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 「ウォール街のイカロス」書評後編

 えーと、みなさん、お元気でしょうか。わたしは外来でいろいろ病院に行かなければいけない状況になっていますが、たぶん元気です(たぶん、たぶん、たぶん・・・)。

 さて、なにやら、どっかで途中で投げ出したエントリーがあったなあと思い出し、あんまり放置しておくと、たぶん何を書こうとしていたか忘れる気がするので、なんとか復旧しようとしている次第であったりします。

 本日は、バートン・ビッグス著の「ウォール街のイカロス」という金融小説の紹介の後編です。
 本書は、わたしが「百年に一度の危機」と呼ばれたリーマンショックを発端とする金融危機を読み解く師匠として尊敬していた(すでに故人)バートン・ビッグスの著作です。
 本人は長らくウォールストリートのど真ん中(モルガンスタンレー)で定年退職までトップを張っていたストラテジストで、引退してヘッジファンドを運営するかたわら、死ぬまでに小説を書きたいと、いくつかの著作を執筆していた方です。

 わたしは、小説を書く人として、小説を書きたいという情熱を持っている方には、とてつもなく甘い人なのですが、本書が出たのを聞いて、バートン・ビッグスさん、ついに念願の夢をかなえたかと感慨深くなってしまい、この感想を書いていたりします。
 本書が、バートン・ビッグスの最初にして最後の小説。
 その白眉のパートを紹介することで、より多くの方が本書を手に取ってもらえれば、と思う次第です。わたしはこのパートを読んだ瞬間に、バートン・ビッグスが何を書きたかったかがわかった気がしましたし、それはわたしが書きたいものでもあるのです。

 つまり、世界はどのようにして崩壊するのか。
 それはどうして起こるのか。
 なぜ、ローマ帝国は滅びたのか、ギリシャはなぜあれほど短命だったのか。

 あの危機を、最前線で見ていた最高峰のスペシャリストの見解を読んでみようではないですかというエントリーなのです。

 「ウォール街のイカロス」のこの大崩壊の理解のパートは、本書の主舞台となるヘッジファンド、ブリッジストーンの共同経営者にして、運用担当のオタクであり天才であるラヴィンの言葉として語られます。
 リーマンショックですべてが崩壊したのちに、それは何だったのかを語るシーンなのです。
 より正確には、アメリカの不動産バブルの崩壊はどうして起こったのか、なのです。
 システムの崩壊をとても精緻に語っている部分なのです。

 ちょっと、その天才の言葉に、耳を傾けてみましょう。 



「で、君たち、どう思うかね?」。ラヴィンが尋ねた。
 二人は自分たちのモデルが心配だ、自分たちをとり囲む混沌が不安だと話した。
「物事があまりにも速く進むので怖いぐらいだ。こんなのは誰も経験したことがない」。ラヴィンは考えながら話した。「何が怖いって、高度に複雑な適応系のシステムは――帝国、世界経済、それに金融市場も――長期間にわたって生産的な均衡をもたらす働きをすることがある。しかし必ず、突然に、些細なショックでそんなシステムが崩壊し、考えられないスピードでつぶれてしまうんだ。ローマ帝国、明王朝、オスマン帝国、ブルボン朝を考えてみろ。世界を変えた第一次世界大戦は、無名の大公が暗殺されたのが発端だし、第二次世界大戦後に起きた大英帝国の突然の解体だって、ソヴィエト連邦の崩壊だってそうだ。そんな崩壊のどれもが、完全に思いもよらないときに、突然起きた。後から見ると、そのきっかけはその当時はたいしたことない出来事で、それがシステム全体を取り返しがつかないところまで傾かせた。複雑なシステムは耐久性があり、それでいてとても脆いんだ」

 ラヴィンはちょっと間をおいて二人をじっと見た。「世界という複雑なシステムを、たぶん致命的に崩壊させたのは、手の届かないものをサブプライム住宅ローンで手に入れた数百万人と、ずる賢いでたらめで世間を手玉にとった数百人の投資銀行員だよ。人間の知能自体が複雑なシステムなんだ。で、それが、どうしたって? 君らの大事なモデルも複雑なシステムだ。君らはそんな複雑なシステムで別の複雑なシステム、つまり金融市場を解読しようとしたんだよ。両方が同時にぶっ壊れたってことだな」
 ジョーとジョーンはラヴィンをじっと見つめた。ラヴィンは核心を突いていた。しかし、彼の言葉はあまりにも奥が深すぎて、あまりに恐ろしかった。
「神のお望みのままに」。ラヴィンは踵を返してオフィスから出ていった。


 わたしは、小説を書きたいと思いながら、実際に書いてきた人ですが、そのベースとして、ギリシャ・ローマ史に始まるいくつかの歴史書を読んできた人です。

 べつに読まなければと使命にかられたわけでもなく、とりあえずとっかかりとして読んでみたヘロドトスがあまりにも面白くて、中毒的に歴史書を読みまくることになったのです。ブルターク、ツゥキディティス、スベトニウス、カエサル(ガリア戦記)、あとはなんでしょう、塩野七海はほとんど読んでますし、タキトゥスはあんまり好きではない、とかそんな感じでしょうか。あとはさりげなく、ゲルハルト・ヘルムとかおススメだったりします。

