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 hikaliのゲーム論(23) 取材はチート、行ったほうが早い 動の物語解析(4)
 こんばんわ! hiakliです。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
 えーと、たぶん、世の中の常識を大きく覆してしまう話を×考えてもみなかった方向の話をしていると思うのですが、大丈夫でしょうか(^_^; これは屁理屈の話ではないのです。物語を作る人に必要なセンスの話をしているのです。
 簡単に言えば、物語を作る人は、こういうことを大真面目に考えている、という話なんです。


 ■世界は真っ暗闇で、誰も世界を知らない。

 これが前回のおわりで書いた話でした。
 つまり、目の前の車が、正確にはその運転手がどうしようとしているかわからない状況で、わたしたちは運転している、という話でした。
 ブレーキランプを灯して、停止したあと右ウインカーを灯すのと、右ウインカーをつけた後にブレーキランプを灯すのでは、まったく後続車に与える影響は違う、という話でした。
 これは、情報の開示順の話です。
 違いが「起こる」ということに注目してください。
 たぶん、わたしの前を走っていった人は、右ウインカーがブレーキランプより遅れることにより、どんだけ後続車が混乱するかが分かっていなかったのです。

 わたしは2年前ぐらいに運転免許を取りましたので、自動車教習の光景がいまでも鮮明です。わたしは当時、右折する手順として、ウインカーを出して、ミラーを見て、それで危険がないことを確認して、右折していました。
 これが指導官の激怒を買ったんです。

 お前ははっきりとダメだと言われたんです。
 これは、一言で言えば、ウインカーが分かっていないという指導でした。わたしはいまでもその指導教官に感謝していますし、今になってみえばそれが素晴らしい指導だったと、その指導教官の名誉にかけても、本当に思います。
 大げさでなく、尊敬しています。

 指導教官はこう言ったんです。
 ウインカーは、お前の免罪措置じゃない。おまえが曲がっていい免罪じゃない。
 お前が曲がるという危険を知らせる、その警告だ。すいませんと言って、ひからせろ。
 どんだけ、危ないかって、知らしめるんだ。
 ウインカーは見せろ。見せて、危ないことを分からせるのがウィンカーだ。
 周囲の人たちに、見せることを意識しろ。
 わたしは、この指導官を、運転の恩師だと思っています。
 逆に、この自動車教習業界は、こんなにすごくうまくいっている業界なんだと、びっくりしたのです。交通事故を減らすためにこんなに情熱的なのだと、そして、根本的な事故を減らす交通の思想を伝えることに、こんなに情熱的なのだと驚いたんです。
 わたしが、もし一生事故らなかった、この指導官のおかげです。


 ■物語を作る人の見方、世界は真っ暗闇だと知ること

 前段の話は、たぶん多くの方が通り過ぎたはずなのに、知らなかったであろう話です。
 考え方が180度変わる話です。
 物語を書く人は、執拗なほどにこれを探しています。
 そのために、世界をリセットして、これは真っ暗闇だと思って考えています。

 たとえば、こう考えてみましょう。
 あなたは街を歩いています。目の前におばあさんが歩いています。
 あなたはこのおばあさんの人生を知っていますか?

 知らないんですね。
 それを知らないとかけないと考えるのが、物語を書く人の視点なんです。
 そう考えてみると、わたしたちはなんにも知らないんです。
 たとえば繁華街を歩いていて、その中に歩いている人たちのすべての人生を知ってますか? 何を考えているか、知ってますか?
 知らないとかけないんです。
 その繁華街を舞台とした物語は。
 だから、知ろうとして、取材するんです。
 片っ端から、インタビューしたい気分に駆られるんです。
 なぜなら、わからないことを知っているから。
 世界は真っ暗闇だと知っているから、それを緻密に知りたがるんです。


 ■取材のスタイル、簡単なやり方

 一番簡単なのは、24時間そこにいることです。
 密着取材というやつです。
 常にいて、常に聞く、というのがとてもシンプルなやり方です。

 ただ、これはとてもお金がかかるので(笑)、もっと簡単なやり方は、当事者になってしまうこと、なんです。

 要するに仕事にしてしまう事なんですね。
 わたしはWeb屋さんでしたが、これはとても簡単にいろいろな業種に潜り込むのに適していた商売でした。
 わたしは2年ぐらい、古美術の業界で仕事をする仕事をしていたことがありました。
 盆栽とか、水石とか、焼き物とか、そういうものを取り扱う業界に潜り込んで、それを取り扱っていた雑誌の電子化に関わったんです。そうするとわかって来るんです、この業界の価値観というか、基礎的な美意識みたいなものが。
 盆栽とか、水石の極意というのは、「景」、なんだなぁと。
 景というのは、景色のことです。
 後に、皇居の盆栽を預かっている人と話をしたりしましたが、すごく気持ちよく話ができたことを思い出します。

 わたしが、この盆栽は、本当にいいですね、と言ったんです。
 そうしたら、いやいや、これはまだまだですよ、と答えられました。
 で、わたしは、いや、この伸びやかさはすごくいいです、と言ったのです。
 伸びやかで、すごく高くて、若々しいと。
 それで、なるほど、その方向で育ててみましょう、と言われたのです。

 これが景なんですね。
 どんな景色を見て、それを愛するのか。
 その景色が伝わったから、見ている美意識を共有できたのです。
 これがわかるかわからないかは、この世界では大きな問題です。

 わかったから何がいいんだと言われると困るのですが(^_^; ただ単に、物語を書く人はそういうことが知りたくて、それを書きたい人だって事なんです。
 古美術業界の物語を書こうとしたら、これが分かってないと書けないんです。


 ■取材の効用、なぜわざわざ取材をするのか

 多くの方が誤解していると思うのですが、たぶん物語を書く人のほとんどの方が、取材をしない奴はだめだ、とは思っていないとわたしは思います。

 逆に言えば、取材なしに書けるやつは、すごい、ばけものだ、と思っているはずです。
 もちろん、その話が文句なしに面白かった場合だけですよ。
 たとえば、北村薫の作品のような場合です。
 彼の登場は衝撃でした。
 まるで、何も取材せずに書いたかのように見えたのです。
 もっとも北村薫は、三十代後半まで、女子高校の国語教師という、青春ものを書く人であれば、誰もが羨む取材環境を仕事にしていた人ではあるのですが(^_^;

 物語を書くというのは、何らかの世界を描き出すということです。
 人は神様ではありませんので、なにもかも生み出すような、創造力は有していないのです。
 たとえば、いくら頭で考えても、ウインカーは見せろ、にはたどり着けないのです。
 これは道路交通法の世界ですが、この世界が知りたければ、法律文を読んでうんうんうなっているよりは、教習所に通ったほうが早いのです(お金はかかりますが)。
 もし、法律文を読んで、もしくは法律文さえ読まずに、ウインカーは見せろ、にたどり着けたのであれば、それは確かにばけものだ、と言っている意味がわかるでしょうか。
 道路交通法の考え方を、一撃で見抜いたということになるのです。
 取材なしに書くというのは、そういうことなのです。

 逆に言えば、取材さえすれば、あとはいくらでもそこから知見を引き出せる、そういう自信がある人というのは、ある意味で、チートなのです。つまりカンニングをして、物語を書いているようなものなのです。
 参考文献を大量に援用して、論文を書いているようなものなのです。
 なので、取材しないとかけない、というのは、参考文献なしに書けるなんて信じられない、と言っているのと同義です。

 逆に、取材さえすれば書ける、という人にとっては、世界はお宝の山に見えるのです。
 ああ、わたしって、ずるいなって(笑)。
 こんなに、がっぽがっぽと取り放題で、怒られないんだろうか、と。


 ■実際の例、どうやって世界をぱくっていくのか。

 えーと、予定していた話と全く違う話になっているのですが(^_^; えーと、大丈夫でしょうか? なんで、こうなった??? と振り返ってみるのですが、ああ、ウインカーは見せろ、の話からですか・・・。
 なにか、「世界は真っ暗闇である」という話から、「ではその闇をどう色彩豊かに埋めていくか」という話になっているのですが、まあ、「世界は真っ暗闇である」ということが分かってもらえればいいので、まあいいか。

 じつは以前、小説はどう書かれているのか、というのを紹介したエントリーがありまして、ここから、旅する真葛 〜カフェ・シャムロックの事件簿 、が生まれたりしました。

 ■喫茶店のコーヒーと紅茶へのリベンジ その1
 http://blog.story-fact.com/?eid=1017049


 この話は延々と、文章をどう書けばいいのか、という話をしているのですが、舞台となるカフェをどこに置くか、をひたすらに考えています。
 実際には、このモデルとなったお店は、甲府にあるんです。
 シャムロックというのはクローバーの意味で、クローバーはアイルランドの国花ですので、アイリッシュカフェ、となるのですが、モデルになっているお店も、意味的にはクローバーになるんです。
 で、そのモデルのお店の情報は、ネットで検索すれば、大量に出てくる。
 だから、ネタに困ったら、なんかうまいネタはないかと検索すればいいんです。

 ていうか、画像検索したら、ほんとにゴールドクレスト飾ってたwww
 わたしが一度そのお店を訪ねて、たぶんこのお店はクリスマスはちゃんと祝うだろうなと思っていた印象が、そのままだったwww と爆笑しているのですが、まあ、そういうあったかい雰囲気の良いお店というのは、探せばちゃんとあるんです。

 で、こういういいモデルに出くわすと、ネタに困らなくなるんですね。
 なんたって、パクリ放題なわけですからw
 それが、早稲田の裏にあったらどうなるんだろう? と考えるだけでいいんです。

 取材はチート、なのです。
 こんなに、書くネタを仕入れることができる、楽ちんな方法はないんです。

 実際、先ほど挙げたエントリーでも書いてますねw
 あ、違いました。書いているのは第三回ですね。

 ■喫茶店のコーヒーと紅茶へのリベンジ その3
 http://blog.story-fact.com/?eid=1019569


 で、まあ、そうやって歩き回った感覚から言うと、どこだろうねぇ。
 あー、うーん。
 こんなことをやっていると、よし! 週末はシャイロックのある場所を探しに東京都内を歩きまくろうツアー決行!!!! とか言う感じになってしまうのだが(<そしてなんどもやったことがある・・・)、えーと、これは一応、単なる講座で3枚ぐらいの描写のためですから!!! と思うのだけど、そういうの大好きだから、どうしてもそういう流れになりそうになってしまいます。

 うーん。
 気は進まないのだけど、早稲田の裏かねえ・・・。
 あー、主人公は早稲田の院生なのか・・・。
 あの辺は・・・、まあ圏内か・・・。

 おし、決定! 
 早稲田通り付近ね。
 あの辺は歩いているんだよね。


 もう考えるのうざいから、東京中歩き回って、適地を探そうツアー決行! というノリになってますねw 要するに、探しに行ったほうが早い、ということなのです。


 ■何の話だったか、書き手は知らない事に自覚的で、知りに行こうと旅をする。

 もう、なんかぐちゃぐちゃでw 何を書きたかったのか忘れてしまったのですが、たぶん、書き手というのは、書こうとすると突然にじぶんが何も知らないことに気づいて、あ、知らなきゃ、と旅に出る、という話だったと思うのですけど、あってる?

 問題は、書く人は書こうとするので、書く対象のことについて何も知らないってことに敏感なんです。
 たとえば、マネー・ボールで著名なマイケル・ルイスは、なぜあんなに予算が少ないアスレチックスが、プレーオフに出れるぐらい強いのか、が知りたくて、アスレチックスを密着取材します(これはお金があるからできるのですが)。
 マイケル・ルイスは、金融系の書き手としては世界屈指の書き手ですので、「なぜ少ない投資で、最大の成果を得られるのか」について、ライフワーク的な情熱を持っていたということは想像に難くないのです。
 そして、そこで彼が見た光景は、野球の常識を覆すことでした。

 このマイケル・ルイスの情熱は非常にわかりやすいものです。
 そして、マイケル・ルイスの情熱は報われましたし、すばらしい集中力で、そこで何が起きているのかを活写しました。わたしはマイケル・ルイスの文章を読みながら、アスレチックスのオフィスにいる気分になりました。

 これは、好奇心なのかな? としばらく考えてしまいます。
 わたしはこれは、旅をしたいと思う、うまい言葉がない、冒険者気分だと思うのです。その冒険記のアウトプットして、書かれたものがあると。

 だからまあ、書いている人たちは、みんな冒険している気分でいる気がします。
 その冒険がワクワクすることなのです。
 世界の秘密を知りに行く旅なんです。


 ■作家を口説くのに、多分最強に効くのは、取材無料

 わたしは作家になるメリットって全くないと思ってるんですけど、という人なんですが、最強のメリットがたった一つだけあるんですね。
 それは取材に平日に行けること。
 わたしは古美術商のあいだを「仕事で」回っていたのですが、これは当たり前なんですが、平日なんですね。国立国会図書館も、平日以外は土曜日しか開いていません。そして、土曜日は混む。
 わかりやすく言えば、平日に三菱商事にアポ取れて、社長と1時間取材できたら、どんだけすごいか。
 三菱商事とは全く関係がないわたしであることが明らかなので書けるはなしなのですが、いちおう浦和ファンなので、あー、銀行三菱ですから、そのへんのファンの矜持はわかってほしい、スリーダイヤにあのチームがどんだけ貢献しているか、と、チーム擁護目線で語りつつも、そういえば、あのメキシコの鉱区揉めたみたいですね、チームのドキュメントにしたいと思ってますんで、差し障り無い範囲でお話ください。
 とか。

 別に悪いことをしているわけではないんです。
 知りたいって欲望を爆発させているだけなんですね。

 じぶんが知りたいっていう欲望を媒体で書くことで正当化しているだけなんですね。
 これはすごく正当な欲望だと思います。

 取材というのは、やらなければならないこと、ではなくて、衝動的に知りたいこと、なんです。そこにフリーアクセスできたら、小説書き歓喜です。今書こうか迷っているんですが、出版社が名刺を出し、この人の責任はわたしが全部負うので、この人に対しては寛容に扱って欲しいという名刺が出たら、それこそ出版社の意味だと、絶賛します。

 なんか、意味わからなくなりましたが、以上です。

JUGEMテーマ:ゲーム


| hikaliのゲーム論 | 23:00 | comments(4) | trackbacks(0) |
hikaliのゲーム論(22) 情報の開示順のマジック 動の物語解析(3)
 

 こんばんわ! hikaliです。
 えーと、前回、中途半端なところでぶちっと切れたのですがいいところで切ってみたのですが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 さて、前回は、・・・あ、あのシナリオ、タイトル言えないんだったw
 PBMで実際にやったシナリオを例にして、どうやって情報を積み上げていくのか、という話をしたつもりなのですが、途中でぶちっとやったので、若干分かりにくいかと思うのです(^_^; 

 ■前回のおさらい

 というわけで、引用してみましょう。
 こういう厚かましさは、案外必要だと感じる、今日このごろです(^_^;
 この話は、ヒロインの情報をどう組めば、うまくいくのか、という部分の話です。
 これを拡張すると、シナリオの情報の組み方みたいな話になるのです。


 ユーザ視点で見てみましょう。

 1.旧ヒロインから、新ヒロインへの受け渡し

 まず、旧ヒロインは前作で、前作からのプレイヤーと心を通じ合ってますし、ほとんどが親友に近い関係を築いていますので、自然に旧プレイヤーの関心は、なんで、旧ヒロインはレースに出ないのか、という話になります。
 そこで、旧ヒロインは、レース自体を束ねる立場に立たなければならなくなったから、という答えがされるのですが、これは案外理不尽です。イチローがなぜかGMをやらんとまずいから引退した、みたいな話です。この理不尽さは、りおねに対する協力を引き出すのには、有利です。
 そんなのおかしいよ、を共有しているからです。

