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詳細GB解析 黒い薔薇のノスフェラトゥ [前編] 樋口グラフを解析する!
 ゲームブックフリークのみなさま、こんばんわ。
 詳細ゲームブック解析でございます。


 本詳細ゲームブック解析は、管理人が、このまま非効率的な書き方をしていたら、死ぬ、もっと効率的な書き方を勉強しようという趣旨のもと行っております。かなり激しくネタバレする(というかそのまま攻略本になってしまう)ような代物ですので、取り扱い注意でお願いいたします。


 えーと、詳細解析シリーズが続いております(^_^;
 前回の解析で、ルパンシリーズ/華麗なる挑戦を教材として、クラスターの構成法を分析してみましたが、次なる解析として、クラスター内のグラフ構造を分析してみることにしましょう。

 今回お手本としますのは、同じくルパンシリーズの「黒い薔薇のノスフェラトゥ」、樋口センセの作でございます。シリーズ第13作目、89年製とゲームブックの歴史の中でもかなり後期の作品に該当する作品です。
 同年の作品としては、「機動警察パトレイバー/倒せ!辻斬りレイバー」「暗黒の聖地」「ドラゴンクエストII(エニックス文庫版)」「機動戦士ガンダム/最期の赤い彗星」「マルサの女 国税局査察部珍道中」と、本解析でもなかなか高評価でありながらあまり知られていない作品群を輩出した時期であります。
 85年から活性化したゲームブックも、90年でほぼ目立った発刊も終わり、長い黄昏の時代へ突入し、時代はゲームブックからTRPGへ移っていきます。

 その最後の輝きと言ってよかった89年製、しかも樋口センセの作とあれば、これを分析しないわけには行きません。

 本作は樋口作品の中でもめずらしいクラスター型で構成されている作品。
 おなじみのルパン御一行が、今回はなんと吸血鬼&秘密結社と戦いながら、オリエント急行をパリからトランシルバニア(つまりほぼ終点)まで旅するという物語です。
 きっと評価も高かったのでしょう…、と、おっと、-NG-をつけてますねえ…。

 本作はちょっと秘密結社もので長い旅型ということでちょっと食い合わせがよくなかったかなあと思うところが多々あるのです。こういう型の場合は、どうしても謎を深くして、ちょろちょろと伏線をばらまいていかないと厳しいのですが、うーん。
 同じような作品で、ギャビン・ライアルの「誇り高き男たち」があるのですが、これもちょっと消化不良だった気が…。このオリエント急行というのがどうも難しいようなのです。
 何というか、長い旅の間を持たせなければならないのに、舞台はどうしてもオリエント急行に釘付けにされてしまう。この辺が、難しくしているところでしょうか。

 まあ、そういった点はあることはあるのですが、グラフ構造の分析にはあまり問題はないはずです(たぶん…)。

 長い前振りとなりましたが、えーと、行数稼ぎではありません。
 本解析は、あまりにも解析が込んでしまい、分割エントリーでお送りいたします。
 現時点で整形しようとしている文章がすでに50枚分もあります(^_^;

 まあ、とりあえず、今回は、この「黒い薔薇のノスフェラトゥ」の一番はじめのクラスター、30項目(全体の1/13ぐらい)の徹底解析を行います。
 50枚も書いて、30項目? と言われれば、ええ、まあ、そうなりましたねえ…、結果的に…。
 なにか、え、そんなんで、終わるの? という声が聞こえてきそうですが、終わらない解析は存在しません(たぶん…)。まあ、本解析で樋口センセのグラフ組みの基本を学び、その後スピードアップしていきましょう。

 それでは行ってみましょう!


 ■とりあえず、全項目と選択肢を書き出してみる。

 まずは手始めとして、全選択肢を書き出してみることにしましょう。
 実際の、グラフ図はこうなっております。

 