 えーと、なんの話だったかw


 そうそう、わたしは小説を書くために、そのネタ元として歴史書を読んでいた、という話なのですが、ミイラ取りがミイラになったという、わかりやすくはまってしまった人なので、なかなかにわたしからしてもあんまり信用できない人なのです。
 じゃあなんで、歴史書を読んでいたか、という話になると、それをパクるため、と非常に利己的な話が出てくるのです。

 卑近な話になるのですが、わたしが書いていた(書いている)小説として、「野ばらの諸侯シリーズ」という産業革命を取り扱った話のことを話しましょう。これは世界の崩壊と再生を、つまり簡単に言えば、産業革命の時代で起こった、中世の崩壊と近世の勃興を描こうとしたのです(正確には、書こうとしているのです)。

 産業革命と言いますと、封建的な中世から、近代国家へと転換していく歴史上の節目になるのですが、そこで何が起こったのかを考えるのはわたしにとってはとても楽しいことなのです。リーマンショックの過程を中毒的に如実に追うように、この過程は知的好奇心を刺激されて、仕方ないのです。
(百年に一度の危機をわたしは特等席で存分に味わいつくしたぞ。羨ましいだろうw)

 仕事柄、特許法という産業の根幹となった法律分野を仕事としているのもありまして、この辺りは、わたしにとって、本当に興味が尽きない分野なのです。

 しかし、歴史書を読めば読むほど、たいへんな波乱が歴史上起こったことが記されています。あまり変動がないはずの古典時代でさえ、下賤なことを言えば、ネタには一生困らなそうなほどの、激動に満ち溢れているのです。
 ギリシア時代なんて、技術革新もほとんどないし、ローマ史に至ってはキリスト教に浸食されていく歴史なので、はっきり言って、何もないのです。自壊がただただあるだけの、たぶんそういう人はほとんどいないと思いますが、愚かしさしかない時代です。

 ローマ帝国滅亡史を書いたギボンは、そのあまりの研究の充実ぶりにビザンツ帝国の研究が一世紀以上停滞した、とされるほどの歴史家なのですが、実際に滅亡史の中で、どうどうと、あまりに退屈で、この歴史を追うのはたいへんに苦痛なのだが、といったような趣旨の言葉を記します。
 ですが、その実を見れば、何本でも映画が作れてしまう、というか、小説の元ネタにできそうな事件に満ち溢れています。

 たとえば、ギリシャ史における最大の政治家と言えばペリクレスですが、塩野七海をしてこれほど格調高い演説ができる政治家を持ったアテネの黄金期をその危なさを(僭主的なので)指摘しつつ、在りし日の最高峰と位置付けています。

 しかし、そのペリクレスも晩年は無残なものでした。

 異国人の娼婦にほれ込み、その間に生まれた子にアテネ市民を授けるよう、懇願して回ったが、最終的には政敵に敗れて、散々な老後を送ります。ペリクレスでさえ、あんなにひどかったというのは難しい問いですが、なぜそうなったかを書くのはたいへんに難しいことです。

 ウォール街のイカロスは、それにびびっとに解答をくれます。
 つまり舞い上がって、失墜したと。
 ちょっと簡単に書きすぎました。
 ですが、失墜なんて見たくないですよね。
 でも、それが歴史なので、歴史をベースに書いている以上はどうしようもないのです。


 翻って日本史を見てみましょう。

 戦国時代の三英雄と言えば、信長、秀吉、家康、ですが、この中で余生を過ごすことができたのは家康だけです(秀吉は、結果的に大坂の陣で滅亡させられた)。

 これは、ギリシャ・ローマ史をひも解くと、もっとすさまじい惨禍を読むことになります。

 たとえば、ギリシャ史の英雄の第一は、ペルシャ戦争で大ペルシャを破ったテミストクレスです。彼はアテネの軍隊を陸軍中心から、海軍中心に大転換を行うのですが、結局は、アテネから陶片追放で追放される憂き目にあい、最終的にはペルシャに泣きついて、ペルシャに亡命します。ヘロドトスの著書「歴史」はこのペルシャ戦争がいかにすごかったかを書いた本なのですが、その総勢300万騎という大軍勢を、テミストクレスは破ったことになっています。

 大幅な誇張があるとされている史実ですが、テミストクレスはアテネを陸軍中心から海軍中心に、かなり詐欺くさい方法を使って転換した人であったりします。それがサラミスの海戦で実を結び、結局ペルシアの補給網を絶つことになるのですが、このやり方は、いろいろ問題があるだろうと思えてくる内容です。

 また、デロス同盟という、ギリシアのアテネ中心の大同盟を作るのですが、これも、かなり詐欺に近く、ギリシア各国に支配的な体制を作り上げます。結果的にそのやり方が反発を招いて、スパルタ中心の大戦争(ペロポネソス戦争)に発展し、以後、アテネは衰退していきます。

 (この経緯は、トゥキディティスの「戦史」に詳しく記載されている。ちなみにギリシャ、ギリシアと表記ゆれが気になる方もあるかもですが、これは拠っている原典の記載に準じていて、原典が表記ゆれしているので、どうしようもないのです。古い本(ギリシャの当事者が書いた本)はほとんどギリシアです。また、アテネはアテナイです。さすがにわかるだろと思って並列して書いているのですが)

