。

 北方の湖都周辺にしては珍しく雷鳴が響く。
 驟雨になると分かっていたのではあるが、次王は意にも介せず聞く。
「150騎はついてきているか? それだけあれば十分だ。エスト兵は何千騎あるか」
「2000騎はあるかと」
 心配事があれば、それは伝令で飛ぶ翼竜の翼を湿らせないかという事だったのだが、次王は鼻で笑う。
「ならば攻めよう。わが軍は精強である」
 正確には、次王のじょうずであるのだが、それは率いる精鋭軍がなければ達しえぬ上手だった。上空をみると、雲間に斥候の伝文が届き始めていた。それに手を伸ばすようにして、甲高い笛の音を響かせる。群がるように数十の翼竜たちが急降下をはじめ、その足首に結いつけられた伝文を掴み取っていく。
「べロアは左翼です。山岳を遠ざかっていると」
「べロア?」
 あわてて補足する。
「聖楯の遊撃です」
「韋駄天べロアか。背後を突くつもりか? スカイは渡ったか?」
「いえ、まだ」
 次王は、顎に手を当て黙考する。
「間に合わんな。足場も悪くなる。こちらの背後もつけないし、後方にも回れない。次!」
 次々と急降下する翼竜の伝文を開き、それを大声で次王に伝えていく。そのたびに次王は短い判断を下し、全体の作戦を緻密に立てていく。その手並みには息をのむほどで、読み上げる喉が涸れていくのさえ、遅々として進まない腹立たしいもののように思えた。
 全てを読み終えると、次王はひとりごちた。
「勝ったな」
(勝った!?)
 2000騎の精鋭兵団さえないものとするよう。息も絶え絶えに首を上げると、不敵な笑みに衝突した。次王は軽く肩をまわし、翼竜とその先にいる斥候たちに感謝のことばを呟く。
「イオ、紫色一発、信号弾を上げよ」
 静かな言葉にためらった。
 全軍停止。
 意図は明らかで、作戦伝達後に一斉突撃が始まる。
「ま、まだ」
「斥候はやってきた。これ以上の何を望む? 敵の失態か? 失態に勝ちを重ねるのが正しいのか? イオ。おれはお目こぼしを貰わないと、勝てないのか?」
「い、いえ」
「ならば撃て。この戦は勝った。これからそれを全軍に伝える」
 正確に言えば、次王の狂気じみた全軍襲歩についてきているのは150騎ほどで、その程度では2000騎のエスト兵を破るのは不十分なはずだった。
 いくら精鋭と言っても、わずかに150騎。
 これがのちの、次王の150将と呼ばれる無敵の近衛兵団の中核になるとは、さすがに分からなかったことに、どのような許しを請うたらいいのだろう。
「紫色発弾!」
 反射的に、砲身に信号弾を込め、そこに火をつける。
 紫色の煙が空高く昇っていき、次王は竜をとめた。
 息を切らした竜たちが次王のちかくに集結し始め、アイギスに背を向け丘の上からそれを見下ろした次王は、くっくと笑った。
「また、おまえたちか、懲りない奴らだ」
 次王はするすると竜を降り、大地に立って、集結した者たちをつぶさに見た。
「ヴァンダルのウルギリス。お前はおとりだ。ウルギリス、勘違いするな、おまえは重要で、きわめて危険だ。それで、最も危険な任務をおまえに課す。バーラルの城塞の背後を突くふりをしろ。そして生きて帰れ。それ以外は一切許さん」
「はっ!」
「おまえは3騎だ。ヴァンダルの3騎を連れよ。それ以上は許さん。3騎で200騎を貶めよ。やり方は任す。わかっているはずだ。城塞には200騎は残る。それがお前の相手だ。おびき出せ」
「はっ!」
 満足そうに次王は集結しつつある150騎の間を歩き、充分に戦術を練っていく。
「ニジェール! お前はロゴス族だったな」
「はい」
「では、ヴァンダルの残存を率いて、左翼を任す。遊撃だ。ロゴスの戦士を加ええれば20騎にはなるか?」
「おそらく」
「伝令を密に飛ばす。それに従って自在に戦え。おまえが左翼の将だ。スカイを渡河して背後にまわれ」
「はい」
 おそらくスカイ渡河戦でそれぞれの将の適性を見抜いているのだろう、次王は事細かにそれぞれの役割を告げ、たった150騎で数千騎のバーラルの野に布陣するであろうエスト兵への対策を命じていく。そして、至上命令は死ぬことは許さないという事だった。
 そもそも、騎竜兵同士の戦いというのは、互いに竜を攻めることになるので、騎乗する騎竜兵が死ぬということは、なかなかにありえない。
 それを覆すのは、シドの砲兵兵団による狙撃戦術であるのだが、アイギスには砲兵はないし、そもそもその戦術が可能だったのは、死神リニーの砲兵兵団が天才的なライフル使いを主君にしていたからだ。
 しかし、それさえも、この次王のもとに完全に破られる。
 次王の機動戦術は射程に入る前からの、迅速な突進により、射手の狙いを定める時間を与えない戦術だった。そもそも騎竜兵は竜の背に乗るので、射撃陣を乱せば狙撃される可能性は極めて低くなる。
 次王と死神の戦いは、そのような細かな戦術のレベルにもちろんとどまらない。
 次王の大転換が、死神を敗者に追い込むのである。
 それはまた別の話であるし、今はそれを語るまい。
 ボルニアには、ぜいたくすぎるほど充分な王であったと、それだけ話せば十分な気がする。そして、それはアイギス攻防戦で証明される。


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