 ■拡大版はこちら。
 http://story-fact.com/090301big.jpg



 では、グラフを見ていきましょう。
 物語は、ルパンの全世界中のアジトが潰されて、不二子がさらわれ、ルーアン(フランスの都市)にたどり着いたところから始まります。

 1
 (イキナリ泊まっていたルーアン(仏)のホテルの部屋が襲撃される。)
  399 ドアを開ける
  12 窓から脱出する
  71 迎え撃つ。

 # ドアの枝

 399 ドアを開ける
(警察がいて、上の階に麻薬の密売人がいるから協力してくれ)
  45 握手する
  59 しない

 45 握手する
  (シェイクハンドマーダーというらしい。まあねえ。これはさすがに読めるか)
  999 死

 59 しない
  (相手がすかさずマシンガンを取り出す)
  82 # これは迎え撃つ「71」へ合流
  115 # なので省略

 # 窓から脱出の枝

 12 窓から脱出する
 (人相の悪い二人組が乗り込んでくる)
  129 下へ降りる
  23 屋根に登る。

 129 下へ降りる
  (坂の下から銭形警部登場)
  214 煙幕弾を持っている
  145 持っていない

 (この129はハブになっているっぽい番号なので、後回し)
 (ちなみにこれはバックリンクを調べれば分かる。この1のハブは)
 (「129」 3カ所から つまり3つのルートを統合している)
 (「225」 4カ所から 同じく4つを統合)
 (「251」 3カ所から)
 (「183」 2カ所から)
 (すごいですね(笑) 樋口マジック、ここにあり(笑))

 23 屋根に登る。
  (やつらも追ってくる)
 ★129 路地へ降りる (これはハブへ吸収)
  205 隣の屋根に飛び移る

 205 隣の屋根に飛び移る
  (パトカーがやってくる)
 ★225 さらに隣の家に飛び移る(ここもハブなのであと回し)

 # 迎え撃つの枝

 71 迎え撃つ。
 (敵が侵入してきた)
  82 P38を持っている
  115 もっていない。

 ## 迎え撃つ - P38

 82 P38を持っている
  (二人とも打ち抜く。銭形警部が包囲しているらしい)
  172 すぐに逃げる
  93 男の一人を抱えて逃げる。

 172 すぐに逃げる
  (どうも銭形をまいたっぽい)
 ★225 (これはハブ)

 93 男の一人を抱えて逃げる。
  (屋根へ登っていく。男から「薔薇」と聞く。警官も登ってくる)
  104 すぐにその場から逃げる
  126 男のポケットを探ってみる。

 104 すぐにその場から逃げる
  (隣の建物に飛び移り、はしごで下へ下りる)
 ★183 (これはハブ)

 126 男のポケットを探ってみる。
  (内ポケットと胸ポケットどっちを漁る?)
  140 内ポケット
  236 胸ポケット

 140 内ポケット
  (偽の身分証明証)
 ★183 (これはハブ)

 236 胸ポケット
  (舞踏会の招待状を手に入れる)
 ★251 (これはハブ)

 ## 迎え撃つ - もってない。

 115 もっていない。
  (マシンガンで撃たれるが、背負い投げでなんとかした。)
  160 窓から脱出
  34 そのまま応戦

 160 窓から脱出
  (窓から脱出 「12」を踏襲)
  23 #「12」とまったく同じなので、省略。
  129 #こういうの名称つけたいなあ、まああとで。

 34 そのまま応戦
  (銭形の警部が突入してきた)
  194 目くらまし弾を持っている
  145 持っていない。

 194 目くらまし弾を持っている
  (目くらまし弾で逃走)
 ★225 (ハブ。どうも銭形撒いたハブっぽい)

 というわけで、止めていたハブルートへ戻る。

 129 下へ降りる
  (坂の下から銭形警部登場)
  214 煙幕弾を持っている
  145 持っていない


 214 煙幕弾を持っている
  (銭形警部を撒いた)
  225 大通りの人混みにまぎれる

 225 大通りの人混みにまぎれる
  (車に乗って、町を走る。美術館にグランローゼンの文字。侵入する気らしい)
  261 警備員と戦う
  241 戦わない

 うわー、なんだこの展開は…。

 261 警備員と戦う
  (警備員に取り押さえられ閉じ込められるがすぐに脱出)
 ★251 外の次元と合流して、グランローゼン本邸へ
  272 美術館の中を探検してみる

 241 戦わない
  (酔っぱらいの振りをする)
 ★251 グランローゼンを調べてみる


 145 持っていない
  (逮捕されてゲームオーバー)
  999

 続いて、「183」のルート

 183 はしごで下へ下りる
  (車に乗って考える。グランローゼン、怪しくねえ?)
  251 グランローゼン調べてみる。

 251 グランローゼン調べてみる。
  (グランローゼン本邸の様子。舞踏会の垂れ幕)
  271 招待状を持っている
  273 持っていない


 と…、思ったら、どうも、美術館ルートも、「251」へ収束する模様。
 んー、どうもとりあえず「251」に終結するプランで、ちょっと遊んでみたという構成のようですね。
 というわけで、そっちも追いますか。


 272 美術館の中を探検してみる
  (アイテムを取り返しに行くらしい)
  283 体力ポイント3以上
  305 体力ポイント2以下

 283 体力ポイント3以上
  (アイテムを取り戻す)
 ★251

 305 体力ポイント2以下
  (アイテムを取り戻せない。)
 ★251


 なるほど。
 ここで、先ほど提示した、グラフ図を再提示しておきます。

 