 新ヒロインは、なんの苦労もなく、その座を得たように見えます。
 もちろん、そんなことはないのですが、非常に熱心な割には、下手くそです。あぶなっかしいといいますか、いつ事故ってもおかしくないぐらいの腕です。なんで、こいつが新ヒロイン? と思わせたら、勝ちです。
 こいつが、爆薬なんです。何重にも、爆破点が仕掛けられているんです。
 なんで、りおねちゃんじゃないの?
 なんで、あなたなの? なんです。もちろん、それに応えるだけの資格は持っているのですが。それがなかったら、ヒロインにはしない。そんな、つまらんシナリオは、書きません。

 2.みりーが主張を始める

 みりーは、ありえないぐらい率直に、現状を語る。素朴に、自由に、なにものにもとらわれずに、奔放に語って、この縛り付けるところが何もない感じが、好かれた理由なんでしょうね。
 ここへ来て、プレイヤーはあっけにとられます。
 こいつとどう付き合っていいのかと。
 困ったやつなんです。
 そこで、おいうちのように、爆弾を投げるのですね。
 この子は、もう、半年も生きれないと。
 一言で言えば、あと二回しかありません、と書いたんですね。

 引用ここまでです。
 ちなみに、実際にはこれで爆発しました。

 はい、厚かましいですね(^_^;
 この物語については、いろいろ説明していない部分が大量にあるのですが、ポイントを絞らないと、長くなりそうなので(長くなんて、手ぬるい話じゃないですけどねw)、ぎゅっと切り詰めて書いていきます。

 ちなみに、この物語は4回の物語。
 つまり、毎月マスターとプレイヤーのやり取りを手紙でして、四回で終わる物語なんです。たった四回? と思われるかもしれませんが、いえいえこれでぴったり。起承転結の4回で充分。
 前回は、起と承の説明をしたのです。
 起でなんでこうなったのかを聞きに行って、承で新しく登場したみりーの性格を深堀した。
 前回お話したのは、この部分です。プレイヤーの1回目の反応と、2回目の反応を書いたのです。
 これで物語の仕掛けはばっちり。
 あ、これは多分書き忘れているのですが、みりーは、13歳ぐらいの華奢な女の子です。


 ■転のはじまりのつくり方=爆薬起爆の仕方

 で、前回、2回目の終盤について、あんま語ってなかったので説明するのですが、ちょっと書き始めるとここは長くなるんですね。といいますと、1回目の終盤が承の始まり、2回目の終盤が転の始まりになるので、実際には転の話なるのです。
 実際には、この転の始まりで、これまで着実に伏線として積み上げてきた爆薬に着火します。つまり次回である第三回から、怒涛の大混乱状態が始まるのです。参加するプレイヤーのみんながどうしようどうしようと慌てふためき、様々な行動を取ります。
 そんな、とても重要な爆破点なのです。

 かるくひょいひょいと書いているので、伝わりにくいんじゃないかなあと思うのですが、後ほど、実際に爆発させた実例を引用しますので、ご安心ください。これはひどいw ここまで煽っていいのかw と思っていただけること請け合いです(^_^;
 その前に情報を整理させてください。

 ここで開示された情報は以下のとおりです。

 ・みりーは半年後に死ぬほどの重病人
 ・すさまじい精神力で、それを悟られないようにしていた。
 ・レースカーに乗りたかった(これはこのシナリオのヒロインになりたかった、と読み替えてもOK)
 ・数千億円の金を投じたスポンサー(正確には、ヒロインになりたくて、乗っ取ったw)
 ・お姫様である。
 ・しかし、それは秘密にしていた。

 これが承の最後、つまり四回中の二回目の最後で全部開示されたのです。
 やっていることがわかるでしょうか。
 実装論的なテクニックは省きますが、ようするに、二回目のラストで、これが全て伝わるように手配したのです。

 これが、レースでクラッシュすることによって発覚するようにしました。
 つまり、実際には、競馬の話だったので落馬なのですが、圧倒的に勝てそうなレースでクラッシュして、医者にかかるんです。そこで、生存していること自体がおかしいぐらいの重病で、立っていることが信じられない、という見解が開示されるのです。


 ■爆破の実際例

 今、過去の原稿を読んでいるのですが、この辺は、かなり手数を使って、渾身のフルコースをひねり出している感じなので、ちょっと全文紹介すると、解説しきれる気がしないのですが、ポイントとなっている地点だけ引用しましょうか・・・。
 ディック・フランシスへのオマージュといいますか、ほんとディック・フランシスを吸収しつくした時に書いたんだなあと、思ってしまうのですが・・・。

 このシーンは、ちょっと食付きが弱いなあと思って、ちょっとやりすぎて、爆発しすぎてしまって、後に収集を付けるのが大変だった例です。
 なので、ある意味では失敗なのです。
 多分読むと、うわーw、ほんとにこいつ爆弾投げまくってるw
 テロだろ、これwww
 と思える内容です。
 まあ、結果オーライで、熱狂的な状態をうまく作れたのですが、まあ、ある程度、やりすぎな例として読んでいただけると幸いです。

 まずは、クラッシュ(というか落馬)をした後の、会議でのシーンです。
 みりーを乗せるのをやめようという論調の中で、前作のヒロインが拒否します。
 このシーンは、前作のヒロインで、今回、会議をしきる役になるしかなかった女子高生の発言から、転が始まります。

「わたしは許しません」
 ふいにりおねが言った。委員たちが戸惑い、驚愕の表情をりおねに向ける。一人が、
「なに馬鹿な事を言っているんだ! ○○○人だぞ、敵なんだぞ!」「構いません。しかし、彼女をスノゥに乗せない訳には行きません」「なぜだ?」
 さっぱりわからないというように委員は驚く。
「彼女が最高の騎手だからです。走らないのは競馬界の大きな損失になります」「馬鹿な。負けたではないか。落馬。重傷でグランプリでの勝ち目もない」
 りおねはキッと表情を怖くした。
「立ち上がります、きっと。明日、明後日にはまた乗っています。そして、勝つ。こんな凄い事がありますか? 今年のグランプリは素晴らしいレースになるはずです。誰も忘れる事のできない」「あれは、へたくそだ。今日の落馬だって、分かるだろう? 完全に騎手のミスだ。委員長がわからないとは言わせないぞ?」
 りおねは震えた。そして怒鳴った。
「騎手は機械ですか! 騎手は人形ですか! 馬の上に乗っかっている付属品ですか! あの子は最高の騎手です。確かに下手糞、そうです。でも、スノゥをあれだけ本気にさせる騎手がどこにいると言うんです!」

 スノゥというのは、馬だと思ってもらえると嬉しいです。
 このシーンは、スノゥに乗っていた旧ヒロインと、スノゥに乗ることになる新ヒロインの受け渡しのシーンなのです。
 ここから、ミリー側にシーンが移ります。
 実装論ですが、この辺はぱつぱつぱつと、シーンを短めに切って、中継風にしました。ようするに4〜5個ぐらいの、これは高度な言葉なのですが、結果のダイジェストを、中継風に伝えました。

 その中継は、みりーに移ります。

「馬鹿言うな、おれはすぐにでも乗るぞ!」
 みりーは駄々をこねたが、東が、
「とにかく、酷いお怪我です。それが治るまでは」「おい、東! ふざけるな! こんなのかすり傷だ」
 東は黙った。医者も同意し、確かにあなたにとってはかすり傷だと呟く。そこへりおねが到着する。
「み、みりーちゃん……」「おい、同僚だろ。ちゃんはよせ。みりーでいい。……なあ、おまえには分かるんだろ、今日のレース?」「うん」「おれのミスだ。スノゥには悪い事をした。おれには、あいつに乗る資格がねえ。だからよ、すこしでも上手くなりてえんだ」
 りおねはうんうん頷く。みりーは医者を見て、
「あの馬鹿を何とかしてくれよ、乗るなって言うんだ」
 りおねは医者を見た。医者はため息を、りおねをうながし、別室へと連れて行く。りおねは医者から聞いた。
「医学の常識から外れています。立っているのが不思議なぐらいです」「それで乗るのは?」「馬鹿な事を言わないで下さい!」「ストップは許しません」
 医者は愕然とする。それから、
「殺人ですよ、それは。それでも委員長ですか?! お父上ならば、絶対に止めます」「父は……、父はそんな人ではありません」「え?」「父がまず考えるのは、スノゥを走れなくする事、次に、グランプリを中止する事を考えます。わたしにはどちらも出来ません。だから、乗せるしか……」「そ、そんな……」
 医者は黙った。りおねは慎重に聞いた。
「あとどれぐらい持つのですか?」

 ここから、追い打ちに入ります。
 この辺もぷつぷつと中継風にダイジェストで、いきなりシーンを取り出す形で書いています。そういうやり方でしか、うまくまとめられないシーンなのですね。逆に言えば、こうやればなんとかなる、という感じなのですが。まあ、実装論になるので、やめましょう。

「なあ、光莉。何でだろ? 身体が動かねえんだ。寝てる間に麻酔でも掛けられたに違いねえ」
 みりーは、光莉に言った。みりーは続けて、
「なあ、怖いよな。おれ、怖い……。身体のちからがないんだ。寝てるのも辛い。自分の身体が重いんだ。なあ、このまま動けないのかな? このまま冷たくなって、なんの面白くもない、つまらねえ肉塊になるのかな? おれは嫌だ。こんな風に縛り付けられて、身動きできなくて、つまんなくて、それでカラスどもに突つかれるんだ。どこもかしこもだ。胃袋だの、胸だの、肝臓だの、脳みそだの。それでも、動けないんだ、ずーっとだ」
 気付くとみりーは泣いていた。ぼろぼろと涙が零れた。光莉は、みりーの手を握り、
「じきによくなりますわ……」「おう……、当たりめえだ。明日になればぴんぴんしてる。明後日になればスノゥに謝ってる。次の日には上手くなってる」
 しきりにそう言ってみりーは瞼を閉じた。
 そして次の日、みりーはベッドから脱走していた。

 以上が、ポイントを抜き出した転の始まりですが、これだけでも、ずいぶん手数がかかってますね(^_^;

 このシーンは、落馬シーンから、とても手数を尽くして組み上げている転の始まりなので、なかなかお伝えするのが難しいのですが(要するにここへ突入するために、あらゆるところで手を尽くしているんですね)、ああ、これがストレートに効く状況を作り上げていたのであれば、爆発するだろうなあと、思っていただけると、嬉しいというか、細かく全部説明すると本5冊ぐらいになる、という感じです。

 ここで、りおねの「わたしは許しません」という発言が、なんでここまで執着するのか、と思えるかもしれません。

 これは、そこまでに、それが自然である、という状況を作り上げていたから出せた言葉だったんです。
 起承はここへ向けて作り上げているので、細かいところをあげるとキリがないんですね(^_^; すっごい細かいところをひたすらに積み上げて、ここで爆破できるように、準備をしていたのです。これが爆薬を積むという感覚なんです。
 とてもわかりやすい、落馬シーンを引用すれば、

 駆け寄った。誰もが色を失っていた。
 ふいに、角がひかりを放った。かつての相棒がなにをしようとしているのか悟ったりおねは愕然と、慌てて、
「駄目、スノゥ! あなた、走れなくなっちゃう!」
 そう叫んだのをノビは聞いた。えっとそっちを見る間に、観衆がざわめく。りおねに縋り付かれたスノゥの角を小さな手が掴んでいた。頭を振り、力なく上半身を起こし、呆れたようにため息。無傷なのか何の気もなく立ち上がった。手を腰に、茫然とするりおねを見つめる。
「なんか、妙なことになっちまっちたな。おい、おまえ! そんな情けねえ顔すんなよ、……おれは平気だ」
 スノゥの鼻頭を撫でた。どよめきが歓声に変化したが、みりーは不機嫌そうに眉をしかめ、吐き捨てる。
「敗者に拍手なんかするなよ……」
 あしらうように片手をあげる。そこへ東と光莉が走ってきて、蒼白な顔をする。東が、
「だ、大丈夫……、ですか?」「おう、おれは、だ…」
 笑おうとした所で、身体の防衛機能が働いた。みりーの顔が歪み、吊り糸を切られた操り人形のように崩れる。気力で誤魔化していたみりーの身体は負った重傷にふさわしい悲鳴を上げ始めた。りおねが冷静な判断でスノゥの手綱を引いて離し、みりーは慌てた医師に担架で運ばれた。無傷なわけがない。
 鎖骨とあばら何本かを骨折、全身に何個かの打撲。全治は知らない。しかし、聞く所によると、障害騎手はその程度の怪我なら二三週間で、もっと果敢な人は数日で騎乗したがるようになるらしい。

 なんとなく、整えている感じがわかるでしょうか。
 このシーンは、みりーが常識を無視して、気力だけで立っていたということがわかるシーンです。これはわかりやすいスポーツマンシップなんです。あの舞台に立ちたい、あそこに立つためなら、どんな障害でも越えてみせるという、執念みたいなものなのです。
 みりーは祝福を受けたいんです。
 勝って。
 これだけなんです。
 祝福を受けたいという、欲望をむきだしにしているんです。
 勝ちたいと、思っているんです。
 少女じみていて、意外性を持たせているのですが、この、ちょっとだけずらすというのは、案外うまくいくんですね。

 これは、よく、勝者のメンタリティーと言われますが、わたしはそれをディック・フランシスに学んで、それをよしもとばななのTSUGUMIのつぐみに与えてみたらどうなるだろうと、考えてみたんです。
 いや、ずらしまくって、ごまかしているんですね(^_^;

 この話は、非常にシンプルです。
 わたしにありがちな、とてもロマンチックな話がベースになっている。
 つまり、半年後に死ぬ事が決まっている少女が、最後の願いとしてレースに出て、勝って祝福される幸せを味わってから、死にたかったという、その一点です。

 しかし、これでは物語にならないので、よしもとばななのTSUGUMIと、ディック・フランシスを使って、無理やり物語に仕立て上げているのです。
 よくよく核を見ると、むちゃくちゃなんです。
 単に、わがままな女の子が、お前らに祝福されて死にたかったと言っているだけの話なのです。
 それがうまく通ってしまった話なのです。

 実際に、シナリオ会議にかけられた時には、このヒロインは、わがまますぎるので、プレイヤーに好かれないのでは? 大丈夫か? という疑問が投げられました。

 わたしは、適当なので、あー、いや、これ、よしもとばななですし、TSUGUMIなんで、売れてますんで、たぶん大丈夫ですよぉ〜♪ これぐらい軽いんですね(笑)。

 わたしとしては、みりー砲がどんだけすごいかが楽しみすぎて、ぶっぱなしたくて仕方なかったんですw もう、これが炸裂した時にどうなるかが楽しみすぎて、仕方なかった。
 もうそれしか考えていない。
 みりー砲炸裂させるための準備を、嬉々として、鼻歌を歌いながら、起承と着実に手配していく。そんな前半のセッションでした。そして、腕によりをかけて、ぶっぱなしたんです。


 ■情報の開示順のマジックのはなし

 さて多くの方が多分忘れていると思うのですが(わたしも忘れていた・・・)、これはみりーというヒロインの情報の開示順で、物語が大幅に変わる、という話でした。

 一番簡単に問えるのは、みりーが事情を全部話した上で、この物語の開始から登場していたら、うまくいっていたのか? ということです。

 この辺はそのメカニズムがわたしもうまく分かってないので、感覚的な話になりますが、すっごいつまらない話になっていただろうと想像できるのですね。

 つまり、起承で開示されない情報があって、転の始まりで開示されて、転に突入するという形は、わたしの経験則的には、うまくいく形なんですね。
 なんで、これがうまくいくのか?
 これが解明できたら、わたしの動の物語解析は完成するのですが、そんなに甘い話ではないんですね(^_^; はじめからことわっておきますが、わからないんです。

 ただ、これだけは言えます。
 情報の開示順には、マジックを仕込む余地がある。

 マニュアル的にこうすべきというのは、多分ありません。
 でも、情報の開示順に注意して、意識して考えたときに、マジックが生まれるかもしれません。

 とても消極的で申し訳ありません(^_^;

 わからないのです。
 論理的には、起承転結型なんだから、転で情報を全開にするのは当たり前だろ、になるのですが、なんで、起承転結型がいいのか、という質問には答えられないんです。うまく答えられたとしても、朝日新聞の天声人語が、起承転結型なのだから、それに習って、なにか問題が? と言うぐらいしかないのですが、じゃあ、イギリスだったら?
 シェイクスピアだけど、あれはあれで、起承転結なんだな・・・。
 英国に起承転結ってあるの?
 あれって、中国の五言絶句じゃない?
 とまで突っ込まれると、深淵にようこそ、ここが最前線です、となるのです。

 この深淵から、いろいろな作品を見上げてみましょう。
 論理的に、なんで起承転結がいいのか、説明できないんです。
 だから、やろうよ。
 それが動の物語解析なのです。


 ■次回のはなし。くらやみの真っ暗け。

 次回の話は、くらやみをぼくたちは、つねに時速60キロで走っている、という話です。
 たぶん、この自覚は、ほとんどの方はないはず。

 それを説明し尽くして、どんだけくらやみを走っているかを実感していただく話です。

 これを通して、くらやみの中での判断をどんだけしているかを、わかってもらう話です。それに伴って、くらやみの中の灯火がどれだけまぶしいかの話です。

 わかりやすい例えをしましょう。

 あなたは交通量の多い幹線道路を走っています。
 片道1車線の道路で、対向車線はたくさん流れていますが、あなたの車線は流れていません。つまり空いているのです。
 突然に、前の車のブレーキランプが灯りました。
 前はガラガラなのに。
 なぜ?

