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GB解析 -HG- 仮面の破壊者 細かく丹念なゲームブック
 夜も眠れぬゲームブックフリークのみなさま、こんばんわ。
 ゲームブック解析でございます。

 さて、長々とやってまいりましたファイティング・ファンタジーシリーズの中期作品の解析ですが、ようやっと最後の作品となりました。
 本日お届けするのは、「仮面の破壊者」、電脳破壊作戦を書いた、R・ウォーターフィールドです。

 まずは背表紙のあらすじを引用してみましょう。

 残忍な魔女モルガーナが、石でできた不死身の怪人ゴーレムを解き放って、世界征服を企んでいる。12体のゴーレムがそろえば、その仮面に埋め込まれたエネルギーが世界を破壊してしまう。急がなければ! 君は、魔術師アイフォー・ティーニンの指示で、魔女の住む山、クリル・ガーナッシュの峰をめざして出発するのだが……。


 といかにもオーソドックスな作り。
 純然たるファイティング・ファンタジーという感じすらします。
 しかし、すこしページを繰れば、この「仮面の破壊者」はフツウのゲームブックではないことに気付きます。
 たとえばこんなところ。

 数日がすぎ(食料を二食分減らすこと)、君はこれまででもっとも危険な状況に直面する。野火が南の方で発生し、風にあおられて勢いよくこっちへ燃え広がってきているのだ。しかもその幅は何キロメートルにもわたるらしく、まだ、ずいぶん離れているのに少なくとも野火の両端をここから見とおすことができない。乾いたヒースや灌木をなめつくしながら、炎は水路や小川などものともせずに飛びこえて進んでくる。まだここからはかなり距離があるとはいえ、君には野火が広がる速さがわかっているのだ。どうする?
 ・この場にじっとしているなら 148
 ・北に向かって、全速力で野火から逃げるなら 47
 ・野火の西側の端をみつけようとするなら 332
 ・野火の東側の端をみつけようとするなら 62
 ・野火に向かって移動していくなら 221


 ちょっとこのシーンのグラフを見てみましょう。
 (クリックすると原寸大になります)




 みるとわかるのですが、結局10へ収束しています。
 10の記載は、

 野火に巻き込まれながらも生き残れた幸運に対し、運点を1点加えておくこと。


 とあり、この部分は全部、野火のシーンであることがわかります。
 24項目もあります。この中で色々やりながら、なんとかして野火をやり過ごすのですが、いや、こんなシーンははじめてみました。しかもけっこうリアル。
 野火から生き残るシーンにこんなに情熱を割くとは。

 それ以外にも、人物の情報がけっこう細かかったり(引用するとばれるので引用できないのですが)、いろいろ判断に迷うシーンがあったりと、まあ、野火でゲームを成立させてしまうのですから、まあ、それぐらいはやるだろうという感じなのですが、こんなにも細かく丹念なゲームブックは見たことがありません。
 それが全編にわたって広がっていく。
 なんというゲームブックでしょう。

 山を見てみましょう。



 悪くない山です。
 たいへん好印象で、賞賛を惜しみなく贈りたい気持ちにもなります。

 本作の解説は若干興奮気味です。
 ちょっと引用してみましょう。


 ゲームブックの新しい波が……

 (中略)

 一冊では何とも言えなかったのですが、この二冊目を見た現在、作者R・ウォーターフィールドの書きグセとか好みがよく分かってきました。そして、私は彼の作品が好きになってしまった。三冊目が待ち遠しい。もはやS・ジャクソンやI・リビングストンの時代ではない。彼らを乗り越えたゲームブックの新しい時代に、R・ウォータフィールドの名前が大きく注目されていくのではないだろうか。と、叫びたい感じなのです。



 この解説の気持ちはわかります。
 しかし、実際にはたいへん厳しい現実があるのです。
 たしかに、本作は素晴らしい作品なのですが、それはマニアにとって素晴らしい作品というだけということ。ちょっと長くなりますが、ゲームブックはなぜ衰退したのかに近しい論考をしましたので、もしご興味がある方は読んでみてください。
 ただし、内容はかなり厳しい論調で、いまさらそんなところをほじくり返さなくてもいいじゃないかと思えることでもありますので、もし、そんなことに興味がない方は、ここで読むことをやめることをおすすめします。



 ■ゲームブックの二極化と衰退。

 本作は87年末近くに刊行された作品。
 ゲームブック史としては隆盛期にまだあったと思える時代なのですが、この時代、ファイティング・ファンタジーシリーズはすでにもう売れなくなっていたと思われるのです。
 というのは、この「仮面の破壊者」は入手するのが極めて困難であり、たいへん高い価格がついています。
 部数が出ていないのは明らかです。
 またわたしが手にしている古本の刷り数も、あまり参考にならないのではありますが、「サイボーグを倒せ」が初版3刷であるのを除けば、あとはすべて初版1刷なのです。
 87年時点でファイティング・ファンタジーシリーズは売れなくなっていたと推測できるのです。

