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<< 喫茶店のコーヒーと紅茶へのリベンジ その4 | main |  消耗した・・・。 >>
【完結】喫茶店のコーヒーと紅茶へのリベンジ その5
続きです。


 過去のエントリーはこちら。
 ■【小説の書き方を教えてください】<楽な範囲でやってみた
 ■小説の書き方の話
 ■小説的な表現の実験です・・・、すみません・・・。
 ■喫茶店のコーヒーと紅茶へのリベンジ その1
 ■喫茶店のコーヒーと紅茶へのリベンジ その2  
 ■喫茶店のコーヒーと紅茶へのリベンジ その3  
 ■喫茶店のコーヒーと紅茶へのリベンジ その4



 このシーンを作っている。

 ・主人公がカフェで紅茶を飲みながら、論文を読んでいる。
 ・ヒロインが入ってきて、コーヒーを頼む。
 ・いらいらとするヒロインをちろちろ見る主人公。← 【ここまで冒頭】
 ・紅茶が出てくる。
 ・怒るヒロイン。
 ・主人公がなだめる。
 ・冷たいヒロイン。              ← 【いまここ】
 ・しかし、主人公が読んでいる論文を見て、おっと思う。
 ・ちょうど今の取引に使えそうなネタなのだ。
 ・説明して欲しいと言う。
 ・一時間で突貫でレクチャーする。

 で、

 ・達也がカフェで論文を読んでいるところから始まる冒頭
 ・達也がカフェに入ってくるところから始める冒頭
 ・通りを歩いているところから始まる冒頭

 の三つの冒頭を書き、その差異を示すことによって、使われている技術を明らかにしてきました。その後、残りの工程のうちの中間地点と思わしき付近まで書き進めました。本日は、最後の詰めです。

 しかし、思いの外、長くなりましたねえ(^_^;
 もう79行もある(原稿用紙約8枚)。
 結構ばっさり書いているので、もうちょっと表現豊かに書く余地が大量にあるのですが・・・、その辺はかなり大雑把にやっておりますので、ご容赦ください。
 うーん、もうちょっとコミカル色を出すべきなのですかねえ・・・。
 宮部みゆきってどうやってコミカル色を出しているんだろう・・・。
 なんて事をやっていると、永遠に終わらないので(笑)、まあ、その辺は良い。

 さて、ここから達也がレクチャーしていくシーンになるのですが、どうしましょう(笑)。まあ、今回はあんまり詳しく書かないとしても、まあ、ある程度例示する必要があるので、多少わたしも詳しいところを選ばなければならない。
 わたしが古美術関係で強いセクターは、江戸後期から戦前まで(というか現実に最も流通しているのがこの辺の古美術)。なので、達也は、幕末から明治・大正期の産業文化史でもやっていることにしましょうか。
 この辺の話(特に明治期)の産業や財閥の勃興とかの話はあんまり知っている人も少ないので、それなりに新鮮でしょう。実際のところ、明治期の美術品はこういう人々がパトロンとして君臨していたから勃興したみたいなところがあって、派手な金遣いの時代だったので、ネタはいくらでもあるんです。

 ブツはなにがいいですかねえ・・・。
 真葛とか。
 知らないですよね・・・。
 馬鹿高い陶磁器なんですか、結構ネタがあるんだったりする。
 真葛香山の作とか言うと、とんでもない値がつくブツなんです。
 まあ、いいや。
 真葛でいこう。
 いかにもブツって感じでいい感じだ。