 わかりますか?
 たぶん、運転歴がある人には、ああ、なるほどと思う内容です。

 あなたはブレーキを踏むと思います。
 でも、もし、ブレーキランプが灯ってなかったら、追突していたかもしれません。
 なにが起こったんでしょうか?

 時速50キロで走っているのに?
 前を走っている車の意図がわからない?
 そんなリスクを犯して、あなたは車を運転してるんですか?

 くらやみなんです。
 全然わからなくても、みんな平気で過ごしているんです。

 この話です。

 ちなみに、さきほどの車は、忘れていたかのように、右のランプをつけました。見ると、そこは24時間運営のスーパーの駐車場の入り口。
 右折したかったんですね。
 右折のランプが早かったら、迷わなかったんだけれども、この辺、情報のでる順を考える上で、いい例かも。

 くらやみなんだと、思うことが大切なんです。

 以上、次回にしましょう!


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| hikaliのゲーム論 | 23:04 | comments(0) | trackbacks(0) |
 hikaliのゲーム論(21)どう、情報を明かすか 動の物語解析(2)
 

 こんばんわ! hikaliです。
 えーと、前回より仕切り直しになってしまい、たいへんにめんどくさいことに遂行しなおすチャンスができてラッキーなのですが(^_^; 一本にするつもりだったのを二本にしているせいか、たぶん、流れが悪いところはあるかと思います。

 さて、前回はリークというマーケティング手法を通して、情報を伝える順を変えると、情報を受けた人の受けた印象が変わる、という話をしました。そして、それが機能するためには、くらやみが必要なんだと書いたところまで進めました。

 今回はその具体例について説明します。


 ■実例で見る、くらやみの効用 〜『始まりの豪雨』で説明 〜

 では、実際の例を見てみましょう。

 幸いにも、もうこの連載では、一本実際のシナリオを紹介していますので、これを解説することにしましょう。
 この回です。


 このなかの最後の方で、■実際にやっていた例。30分でシナリオを考える。のところで紹介しているシナリオです。
 引用してみましょう。

 で、ピクシーは姿を消せるのだけど、それが特殊能力であって、妖精さんの力なので、魔法では感知できないというところが魅力なので、これを使って、なんかトリックを作りたいなあと思うわけです。で、豪雨の中で、少女が姿を消して、悪党が突然襲いかかってくるシチュレーションを作れたら、面白いだろうなあと思いつきます。
 ふっと消えるのは幽霊ぽく見えるだろうなと思っての発想です。
 幽霊が消えるのならば、雨の中だなあと(<安易・・・)。
 ちなみに、ピクシーは透明に近い羽があって飛べるので、豪雨の中では、ふわーっと、幽霊っぽく浮いているように見えます。これは多分びっくりすると思ったのです。なんだ、あの怪奇現象は!? でもソードのルールではそんなことが出来る存在が存在しない。
 で、びっくりしたところで、豪雨の中から、突然に攻撃されるのです。
 これは面白い。

 このピクシー(妖精さん)は巨大化の指輪の魔力で人間大になっています。
 このシナリオはソードワールドというシステムでのセッションのために、セッション前の30分で作ったシナリオなのですが、鍵となっているのは、親指大の妖精さんが巨大化して、人間大になっているという部分です。
 これが盲点になっていて、真相に気づきにくいのです。

 実際にはプレイヤーはあらゆる探知手段を使って、この怪異現象の正体を知ろうとするのですが、わからないのです。ソードワールドのルール的には、存在し得ないように見える存在なのです。
 なので、
「ちゃんと、ルール上説明できるよね?」
「できるよ〜、当たり前でしょ」
 という確認の反応が返ってきたりします。
 そうすると、プレイヤーは一生懸命、謎を解こうとするのです。
 あがけばあがくほど、怪異現象に思えてくるのです。

 そこで、プレイヤーは豪雨の中で、その少女を追いかけるというリスクの高い行動に誘導されます。その後は、設計していた時の考え通り、豪雨の中から突如、悪党が襲いかかってくるのです。
 この時のプレイヤーの反応は、

「うわー、きた〜ぁ! やられた〜ぁ!」
「はあ?! な、なんで!?」

 というものです。マスターとしてはにたにたしながら、してやったり、なんです。
 もちろん、この戦闘は、プレイヤーをやっつけるためのものではありませんので、苦戦しながらもプレイヤーが勝利します。
 これはサプライズなんです。
 戦闘が終われば、ピクシーは巨大化の指輪を外して、プレイヤーの前にあらわれます。もうこの情報は明かしても問題がないからです。そしてピクシー語で話すのです。

「わたしに構わないで。わたしはあの男の子が好きなだけなの」

 これで真相がわかるのですね。
 これがある程度のカタルシスを生むのがわかるでしょうか。

 事前に明かされていれば、こうはならないのです。

 この効用が多くの人にはわからないんです。
 くらやみの効用といいますか。くらやみというのは、統治的であれば、役に立つと。

 続いて、これは一体何をやっているのか、ということを説明しましょう。


 ■開示順が重要、あとはその手順を考えるだけ

 これは、わたしがよく使う表現で、テーブルに伏したトランプをめくる、のと同じような行為だとよく説明します。

 マスターはたとえば10枚ならば、10枚のカードを裏にしてテーブルの上に並べます。そして、自分が任意にめくれる場合には、自分がめくりたいカードをめくります。もちろんカードはマスターが選んだ10枚のカードですし、マスターはどのカードをどこに置いたかは覚えています。
 たまに、プレイヤーの行動が功を奏して、プレイヤーがめくるカードを選ぶときもありますが、半分以上はマスターがめくるカードを選ぶのです。

 伏したカードの交換はしませんし、位置も移動できません。
 ただマスターができるのは、どのカードをめくるかを決めることだけなのです。

 これがわたしが言っている、情報の開示順でコントロールしていく、という意味です。

 ただ、二つのケースだけ例外があります。
 それは、セッションを通じて、プレイヤーがうまく行き過ぎた場合と、プレイヤーが思いのほか上手くいかなかった時です。

 わたしは商業ベースのPBMでマスターをしていましたので、全6回とか(6ヶ月で終了)、全4回(同4ヶ月)とかアナウンスして参加する人を募集しますので、この予定からはずれるわけにはいかないのです(^_^;

 ・上手くいきすぎたとき

 プレイヤーがうまく行き過ぎて、予定より早く終わってしまいそうになったら、予定になかった要素を追加します。これは先ほど例えだと、10枚のカードに裏にした2枚のカードを足すのです。
 これはどんなに巧妙にやっても、気づくお客さんがいるのですね(笑)。

「なんで、プレイヤーの行動が全部成功しているに、新たな脅威が出てくるんだ!」

 この方はたぶんわたしの構想を読み切っていたんでしょうね・・・。この辺りで終結するはずだと。そういう場合は、もう仕方ないので正直に返信します。

「いや、すいません(^_^; 5回で終わるわけには行かなくて・・・、うまくいきすぎちゃいましたね」

 で、そのあまりにもうますぎる作戦を提出してしまった別の方は、

「これでうまくいくと思ったのに、騙されたwww」

 まあ、相手もわかってるんですねw どうしようもなくてボーナスステージを用意するほか、最終回を盛り上げる方法がなかった、ということが。

 ちなみにこの時やったのは、確かにこの方法はうまくいくだろう、しかし、これを実行するには、あの古代の要塞を起動してシステムを正常化しなければならない! とやったんです。つまり、古代要塞突入編を新たにでっち上げたんですね。
 まあ、これはギリギリかなあ、と思います。
 楽しみ延長と思ってもらう以外にないと思うのです。

 ・上手くいかなかったとき

 逆に、プレイヤーが思いのほかうまくいかなかった場合の対処法は、これは案外簡単で、お助けキャラを登場させる、という方法です。
 困ったときの新キャラ。
 もう格言にしたいぐらいのやり方ですが、たいていこういう問題は、そこは本流じゃないんだけど、でもこの障害を取り除かないと気持ち悪いよね、という傍流の付近で起こります。
 シナリオ作っている側も、あんま重要だとは思ってないので、まさかここで立ち往生するとは、とは思ってないんですね。よく考えずに適当に入れておいたというか、

「hikaliさ〜ん、この設定使ってよ、せっかく作ったんだからさあ」
「あー、はいはい、適当にねじこんでおきますよ」

 と依頼されている場合が多くて、これまた、わたしの構想を読み切っている人からするとかなりイレギュラーな理由で入ってきているので、読みにくいんですね(^_^;
 で、仕方ないので、新キャラにちゃっちゃと片付けさせるしかないんです。

 だいたい、一回前ぐらいから、うーん、雲行き怪しそうだなあ、これが解けなかった時のリスクはヘッジしておきたいなあ・・・、と予防的に新キャラを投入しておいて(これで、プレイヤーはなんでその人が新登場しているのかはわからない)、案の定つっかかった時に、その人に解かせる、という手法を使うんです。

 ちなみに、この時はスパイがいるかもしれないという疑惑が立ち上がっていて、誰がスパイであるかが分からない、という状況だったのです。で、プレイヤーの対策が全滅した時に、その用意しておいたキャラクターに解かせたんです。パズルのようにロジカルに考えれば、誰なのかが特定できる状況だったんです。で、仕方なく名推理を披露したのです。あれ、これってロジカルに考えれば、特定できたはずだが・・・、と思いながら。

「す、すみません、俺たちが不甲斐ないせいで・・・」

 素直な方はこういう反応が返ってきます。もうあからさまですからね(笑)。
 もう少し好戦的な方は、この新キャラをライバル視します。
 つまり格好いいところを取られちゃったんで、もっと格好いいことをやってやろうとするんですね(^_^;

 これも、ギリギリかなあ、と思います。
 活躍の場は取られちゃいましたけれども、プレイヤーがちゃんと解けていれば、そっちに活躍は譲るので。解けないことが障害になって、悪影響を与えることを恐れたのです。


 ■実際どういうカードを配置するか、その具体例

 最後に実例をご紹介して、今回を終わりにしたいと思います。

 この例は、爆弾が炸裂して、プレイヤーが熱狂的状態になった例です。
 爆弾の積み方がうまかった例です。
 その中核的な人物がどう作られて、どう機能したかを説明して終わりにしましょう。

 このシナリオは、続編でした。
 つまり、前のシリーズがあって、その続きとして考えられたものです。
 もちろん、前のシリーズのプレイヤーが参加してくれることも予定していましたし、新しいプレイヤーも参加してくれることが計算できるシナリオでした。

 わかりやすいように、F1のようなレーシングチームの話だと思ってもらえると嬉しいです。実際にはもっと広い話なのですが、そこまで説明していると、たぶん原稿用紙500枚とか、本ができちゃうぐらいの長さになってしまいますので・・・。
(実際には、競馬の話だったのです。わたしが競馬シリーズというイギリス推理作家賞を連発して取っていたディック・フランシスの大ファンなので)

 この続編において、新しいヒロインを立てようと思いました。
 どうしたらいいと思いますか? どうすれば、素直にヒロインと分かるか。
 あ、こいつがヒロインなんだなって、すぐに分からないといけないんです。

 前作において、ヒロインはレースドライバーでした、しかも、ダントツで早いレースカーのドライバー。とても素直ないい子で、かわいい、黒髪ロングで、とても優しい。非常に常識的で、誰からも受け入れやすい、わかりやすいですね(^_^;
 つまり前作からの人気のキャラクターで、前作から参加しているプレイヤーは友達のつもりでいて、しょっぱなから、

「おーい、元気してた〜?」
「うん、ひさしぶりだね」

 と言ったようなやり取りから始まった元ヒロインです。

 で、わたしは、この早いレースカーのドライバーに、新しいヒロインを乗せました。
 これだけで、あ、こいつがヒロインだとわかる、ってわかるでしょうか?
 旧ヒロインの乗っていたレースカーに、新ヒロインを乗せる、これだけなんです。

 ややこしいので、旧ヒロインをりおね、新ヒロインをみりーと名づけます。
 ステレスマーケティング乙、ですいませんw
 自分が書きなれた名前じゃないと、本名が出そうで怖いんですね(^_^;

 つまり、みりーがドライバーシートに座った途端に、ああ、これがヒロインだって、すぐにわかるんです。だって、最終回は、こいつが優勝することで終わることが想像できるからです。
 とっても簡単にヒロイン認定を勝ち取ることができるんです。

 わたしはみりー(新)のモデルに、よしもとばななの『つぐみ』のつぐみをあてました。
 この作品をよく知っている人はわかると思うのですが、美少女で守ってあげたくなるような容姿をしながら、毒舌で(本質をついたことを周囲をはばからずいうとも言う)、わがまで、行動は大胆で、病弱な人物にしたのです。
 どんだけ大胆に話していたか、といいますと、

「この国だ。こんなにヤワだとは思わなかった。今にもてんでばらばらになりそうじゃねえか。りおねお嬢様の細腕一本にかかるって言う情けなさだ。もうちっと頑丈だと思ってたさ。おれ一人ぐらい受け入れられるタフさがあると思ってた。昨冬のタフさはどこへ行った?」
 疑問を投げるが、みりーにはわからない事である。昨冬を支えていた大公はもう亡い。みりーはため息、
 「どこへ行っても、りおね、りおね、りおねだ。あの箱入りに全部賭けちまってる」 「箱入り……、ですか?」
 「箱入りだろ? 父親が死んだのをずるずる引きずっていやがる。極度のファザコンってとこか? 人間ってもんは、いつか死ぬって決まってんのによ」 「お嬢さま!」
 ろっとが険しい顔をして、諌めた。みりーは真剣なろっとの顔を見て、すこし申し訳なさそうに、
 「悪かったよ……。ろっと、お前もたいへんだな、おれなんかに付き合ってさ。おれの事なんて忘れて、黒獅子だか、六大将軍なんかになっちまえばいいんだ。とんでもねえ貧乏籤だ」 「ば、馬鹿な事を言わないで下さい!」
 真剣に怒鳴られ、みりーはチェッと、呆れたように、
 「しかもおれの周りには、将来の計算もできねえ、馬鹿どもしかいねえと来ている」 「馬鹿で……、馬鹿でいいんです、お嬢さま……」