 また、この当時台頭してきた、海洋民族フェニキア人とのシチリアをめぐる戦いも勃発し、大ペルシャを打ち破ったアテネの海洋覇権はあっという間に崩壊していくのです。わたしも、アテネサイドの歴史書を読みつつ、ぼこぼこにされているのを見て誰と戦っているんだとびびったのです、あまりにも相手が強かったので。誰と戦っているんだと。それが別の書籍でフェニキア人だったと知って、びっくりしてしまったほどです。

 ちょw フェニキアと戦ってるしw

 フェニキアの海洋民族としての優秀さは折り紙付きだと思うのですが、その後、カルタゴに本拠地を移して、ローマに滅ぼされるまで、最強の海洋民族と言えばフェニキア人でした。
 ようするに、ギリシャ文化を生んだアテネは、あっという間に滅ぼされていくのです。
 簡単に言うと、当時のフェニキア人は異次元の強さだったんです。それこそ、アトランティス人の末裔ではなかったのかと、大真面目に語られるほどです(この辺は、ゲルハルト・ヘルムに詳しく書かれています)。


 こういったことは、歴史書を読むと、当たり前のようにあちこちに書かれています。
 たとえばローマ皇帝と言いますと、五賢帝あたりが著名だと思うのですが、そこに至るまでのローマ皇帝の結末は目を覆いたくなるほどで、ネロをはじめとして、暴君が暗殺されて死ぬ、みたいなことが大量に出てくるのです。
 まずはカエサルが暗殺されたのを筆頭に、アウグストゥスとティベリウスを除くと、だいたいが暗殺されます(ティベリウスも結構ギリギリな退廃的な生活をしてますが)。

 正確な統計をとったことはないのですが、皮膚感覚的には100人の皇帝のうち、80人ぐらいは暗殺されて死んだ、というのがわたしの感覚です。それぐらい、統治機構が崩壊しているのが、ローマ皇帝なのです。

 なのでわたしは、権力というものは、興隆と滅亡を絶え間なく繰り返していくのだと、英雄物語としてはしごくありきたりで、おもしろくもなんともない結論にたどり着くのです。よっぽど、平家物語の「驕れるものは久しからず」のほうが格調高いと思ってしまうほどです(ただし、それ以前の300年にわたる源平の抗争史とかを読むと、あまりに殺伐としていて幻滅することは請け合いですが)。


 さて、いろいろと話がずれているのですが、最後に大脱線をしましょう。
 ほかでもない、「野ばらの諸侯」の話をどうするつもりなのか、という話です。

 この話は、文明国と蛮族がぶつかったとき、どういう結末になるのか、というのが興味のほとんどで書き始めた話です。その中で、文明ができることは何なのか、を書くことで、文明の輪郭を浮き出してみたい、と思ったのがほとんどの興味です。

 その中で、文明国であるシドを封建的な国家から、近代国家へと変容させていくのが、「死神の帰還」でも書いた死神リニーで、この人が興していく変革と、そこからの隆盛が、描きたい半分であります。で、ここまでお読みになった方は想像しやすいと思うのですが、後半はそこからの崩壊になります。

 崩壊していくのです。

 リニーはひどく自己中心的で、あまりにも自分勝手です。
 それは、そういう人物を罰したかったから、そう設定したわけではなく、封建から近世への大変革をなしえる人というのは、それぐらい強引で、無理な方法をとると、わたしが理解しているからです。つまり崩壊をはらんだ人でなければ、それはなしえないと。

 リニーのモデルは、織田信長なのか、テミストクレスなのかで、結構迷ったりしたのですが、そのどちらでもない姿を生み出してみようと、そう思って設計されていたりします。

 リニーは類稀なるバランス感覚を持った名君(主人公)と、あらゆる側面で足りない部分を補ってくれる盟友(ウォーク)という二人の信頼を得て、革命的に封建を近代へと変えていきます。しかし、ある時点をもって、その二人のサポートを得られなくなり、どんどんと泥沼にはまっていくのです。
 その困難は、描きたい部分です。