 ■拡大版はこちら。
 http://story-fact.com/090301big.jpg




 ■ ,離僉璽

 まず、,離僉璽箸蓮普通の3分岐2分岐の6分岐。
 これは誰でもできると思われる。
 この中で、「59」の選択肢が先行する「71」の選択肢がまったく同じな、「59」が「71」のシャドーコピーな関係になっている。
 ちょろっと見てみると、樋口センセはこのシャドーコピーを結構多用するのが分かる。

 「59」はシェイクハンドマーダーを逃れた後の銃撃戦の項目で、
 「71」は序盤で迎え撃ち、二人組がなだれ込んできた後の銃撃戦の項目、
 ここの選択肢は、P38を持っているか「82」、持っていないか「115」。

 ここで銃撃戦は、同じ処理へ流しているのが分かる。
 分岐しているように見えるのだけど、実はシャドーコピーというトリックなのである、
 このテクニックの利点はプレイヤーには選択肢を提供しながら、分からないうちに統合してしまうということができること。

 こうやって小さなテクニックを拾っていきましょう。
 相手が樋口センセなので、鬼のように大量にテクというかトリックが見つかるはず。
 ちなみに、第3列は、どの項目も2分岐しているのに、次の第4列の項目が7つしかないという、ん? あれ? 感じなのである。

 ゲームブックを書いている見ると、

 「選択肢を受けての実際の結果」
 そして、
 「次の選択肢を提示するための状況の提示」

 をひとつの項目に書かなければならないのだけど、樋口センセの文章はこの圧縮がすさまじくて、さらにその上に、グラフの魔法を使ってマジックのように、物語を構築していくのである。
 いま回収しているのはその、樋口マジックの、グラフ構成の方。
 本作は、物語の構成自体も追いたい、なかなか出来のよい作品なのだけど、二兎追う者はなんちゃらですので、グラフに絞って参ります。


 ■ △離僉璽

 このパートは、難しいことをやっているように見えるのですが、それほどたいしたことはしていない。
 主に2つのテクニックを駆使していている。
 この第3列は7項目から10選択肢が出ているのだけど、
 三つの方法で解決している。

 1.単純にゲームオーバー
 2.シャドーコピー
 3.あいまい統合

 順に説明しましょう。


 1.単純にゲームオーバー 2 「145」→「999」と「34」→「145」→「999」

 ここは、

 「129」→「145」のルートが
 「下に降りて銭形警部が来た」→「煙幕弾は持っている?」→「持ってない」
 というルート。

 「34」→「145」のルートが、
 「敵と部屋で戦っていたら、銭形警部突入」→「目くらまし弾は持ってる?」→「ない」
 というルートで、

 実はまったく違う展開のゲームオーバーを統合している。
 この辺はあとで言及するので、そっちでまとめて書きたい。


 2.シャドーコピー 2 「160」が「12」のシャドーコピーとなっている。

 これは先ほど書いたテクニック。「160」は敵と戦っていて、マシンガンで撃たれたが背負い投げでなんとかして、窓から逃げようとしている地点。
 結構、このグラフ内でもかなりぐるぐるとあちこちを回っているのは分かると思う。


 3.あいまい統合 3(第4列からさらに+1) うやむやに「225」へ統合する。

 これですねえ…。
 これがたぶん苦手なのだなあ…。

 これは、「214」「205」「172」「194」から「225」へ統合しているのですが、じつはこれ、それぞれかなり違う流れから合流しているんですね。
 ちょっと見てみましょう。

 「214」の流れは、「129」のハブ経由で、

 129 下へ降りる
  (坂の下から銭形警部登場)
  214 煙幕弾を持っている
  145 持っていない

 214 煙幕弾を持っている
  (銭形警部を撒いた)
  225 大通りの人混みにまぎれる


 と、で、この「129」にくる「12」「23」「160」は、これはどれも窓から下へ降りるの流れなので、ここは統一されている。


 「205」の流れを見てみると、これは単一ルートで(「160」ルートからもくるので、一概にはそういえないが、そうと言ってもよい)、「23」「205」「225」の流れ。

 23 屋根に登る。
  (やつらも追ってくる)
 ★129 路地へ降りる (これはハブへ吸収)
  205 隣の屋根に飛び移る

 205 隣の屋根に飛び移る
  (パトカーがやってくる)
 ★225 さらに隣の家に飛び移る(ここもハブなのであと回し)