 ようするに、王侯貴族にふさわしいヒロインなのですね。
 これは序盤の奥の方、起承転結の転の手前で投げた開示情報です。
 ただ、このみりーの魅力は伝わるでしょうか。わたしも、あれ、こんな文章書いてたっけ? と思うような内容なのですが、器の大きさはなんとなくつかめるかと思います(ちなみに、本作では亡命してきた傍流のお姫様だった)。

 で、このみりーを病弱で、あと6ヶ月しか生きれない、ということにしました。
 つねに40度を超える高熱を発しているのに、すさまじい精神力で、元気そうに見せていて、気丈に振舞っているという設定です。
 周りの人は(従者以外は)それに全く気付かないのですが、ときおり油断して、ふらっとしてしまう。
 そんな感じの設定です。

 で、最後に謎が残るのですね。
 なんで、みりーはそんな状態なのに、こんなことをしているのか、ということです。
 つまり、なんでレースカーにのって、レースに出たいと思ったのか、です。
 これが最後のトドメとして残してありました。

 ・この話のおぼろげな輪郭

 この話は、みりーが何千億円もの大金を出して(お姫様だからそれぐらい調達できる)、物語全体のスポンサーになっていて、事件の黒幕がそれを取り戻そうとしていた、というバックグランドを持っています。
 まあ、レースの話でいえば、みりーが大スポンサーとなって、レースチームを買って、そのレースカーに乗ってレースがしたかった、という話だったのです(レースチームはもう少し安そうですが)。
 そこまでしても、みりーはレースに出たかったのです。
 これは、さすがに、なぜそこまでして、と思うでしょう。

 ・情報の積み方、あるいは、感情の揺さぶり方

 さて、この戦艦みりーによって、物語が爆発したのですが、なぜでしょうか。
 ちなみに、この話は、わたしが続きを書くとみりーが死んだことになるので、書かせるなという話がどうもプレイヤーの間で起こったらしいのですが、いやー、さすがにわたしもさすがに考えて、なんとか上手く着地できる地点を作っただろうと思うのですが、どちらにしても、これは実現しませんでした。

 わたしが就職したのです。
 それで、書けなくなりました。
 ここで、ぶちっと切れました。

 しかし、なぜ、ここまでみりーにプレイヤーがぞっこんになったんだろうと、考えると、あー、これは巧妙だったねえと、思うしかなくなるのです。
 偶然ですが(というか、よしもとばなながすごすぎるのですが)、あー、これはやられるなあと思える構成をしているのです。

 ユーザ視点で見てみましょう。

 1.旧ヒロインから、新ヒロインへの受け渡し

 まず、旧ヒロインは前作で、前作からのプレイヤーと心を通じ合ってますし、ほとんどが親友に近い関係を築いていますので、自然に旧プレイヤーの関心は、なんで、旧ヒロインはレースに出ないのか、という話になります。
 そこで、旧ヒロインは、レース自体を束ねる立場に立たなければならなくなったから、という答えがされるのですが、これは案外理不尽です。イチローがなぜかGMをやらんとまずいから引退した、みたいな話です。この理不尽さは、りおねに対する協力を引き出すのには、有利です。
 そんなのおかしいよ、を共有しているからです。

 新ヒロインは、なんの苦労もなく、その座を得たように見えます。
 もちろん、そんなことはないのですが、非常に熱心な割には、下手くそです。あぶなっかしいといいますか、いつ事故ってもおかしくないぐらいの腕です。あぶなっかしい。なんで、こいつが新ヒロイン? と思わせたら、勝ちです。
 こいつが、爆薬なんです。何重にも、爆破点が仕掛けられているんです。
 なんで、りおねちゃんじゃないの?
 なんで、あなたなの? なんです。もちろん、それに応えるだけの資格は持っているのですが。それがなかったら、ヒロインにはしない。そんな、つまらんシナリオは、書きません。

 2.みりーが主張を始める

 みりーは、ありえないぐらい率直に、現状を語る。素朴に、自由に、なにものにもとらわれずに、奔放に語って、この縛り付けるところが何もない感じが、好かれた理由なんでしょうね。
 ここへ来て、プレイヤーはあっけにとられます。
 こいつとどう付き合っていいのかと。
 困ったやつなんです。
 そこで、おいうちのように、爆弾を投げるのですね。
 この子は、もう、半年も生きれないと。JUGEMテーマ:ゲーム
 長すぎますが、このへんで次にしますか・・・。ほんとに長いなと思いつつ。

| hikaliのゲーム論 | 01:23 | comments(0) | trackbacks(0) |
 hikaliのゲーム論(20)リークの効用 動の物語解析(1)
 こんばんわ! hikaliです。
 静の物語解析の解説が前回ようやっと終わって、せいせいしているほっと一息している管理人ですが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 前回までの静の物語解析は、シナリオのつくり方(&分析の仕方)、みたいな話だったのですが、今回からはじまる動の物語解析は、どうシナリオを運用するか、つまりTRPGでいうところのマスタリングの話となります。

 これまでに、ゲームである以上、プレイヤーにこうしてくれということはできない、つまり命令禁止であるというお話をしてきたと思うのですが、どうです? 難しそうですか? いえいえ、これはごくごく普通に日常的に行われていることです。

 あなたは、スティーブ・ジョブスにApple製品を買ってくれと命令されたことがありますか? 自動販売機のコーヒーでも、週刊誌にでも、あなたは買ってくれと、言われたことがありますか?

 動の物語解析は、いわば情報系の取り扱いについての理論です。
 まあ、わかりやすさを重視して簡潔に言ってしまえば、情報操作理論マーケティング理論のようなものだと、思っていればだいたいあってます。

 さて、ここで質問です。
 わたしは前回の中で、この情報操作を使いました。
 一体何だと思います?
 たぶん、これを前回に引き続いてお読みの方は、今回お話する話が、くらやみの中に灯火を灯すと、そこに自然に人が集まってくる、という話だろうと思っていると思うのです。なんででしょうか?

 それは、その言葉自体が、くらやみの中の灯火だったからです。
 もちろん、このくらやみの中の灯火の理論は、この動の物語解析の中核的理論なのですので看板に偽りなしなのですが、誘導されていたのに気づいたでしょうか?
 興味を誘導されていたのです。


 ■Appleの常套手段、情報のシャットダウン、そして、意図的なリーク

 Appleという会社がマーケティングに長けていることは、誰も否定することはないと思いますが、リークで情報の流れを変えることに長けた会社だなあと、わたしは思います。

 たとえば、最近AppleがiWatchを開発中だと噂になっています。
 ですが、これはわたしは旧型iPod nanoのリメイクに近いものだと思っているのですね。新型のiPod nanoは長方形になったのそのためだと思いますし、なにより、わたしはその旧型iPod nanoを「時計です」って説明していたからです。

 2年半ぐらい前に、わたしは鎖骨の遠位端骨折で手術をしなくてはならなくなって、入院していたのです。
 で、病院着の胸のあたりに、この旧型iPod nanoをつけていたんです。旧型iPod nanoは背面に大きなクリップがついていて、文具マニアの方が、もうこれは1万5000円するクリップにしか見えないなどと言っていて、笑ってしまったほどなのですが、これで、胸のところにくっつけていたんです。
 別に音楽を聴くわけではないので(さすがに病院の廊下では聴かない)、イヤホンは持たず、代わりにラジオを聴いていたりするんです。そうすると周りからはふしぎに見えるようなんですね。で、
「それは何?」
 と聞かれるので、
「あ、時計です」
 と答えていたんです。この旧型iPod nanoは設定で、スリープボタンを押して起動すると、一番初めに時計を表示する設定にできたりするのです。それが便利なので、わたしは旧型iPod nanoを時計として使っていたんです、廊下では。

 で、この旧型iPod nanoをリメイクするとして、旧型iPod nanoをリメイクします、と言ってはいけないことは、たぶん多くの方にとっても自明です。
 iWatchでなければならないんです。
 これって、情報の流れをがらっと変えてますよね。
 時計の再発明なんだと。
 だから、iWatchを開発中とリークしたんです。

 Appleは情報の流れのつくり方がうまいんです。
 これがなんでできるかというと、うまく暗闇を作り出せているからなんです。
 つまり情報が十分にシャットダウンされていて、リークしない限り情報が外にもれないからです。なので、市場に出ている情報を、意図的なリークでコントロールできるのです。
 これがあれほどAppleが情報を管理しようとする理由です。
 ちょっとした灯火が明るく見えるためには、そこがくらやみでないとまずいのです。

 このくらやみを作るのはとても簡単です。
 未プレイのシナリオを作ればいいんです。企画と言いかえてもいいです。
 シナリオを十分に練りこんで作り、仲間を集めて、さあ、セッションを始めよう、といえばいいのです。腕によりをかけて、楽しいシナリオにしてきたよ、と言えばいいんです。
 難しくありません。
 あとは、統治的に情報を開示していけばいいんです。

 さて、まとめましょう。
 次のリークがこんなものだったらどうでしょう。

 iWatchは、Bluetooth(無線規格のひとつ)の可能性を極限まで追求したものになる。

 誰もが、時計にBluetoothがついていたらどんなことができるだろう、と考えるはずです。もうそれしか考えられなくなるはずです。その場合には、きっとこれが、Appleが全面的に訴求したいポイントなんです。だから、それしか考えさせない。ここに徹底的に焦点を絞っていく。それしか頭に残らないようにする。
 あれ?
 これって、旧型iPod nanoのリメイクじゃないの?

 多くの方は、このマジックのからくりに気づいて爆笑しているのではないでしょうか。
 これが、Apple式の発信マーケティングの真髄なんです。
 情報統制ではないんです、どのポイントに光を当てるかを選べる、これを駆使しているだけなんです。情報統制とは、言っている事が嘘であるかどうかを検証するチャンスをあげないように、検証を制限することです。
 これは逆なんです。
 嘘は言ってない。
 ただし、しかし、真実を開示する手順を選んでる、なのです。
 これが多分すごくわかりにくいポイントなんです。
 真実を開示する順番なんです。
 とても積極的に言えば、シナリオを正直に開示する。何が事実かを、正確に捉えて、それを正直に提示する。これだけなんです。どの順番で開示するかをコントロールするんです。

 ほんの少しずれるだけで、詐欺師になります。
 へたくそな例は、いくらでも、この世の中に満ち溢れています。
 これは技術なんです。
 精度をどんだけ保たれるか、という能力の問題でもあるのです。
 例えて言えば、相場判断にどれだけ正確でいれるか、よくわたしは、この動の物語解析のリークを、中央銀行の金利調整に例えますが、どんだけお金の流れをコントロールできるのか、に近いと思います。
 黒田総裁は、全開示を選びましたが、くらやみは残っているでしょうか? もちろん残っています。
 未来はくらやみです。
 だれもわからないのです。
 これが、マスターとして上手いのか、と考えると、こう言えます。

 さあ、ゲームを始めよう、と言った。
 ゲームプレイヤーなら、こう言います、楽しいセッションにしようぜ。


 ■ジブリのやり方、風立ちぬ、にみるリーク

 今年の夏のジブリの映画は「風立ちぬ」。堀辰雄の同名の小説をベースに、ゼロ戦の設計者である堀越二郎の人生を描くという話なのですが、この映画のプロデュースをしている鈴木敏夫さんのリークを見ていて、ああ、うまいなあと思ったんです。

 この作品の公式発表は、2012年12月にされたのですが、それ以前にもちょくちょくリークがされていました。

 リークの中心になっていたのは、鈴木敏夫さんがやっているTOKYO FMの番組「ジブリ汗まみれ」という番組。ホームページがあって、ポッドキャストも完備されていますので、すべての放送を過去にさかのぼって聞くことができます。
 その中でも、初めて風立ちぬの話が出てきた回が、ああ、そうか、リークってこうやるんだw と感心したのですが、

 ■この夏休みに東京都現代美術館で行われた鈴木さんのトークライブにおジャマしました。【後編】
 https://www.tfm.co.jp/asemamire/index.php?itemid=43891


 この回です。
 このなかの最後の方で、鈴木敏夫さんはこう開口一番言うんです。

「これは、自伝ですね。本当の、生まれてから」

 2011年9月13日の日付の放送なんですが、ちょっとまった!
 風立ちぬの来歴を、wikipediaで確認しますと、

 『風立ちぬ』(かぜたちぬ)は、宮崎駿による日本の漫画、およびそれを原作としたアニメーション映画。『モデルグラフィックス』(大日本絵画)において、2009年4月号から2010年1月号まで連載された。映画は2013年7月20日に公開される予定。

 宮崎が長編アニメーション映画の監督を務めるのは、2008年の『崖の上のポニョ』以来となる。また、宮崎が『モデルグラフィックス』に連載した漫画がアニメ化されるのは、1992年の『紅の豚』以来2作目となる。

 ん?

 前作のポニョが、2008年7月ですよねえ。で、だいたい評判が固まったのが2008年末としますと、漫画を書き始めたのが2009年うーん初頭ぐらいですかね、刊行が4月号でたぶん3月までには原稿はできていたはずだからです。それに、『紅の豚』は『モデルグラフィックス』に連載した漫画だった?

 ちょっと! これ、ばりばりに映画原作にするつもりで書いてるじゃないですか!!