 連戦連勝と、幸運は長くは続かない。
 そこで、リニーはどうするか。
 たとえばこう書くかもしれません。


「じゃあ、なんだ? わたしはお払い箱ってことか」
 冷酷な通知を手渡したゾンバルトを、リニーは一瞥した。
「いえ、そこまでは言ってません。ただし、指揮権は譲っていただきたい。兵団の士気にかかわります。この作戦をほとんどの騎竜兵は支持していません。兵団とあなたの指揮権、どちらが大切だと、あなたはお考えですか?」
 リニーは3秒を考えた。
「じゃあ、どうだ。わたしが、この渡河作戦の先鋒を務める。兵団は、あとにのこのこついてくればいい。見殺しにするのは兵団の自由だ。いまさら死を恐れると?」
「しかし、」
 ゾンバルトはぼそぼそと言い訳するようにつぶやいた。わたしが、それを一番恐れます、と。
「ウルニス! 首竜の兵団は動けるな? 飛び込むだけだ。あとはついてくればいい。すぐに相手は崩壊する。あれをやる。クローナで一度やったやつだ。相手は第一兵団、よろこべ、次王の兵団ではない。あの化け物はいない」
 おもながの白い頬を紅潮させて、その娘は、はいと頷く。
「ということだ。シドがこの戦、先陣を切る。シド人は河の民だ。帝国の第一騎竜も来る。負けると思うか?」
「・・・おそれながら」
 鼻を鳴らして、頭をかく。
「ライフルがないことに怖気づいたか。シドの兵団をみくびるな。ウルニスは五騎は抜く、短刀ひとつでだ。それに」
 リニーは、遠くを見た。
「雷雨が来そうじゃないか。雷は鉄鎖の敵だ。視界が遮られる局地戦では、ボルニアは勝ってない。降り始めて乱戦になれば、シドの兵団に勝る相手はない。負けると思うか?」
「ええ」
 リニーはかるく舌打ちをして、外套を被る。それから振り返った。
「ウォークは何というと思う?」
「ご武運を」
 リニーはまた大きくちっと舌打ちをして、大きな声を張り上げた。
「包囲殲滅戦をやる! わたしがおとりになる。首竜は潜って敵方の背後にまわれ。ウルニスは、わたしと一緒にめだて! わかったな! ウタリ、上は任せた!」
 そばの騎竜兵が、そっと囁いた。
「勝てると思いますか?」
「勝てなきゃわたしが死ぬ。それ以上の質問は?」
 黙りこくった騎竜兵を見て、リニーはとっさに叫ぶ。
「ゾンバルト、祝宴を用意して待っていろ! 竜車いっぱいのビールと、食いきれないほどの肉だ。それを安全なところで、せいぜいやる気が出るように盛大に焼け。先鋒を務めるわたしたちを、肉でもてなせ!」
(ウォークが聞いたら、なんというか)
 シドの剣を抜き、それを白日にさらす。
「この要塞はパヴィア公の白銀兵団の要塞だ。いま、わたしたちがそれを継ぐ。白銀の騎竜兵団と同じ勇気を見せろ。相手はあの怪物どもではない! 単なるボルニアの主力兵団で、数だけは多い。お前たちを犬死はさせない。異論はあるか?」
 騎竜兵はおびえた視線を投げた。
「負けたら、もし、負けたら、どうなりますか?」
 リニーはおかしくなって、ふっと笑った。
「全員死ぬさ、みんな公平にな」

 実際のところ、このような戦い方は、多くの命を預かる指揮官としては、まったくもって正しい方法であるとは言えません。
 なぜならこれは、戦略上の不利な状況を、戦術上の挽回によって覆そうとする行為だからです。指揮官であれば、戦略上の施策を駆使することによって優位を作り、被害がでる実戦の場面においては、もうどのようにしても勝利する状況を、作っておかなければならないからです。
 物量で、圧倒的に劣っている状況で、友軍の支援さえも満足に得られない、というのは、考えられる限りで、かなり最悪に近い部類の状況です。

 この状況下で悪あがきをしてそれなりの成果を上げた例としては、織田信長の桶狭間の戦い、北条氏綱の河越夜戦、ハンニバルの第二次ポエニ戦争ぐらいしか思いつきません。
(大坂の陣の真田幸村などは、完全に防衛戦であるので、除外しています。防衛戦は往々にして、こういう展開になりやすくはあるのです)

 それでもそういう姿を描きたいと思ってしまうのは、勝者のメンタリティーを、絶望的な状況でどう発揮するかを書きたいからです。根性論ではなく、ここから勝利を掴めるような指揮官の振る舞い方は、どうであるのかを書きたいのです。
 この辺りは、第二次ポエニ戦争のハンニバルですね。
 それを一言で言えば、公正、になります。
 責任を全部受けたうえで、おそろしく公正なのです。
 たぶん多くの根性論が持つことができない、致命的な欠陥としてどうしても存在してしまうのは、この公正性、なのだと思います。特に体罰とか、規律維持のための暴力とかを聞くと、なんでこんな指揮官が許されているのだろうと、深刻に考えてしまいます。

 ハンニバルの歴史を学ぶと、いかに彼が支配をしないことを考えていたかがわかると思います。

 指揮力のある名将は、決して支配的ではないのです。
 その姿として、リニーを書けたらいいなあと、かなりお気楽に思っている次第です(笑)。
 それがいつになるのか、まったくお約束できない状況なのですがw リニーはそのどんぞこまで落とし切って、そこからどう這い上がるかを書きたいと思っていることだけは、書いておきたいと思います。
| 書評 | 04:12 | comments(6) | trackbacks(0) |
hikaliさん
ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです。
今回の記事も、いつものhikaliさんの投稿と同じく
密度の濃い、引き込む力をもった論文でした。

この記事により、「ウォール街のイカロス」という小説が放つ魅力を
存分に感じる事ができ、ぜひ読みたいと感じました。
hikaliさんは名作の魅力を他者に伝えるのが非常にお上手です。
そのおかげで、私は「ミノス王の宮廷」にめぐり合う事ができました。