 という訳で、書くか。




 せわしい学内を抜けて、寒々とした街路樹の間を通り沿いに歩くと、達也のなじみのカフェ、シャムロックがある。
 騒々しい通りを十分も歩くだけの価値はある。
「いらっしゃい」
「紅茶ね」
「水曜日ですからね。マスター、紅茶!」
 はじけるような久実の声に、抱えた学会誌と論文と喧々諤々の議論の束を下ろし、達也はほっと腰を下ろした。
 やわらかな日差しの向こうの寒空に、飾られたゴールドクレスト。
 静かなインストゥールメンタルは、甘いクリスマスソングに変わっていた。
「どうぞ」
 久実が湯気をたてるティーカップを置く。
「雪でも降りそうですね。飾ったんですか」
「大変だったですよ。マスター、凝るから。降ってもらわないとやってられません」
「どうして?」
「入るんです、お客さんが、たぶん、寒いから」
「へえ」
 シャムロックの午後三時はいつも閑散としている。ランチとパブで賑わうすこし高いカフェは、騒々しい研究室からの逃亡先としては絶好といえた。
 論文のページを繰り、達也は三色のボールペンでラインを引いていく。
 カップに口をつけると、空気に香りがとけた。

「すみません」
 唐突に扉が開き、落ち着いた女性の声が響いた。
「ここ、煙草吸えますか?」
「ええ、わたしも吸いますから」
 奥からマスターが顔を出し、達也に大丈夫だよな、と念を押す。
「ええ、構いません」
 なにげなく視線を上げたつもりが、釘付けになった。
「じゃあ、ホットを」
 スーツ姿の女性は近くのテーブル席に座る。達也と歳は変わらないのではと思えるほど若く、その若さには不似合いなほどの大きな革のトランクケースを携えている。長い黒髪にぴったりの黒縁の眼鏡をいじり、ほそい煙をくゆらせて煙草を吸った。
 驚くほどの美人だった。
 達也は生まれて初めて、心が動揺するのを感じた。
「どうぞ」
 久実がティーカップを置き、砂糖とミルクを添える。
 若い女性はゆっくりと煙草を消し、静かに言った。
「これは紅茶です。コーヒーを頼んだつもりだったんですが」
 小首を傾げる久実に、鼻白んでいう。
「ホットコーヒーです」
 マスターが奥から顔を出し、遠回しに言った。
「入れ直しますよ、アイリッシュしかありませんが。お時間は大丈夫ですか?」
 若い女性は時計を見て、顎を揺らす。
 会社勤めにはとても見えない。鞄がオフィスには不似合いに思えたし、古風なチェック柄のスカート、淡い灰のベスト、ベージュのコートは趣味的と取られても文句は言えない。
 達也は何人かの女の子たちを思い起こす。
(この人はクリスマスをどう過ごすのだろう?)
 血液が全身を駆け上るのを覚え、論文にまた目を向ける。
 線を引こうとするが、肝心な内容がまったく入ってこない。
 カチカチと色を変えるが、変わるのは芯で、気持ちではない。
(まいったな)
 おそるおそるといった様子でホットコーヒーを運ばれてくる。
 案の定、若い女性のどこかでなにかがカチンと鳴る音が、気まずい店内に響いた。
「これは?」
 カップには攪拌されたコーヒーと、その上に大量の生クリーム。そして普通なら、
「ウィスキーは入っていませんよ」
「あ、当たり前です」
 マスターは困ったなあと頭をかく。
「アイリッシュ・コーヒーしかご用意できないのです。当店はアイリッシュ・カフェでして」
 女性は、細い指を眼鏡にあて、冷静に問い詰めるような声で聞く。
「なぜ、それを先に言わないのですか?」
「ちょっと」
 達也は声を出していた。
 女性が達也を向いて、視線が合う。
 達也はそれをあまりにも無防備に見つめてしまったのだ。
「なに?」
「いえ、言ってましたよね、アイリッシュしかないって、マスターが、それに」
「それに?」
「クリスマス、ですし」
 あきれたように立ち上がり、達也のところまでやってくる。
「もうクリスマスだから、コーヒーは出せないというの?」
「いえ、そうではなく、ほら、聞いてください、クリスマスソングです、この曲は確か」
「ハッピー・クリスマス。ジョン・レノン」
「そうそう、それですよ」
 女性はあきらめたようにため息をつき、椅子に腰を下ろす。
「落ち着けってことですよね?」
「ええ、まあ」