 鈴木敏夫さんのいいぶりを実際に聞くと、どう考えてもこういう感じでは言ってない。
 というか、実際に聞くと爆笑すると思うのですがw よく聞くと巧妙なんですねw 一応嘘は言ってないかな・・・、ギリギリかなw しかも話そらしているし・・・。

 しかも、この漫画の単行本は出てないですか、そうですよね。映画の原作にするつもりだったんですものね。映画が封切りされて2ヶ月後ぐらいに発刊したほうが売れますから、モデルグラフィックスも文句を言わないでしょうしね。
 該当号を中古で9冊揃えないと読めないんですかw

 どうです、この情報管理w
 これがジブリのマジックの一つだよなあ、と思ってしまいます。
 もう、わたしには、風立ちぬは、宮崎駿の自伝にしか見えないんです。

 これはギリギリのケースですが、ああ、ギリギリを使わないと、面白さが伝わらないケースだったんだろうなあと、思います。

 これで、なるほどと言ってもらえると、今度、どっかで飲みながら風立ちぬについて、語り合いましょう。24時間、ぶっ続けで、わたしは話しますよ、と言いたくなります。


 ■実際の物語での、くらやみの使い方

 さて、では実際に使って見ましょう。
 どうやるのでしょうか。

 これは、くらやみを作って、出していい情報と、出さない方がいい情報を選別して、コントロールしていくのです。これは意地悪で情報を教えないのではないですよ? セッションが最高の結果になるようにコントロールするのです。
 中央銀行と思い出してみてください。
 どうやって、金融の流れを望ましい方向に向けるのか、なのです。

 当たり前ですが、これはある程度、信頼感がある同士でやったほうがうまくいきます。
 つまり、Appleだったらなにか革新的な隠し球を準備しているに違いない、ジブリが変な作品を出してくるはずがない。
 これです。
 このマスターのシナリオが一筋縄なはずがない、絶対サプライズが用意してあるし、がっかりするようなシナリオであった試しはないし、ずるもしない。
 こういう信頼感です。

 ようは、統治者として信頼があればあるほど、何かあるなあと思いつつ、まあ、いいや乗ってみよう、思いっきり楽しんでしまおう、と思ってくれやすくなるのです。
 だましうちをするのではないのです。
 なんと言えばいいのでしょうか。
 お化け屋敷に入る人にここはおどかされないだろうと思ってはいる人はいないと思うのです。入ってくる人は怖い思いをさせて欲しいのです。そういうお約束があればあるほどやりやすい。そういうことを楽しむものなんだ、という共通認識があればあるほどやりやすいのです。
 ハリウッド映画を、大どんでん返しの期待なしに観る人って、たぶんいないと思うんですよね。その期待に応えるために、くらやみが必要なんです。

 なにか不自然なのですが、このへんで切っておきましょう。
 このブログのサービスである、ジュゲムがなあ・・・、という話なのですが、専門的な話をすれば、text型のフィールドにバイト数制限かけるとか、ありえないんだけど、何がしたくて、バイト数制限かけたのか、わからんというか、それは文字数制限ありますよといえばいいのだけど、タグはいるから、言えなかったとか、色々間違っているのですが、まあ、すいません、こんなくだらない、インフラで書いていて、と思います。

 わたしはログ最優先主義な人なので、とりあえず、見づらいかもしれませんが、経緯はとにかく残します。何が起こったのかが、わからなくなるのは、未来に対しての損失ですし、わたしが過去を追っていて、なんでこの記録が残っていないんだと、何度も、何度も悔しい気持ちを味わったことがあるからです。
 未来に対する透明性は、最低限の人間性だとおもいますので。
 知財法を勉強していると、こんなにできているんだと、真剣に思います。

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hikaliのゲーム論(20)開示順が重要、あとはその手順を考えるだけ 動の物語解析(1)
  こんばんわ! hikaliです。
 静の物語解析の解説が前回ようやっと終わって、せいせいしている×ほっと一息している管理人ですが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 前回までの静の物語解析は、シナリオのつくり方(&分析の仕方)、みたいな話だったのですが、今回からはじまる動の物語解析は、どうシナリオを運用するか、つまりTRPGでいうところのマスタリングの話となります。

 これまでに、ゲームである以上、プレイヤーにこうしてくれということはできない、つまり命令禁止であるというお話をしてきたと思うのですが、どうです? 難しそうですか? いえいえ、これはごくごく普通に日常的に行われていることです。

 あなたは、スティーブ・ジョブスにApple製品を買ってくれと命令されたことがありますか? 自動販売機のコーヒーでも、週刊誌にでも、あなたは買ってくれと、言われたことがありますか?

 動の物語解析は、いわば情報系の取り扱いについての理論です。
 まあ、わかりやすさを重視して簡潔に言ってしまえば、情報操作理論×マーケティング理論のようなものだと、思っていればだいたいあってます。

 さて、ここで質問です。
 わたしは前回の中で、この情報操作を使いました。
 一体何だと思います?
 たぶん、これを前回に引き続いてお読みの方は、今回お話する話が、くらやみの中に灯火を灯すと、そこに自然に人が集まってくる、という話だろうと思っていると思うのです。なんででしょうか?

 それは、その言葉自体が、くらやみの中の灯火だったからです。
 もちろん、このくらやみの中の灯火の理論は、この動の物語解析の中核的理論なのですので看板に偽りなしなのですが、誘導されていたのに気づいたでしょうか?
 興味を誘導されていたのです。


 ■Appleの常套手段、情報のシャットダウン、そして、意図的なリーク

 Appleという会社がマーケティングに長けていることは、誰も否定することはないと思いますが、リークで情報の流れを変えることに長けた会社だなあと、わたしは思います。

 たとえば、最近AppleがiWatchを開発中だと噂になっています。
 ですが、これはわたしは旧型iPod nanoのリメイクに近いものだと思っているのですね。新型のiPod nanoは長方形になったのそのためだと思いますし、なにより、わたしはその旧型iPod nanoを「時計です」って説明していたからです。

 2年半ぐらい前に、わたしは鎖骨の遠位端骨折で手術をしなくてはならなくなって、入院していたのです。
 で、病院着の胸のあたりに、この旧型iPod nanoをつけていたんです。旧型iPod nanoは背面に大きなクリップがついていて、文具マニアの方が、もうこれは1万5000円するクリップにしか見えないなどと言っていて、笑ってしまったほどなのですが、これで、胸のところにくっつけていたんです。
 別に音楽を聴くわけではないので(さすがに病院の廊下では聴かない)、イヤホンは持たず、代わりにラジオを聴いていたりするんです。そうすると周りからはふしぎに見えるようなんですね。で、
「それは何?」
 と聞かれるので、
「あ、時計です」
 と答えていたんです。この旧型iPod nanoは設定で、スリープボタンを押して起動すると、一番初めに時計を表示する設定にできたりするのです。それが便利なので、わたしは旧型iPod nanoを時計として使っていたんです、廊下では。

 で、この旧型iPod nanoをリメイクするとして、旧型iPod nanoをリメイクします、と言ってはいけないことは、たぶん多くの方にとっても自明です。
 iWatchでなければならないんです。
 これって、情報の流れをがらっと変えてますよね。
 時計の再発明なんだと。
 だから、iWatchを開発中とリークしたんです。

 Appleは情報の流れのつくり方がうまいんです。
 これがなんでできるかというと、うまく暗闇を作り出せているからなんです。
 つまり情報が十分にシャットダウンされていて、リークしない限り情報が外にもれないからです。なので、市場に出ている情報を、意図的なリークでコントロールできるのです。
 これがあれほどAppleが情報を管理しようとする理由です。
 ちょっとした灯火が明るく見えるためには、そこがくらやみでないとまずいのです。

 このくらやみを作るのはとても簡単です。
 未プレイのシナリオを作ればいいんです。企画と言いかえてもいいです。
 シナリオを十分に練りこんで作り、仲間を集めて、さあ、セッションを始めよう、といえばいいのです。腕によりをかけて、楽しいシナリオにしてきたよ、と言えばいいんです。
 難しくありません。
 あとは、統治的に情報を開示していけばいいんです。

 さて、まとめましょう。
 次のリークがこんなものだったらどうでしょう。

 iWatchは、Bluetooth(無線規格のひとつ)の可能性を極限まで追求したものになる。

 誰もが、時計にBluetoothがついていたらどんなことができるだろう、と考えるはずです。もうそれしか考えられなくなるはずです。その場合には、きっとこれが、Appleが全面的に訴求したいポイントなんです。だから、それしか考えさせない。ここに徹底的に焦点を絞っていく。それしか頭に残らないようにする。
 あれ?
 これって、旧型iPod nanoのリメイクじゃないの?

 多くの方は、このマジックのからくりに気づいて爆笑しているのではないでしょうか。
 これが、Apple式の発信マーケティングの真髄なんです。


 ■ジブリのやり方、風立ちぬ、にみるリーク

 今年の夏のジブリの映画は「風立ちぬ」。堀辰雄の同名の小説をベースに、ゼロ戦の設計者である堀越二郎の人生を描くという話なのですが、この映画のプロデュースをしている鈴木敏夫さんのリークを見ていて、ああ、うまいなあと思ったんです。

 この作品の公式発表は、2012年12月にされたのですが、それ以前にもちょくちょくリークがされていました。

 リークの中心になっていたのは、鈴木敏夫さんがやっているTOKYO FMの番組「ジブリ汗まみれ」という番組。ホームページがあって、ポッドキャストも完備されていますので、すべての放送を過去にさかのぼって聞くことができます。
 その中でも、初めて風立ちぬの話が出てきた回が、ああ、そうか、リークってこうやるんだw と感心したのですが、


 この回です。
 このなかの最後の方で、鈴木敏夫さんはこう開口一番言うんです。

「これは、自伝ですね。本当の、生まれてから」

 2011年9月13日の日付の放送なんですが、ちょっとまった!
 風立ちぬの来歴を、wikipediaで確認しますと、

 『風立ちぬ』(かぜたちぬ)は、宮崎駿による日本の漫画、およびそれを原作としたアニメーション映画。『モデルグラフィックス』(大日本絵画)において、2009年4月号から2010年1月号まで連載された。映画は2013年7月20日に公開される予定。

 宮崎が長編アニメーション映画の監督を務めるのは、2008年の『崖の上のポニョ』以来となる。また、宮崎が『モデルグラフィックス』に連載した漫画がアニメ化されるのは、1992年の『紅の豚』以来2作目となる。

 ん?

 前作のポニョが、2008年7月ですよねえ。で、だいたい評判が固まったのが2008年末としますと、漫画を書き始めたのが2009年うーん初頭ぐらいですかね、刊行が4月号でたぶん3月までには原稿はできていたはずだからです。それに、『紅の豚』は『モデルグラフィックス』に連載した漫画だった?

 ちょっと! これ、ばりばりに映画原作にするつもりで書いてるじゃないですか!!

 鈴木敏夫さんのいいぶりを実際に聞くと、どう考えてもこういう感じでは言ってない。
 というか、実際に聞くと爆笑すると思うのですがw よく聞くと巧妙なんですねw 一応嘘は言ってないかな・・・、ギリギリかなw しかも話そらしているし・・・。

 しかも、この漫画の単行本は出てないですか、そうですよね。映画の原作にするつもりだったんですものね。映画が封切りされて2ヶ月後ぐらいに発刊したほうが売れますから、モデルグラフィックスも文句を言わないでしょうしね。
 該当号を中古で9冊揃えないと読めないんですかw

 どうです、この情報管理w
 これがジブリのマジックの一つだよなあ、と思ってしまいます。
 もう、わたしには、風立ちぬは、宮崎駿の自伝にしか見えないんです。


 ■実際の物語での、くらやみの使い方

 さて、では実際に使って見ましょう。
 どうやるのでしょうか。

 これは、くらやみを作って、出していい情報と、出さない方がいい情報を選別して、コントロールしていくのです。これは意地悪で情報を教えないのではないですよ? セッションが最高の結果になるようにコントロールするのです。

 これはある程度、信頼感がある同士でやったほうがうまくいきます。
 つまり、Appleだったらなにか革新的な隠し球を準備しているに違いない、ジブリが変な作品を出してくるはずがない。
 これです。
 このマスターのシナリオが一筋縄なはずがない、絶対サプライズが用意してあるし、がっかりするようなシナリオであった試しはないし、ずるもしない。
 こういう信頼感です。

 ようは、統治者として信頼があればあるほど、何かあるなあと思いつつ、まあ、いいや乗ってみよう、思いっきり楽しんでしまおう、と思ってくれやすくなるのです。
 だましうちをするのではないのです。
 なんと言えばいいのでしょうか。
 お化け屋敷に入る人にここはおどかされないだろうと思ってはいる人はいないと思うのです。入ってくる人は怖い思いをさせて欲しいのです。そういうお約束があればあるほどやりやすい。そういうことを楽しむものなんだ、という共通認識があればあるほどやりやすいのです。
 ハリウッド映画を、大どんでん返しの期待なしに観る人って、たぶんいないと思うんですよね。その期待に応えるために、くらやみが必要なんです。


 ■実例で見る、くらやみの効用 〜『始まりの豪雨』で説明 〜

 さて、実際の例を見るほうが早いと思います。
 幸いにも、もうこの連載では、一本実際のシナリオを紹介していますので、これを解説することにしましょう。
 この回です。


 このなかの最後の方で、■実際にやっていた例。30分でシナリオを考える。のところで紹介しているシナリオです。
 引用してみましょう。

 で、ピクシーは姿を消せるのだけど、それが特殊能力であって、妖精さんの力なので、魔法では感知できないというところが魅力なので、これを使って、なんかトリックを作りたいなあと思うわけです。で、豪雨の中で、少女が姿を消して、悪党が突然襲いかかってくるシチュレーションを作れたら、面白いだろうなあと思いつきます。
 ふっと消えるのは幽霊ぽく見えるだろうなと思っての発想です。
 幽霊が消えるのならば、雨の中だなあと(<安易・・・)。
 ちなみに、ピクシーは透明に近い羽があって飛べるので、豪雨の中では、ふわーっと、幽霊っぽく浮いているように見えます。これは多分びっくりすると思ったのです。なんだ、あの怪奇現象は!? でもソードのルールではそんなことが出来る存在が存在しない。
 で、びっくりしたところで、豪雨の中から、突然に攻撃されるのです。
 これは面白い。

 このピクシー(妖精さん)は巨大化の指輪の魔力で人間大になっています。
 このシナリオはソードワールドというシステムでのセッションのために、セッション前の30分で作ったシナリオなのですが、鍵となっているのは、親指大の妖精さんが巨大化して、人間大になっているという部分です。
 これが盲点になっていて、真相に気づきにくいのです。

 実際にはプレイヤーはあらゆる探知手段を使って、この怪異現象の正体を知ろうとするのですが、わからないのです。ソードワールドのルール的には、存在し得ないように見える存在なのです。
 なので、
「ちゃんと、ルール上説明できるよね?」
「できるよ〜、当たり前でしょ」
 という確認の反応が返ってきたりします。
 そうすると、プレイヤーは一生懸命、謎を解こうとするのです。
 あがけばあがくほど、怪異現象に思えてくるのです。

 そこで、プレイヤーは豪雨の中で、その少女を追いかけるというリスクの高い行動に誘導されます。その後は、設計していた時の考え通り、豪雨の中から突如、悪党が襲いかかってくるのです。
 この時のプレイヤーの反応は、

「うわー、きた〜ぁ! やられた〜ぁ!」
「はあ?! な、なんで!?」

 というものです。マスターとしてはにたにたしながら、してやったり、なんです。
 もちろん、この戦闘は、プレイヤーを殺すためのものではありませんので、苦戦しながらもプレイヤーが勝利します。サプライズなんです。
 そして、戦闘が終わったら、ピクシーが巨大化の指輪を外して、プレイヤーの前にあらわれます。もうこの情報は明かしても問題がないからです。そしてピクシー語で話すのです。

「わたしに構わないで。わたしはあの男の子が好きなだけなの」

 これで真相がわかるのですね。
 これがある程度のカタルシスを生むのがわかるでしょうか。

 事前に明かされていれば、こうはならないのです。


 ■開示順が重要、あとはその手順を考えるだけ

 これは、わたしがよく使う表現で、テーブルに伏したトランプをめくる、のと同じような行為だとよく説明します。

 マスターはたとえば10枚ならば、10枚のカードを裏にしてテーブルの上に並べます。そして、自分が任意にめくれる場合には、自分がめくりたいカードをめくります。もちろんカードはマスターが選んだ10枚のカードですし、マスターはどのカードをどこに置いたかは覚えています。
 たまに、プレイヤーの行動が功を奏して、プレイヤーがめくるカードを選ぶときもありますが、半分以上はマスターがめくるカードを選ぶのです。

 伏したカードの交換はしませんし、位置も移動できません。
 ただマスターができるのは、どのカードをめくるかを決めることだけなのです。

 これがわたしが言っている、情報の開示順でコントロールしていく、という意味です。

 ただ、二つのケースだけ例外があります。
 それは、プレイヤーがうまく行き過ぎた場合と、プレイヤーが思いのほか上手くいかなかった時です。

 わたしは商業ベースのPBMでマスターをしていましたので、全6回とか(6ヶ月で終了)、全4回(同4ヶ月)とかアナウンスして参加する人を募集しますので、この予定からはずれるわけにはいかないのです(^_^;