話がまったくぶれてしまう事をご容赦ください。
今まで手に取ったこともなかった、村上春樹の小説を読む機会があり、
現在、「1Q84」という本を途中まで読んでいます。

hikaliさんが目指す「小説」の到達点と、村上春樹の地点は
まったく別次元のものであることは、私にも理解できるのですが、

日本において、「小説を書くhikaliさん」という立場から
村上春樹の小説、もしくは、小説にまつわる村上春樹という現象
はどのように見えておられるのか?
お尋ねしたくなったのです。

そもそも次元が違う物事を質問しているので
答える気力さえも持ってもらえないかもしれませんが、
先端を走り続けて、その高みに到達されているhikaliさんからの
ご意見を伺ってみたい庶民の希望です。

興味がなければ無視して下さってかまいません。
毎回のhikaliさんの投稿が読めるだけで私は幸せです。
ご健康でいてください。
| T2 | 2013/08/12 8:19 AM |

 こんばんわ! コメントありがとうございます!

 あらかじめ断っておきますが、長文なので、たぶんコメントの仕様上、途中でぶちっと切れると思います(文字数制限があるのですね)。切れたら、切れたで、続きを連投しますので、なんか切れてたら、コメントが長すぎたので切られたと思っていただけると、うれしいです。
 他意はなくて、長いから切られた、という状況なのです。
(引用も含めて120行ぐらいあるんですね・・・10行1枚換算で12枚ぐらい)

>ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです。
>今回の記事も、いつものhikaliさんの投稿と同じく
>密度の濃い、引き込む力をもった論文でした。

 ありがとうございます(^_^;
 バートン・ビッグスに関しては、原著が恐ろしく濃いんですね(笑)。
 ヘッジホッグやイカロスを読んでいると、一章を読むだけで、ウィスキーの原液を樽いっぱい飲まされた気になるほどなんです。アメリカのビジネス書を読むと、なんでこんなに濃いんだろうと思ってしまうのですが、たとえばIBMの復活を描いた『巨象も踊る』を読むと明らかなのですが、現役バリバリの(もしくは直前まで現役だった)トップの中のトップがゴーストライターを使わずに書いているから(本文中に本人がそう言っている)、だと思われるのですが、最高峰の書き手が、最高峰の読み手に向けて書いているから、というのがわたしの推測です。
 前掲の著者であるルイス・ガースナーはその前書きで、あまりにも多くの人にどうやったのかを聞かれて、米国の経営者などの会合でひたすらに何が起こったのかを聞かれまくったので、本を書くのが一番手っ取り早いだろうと思った、などと書いています。

>この記事により、「ウォール街のイカロス」という小説が放つ魅力を
>存分に感じる事ができ、ぜひ読みたいと感じました。
>hikaliさんは名作の魅力を他者に伝えるのが非常にお上手です。
>そのおかげで、私は「ミノス王の宮廷」にめぐり合う事ができました。

 ありがとうございます。
 昔、勤務していたマーケティング会社で鬼のしごきに遭ったというのが、その原因かもしれません(^_^; 商品の試用レポートのようなデータ(定性データというのですが)の読み方を、毎日実戦で叩き込まれ、その後の仕事に使っていたから、だと思われます。
 その後、映画関連のネット企業に採用される際も、「とりあえず、この映画の紹介文書いて」と面接でぶん投げられ、100字ぐらい書いて送ったところ、一発採用、などとそういった場面で重宝した記憶があります。


>話がまったくぶれてしまう事をご容赦ください。
>今まで手に取ったこともなかった、村上春樹の小説を読む機会があり、
>現在、「1Q84」という本を途中まで読んでいます。

 なるほどw 鬼門来ましたねw
 続き読みます。

>hikaliさんが目指す「小説」の到達点と、村上春樹の地点は
>まったく別次元のものであることは、私にも理解できるのですが、

>日本において、「小説を書くhikaliさん」という立場から
>村上春樹の小説、もしくは、小説にまつわる村上春樹という現象
>はどのように見えておられるのか?
>お尋ねしたくなったのです。

 以下、2点はご了承ください(^_^;
 1.わたしは村上春樹は苦手である。
 2.その理由は文体が生理的に合わないから。

 です。非常にストレートに文章の上手い下手、の部分で、たとえばわたしが上手いと思っている書き手と比べると、だいぶ劣ると言いますか、見劣りするのです。
 わたしが上手いと思っているところでは、何度か出てるかもしれませんが、北村薫、吉本ばなな、江國香織、あとこれはその後参考にした、角田光代あたりが挙げられます。この辺が段違いに上手いのです。
 たぶんこの辺りを分類すると、古典派とでも呼べる文章の書き手のような気がします。
 昔の人で上手い人というと、高村光太郎、夢野久作、小泉八雲(原典は英語だけど)といったあたりが浮かんできて、先ほどあげた方々はこの辺の読み込みが半端ないんだろうなと思えてきます。

>そもそも次元が違う物事を質問しているので
>答える気力さえも持ってもらえないかもしれませんが、
>先端を走り続けて、その高みに到達されているhikaliさんからの
>ご意見を伺ってみたい庶民の希望です。