 これ、降りている地点が違うのです。
 およ? って思うでしょ(笑)。
 この辺はあとでまとめて書くので、後回し。


 「172」の流れは、「71」「82」「172」「225」の流れ。
 これは、戦って倒したという流れ。

 71 迎え撃つ。
 (敵が侵入してきた)
  82 P38を持っている
  115 もっていない。

 82 P38を持っている
  (二人とも打ち抜く。銭形警部が包囲しているらしい)
  172 すぐに逃げる
  93 男の一人を抱えて逃げる。

 172 すぐに逃げる
  (どうも銭形をまいたっぽい)
 ★225 (これはハブ)


 ちなみに、これは建物の裏口を抜けるルート。


 「194」の流れは、「71」「115」「34」「194」の流れ。
 これは部屋に侵入してきた、銭形警部を目くらまし弾で撒く流れ。

 71 迎え撃つ。
 (敵が侵入してきた)
  82 P38を持っている
  115 もっていない。

 115 もっていない。
  (マシンガンで撃たれるが、背負い投げでなんとかした。)
  160 窓から脱出
  34 そのまま応戦

 34 そのまま応戦
  (銭形の警部が突入してきた)
  194 目くらまし弾を持っている
  145 持っていない。

 194 目くらまし弾を持っている
  (目くらまし弾で逃走)
 ★225 (ハブ。どうも銭形撒いたハブっぽい)



 この「225」ルートを通らないのは「93」を経由するルートしかない。
 この「93」ルートは、男を抱えて逃げるルートで、これは、最終的に、「183」と「236」を経由してこのクラスターの最終目的地である「251」へ合流するのだけど、一応この辺の解析がこの第一クラスターのメインディッシュなので、これは後回し。
 まずは、簡単な「225」の解析を。

 まずは、注目してほしいのは、これまで、この第1クラスターの作りは、「225」へのリンクまでは、ずっと二分岐を続けてきたのです。これはなぜなのかと言うのは非常に面白い考察ができるでしょうが、まあ、いいか。
 この「225」へのリンクがはじめて、分岐がない選択肢なのです。
 これはさっき書きましたが、

 「選択肢を受けての実際の結果」
 そして、
 「次の選択肢を提示するための状況の提示」

 のうち、前者を次の「225」で省略できると言うことを意味します。
 プレイヤーは判断していませんから。
 こうなったよー、という報告をしなくてもよい、という特殊な選択肢であることを意味します。
 なので、この「225」とそこへ繋がる項番の中身の因果関係を緩くできる。
 この樋口センセ作のクラスターを見ていると、それをかなり積極的に意識して作っている感じがします。
 こういうの、なんて言いますか。
 名付けしないと、使いにくいので名前をつけましょう。
 「ざっくり統合」とでもしましょう。
 意図的に、「225」へ来る直前で、それ以前の因果を「ざっくり」と切っているのです。
 確かめてみましょう。

 「214」

 そのままやつらの向こう側へ脱出した。後は大通りに出て、人込みに紛れるだけでよかった。警官も多すぎると、かえって動きにくい。船頭多くして、船山に登るって奴だ。あばよ、銭形の父っつあん。いずれまた会おう。


 「205」

 「ざまァカンカンだ。やあい、来るなら来てみろィ」
 俺たちはさんざんにからかってから、さらに隣の建物の屋根に跳んだ。
 後は楽なもんだった。


 「172」

 アパルトマンを抜け出すと、パトカー数台と警官隊、その先頭に立つのは御存じ、銭形警部。おおっと、危ねえ危ねえ。俺たちはそそくさとその場を去っていた。


 「194」

 閃光の中、警官と男たちは何が起こったのかさえわからなかっただろう。
 庇を踏みつけて、パトカーの屋根に飛び降りると、そのまま俺たちはアパルトマンを去っていく。



 なるほど、ずいぶん違います。
 しかし、どれもざっくりと切られてしまっています。
 となれば、次を受ける文章も、かなりざっくりと、この辺と関係のない記述で繋がっていることにしてしまうことができます。
 確認してみましょう。

 寂れた路地の一角に、俺たちのフィアット500が停めてあった。
 ドアを開けて乗り込み、俺たちはフウと息をつく。
 「今回の事件、最初からご難続きだな、ルパンよ」
 「まったくだ。しっかし不二子の奴、いったいどこに――」
 アクセルを踏みつけ、俺たちはルーアンの街を走り出した。


 ざくっと切っているのが分かるでしょうか。
 銭形の父っつあんがどうこうということは一切書いてありません。
 これが、「225」へまったく異なる4つのルートから統合できるトリックなのです。
 とりあえず、「ざっくり統合」と名付けました。