 プレイヤーがうまく行き過ぎて、予定より早く終わってしまいそうになったら、予定になかった要素を追加します。これは先ほど例えだと、10枚のカードに裏にした2枚のカードを足すのです。
 これはどんなに巧妙にやっても、気づくお客さんがいるのですね(笑)。

「なんで、プレイヤーの行動が全部成功しているに、新たな脅威が出てくるんだ!」

 この方はたぶんわたしの構想を読み切っていたんでしょうね・・・。この辺りで終結するはずだと。そういう場合は、もう仕方ないので正直に返信します。

「いや、すいません(^_^; 5回で終わるわけには行かなくて・・・、うまくいきすぎちゃいましたね」

 で、そのあまりにもうますぎる作戦を提出してしまった別の方は、

「これでうまくいくと思ったのに、騙されたwww」

 まあ、相手もわかってるんですねw どうしようもなくてボーナスステージを用意するほか、最終回を盛り上げる方法がなかった、ということが。

 ちなみにこの時やったのは、確かにこの方法はうまくいくだろう、しかし、これを実行するには、あの古代の要塞を起動してシステムを正常化しなければならない! とやったんです。つまり、古代要塞突入編を新たにでっち上げたんですね。
 まあ、これはギリギリかなあ、と思います。
 楽しみ延長と思ってもらう以外にないと思うのです。

 逆に、プレイヤーが思いのほかうまくいかなかった場合の対処法は、これは案外簡単で、お助けキャラを登場させる、という方法です。
 困ったときの新キャラ、もう格言にしたいぐらいのやり方ですが、たいていこういう問題は、そこは本流じゃないんだけど、でもこの障害を取り除かないと気持ち悪いよね、という傍流の付近で起こります。
 シナリオ作っている側も、あんま重要だとは思ってないので、まさかここで突っかかるとは、とは思ってないんですね。というかよく考えてなく適当に入れておいたというか、

「hikaliさ〜ん、この設定使ってよ、せっかく入れたんだからさあ」

 と依頼されている場合が多くて、これまたわたしの構想を読み切っている人からするとかなりイレギュラーな理由で入ってきているので、読みにくいんですね(^_^;
 で、仕方ないので、新キャラにちゃっちゃと片付けさせるしかないんです。

 だいたい、一回前ぐらいから、うーん、雲行き怪しそうだなあ、これが解けなかった時のリスクはヘッジしておきたいなあ・・・、と予防的に新キャラを投入しておいて(これで、プレイヤーはなんでその人が新登場しているのかはわからない)、案の定つっかかった時に、その人に解かせる、という手法を使うんです。

 ちなみに、この時はスパイがいるかもしれないという疑惑が立ち上がっていて、誰がスパイであるかが分からない、という状況だったのです。で、プレイヤーの対策が全滅した時に、その用意しておいたキャラクターに解かせたんです。パズルのようにロジカルに考えれば、誰かが特定できる状況だったんです。で、仕方なく名推理を披露したのです。あれ、これってロジカルに考えれば、特定できたはずだが・・・、と思いながら。

「す、すみません、俺たちが不甲斐ないせいで・・・」

 素直な方はこういう反応が返ってきます。もうあからさまですからね(笑)。
 もう少し好戦的な方は、この新キャラをライバル視します。
 つまり格好いいところを取られちゃったんで、もっと格好いいことをやってやろうとするんですね(^_^;
 これも、ギリギリかなあ、と思います。
 活躍の場は取られちゃいましたけれども、プレイヤーがちゃんと解けていれば、そっちに活躍は譲るので。解けないことが障害になって、悪影響を与えることを恐れたのです。


 ■実際どういうカードを配置するか、その具体例

 さて、だいぶ長くなってまいりましたが(^_^; もうそろそろ原稿用紙35枚ですか・・・。毎度ながら、長い・・・。
 最後に実例をご紹介して、今回を終わりにしたいと思います。

 この例は、爆弾が炸裂して、プレイヤーが凄まじい情熱的状態になった例です。
 その中核的な人物がどう作られて、どう機能したかを説明して終わりにしましょう。

 このシナリオは、続編でした。
 つまり、前のシリーズがあって、その続きとして考えられたものです。
 もちろん、前のシリーズのプレイヤーが参加してくれることも予定していましたし、新しいプレイヤーも参加してくれることが計算できるシナリオでした。

 わかりやすいように、F1のようなレーシングチームの話だと思ってもらえると嬉しいです。実際にはもっと広い話なのですが、そこまで説明していると、たぶん500枚とかになってしまいますので・・・。
(実際には、競馬の話だったのです。わたしが競馬シリーズというイギリス推理作家賞を連発して取っていたディック・フランシスの大ファンなので)

 この続編において、新しいヒロインを立てようと思いました。
 どうしたらいいと思いますか? どうすれば、一発でヒロインと分かるか。

 前作において、ヒロインはレースドライバーでした、しかも、ダントツで早いレースカーのドライバー。とても素直ないい子で、かわいい、黒髪ロングで、とても優しい。非常に常識的で、誰からも受け入れやすい、わかりやすいですねw
 で、わたしは、この早いレースカーのドライバーに、新しいヒロインを乗せました。
 これだけで、あ、こいつがヒロインだとわかる、ってわかるでしょうか?

 ややこしいので、旧ヒロインをりおね、新ヒロインをみりーと名づけます。
 ステマ乙ですいませんw
 じぶんが書きなれた名前じゃないと、本名が出そうで怖いんですね(^_^;

 つまり、みりーがドライバーシートに座った途端に、ああ、これがヒロインだって、すぐにわかるんです。だって、最終回は、こいつが優勝することで終わることが想像できるからです。
 とっても簡単にヒロイン認定を勝ち取ることができるんです。

 わたしはみりーに、よしもとばななの『つぐみ』のつぐみをあてました。
 この作品をよく知っている人はわかると思うのですが、美少女で守ってあげたくなるような容姿をしながら、毒舌で(本質をついたことを周囲をはばからずいうとも言う)、わがまで、行動は大胆で、病弱な人物にしたのです。
 どんだけ大胆に話していたか、といいますと、

| hikaliのゲーム論 | 00:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
[hikaliのゲーム論](19)  物語解析がしていること、判例がしていること 物語解析解説(後編part15)

 こんばんわ! hikaliです! 
 なにか、ここ最近難しい話が続いていますが、あれ、このレベルについてこれる人がいるんだとびっくりしているしだいです(^_^;
  下を向くのも消極的すぎますので、もうちょっと上をみましょう。
  これまで、何回も書いてきましたが、

  今回の話は、法律と静の物語解析は、実は同じだという話です。

  なんでこんな話をするのか、と言いますとこの点がわかると、静の物語解析が何をやっているのかが分かりやすくなるからなんです。
  わたしもこの点に気づいて、うわ、ほんとにおんなじことやっている! とびっくりしたぐらいなのですが、最後までお読みいただくと、ほんとだ! という驚きに出会えると思いますよ! (<が、・・・がんばります・・・)
  ちょっと、専門的な話になりますが、はじめの方の状況説明は、あー、そういうもんなんだ、ぐらいに流していただけると、ちょうどいい感じの話ですので、お付き合いいただけると嬉しいです。

  ■法律における条文・判例・改正 

 法律試験を受ける人は、けっこうな量の判例を勉強しています。これはなぜかといいますと、テストにでるから判例の機能というのが、法律の条文の解釈上曖昧なところを埋めていく機能を持っているからです。
  わたしの言葉だけでは信用できませんので(^_^; 引用を紹介しましょう。

  ご紹介するのは、三省堂の知的財産権六法2013の「はしがき」です。
  実のところ、毎年同じ文章なので、2013年版でも、2012年版でも変わらないのですが(笑)、とりあえず最新版から引用しましょう。ちなみにこの文章は、なんで毎年法文集を買わないといけないのか、という理由の説明にもなっています(<セールストークとも言うw)。
 近年におけるわが国の知的財産権関係法令・条約の改正のスピードは著しく速くなっており、また、わが国の近年における判例のダイナミックな発展は、もはや裁判所は「立法者」ではないかとさえ思えるほど眼を見張るものがある。本書を「年度版」で発行して、常に最新の知的財産権関係法令・条約と主要な判例を提供することとした所以である。
 はい、改めて引用してみると、ずいぶんかたっ苦しくて、機能的な文章ですねぇ。
 わたしは、大量に経済産業省の文章を読んでいる人なので、ほほー、大変勉強されていますなあ〜、的確で、正確で、はっとさせられる文章だなあと思ってしまうのですが、まあ、そういう官僚文章に慣れた人から見れば、一流の文章ではあります。 
 勉強している身としてはほれぼれとする文章なんですね。 

 わたしがいろいろな法文集の中から、この三省堂のものを選んでいるのは、実のところ巻末に主要な判例のダイジェストが載っているから、だったりします。毎年買い換えれば、最新の条文にアップデートできますし、毎年の重要判例をキャッチアップできる、というのが結構大きいのです。
 (この法文集は欠点もあるんですけどね・・・。施行規則がなかったり、特許協力条約の規則も載ってなかったり・・・。弁理士試験用としては結構致命的・・・)

  判例を取り扱った書籍、つまり判例集といいますと、有斐閣の判例百選というシリーズが有名なのですが、特許法は第3版が平成16年、第4版が平成24年、著作権法は第4版が平成13年、第5版が平成21年と、だいたい8年ぐらいのペースでアップデートされるのです。
 
 知財界で8年といいますと、もう全然常識が変わってしまっているので、このペースでも遅いぐらいだったりします。判例百選の方も、版が変わると、取り上げる判例のラインナップも変わりますし、同じ判例を取り上げていても、解説する人が変わったり、同じ人が書いていても解説文ががらっと変わったりします。

  これはひとえに8年前の解説がもう古くなってしまって解説として適当じゃなくなってしまっているからなんです。改正があったり、判例がでて、最新の学説が変わったりしてたりするんですね、8年もあると。

  産業財産権法4法(特実意商)だけでも、特許庁ホームページに改正法解説書が残っている改正をあげるだけで、平成6年、平成8年、平成10年、平成11年、平成14年、平成15年、平成16年、平成17年、平成18年、平成20年、平成23年とどんだけ改正してるんだよ、と言いたくなりますが、だいたいパソコンのOSのバージョンアップの頻度ぐらいで改正していたりするのです。
  速いんです。
  たぶん普通の人には理解できないほど。
  そういう意味では、飽きのこない業界ではあります。
  改正がされるたびに、業界が大騒ぎになるんです。

  特許法の判例百選の第3版が平成16年刊ですので、第4版までの間に、5回改正しているんですね。さすがにこれでは常識が変わりすぎていて役に立たないんです。 

 こう紹介するだけで、先ほど挙げました「はしがき」の言葉があながち大袈裟ではないことがわかるでしょうか。多くの人が多分想像していないくらい、すごい激流で世界が変わっており、その最前線にあるのが判例である、というのが知財業界なんです。
  つまり判例というのは、最新トレンド、なんです。

  ■判例の機能 < また、難しい話を・・・。 

 この話は、法律を勉強している人であれば、誰もが身体的に理解していることです。
 具体例を挙げることになるので、多少難しい話に見えるかも知れませんが、そんな難しい話ではありません。すごくわかりやすく、具体的な話です。
 なんたって、判例の話ですから。
 つまり実際の事件の話ですから。

 特許権者が、誰かに製品を売りしました。で、それを買った人は10年ぐらいして、それをほかの誰かに売ろうとしました。特許権は生きてます。 

 この状況を考えてください。
 たぶん多くの人は、え? 別に売るのは自由なんじゃない? と思うと思います。最終的にはそれが正しいのですが、特許法的には譲渡行為は特許権の実施に当たるのです。つまり条文上は侵害行為になるのです。え? おかしいじゃん、と思えば、まあ、だいたいあっています。
 いちいち、流通過程で、譲渡するたびに特許権者が現れてくるのはおかしい!
 これはとても、法律的な書き方なのですが、もう少し噛み砕いて言うと、なんで、いちいち特許権者が、流通物に干渉するの? 全世界の流通を管理できる資格が特許権者にあるの?
 という話になります。

 これは結論から言うと、独占排他権である特許権は、その売ったもの自体に関しては「消尽」します。つまり、特許権を行使できなくなるのです。
 誰がそう決めたの? そうきた瞬間に、やっと着地できるのです。
 最高裁判決が、です。

 この消尽の概念は、特許法の条文にはありません。
 現在は23年改正法の状況ですが、その時点でも、これはありません。
 ですがこれは、常識として誰もが理解していますし、テストに出ます知らない時点でぽかんとされます。どんだけ、ど素人? と。

 著作権法には、これに該当する条文があるのですが(著作権法26条の2第2項1号)、こんな明文規定がある状況下で、古本を売るのを禁止したいとか言い出す人を見ると、頭が痛くなると言いますか、明文規定がある上に、あなたの作品が売られるたびにあなたはいちいち許諾するんですか? という常識では考えられない事を主張していると指摘したくなります。

  ■写るんです、インクタンクという事件

 さて、もうちょっと我慢してくださいませ(^_^;
 知財法を勉強している人からすれば、でたー! この流れなら、写るんです事件、インクタンク事件だよな! とくる事件なのですが、実のところこの話は、十年間ぐらいに渡って大問題になって、CANONインクタンク事件で終結した、という性質の事件です。

 デジカメ全盛の今となっては、使い捨てカメラなんてものはもうノスタルジーを感じるだけの存在ですが、ありましたねー、使い捨てカメラ。

 その代表格が富士フィルムだったか、写るんです、です。
 このカメラは使い捨てといいつつも、実はそのカメラ機を回収して、富士フィルムでリサイクルしてまた売っていたらしいのですね。ところが、これを回収して、フィルムだけ替えて中古販売する業者が現れたんです。

 さて、これまでの話を読んできた方は、あれ? でもそれって、売った時点でそのものに対する特許権は「消尽」したんじゃね? と思った方は筋がいいです。ここから10年戦争が始まるんです。

 結論から言えば、「消尽」はした、でも、フィルムを交換する行為は、「新たなカメラを製造した」行為に該当する。なぜならば、その製品は特許製品と同一性を保持していないから。
 これがCANONインクタンク事件の最高裁判決なのですが、実際にはあれこれいろいろな条件がついて、こんな判決覚えられねえよw テストに絶対に出すなよ まあ、どうとでものちのち使える判決出したねえ、となるのですが、わたしが指摘したいのは、違う点です。

  判決って、複雑な事件を一般化して、同じような問題が発生した時に、再利用できるように作られているよね。

 たぶん、多くの人が、法律の世界がこんなに精密機械のようにロジカルで、私情の入る余地があんまりなく、均一的な機械のような世界だと、多分知らなかったと思うのです。これは多分、日本の官僚制というのもあるといいますか、高級官僚のマンパワーでは国内最大と思われる経済産業省の管轄にある法律というのもあるのですが(特許庁だけで数千人が従事している)、とにかく役所のドキュメントの量と、その更新頻度は半端ない。
 ああ、こういう説明はどうでもいいか。
 まあ、とりあえず信じられないかもしれませんが、日本の知財界はこういう感じになっている。これに慣れてアメリカとかみると、イラっとするんですけどね(^_^; 

  ■物語解析がしていること、判例がしていること 

 物語解析がしているのは、これと全く同じです。
 正確には、静の物語解析ですが、複雑な物語から一般化できる部分を抜き出して、それをのちに再利用できるように、結論を出す。
 これだけです。
 その方法論が、静の物語解析でありまして、具体的にはこの言葉に集約します。
 物語の中において、他に従属せずに存在でき、動的に物語に影響を与えることができる要素は、人物・舞台・道具の三つしかない。静的に物語に影響を与える、独立した要素としてもう一つ、決まり事(法律など)が存在する。
 今になってみると、関係線に言及していないなと思ってしまうのですが、なんて法律的なw と爆笑してしまうのです。法律の定義規定を見ているような。これを書いたのは23歳か、4だったかなのですが(わたしは早生れの水瓶座なので、書いたタイミングによる)、当時は法律のほの字も知りませんでした。 