 いえいえ、大丈夫です(^_^;
 一番わかりやすい答えは、師匠や流派が違う、ということでしょうか。
 琳派や狩野派のような古典に根差しているのか、北斎のような浮世絵の流儀なのか、どちらが劣っているということはないと思うので
| hikali | 2013/08/12 9:30 PM |

>そもそも次元が違う物事を質問しているので
>答える気力さえも持ってもらえないかもしれませんが、
>先端を走り続けて、その高みに到達されているhikaliさんからの
>ご意見を伺ってみたい庶民の希望です。

 いえいえ、大丈夫です(^_^;
 一番わかりやすい答えは、師匠や流派が違う、ということでしょうか。
 琳派や狩野派のような古典に根差しているのか、北斎のような浮世絵の流儀なのか、どちらが劣っているということはないと思うのですが、このような違いです。

>興味がなければ無視して下さってかまいません。
>毎回のhikaliさんの投稿が読めるだけで私は幸せです。
>ご健康でいてください。

 うれしいお言葉、ありがとうございます。
 一番の問題は、わたしが村上春樹を読みだすと、10ページぐらいであっという間に挫折する、ということだったりします(^_^; ですので、わたしが、「1Q84」を読み切ることができないと、どうしようもないのですが、そこそこ困難な事態だったりします(笑)。
 ただ、せっかく頂いた宿題ですので、なんとかやってみたいとは思います。
 わたしの拙い知識で想像するに、たぶん少女漫画の文脈なんだろうなと見当がつくぐらいです。スタジオジブリ作品でいえば、ハウル以降の作品、ハウル、アリエッティ、ポニョ、コクリコ、もしかしたら風立ぬも入るかもしれません。
 千と千尋は、なんだかよく分からないけれど、うまくまとめきれてしまって別格になってしまった、という印象です。

 あんまり期待せずにお待ちいただけると、幸いです。
 コクリコと風立ぬは、高度成長期前の日本を舞台にすることで、うまく逃げ切れることができたよねえ、というのがわたしの印象なんですが、もしかすると、村上春樹は、バブル以後の日本を背負っているところがヒントなのかもしれません。

 シェイクスピアの秘密も、もしかしたら、そこにあるのかもしれません。
 時代の新旧を仲裁しているのかも、というのは、けっこうわくわくする仮説です。
 ルネサンスの正体が、もし見えたらラッキーぐらいな感じで、かなりお気楽に考えておりますので(^_^; あんまり期待せずに、気軽に考えていてください。

 とりあえず、健康でいなければならない宿題を頂きましたので、たぶんなんとかしてみましょうw
 コメント、ありがとうございます。
 挑戦は、どんな時もたのしいものです。

 ありがとうございました。
 うまくいくかなぁ・・・w
| hikali | 2013/08/12 9:31 PM |
hikaliさん
ご返答ありがとうございます。このようなわかりやすい回答をいただけて光栄です。

>> ウィスキーの原液を樽いっぱい飲まされた気になるほどなんです。
文の言い回しが、村上春樹を揶揄しているようで、少し笑ってしまい、

>> なるほどw 鬼門来ましたねw
「鬼門」という言葉の「的を得た感じ」に対しても、笑いました。

そこに続くのが
>> 1.わたしは村上春樹は苦手である。
>> 2.その理由は文体が生理的に合わないから。
見事に簡略化、核心を伝えるこのセンテンス。
「嫌いという感情的回答」と「その理由」

>> 非常にストレートに文章の上手い下手、の部分で、
>> たとえばわたしが上手いと思っている書き手と比べると、
>> だいぶ劣ると言いますか、見劣りする
さらに、より踏み込んで理由を言及してくださり、

>> 北村薫、吉本ばなな、江國香織、あとこれはその後参考にした、角田光代
>> 高村光太郎、夢野久作、小泉八雲
続いて、「より凄い作家」達の具体例を挙げる事による説得力にも圧倒されます。

>> 一番わかりやすい答えは、師匠や流派が違う、ということでしょうか。
>> 琳派や狩野派のような古典に根差しているのか、北斎のような浮世絵の流儀なのか、
>> どちらが劣っているということはない
そして、わかりやすい比喩を用いる事と、村上春樹を単に罵倒する安易さに陥らない
大人な対応。

>> 想像するに、たぶん少女漫画の文脈なんだろうな
>> 千と千尋は、なんだかよく分からないけれど、うまくまとめきれてしまって別格になってしまった、という印象
また「少女漫画、ジブリ」というキーワードを挙げる事により
「村上春樹という現象」についても示唆に富んだ意見を提示してくださりました。

さらには
>> 村上春樹は、バブル以後の日本を背負っているところがヒント
>> シェイクスピアの秘密も、もしかしたら、そこにあるのかもしれません。
>> 時代の新旧を仲裁しているのかも、
>> ルネサンスの正体が、もし見えたらラッキー
私のくだらない、今更な質問に対しても、そこから何か「有益なもの」を見出そうとし
なおかつそれが、極めて的を得ている事