 しかし、いったいどうしてこのような事が起こったのでしょうか。
 わたしは、ゲームブックは、上級者向けと初心者向けに二極化し、そのどちらもが行き詰まって市場が崩壊したのではないか、と推測しているのです。
 これはあくまで推測であり、事実であるかはまったく闇に包まれ、永久に解明されることはないとは思うのですが、どんどんと複雑化し、危険な操作を要求するようになるファイティング・ファンタジーシリーズを解析していて、そういう空気をひしひしと感じるようになりました。

 以前より、選択肢によらない番号ジャンプを多用する手法をわたしはたいへん危険な行為だと指摘しました。これはただでさえヒューマンエラーが発生する可能性の高い、ゲームブックという形式で、さらにそのエラーを発生させる危険性を増す手法だからです。
 これはユーザを脱落させる手法。
 わざわざ手に取ったユーザに、落胆と絶望を感じさせる手法。
 一握りのついてこれるユーザに対象を絞ってしまう、マーケットセンスがあれば、一発でたいへん危険とわかる行為です。
 いったい誰がこれをはじめたのか、FFではこんな手法を取っていないと。

 これが間違いであったことを認めます。
 なぜなら、これをはじめたのは「サイボーグを倒せ」であり、その著者はS・ジャクソンだからなのです。
 その後、「ロボット・コマンドゥ」で米ジャクソンが、「仮面の破壊者」でR・ウォーターフィールドが次々と踏襲していくのを見て、背筋が冷えていきます。
 本家本流が、そのような危険な誤った判断をしてしまえば、市場全体がそれに追随する。
 その手法は権威化されてしまい、誰もがその手法を批判できなくなってしまう。
 たいていのフォロアーは権威には逆らいませんし、単に真似ているだけですから、疑うこともせずに、崩壊に向かって全員で突っ走ってしまう。
 それは、呪縛としてジャンルすべてを支配してしまう。
 なぜ?
 その答えが、ああ、ここにあったのかと、わたしは発見しているのです。
 87年から20年以上も経って。
 本家が誤ってしまうと、その誤りを発見する人が現れるまで、何十年もの時間がかかり、ある一人のマッドサイエンティストじみた解析大好きな人間が、未来の技術を駆使して、というかあの時代は何だったのだろうなあとたまたま興味を持って、高騰している古本のゲームブックを私費で収集し始めて、その全貌を解き明かそうという、かなりユニークな試みに数年の歳月を掛けてやってみて、初めて解明するのです。
 「サイボーグを倒せ」が致命傷だったと。

 しかし、そのマッドサイエンティストには、別の側面も見えていて、それ以外の部分は充分にありがたく回収できるし、その豊穣の時代があったこと自体は感謝すると。
 ただ、市場が崩壊に向かったのは、ここだったと。
 「サイボーグを倒せ」だったと。
 そして、「サイボーグを倒せ」の持っている別の方向性こそが、本来であれば真似すべきところだったと、思うのです。なんで安易な方を真似てしまったのだろう、と。

 まあ、いいのです。
 もう終わった話ですし、歴史にはしがみつくより教訓を回収した方が前向きです。

 と、長々と暗い話をしてしまいましたが、ちょっと、R・ウォーターフィールドに対して失礼だったかもしれません。彼が切り開こうとして、おそらく上手くいかなかった試行錯誤は貴重な記録であり、わたしにはそれが黄金の記録であるようにしか見えないからです。
 冒頭の引用に戻れば、なぜプロ中のプロである解説を書いた近藤さんの期待は外れたのか。それは、結果に対して謙虚であるという姿勢の欠如であると思うのです。
 結果が出ないものを馬鹿にするわけではありません。
 結果が出たからと言ってそれを信奉するわけではありません。
 ただ、10のうち9まで揃っていて失敗することもあれば、5ぐらい失敗していても上手くいくこともある。明確に結果が出ている状況で、9は上手くいっていたと言っても意味がないと言うことなのです。逆に言えば、5やれば成功するよと言うのもまったく意味がない。
 実際に売りが立っていないと言う事実に謙虚であるべきだったと、そう思うだけなのです。

 どんどんと大多数のユーザから離れ、ごく一部の楽しめるユーザのみに向けて作ってしまうことの帰結がこれであるような気がするのです。
 自戒します。



 



| ゲームブック解析 -HG- | 22:41 | comments(0) | trackbacks(0) | 昨年の記事









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