 これは、のちに、民法そのものじゃん、と気づいて、愕然としました。
 たぶん、民法を勉強していればいるほど、理解できないと思うのですが、これは民法が世界をどう見ているかを書いた定義なんです。

 わたしは民法は、弁理士会の公式ビデオで勉強しました。
 3時間ぐらいの講義が、たぶん10本ぐらいあるという、そんなビデオです。
 物権と債権に限ったもので(そこしか弁理士はたぶん使わないから)、とてもおもしろい授業で、爆笑しながら勉強しました。仮担保登記法を書いた先生の講義で、たしか今は日大の教授をしている気が・・・。
 すごいおもしろい授業で、その中で先生が、なんで不動産の契約後引渡し前に天災により被害を受けたとき、その責任が引渡し側にあるのか、これがわからない、と言ったのを聞いて、にやにやしてしまったんですね。
 せんせい。それはクラックスです。
 それはおそらく、ローマ史のクラックスの時に作られた決まりなんです。
 だいたい2000年前です。
 そのとき、消防は最新のビジネスだったんです。
 だから、ローマ史がわからない限りわからないんです。
 それをいつか教えてあげたくて、仕方ない。

 さて、思い出話をしても仕方ありませんので、物語解析と民法の類似点に気づいたときの話をしましょう。
 それは、わたしが物権の勉強をしていた時です。
 民法の物権とはこうなっています。

 ・本権
  ・所有権
  ・制限物権
   ・用益物権
    ・地上権
    ・永小作権
    ・地役権
    ・入会権
   ・担保物権
    ・法定担保物権
     ・留置権
     ・先取特権
    ・約定担保物権
     ・質権
     ・抵当権
  ・占有権

 これをみて、わたしは、あー、っと思ったのですね。
 たしか、わたしはこれと同じことを書いてた! と。
 これです。


 この話は「道具」と「人物」の関係について書いた回です。
 今から見てみると、とても無邪気に乗り込んでいった結果、なぜか民法の領域まで踏み込んでいて、実は、それが物語解析の本質だったんじゃないの? という感じなのですが、だいぶ近いことを語っているのはわかるかと思います。

 実際には民法は、物権と債権、つまり権利の性質に着眼して体系だっているのに対して、物語解析は道具と舞台、つまり動産と不動産に着眼して体系だっているので、同じように見えて、全く別の思想体系ですが、これはどっちで整理するかの差でしかない。

 民法は自然人又は法人等の「人」が、動産又は不動産を支配する思想体系なのです。なので、人の権利を中心に物事を把握しているのです。

 物語解析は、人も、舞台も、道具も、平等なので、たとえば車は故障する権利が保証されていますし、舞台は崩壊しますし、火山は噴火するんです。原発が物語に出てきたら、メルトダウンしてもらわないと、まったくもってお話にならないのです。指輪をはめれば悪魔に支配されるかもしれない、でなければ面白くないのです。

 ですが、物語解析と民法が、見方の違いがあるにせよ、同じ水準で物事を見ている、というのがわかるでしょうか。たぶんこれは、民法に詳しくあればあるほど、わからないはずです。
 これは民法と同じ程度まで抽象的に世界を見ているのにもかかわらず、民法の見方って、おかしくない? と言いたげな程度まで、全く違う視点で物事を見ているからです。

 物語解析と対比して初めて、民法とはなんだったのか、の輪郭があまりにも鮮明に見えてくるのです。これは人がどのように支配しているか、の法律なのです。
 それに対するわたしの感想は、

 それじゃあ、おもしろい物語はかけないねえ、まったく

  ■今回のおさらい、実例を見てみましょう

 今回のお話はこれくらいにしまして、次回からは、動の物語解析の話をしましょう。
 すこし先回りして言いますと、このお話の中心は、くらやみの中の灯火、の話になります。

 わたしたちは、多くの人がほとんど気づいていませんが、つねに真っ暗闇の中にいます。つまり目に見えているはずのことを、全く知らないのです。

 スーパーの買い物客のHPがいくつかを知らないのです。
 車にひかれたときののダメージがいくつかを知らないのです。
 ゲームでは決まっています。
 そのトラックは4トントラックなので、重量値は48だね、じゃあ、4で割って、12d6で修正値は、耐久性いくつ? 7か。じゃあ、−5だね。12d6−5でロールして。
 そうなんです。
 わたしたちは、なんにも知らないんです。
 真っ暗闇の中にいるのです。

 さて、あおりはこの辺にしまして(^_^; ちゃっちゃと締めに行きましょう。
 ご紹介するのは平成17年の弁理士試験の、商標の問題文です。
 これを紹介するのは、フレッド・ペリー事件を知っていれば、うわー、フレッド・ペリーじゃんw まんま出しやがったw 頭おかしいw と思える問題文で、検索などすればフレッド・ペリー事件がどういうものだったのかが一発でわかりますし、テストに出るくらいなので、重要な事件だからです。
 消尽の話で今回説明したのもこのためです。
 この事件も、結局のところ消尽の部分に焦点が当たる事件なんです。

 理解する必要はないと思います。
 たぶん、2年ぐらい勉強しないと、これが分かるところまではこない。
 あ、やってること、同じなんだなと、思って頂ければと思います。
 イギリスの法人甲は、商品「シャツ」に「OCEANS」の商標を付しイギリス国内で販売しており、その商標は、イギリスとシンガポールで甲が商標登録を受け、イギリスで著名となっている。
 乙は、甲の上記商品を日本に独占的に輸入し販売することを企図し、2001年1月、甲にその旨申し入れたが、後述の丙との間で既に輸入総代理店契約を締結済みであるとの理由で断られた。そこで、乙は、同年2月、甲に無断で、商標「OCEANS」に類似する商標「オーシャン2」について「シャツ」を指定商品とする商標登録出願を日本にし、2002年6月に商標登録を受けた。
  丙は、甲との間で、甲の上記商品について日本での輸入総代理店契約を締結し、2001年1月以降、商標「OCEANS」が付された「シャツ」を甲から輸入し、販売するとともに、同年3月には、甲の了承を得て、商標「OCEANS 」について「シャツ」を指定商品とする商標登録出願を日本にした。そして、商標「OCEANS」は、2001年12月末には、甲の商品を表示するものとして日本国内で広く知られるに至った。
  これに対し、乙は、丙による販売が好調であることを認識し、2003年1月以降、商標「OCEANS」が付されている「シャツ」(以下「本件シャツ」という )をシンガポールの法人丁から輸入し、日本で販売している。しかし、本件シャツは、丁が甲と締結した商標「OCEANS」のライセンス契約における製造地及び下請による製造を制限する条項に違反して製造されているものであった。
  この場合、 2005年7月3日を基準として 以下の設問(1)から(3)について設問の番号を明示して答えよ。
  なお、解答に際しては、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しなくてよい。
 これを解く技術が、物語解析なのです。
 そして、法律はどんなに複雑な事件でも、長くても数年すれば白黒がつく、これはあえて言いますが、技術なのです。
 それができるのは、徹底的に抽象化して、ルールに照らし合わせることができる部分以外は全く見ないからです。
 静の物語解析が、どんな物語でも簡単に解析できてしまうのは、この法律の観点と全く同じです。

 失っている部分は、ものすごく大量にあるんですよ。
 それをわかった上で、ツールとして使って、じゃあ、わたしはこれをどうプレイしよう、と考え始めると、いろいろなものが見えてくるんです。
 法律なんて、単なる道具です。
 ただ技術的には優れている側面があって、それを使ってハッピーになれるなら、ガンガン使い倒せばいいじゃないか、でも、民法って、人の権利に偏りすぎていて、マイナス面もあるんじゃないか? こんなんじゃ、おもしろい物語書けねえよ。

 こんぐらいでいいんです。

 以上、静の物語解析の解説、とりあえずの終了となりまして、次回から動の物語解析の話と、がらっと、180度変った話になります。お楽しみに。
 そして、ここまでお付き合いいただき、まずはありがとうございました。

 やっと、静の物語解析が語れたと、満足感でいっぱいです。
 やっと、ここまできたw なげーよw


 
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| hikaliのゲーム論 | 15:08 | comments(3) | trackbacks(0) |
[hikaliのゲーム論](18)  小説の書き方 物語解析解説(後編part14)
 こんばんわ! hikaliです!
 たぶん、今回が静の物語解析の解説の最終回。
 なんとか、理解ができるところまでたどり着きたいと思いますが、みなさま、だいじょうぶでしょうか(^_^;

 前回随分むずかしい話をしてしまった気がしますし、ずいぶんカオティックぎみだったんじゃないかと心配しているのです。

 実のところ、この物語解析は性質上、かっちりとまとまったストーリーになっている物語を分解していくことにより、つかえる部品にしていく、という所があります。

 これは例えて言えば、たとえばパソコンを部品に分解していくのに似ています。
 CPUを抜き出し、メモリーを外し、ハードディスクを取り出し、という感じで、ばらばらにしていく、それもいっぺんに2台も、5台も、ノートパソコンも、スマートフォンも。その部品がオフィス中に散乱している。
 もうガラクタの山の中のうずくまって(本人にとっては宝の山なのですが)、ドライバーで嬉々として新しいパソコンを組み立てている。それで、新しいパソコンが、斬新なパソコンが生まれている。

 そんな状態を、とてもカオティックな状況をお見せしているので、大丈夫かなあ……、と思ってしまうのです(^_^;


 ■ゲームでは、プレイヤーは動く

 実際のところ、本当のゲームの現場では、この分解したパーツの方々が自由意思をもって動きます。PBMですと100人ぐらい、TRPGだと5人ぐらいの人が、勝手に自分の思いをもって、好き勝手に動き回ろうとするのです。そして、それを保証するのが、TRPGであったり、PBMだったりするのです。
 つまり、命令禁止です。
 マスターが相手にこうしろと言った瞬間に、ゲームではなくなりますし、支配的になればなるほど、相手はやる気を失うでしょう。

 自発性をどう引き出すか、なんです。
 このカオスを統治する能力をどう身に付けるか、なんです。

 これは、分かってしまえば案外簡単です。
 超人的な能力とか必要なさそうなのは、これまでの話で抽象化して、単純化すれば、あんまりマシンスペックは必要ないということがわかったのではないでしょうか。
 もしわからなくても、大丈夫です。
 それは、動の物語解析の理論を知らないから、わからないんです。
 この話は、次回に多分なると思います。

 基本的には、相手が興味がありそうな事態を投げてみて、どう反応するかなあと観察して、あー、こっちの方向性が好きなんだ、じゃあ、今度はこれを投げてみよう。これの繰り返しです。
 これを100人だったら、100人に対してやる。
 これだけです。

 情報がプレイヤーの行動を促す。

 これが動の物語解析の本質であって、それ以下でも、それ以上でもないのですが、場に、今どの情報が出てたっけ? というところだけ、管理しておけばだいたい全部をうまく統治できる、というのが動の物語解析です。
 まあ、ぶっちゃけていうと、統治的な情報操作の仕方、になるのですが・・・。

 この辺は、こう言ったほうがわかりやすいと思います。

 マーケティング理論(統治的)なのか、情報統制(支配的)なのか、なんです。
 もちろん、動の物語解析は、マーケティング理論です。能動的なリークで動かしていくというマーケティング手法にかなり近い。普通の企業がやっている、新商品のマーケティング手法と、ほとんど変わらないのです。
 新商品の情報は、それを開発している企業しか知らないですよね? PS4の情報はsonyにしかないんです。なので、sonyはそのPS4の情報の開示順を、sonyが選べるのです。一番売れるように。
 これと全く同じです。
 どの情報を、どのタイミングで、どの順番で出すのかが重要なんです。
 これだけなんです。


 ■小説の場合。案外、アドリブで考えている。

 さて、話は小説の話になりますが、小説といいますか物語は、どの順番で情報開示するか、が重要なのですが、これがゲームであると捉えると、だいぶ話がわかってきます。

 小説はコントロールできるように見えるのですが、できません(^_^;
 これはどんなに上達してもムリなようでして、あちらこちらで、プロの作家が小説ほど思い通りにならないものはない、などというのを聞きます。最近のはなしでは、村上春樹が自分の長編について、もっと短いものにするつもりだったが、長くなってしまった、などといっているのを耳にしました。

 小説形式で行うゲームであるPBM(プレイ・バイ・メール)では、100人ぐらいのプレイヤーと1人のマスターが、一ヶ月を1ターンにして、手紙をやりとりします。

 プレイヤーはこういう行動をするという内容を、多い人では原稿用紙5枚ぐらいの分量書いてきます。それをマスターが100人の行動をひとつの物語にまとめて送り返すのです。

 マスターはだいたい10日で原稿用紙200枚ぐらいにして返すのですが、これが恐ろしく大変なのです。まあ、学生だったからできたようなもので、今の環境でできるかといえばムリですね(^_^;

 もうこうなってくると、あとに戻ってまずい部分を直すとかやっている余裕がないんです。
 なので、基本的には一発勝負で書いていくのですね。
 直しをする余裕がまったくないんです。
 なので、基本的にアドリブなんです。

 このPBMを実際に例として挙げたかったのですが、これは仕事としてやったものですし、プレイヤーの行動まで出すのはさすがにまずいだろうとおもうのです。
 そこで、長編小説である、死神の帰還を例に挙げます。
 これはググれば出てきます。
 実はわたしの場合、PBMの書き方と、小説の書き方があんまり変わらないのです。笑ってしまうかもしれませんが、一人PBMをやっているような状態で書いているのです。


 ■死神の帰還の話の前に、前知識

 このお話は、すこし前知識が必要です。
 この話は、産業革命を描きたいと思って書いたのですが、それは、わたしが特許業界の人だから、というのが一番の動機だったりするのです。わたしという人間が発明の世界にどっぷり浸かっている人であって、だから、あの時代を書いてみたくなったんだ、というのが、とてもわかりやすい説明です。

 また、特許業界の知識もありますし、専門書も大量に読み込んでいます。
 その中でも特許法概説という、特許業界では長年バイブルとされていた本がありまして、その特許法概説が、理論的支柱としていた本があったのです。
 それが、オイゲン・ディーゼルの『技術論』。
 ディーゼルエンジンを発明したルドルフ・ディーゼルの息子が書いた、産業革命の偉人たちのコトバを紹介した本なんです。

 出版されたのはナチスドイツ全盛期で、とにかく技術とはなにか、技術者とはどうあるべきかをひたすらに賛美して書いた本なのですが、軍需相のシュペーアとか喜んで勧めたんだろうなあと、特許庁=経済産業省の外局=経産省の文章ばっか読んでいる=かなり経産省の官僚の思考に近い人、であるわたしとしては、けっこう感化されてしまう本だったりするのです。

 まあ、こんなにプッシュされたら、列車砲とか作っちゃうよな、ってそんな感覚の、触れるとちょっとどうなんだろうと思う、禁忌の魔道書が、このオイゲン・ディーゼルの『技術論』なのです。

 これが死神の帰還の底本です。
 この産業革命を成し遂げた人々の肉声のコレクションをわたしは持っている、これが、あの話を正体を知る一番の出発点なんです。あのお話は、産業革命の肉声を引用しているんだ。そう思っていただけると、ああ、わかりやすいところから説明を始められるなぁ、と思います。