 この第4列は、他には見るところはありませんので、この辺にしておきましょう。



 ■ のパート

 さて、第5列は、
 「225」を受けた「261」「241」と、
 「93」から「104」「206」を経て「183」「140」「236」と来る2ルートです。
 
 たぶん、不思議に思うのは、あれ、なんで、「183」「236」から「251」へつなぐの? と言うところではないでしょうか。

 んー、グラフを精査した感じでは、「93」ルートの失敗ルートとして、ペナルティーを与えているという感じですかねえ…。実際のところ、このルートの成功ルートである、「236」ルートでは、実は非常に重要なアイテムが手に入り、「251」以降、唯一の成功ルートへ入れるのです。なので、「225」から入るルートには、そんなに失敗ではないのでご褒美を、「93」ルートの失敗ルートにはペナルティーを与えたのでは、と思うのですがどうでしょうか…。
 まあ、もうちょっとフェアネスな話をすれば、「183」「140」「236」はまあ同じタイミングだったと思われるのですよね、なので、ここは落差をつけたという感じでしょうか。

 「225」から「261」「241」は美術館に乗り込むか乗り込まないかの選択肢で、実は、この「225」のシーンがうつくしい。ああ、このシーンを使わないのはもったいなあと、どうしても思ってしまうのは、書く人のエゴか。

 実際のところ「183」「236」はこの「225」のコピーに近い文章だったりするのです。なので、ここで、実は「225」の状況を受けている。ただ、もったいないなあ。うわー、もったいないなあ。
 この辺の割り切りがゲームブック書きの矜持なのでしょうか。
 まあ、樋口センセがそう思うのであれば、それはそれで仕方ない。
 小説書きとしては、ああ、それ、あれ? それじゃあ、ルーアンの街の感じを出せないんじゃないんですか??? いいんですか、そこスルーしちゃって。という感じなのですが、このどんどんと進めていく感じが、樋口イズムなのか。そこまで割り切れないのが、なかなかに罪深いというか、業が深いなあ。
 ただ、グラフ全体を見ると、すがすがしいほどのルーアンが浮かび上がってくる。
 しかし、それは、それぞれのルートを通った、ただ一回きりの旅人に提供できているのか。これはどうしても思ってしまう。複数回遊ぶことを前提としているのか、たった一回だけ通過していく人を想定しているのか。
 これはどちらも正しい気がするのですが、どうもわたしは一回きりの旅人を相手にする文化に長らく触れすぎていたような気がするのだ。
 まあ、よい。
 この答えは、おそらく出ない。

 以上、今回は、樋口センセのグラフ構造を追ってみました。
 なかなか贅沢に、詳細に追ってみたのですが、それができるのも、本作の豊穣さのおかげです。ぜひ、この作品を手に入れるのは難しいかも知れませんが(^_^; まあ、そんなにわるい作品ではありませんので、ご興味がありましたら、手に入れる努力をしてみてくださいませ。
 しかし、絶版本をテクストにするなんて…、と、まあどうしようもないのですが、思ってしまいました。


 続きは、次回!

 



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この「ルパン三世 黒い薔薇のノスフェラトゥ」の挿絵は…、双葉版「ドラゴンクエストシリーズ」、「地層階級王国シリーズ」、「トキメキハイスクール」の伊藤伸平さん…。なお樋口明雄&伊藤伸平の合作ゲームブックは「ドラクエシリーズ」と「黒い薔薇のノスフェラトゥ」の計4作品。伊藤伸平によるルパン三世のキャラ達はどう見ても、樋口ドラクエ風味が少しありますね…。
| マイケル村田 | 2016/04/24 1:15 PM |

 こめんと、ありがとうございます、hikaliです。
 書き手と描き手の問題は難しいですね(^_^; 正直挿絵をされる方の問題には注意を払ったことがないのですが、ニフルハイムのユリなどの、米田仁士さんなどが著名でしょうか。正直わたしは、商業でPBMをやっていた時にこの人が良かったと言われた時がありました。当然仕事でしてますので、わたしは雇われ人なので全権はないんだよと返すしかないのですが、そりゃあ貞本義行に書いてもらえれば、そんな贅沢はありません。でもそんなのは無茶なのです。
 なので、どこでうまくブッキングできたのか分かりませんが、上手い人に描いてもらえた幸せな時代があったのだなあと思います。
 「黒い薔薇のノスフェラトゥ」はたぶん樋口センセがもっとも幸せな時代な作品な気がします。黄金時代だったのですね。

| hikali | 2016/04/28 12:48 AM |









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