 久実があたらしい紅茶を運んでくると、ささくれだった空気は静かになった。
 女性は煙草に火をつけ、ゆるやかな煙を眺めながら物思いふける。
「おいしい」
 至近でつぶやく。
 達也は論文に集中している振りに熱心になる。
 ラインを引く、ページを繰る、考えているように指で額をコツコツと叩く。
 精読しなければならない資料は、現実に山積みで、しかもそれほど時間が残っているわけではない。
「大学の方ですか? とても忙しいんですね」
 不意に声を掛けられ、ちらと上目遣いに見る。
「ええ、学会が近いんです。今年は号令がかかっちゃってて」
「史学科か何かですか?」
「産業文化史をやっています」
 なるほどとうなずくゆるやかな視線が達也を、かなしばりのように包み込む。
 がたんと椅子が音を立てた。
「こ、これ、宮川寅之助じゃないですか」
「え? 宮川?」
 ぽかんと見上げると、眼鏡の奥の目をまんまるくして立ち尽くしている。
「宮川寅之助、号は真葛香山、著名な陶芸家です」
 達也はあわてて論文を見る。
 ――フィラデルフィア万国博覧会における日本館出品物の評価とその影響
「え、ええ、真葛ですね。ああ、たしかに真葛焼は出品されていますが、それが?」
「たしか、真葛香山の陶器はシカゴの博覧会で世界レベルの名声を得たはずで」
「ああ、でも、その前のフィラデルフィアが確定的だったんです。パリでも十分な評価を得ています。たしかにシカゴが世界展開のきっかけですが、日本代表として万国博覧会に出るほどですから、まあ、この論文によればですが」
「たしか、マクズウェアって、海外では」
「ずいぶん輸出したみたいですし、真葛焼の窯には外国人の金持ちたちが列を作ったようです。当時も高かったんですから、いま買えばとんでもない額でしょう」
 女性は深刻に何かを考え、すぐに言った。
「入っているんです、あのトランクに」
「なにがですか?」
「なにって、その、マクズウェアが」
 しばらく意味がつかめなかったが、とっさに声が出た。
「本物……、ですか?」
「あたりまえです。偽物なんて、うちは絶対に取り扱いません」
 あわててポシェットを探り名刺入れを、一枚を達也に差し出す。
 店名と思わしき表示の下に、黒崎貴子、と細い毛筆字で記してある。
 にこっと貴子は笑った。
「先週、ロンドンのスタッフから届いたんです、だから里帰り。うちのお客さまのお一人がぜひ見たいって、それでこれから」
「はあ……」
 貴子はちらっと時計を見た。
「一時間弱あります。ぜひ教えて欲しいんです」
 せがむような貴子の顔を見て、この人はいろんな表情がそれぞれに美しいんだな、と達也はぼんやりと思った。
「なに、……を?」
「産業文化史。万国博覧会の周辺を重点的に」



 と、だいぶ難航したのですが、こんな感じか・・・。
 この後のうんちくセクターも書こうかと思ったのですが、だいぶ枚数が込んでいるので、この辺で。ただ、このままだと宙づりになってしまうので、緊張をほぐしがてら、解説をしてみましょう。

 この明治の初期という時代は、元号こそ明治に変わっていますが、どちらかと言うと幕末の続きで、幕府の代わりに薩長土肥が政権をたてている時代です。だいたい、明治20年ぐらいまででしょうか。この時代はほとんど江戸で、しかし開国しているのでどんどん珍しもの見たさで外国人が入ってくる。
 もちろん、手ぶらで来るわけではないので、目的は貿易。
 しかし、当時の日本には産業らしい産業がなく、金とか銀を代わりに貿易していたほどです。さすがにちょんまげを持って帰るわけにはいかない。
 そこで、政府は一生懸命、輸出品を作ろうとするのです。
 この当時その代表格だったのが、日本の陶磁器だったのです。