ご回答本当にありがとうございます。私なりの理解は以下です。

村上春樹(の作品)は、
hikaliさんには「たいしたものではない」。
それは「より凄い作家の文章を知っているから」。
ただ、村上春樹を好きな人は「別にそれでいいと思う」
「私の『いいね』と思うものとは違う」というだけだ。
そして「少女漫画やジブリ作品」のように
「内容、質の良しあし」に囚われることなく、
大衆になぜだか受け入れられて、売れる、ヒットする『モノ』」は確実に存在する。
その「内容の良しあしではない」、「受け入れられる、売れる、ヒットする」理由は
「時代性」である可能性が高い。
「時代にうまくマッチした、最良のタイミングで、
『古い価値観を否定』、もしくは『新しい時代の空気感を提示』した作品(もしくは作家)」は
内容の良しあしにかかわらず、重宝される傾向にある。

>>一番の問題は、わたしが村上春樹を読みだすと、10ページぐらいであっという間に挫折する、ということだったりします
>>ただ、せっかく頂いた宿題ですので、なんとかやってみたいとは思います。
宿題なんて、滅相もないです。そんなおこがましい事‥

hikaliさんが10ページくらいで、激昂される姿が目に浮かびます‥
| T2 | 2013/08/13 4:28 AM |

 こんばんわ、コメントありがとうございます。
 端的なご感想ありがとうございます(^_^; 恐縮です。

 あらかじめ断っておきますが、以下略(笑)。
 180行あるんですねw

 えーと、念のためにいっておきますと、かなり村上春樹系は苦手にしておりますので、じつはまったくよく分かっていないことがばれそうで(いや、ほんとにわかってないのですが)、自分で自分に、大丈夫かなあと不安に思っていたりします(笑)


>> ウィスキーの原液を樽いっぱい飲まされた気になるほどなんです。
>文の言い回しが、村上春樹を揶揄しているようで、少し笑ってしまい、

>> なるほどw 鬼門来ましたねw
>「鬼門」という言葉の「的を得た感じ」に対しても、笑いました。

 ああ、なるほど。たまに似てるといわれて、似てるか? と困るところなのですが、これは今日考えていて、柔道と合気道の違いが分かりにくい、といったあたりなんだろうなあと、ぼんやりと思っていた次第です。
 どっちも、相手の重心を崩して投げるという意味では同じことをしているのですが、まったく違う武術であるように、小説もイメージをぶつけて、境界線をあいまいにしていく、部分が変わらないので似てるように見えるかもなのですが、ぶつけ方が違うんです。

>見事に簡略化、核心を伝えるこのセンテンス。
>「嫌いという感情的回答」と「その理由」

 この辺りはシンプルに書かないと、誤解されやすい部分なんですよね(笑)。

>さらに、より踏み込んで理由を言及してくださり、

 対抗馬を挙げて当てておかないと、怖いのですね(^_^; 

>>> 北村薫、吉本ばなな、江國香織、あとこれはその後参考にした、角田光代
>>> 高村光太郎、夢野久作、小泉八雲
>続いて、「より凄い作家」達の具体例を挙げる事による説得力にも圧倒されます。

 これを書いたのは実は初めてかもしれません。
 わたしがよく似ているなあと思うところを並べてみました。
 古典で挙げた三人は、けっこう誤解されることも多いのですが、今日たまたま光太郎の文章を読んでいて、あ、同じこと言ってると笑ってしまいました。似せてるつもりはないのですが、同じようなことを先に書かれているのを発見してびっくりする感じなのです。
(「詩について語らず」という文章です)
 小泉八雲が挙がっているのは、著名な怪談話ではなく、著名でないエッセイの方の筆致が気に入っているからです、あ、ちなみに夢野久作もエッセイがいいんです。
 

>そして、わかりやすい比喩を用いる事と、村上春樹を単に罵倒する安易さに陥らない
大人な対応。

 あ、うかつにやると、戦争が起こるんですね(^_^;
 著作権法からみとかも結構な爆薬庫なのですが、その上を行っているとは思います。
 この辺りは、一度火が付き始めると、際限がなくなるんです。


>また「少女漫画、ジブリ」というキーワードを挙げる事により
>「村上春樹という現象」についても示唆に富んだ意見を提示してくださりました。

 あ、これは、表に出ていない発想の原典がありまして、実のところ、ジブリの企画関係の人々(というか、プロデューサーさんの鈴木敏夫さんですが)が、「1Q84」を原作にしてやってみたらいいんじゃない? というプッシュをしていたっぽいんですね。
(ジブリ汗まみれというラジオ番組で、押井守にプッシュしている)
 で、実は村上春樹と堀辰雄が似た文章なんです。
 それで「風立ぬ」が生まれた、というのは邪推なのですが、まあ、鈴木さんならば、宮崎監督にもプッシュしただろうし、売れるのは間違いないので、なかなか否定しづらい。
 で、その提案を受けつつ、違うものを生み出すとなると、「風立ぬ」の構成がベストだったと、どうしても考えてしまいます。
 エヴァンゲリオンに激怒して、おれのほうが上手い、もっとうまいものを見せてやると発奮したのが「もののけ姫」だと考えると、まったく同じ構図が、「1Q84」と「風立ぬ」の間にはあるのです。
 この辺をすっ飛ばすとわかりにくくて申し訳ないのですが(^_^; 口が裂けても書けない邪推ではあります(笑)。

>さらには
>>> 村上春樹は、バブル以後の日本を背負っているところがヒント
>>> シェイクスピアの秘密も、もしかしたら、そこにあるのかもしれません。
>>> 時代の新旧を仲裁しているのかも、
>>> ルネサンスの正体が、もし見えたらラッキー
>私のくだらない、今更な質問に対しても、そこから何か「有益なもの」を見出そうとし
なおかつそれが、極めて的を得ている事

 いえいえ。これはかな
| hikali | 2013/08/13 10:42 PM |

>さらには
>>> 村上春樹は、バブル以後の日本を背負っているところがヒント
>>> シェイクスピアの秘密も、もしかしたら、そこにあるのかもしれません。
>>> 時代の新旧を仲裁しているのかも、
>>> ルネサンスの正体が、もし見えたらラッキー
>私のくだらない、今更な質問に対しても、そこから何か「有益なもの」を見出そうとし
なおかつそれが、極めて的を得ている事

 いえいえ。これはかなり本気でそう思っています。軽く書いているのでわかりにくいのですが、先ほども書いた通り、小説のやっていることは、イメージをぶつけてその境界線をあいまいにしていくことです。
 で、その手段が問題になるのです。
 ここで分かれるのです。
 わたしと、嫌悪している村上春樹と、シェイクスピアと。

 シェイクスピアは職人芸としか言いようがない、詩の上手さです。わたしたちはシェイクスピア以前に、ホメロスもヘロドトスも読んでいる人たちです。
 しかし、当時はそれが爆弾になりえた。
 わたしはシェイクスピアが好きですし、尊敬しています。
 あいつは案外、上手くやったなと、それぐらいのことは考えます。で、それをまねてみようなんてことは、わたしだけなく、誰だって考えます。
 あんまり大した話ではないんです。
 「恋に落ちたシェイクスピア」あたりを見ると、シェイクスピアの詩が、いかに音的にも優れているかがわかります。

 そういう、シェイクスピアを超えてやろうと野心を燃やす人が、宮崎駿だった指摘しても、そんなにひどい侮辱にはなりませんし、その戦いの場とはどういう場所なのだろうと、考えてみるのは、とても刺激的です。
 勝ちたいと思うのではなく、ここは甲子園じゃないか、じゃあ、なおいいじゃないか。栄冠をとってみせるという、闘争心をぶつけるに値するひとがたくさんいることに喜ぶ、という感じに近いと思います。
 宮崎駿を挑発することが、この日本のアニメ界にはたいへんにいい効果をもたらすと考えてしまうのですが、使うならば、戦争とスポーツだと、わたしは思ってしまいます。
 そういう意味では、マネーボールと、イカロスはそれなりにいい刺激材料だとぼんやりと思います。そうやって使ってもらえれば、バートン・ビッグスへの供養にもなります。 なんか、変な話になりましたね(笑)。


>村上春樹(の作品)は、
>hikaliさんには「たいしたものではない」。
>それは「より凄い作家の文章を知っているから」。
>ただ、村上春樹を好きな人は「別にそれでいいと思う」
>「私の『いいね』と思うものとは違う」というだけだ。

 村上春樹はちゃんと自分の人生を生きている人だと思います。
 そのことは、だれがどうやっても毀損してはいけないし、わるいことは何もしていないと、心の底から思います。世界はゼロサムではないですし、多様で刺激的であることが、世界を豊かにしていくと、思います。
 ただ、もし言いたいことがあれば、世界が多様であることを理解するし、そのどれもが、ひとりの世界を毀損されることはあってはならない、これはたぶん、乱暴に書けば、基本的人権という思想の、根本思想です。
 忘れているかもしれませんが、わたしは法律屋さんですので(笑)、思想の原点はどこかと言われれば、世界人権宣言、なのですね(^_^; 宗教みたいなものですので、あなたはどこ教かと聞かれれば、lowと答えるかもしれません。
 

>そして「少女漫画やジブリ作品」のように
>「内容、質の良しあし」に囚われることなく、
>大衆になぜだか受け入れられて、売れる、ヒットする『モノ』」は確実に存在する。
>その「内容の良しあしではない」、「受け入れられる、売れる、ヒットする」理由は
>「時代性」である可能性が高い。
>「時代にうまくマッチした、最良のタイミングで、
>『古い価値観を否定』、もしくは『新しい時代の空気感を提示』した作品(もしくは作>家)」は
>内容の良しあしにかかわらず、重宝される傾向にある。

 深いところに飛び込みましたね。
 わたしは発掘が好きな人なので、リバイバルも考慮の範疇です。
 もし、時代性に飛び込むのであれば、プロデューサ的な素養も必要になります。それで幸せになって人はあんまり見たことがあまりありません。わたしの観測範囲が狭いのかもしれない。「バスキア」という映画があって、当時、画商たちはゴッホの再現は起こしてはならないと、熱意を燃やしていました。
 ゴッホは生前に売れることはなかった。
 飢えをしのぐためにドックフードを食べていたのかもしれない(これはP.K.ディックの故事です。本当に毎日ドッグフードを食べていた)
| hikali | 2013/08/13 10:43 PM |









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