 幸いにも日本には腕の立つ陶工があまたいて、そこに西洋の陶磁技術が入ってきて、一気に爆発するように花開く。最盛期には陶工数百人の陶器工場なんかが建つぐらいで、これといって見るものがなかった日本の代表的な産業になります。
 この中で著名なのが、ここで出てくる真葛香山をはじめとする名だたる陶工たち。
 江戸と西洋が混じり合ったエキゾチックで豪華な陶磁器文化を作り出します。
 それは、フランスで勃興したジャポニズムと呼応するように、アールヌーボーなどの芸術様式とも影響を与え合います。
 ジャポニズムというと北斎をはじめとする浮世絵ですが、実はその浮世絵が包んでいた(つまり浮世絵は包装紙だった)のがこの輸出陶磁器だったのです。
 しらなかったでしょ(笑)。
 なので、国内にはほとんどこういった作品は残ってない。
 だから恐ろしく高い。
 しかもこういう物語を知ってしまうと余計に欲しくなる。
 貴子がぴぴっと来て、必死に達也に教えてくれというのもそういうところからなのです。

 また、こういった陶工たちの作品を紹介する絶好の機会が万国博覧会でした。
 世界の産業商品が並ぶ中、日本を代表する商品として売り込まれたのです。
 たぶん、マクズウェアと呼ばれるようになったのは、シカゴ以降でしょうね。フィラデルフィア、パリで徐々にそういう商品があると知って評判になり、シカゴで一気にワールドクラスになったという感じでしょうか。
 これはわたしの勝手な推測ですが。

 以上、簡単なうんちくでした(笑)。
 ちなみに貴子たちが語っているのは、全部事実です。
 あー、無駄知識・・・。

 実は、こういう、日本の明治の勃興と美術作品が密接に絡んでいるケースというのは異様に多かったりするのです。当時の芸術のパトロンは、新産業貴族たちで、その人たちが熱心に美術品を買ったからというのもあります。
 とにかくこの辺の逸話はこれでもかっというぐらいにある。
 しかも、この時代はそのまま日清日露へ直行しますので、この辺を大々的にかたると、ちょっと外交上まずい。なので、ほとんどテレビなどでは語られない。
 今度の龍馬伝で三菱財閥を築いた岩崎弥太郎をやるらしいのですが、こういった明治の財閥の主たちを扱った大河ドラマはたぶん初めてです。
 たとえば、そういった金持ちたちの間で盆栽が流行ります。
 これは、明治天皇が部屋の飾りとして、西洋風の飾りではなく、いかにも禅とか、枯山水っぽい盆栽を選んだからというのが発端なのですが、そのおかげで金持ちたちの間で一気に流行るんですね。
 当時の金持ちというのは、ビル・ゲイツみたいなのがごろごろいるような状況で、それだけ一部の金持ちにお金が集中していたという事を意味します。この溢れ余る金が湯水のように美術品に向かうんです。
 西洋一辺倒の中で日本的なものが欲しくなるみたいな。
 明治期というのはほんとうに名だたる芸術家を輩出しますが、こういった背景が原因だったりします。

 というわけで、こういうのを絡めて書いてみたら面白そうだなあと思って書いてみました。
 いかがだったでしょうか。
 しかし、わたしはほんとどうでもいいことばっかり知ってるなあ(笑)。

 今回はずいぶん書きすぎましたので、解説等は省略することとします。
 もし何かありましたら気軽に聞いていただければ嬉しいです。

 以上で講座とリベンジとそれにかこつけて貴子が書きたかっただけという、本シリーズを終わります。
 おつかれさまでした!

 あー、つかれた(笑)
| 物語研究 | 00:51 | comments(0) | trackbacks(0) | 昨年の記事









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