 ■死神の帰還は60枚で書けると思っていた・・・。

 あの話は、実は原稿用紙60枚で書き切るつもりだったんですね。実際には300枚になってしまったんですが・・・(誤差5倍という・・・)。もうこの時点で、構想がおかしいのですが、本人はいたって真面目に、60枚で書けるだろうと思っているわけです。
(それぐらい適当に構想しているわけです)

 わたしはよく小説を書いて、それを設定資料として使う、というやり方をします。この小説を通して、シドの首都ラスペの状況を作ってしまおうと考える、ということを頻繁にやる人なんです。なので本編のストーリーを始める前にシドの設定を固めてしまって、とりあえず顔見せみたいな感じで、野バラの諸侯の何人か出してしまおうとし始めたのですが。これが失敗の始まり・・・。
 序盤で大公を出してしまった時点で、話が無駄に大きくなり出しちゃったんですね。
 このセリフです。

「ならば灰にしよう、過去は、そうではないかね? キュディスの火山のようにあちこちから噴煙を上げ、降り積もる灰で過去は埋めてしまえばいい。そうではないかね?」
 バディスの愛弟子でもわからんか、と大公は大叔父の名を呟き、真摯な眼でわたしの眼を見る。
「野蛮な取引をするのが馬鹿らしくなるほど莫大な富を産む産業だ、それでだれも奴隷売買しなくなる。想像を絶する富だ。シド商人の誰も掴んだことのない富を、一市民が、そして奴隷であっても掴むことが出来る。絶大な富だ。アドレルの不正蓄財など子供の駄賃にしか思えなくなる、儲かるのだ。持ちきれないほどの膨大な富だ」
 ごくりと誰かがつばを飲む。
「また、あの、機械の話ですか?」
「そうだ。たしかにいまはその富をまだ産んでいない。しかし、竜の時代はシドでは終わった。今は鉄の時代。シドの鉱山では、製鉄場が莫大な鉄を産みつつある。数十万の兵の騎士鎧を作れるだけの鉄が、毎月のように生み出されている。潤沢な鉄が、溢れるほどの鉄がシドにはあり、増え続けている。それが次は蒸気だ。蒸気が鉄を金に変える。溢れるほどの金が、信じられないほどの金が、このシドに満ちるようになる」
 にわかには信じられず、わたしはため息をつき、なるほどとちいさく呟いた。


 これ、アドリブですw
 だいたい書く速度でスラスラ出てきていたりするんです。

 大公の役作りは、産業革命時代の名言集を種本に、だいたいこういうこと言うだろうという感じで、ルドルフ・ディーゼルをベースに、ドイツの王侯の発言を参考にしつつ作り上げた、という感じです。
 なので頭の中に大公のイメージがあって、リニーが話しかけると、わたしの中の大公が勝手に話し始めるんです。で、それをわたしはその声を聞いてひたすらに書き留めている。あのセリフの中には、結構、種本から使っているのもあるのだけれども、それを繋ぎながら、実際に何が起こったのかをプレイしていく。そんな感じで書いているのです。

 小説だと考えてしまうとびっくりするかも知れませんが、これが舞台や、ジャズライブだと考えて見てください。
 即興で、ものすごい早さで言葉や曲が出てきますよね。
 全然苦労せずに生み出しているように見えますが、もちろん違いますよね。それ以前に膨大な量の練習をしているはずなんです。

 サッカーも同じです。予定どおりにいくはずがないんです。
 予定どおりにいってしまうサッカーがどれほどつまらないでしょうか。
 ここで即興とコトバを使いましたが、もうすこし本質的なことをいえば、これがプレイするということなんです。ゲームですから、参加するすべての人間がプレイヤーになります。レフリーでも、広義の意味ではプレイヤーです。
 そして、ワールドカップやオリンピックを想像すればわかりやすいですが、たった一回のプレイのために、膨大な準備をしているのです。

 そうなんです。
 小説を書く上で一番時間がかかるのは、資料などを読んで、頭の中にイメージを作っていく作業なんです。
 大公の台詞で言えば、何よりも時間がかかるのが役作り。
 役さえ作ってしまえば、あとは勝手に動いてくれるんです。

 ああ、まあ、勝手に動かれた結果、予定の5倍の量に膨れ上がったんですが・・・。

 なので、
 リニーが「灰になりましたが」
 といった途端に、「なにもかもが灰の中だ、それで結構じゃないか」という言葉が出てくるんですね。これはなにか計算があって出てきている言葉ではないのです。反射的に大公を演じているのです。
 わたしからしてみると、大公が言った、なのです。
 わたしの中に構築されていた、大公が言ったんです。

 アドリブで書いている、という意味が何となく分かるかと思います(^_^;

 こういうネタばらしをしながら、あのお話がどう作られていったか、というお話をしましょう。
 予定を超えて、だいぶ長くなってしまいそうですが(^_^;
 (誤差5倍、か・・・)


 ■Q&A なぜなに? 死神の帰還

 Q:なんでリニーは、名前を呼ばれるたびに「リニーだ」と言うの?

 A:リニーの正式名称はリニー・ガスコイン。ガスコインは、イギリスのとても有名なサッカー選手の名前から取りました。で、ガスコインと呼ばれるたびに、ああ、あそこからとったのね、と思われるのが、恥ずかしかったので(^_^; ガスコインと呼ばれるのをリニーが家名を恥と思っていて、嫌っているという設定を考えたのですね・・・(超利己的w)。なので、苗字で呼ばれる機会があるたびに、名前で呼ばせるという形を取ったんです。でも、あの設定は、初めて接する人が自分をどう呼ぶかで、その人がどう自分を見ているかを判断している材料にしているのだろうなあと、あとづけで一応意味をつけました。信頼関係がある人ほど、リニーとそのままで呼んでいるのを確認できるかと。

 Q:なんで、あんなにチャプターの最後で事件を起こす形をとっているの?

 A:なんかわざとらしい質問ですがw
 えーと、あれはわたしが大好きな作家であるディック・フランシスの流儀なんですね。チャプターを進めてきて、その最後で、変な角度にぽきっと話の向きを変えて、それで螺旋階段を上っていくようにぐるぐると回っていく書き方なのですが、わたしもしばらく書いていて、なんか変な書き方をしてるなあ・・・、なんだべ、これ? と思っていました。
 あるとき、あ、これ、ディック・フランシスじゃん! わたし、無意識でディック・フランシスの書き方真似てたw 気づかなかったw と思ったほどなのです。
 ちなみにあの書き方は、チャプターの始め方が難しかったりします。
 それで、うーん、困った・・・、となった時に、ランダムでディック・フランシスのチャプターを開いてみて、その冒頭を読んで、その解決方法をそのまま取り入れたりとかしていました。

 Q:リニーがザブンテ残党を取り込むシーンがあるけれども、あれは?

 A:あのシーンはロイボルトの活躍シーンなのですが、大公とリニーが話していて、突然にロイボルトが割り込んでくる。で、なんで、ロイボルトは割り込んでくるんだろうと考えていたのですね。で、たまたまその時、英国でロンドン暴動が起こっていたんです。
 ああ、じゃあ、ザブンテ人が暴動を起こすのがいいだろうと。
 で、なんで、ザブンテ人は暴動を起こしたのだろうと? で、その時、リニーはリドリーを慕っていたので、リニーとリドリーが対立して、意見が食い違う展開にしたいと思っていました。
 リドリーとザブンテ人が同意する意見ってなんだろう、って考えたんです。リドリーはアメリカの共和党的な考え方をする人なので、ああ、軍の増強だなあ、と。
 リニーのザブンテ人に話しかけるセリフが完全にアドリブであるのは、ご想像の通りです。けっこういい加減に書かれています(^_^;


 Q:リドリーは共和党的にするつもりだったんですか?

 A:リニーを卿と呼ぶことだけは決めてました。でも成り行きで書いていたら、なんか共和党っぽいなあと・・・。ちなみに最終的にこの人のイメージだなあと着地したのは、沈黙の艦隊に出てくる、ベネット大統領です。ベネットはさすがに米国大統領なので、もうちょっと奥まったところにいる人ですけど、ベネットが気楽になったらあんな感じなるかと。


 このままいくときりがなさそうなので、キュディスの翼竜少年の話に絞りましょう。
 この翼竜少年で説明するのが、一番わかりやすそうだったのです。

 Q:なんで、翼竜少年は無名だったの?

 A:特に考えてはいなかったのですが、翼竜の少年と書くのが、一番わかりやすかったんです。名前で呼ぶより、翼竜の少年と書くほうが。無名の設定とか考えていませんでした。キャラとしても立っており、カタコトのシド語でもう登場すればああ、あいつだとわかる状況だったので、差別化する必要がなかったというか、名前がなくても特別な存在だったと。名前をつける必要がなく、というか、少年と書くとあいつのことになったからです。逆にウタリと書くと、誰? となりそうだったからでです。


 Q:なんで、翼竜少年をリニーの護衛につけたの?

 A:基本的に、リニーはキュディスの、アドレルをめぐる争いを一人で乗り切っているので、護衛はあんまり必要なかったりするんですね。でも、コミカルな登場人物なので、面白そうだったのと、動きがある人物だし、飛べるから便利だなあという、それぐらいの軽い気持ちでつけました。

 Q:1グロアっていくら?

 A:1ドルです。

 話がだいぶ飛びますが、セントラルへ少年と飛ぶところへ行きます。

 Q:セントラルって何ですか?

 A:サウスという伝説の帝国の前に存在した超文明の、軌道エレベータです。で、あのシーンの直前に、そういえばセントラルの設定作ってなかった、セントラルの設定どうしようと困ってしまったのです。
 で、大成建設だったかが、ハイパービルディングとかいう名称で、4000m級のビルディング都市の構想していた資料があったことを思い出したんですね。で、それを見ると、ハイパービルディングの構造体は3つに分かれる、第一構造体である柱のようなものは数千年持つ、第二構造体は200年ぐらい、第三構造体は50年ぐらい、という話になっていたのです。で、おお、第一構造体以外は全部壊れてしまっているんだな、だからシドの人たちは10階より上を作っていないと。
 これはとてもわかりやすい説明でした。
 壊れてしまっていなくて、宇宙まで行かれてしまうと、大変困るのです。
 それで、セントラルという舞台を、あんな感じに設計したのです。

 Q:なぜ、少年はシド語を覚えたのですか?

 A:なんか、答えのためにある質問みたいですが(^_^;
 これを何とか説明しようとしたのが、このシーンです。
 少年の文明に対する憧れを書いて、それが動機であると説明したかったんですね。
 ここで、どうも少年はアドレルというか、シドの文明に夢の国であるかのような希望を持っている少年像を描いてしまったのですね。だってそうでもしなければ、キュディス人がシド語なんて覚えないじゃないですか。

 このシーンは少年を掘り下げているのですが、実際には、キュディスとシドを対比することで、文明とはなにか、文明と蛮族は何が変わらないかを掘り下げているのです。その題材として、この少年はとてもいい質問をくれるのです。
 それをリニーは、心地よい知的環境だと、そう思っていて、この翼竜の少年を離したくないと思っているのです。
 わたしはこの少年がとても大好きですし、多分お読みいただいた方も同じ感想をもっていると思うのです。

 Q:少年はセントラルに魅了されますね?

 A:あの辺は補強です。なんとなく少年にいいものを見せてあげたいんです。そういう親心といいますか、そこからリニーの仲間だという、リニーが手放したくないもの、という方向に持って行っています。少年は無邪気にリニーを信じていますし、リニーは少年を手放したくない。この一種の親友関係が、野バラの諸侯の信頼関係になっていくのだと、その当時考えていたかといえば、そこまで考えていません。
 ちなみに、ラストでリニーが少年につけた名前は、アイヌ語で「仲間」だったりします。

 なんか、思い出をたどる旅ですねw
 名前を呼ぶと、何か関係が消失してしまいそうで呼びたくないのですが、あの少年が生きているようで、すぐさま声が聞こえてくるんです。リニー、行こうって。
 そうしたら、ごちゃごちゃ考えている暇とかないじゃないですか。
 クリフォードとも重なりますが、出すしかないんです。

 これは予定とは違うけれども、一ヶ月早くだそう。
 それで一ヶ月遅れる人があったら、申し訳ないから。

 なんか予定とは違いましたが、とりあえず、中途半端に、伝えておきます。

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| hikaliのゲーム論 | 01:58 | comments(0) | trackbacks(0) | 昨年の記事
[hikaliのゲーム論](17)  抽象化された物語の例 物語解析解説(後編part13)

 こんばんわ! hikaliです!

 えーと、みなさま、お元気でしょうか? わたしは元気です。
 と、書くと、あんまり元気そうに見えないのですが(^_^; いろいろと、この先の話が難しくなりそうで、胃が痛くなるんですね。なんて、説明が難しいことをお前はしてるんだと、自分に呆れるのですが(笑)、うまい筋道を考えていた時に、説明するよりも、実際にどうしていたかを書いたほうが早い、と思うことがしばしばありました。
 それぐらい、理解に至るための道が狭い道だなあと、思ってしまったのです。

 どういうシナリオを組めばいいのか、を説明するのが困難なんですね。

 なので、

 今回か次回で、静の物語解析の概要は終わりにする。
  ↓
 動の物語解析で、実際にシナリオをどう運用するかの話をする。
  ↓
 そして、どういうシナリオではセッションの破綻なく進められるか(これは動の領域)を話す。
  ↓
 静の物語解析で、組むべきシナリオを提示する。

 という感じで、だいぶイレギュラーな形ですすめるのがいいかなと思うようになりました。複雑ですねえ・・・、困りましたねえ・・・。

 といいますか、動の理論が理解できないと、どういう風にシナリオ組めばいいの? という部分がわからないと思うのですね。
 詳しい話は後ほどすることにしまして、そんな予定でいることだけ、お伝えしておこうと思います。

 まずは、本日はとても簡単なところからご説明します。

 閑話休題。
 さて、前回は主人公の抽象化の話をしました。ドラゴンクエスト3って、キャラクターを好きに選べるよね、と書いたのですが、これがちょっとわたしの勘違いでして……、主人公の勇者は固定だったんですね……。まあ、でもほかのキャラクターは固定ではないので、一応抽象化されているといえばそうなのですが、それでも、納得いかなければ、skyrimって主人公が戦士でも、魔法使いでも成立するように作っているよね……、という説明でご納得いただけたらと思います。

 この勘違いは、わたしがあまりにも、どんな主人公が入ってくるかわからない状況でTRPGやPBMのシナリオを作っていたため、それに慣れすぎて、どんなゲームもたいていそうだよね、と思い込んでいたことに起因します(^_^;
 そういう状況でシナリオを作るというのは、どういうことか。
 それを前回、エアフォース・ワンのシナリオは抽象化されている、ことをお話して、大体のイメージを掴んでもらおうとしたかと思います。

 エアフォース・ワンのシナリオは、

 大統領専用機がテロリストに占拠された、だが、アメリカはテロとは交渉しない、というこの矛盾が起こったときにどうなるか

 というのがメインです。
 つまり、このシナリオは、アメリカ大統領であれば、誰でも成立するのです。
 ビル・クリントンでも、オバマさんでも、ヒラリー・クリントンでも、ブッシュ大統領でも。そして、誰の物語としてこのシナリオをプレイするかによって、ストーリーが大幅に変わってくるだろう、という話でした。
 オバマさんならば、どうこの問題を解決すると思いますか?


 ■少女漫画的な人物関係

 さて、突然ですが次の図を見てください。
 わたしが適当に作った図なのですが、なんとなくわたしが物語になりそうだなあと、でっち上げてみた図です。だいたいわたしの頭の中は、この程度まで簡略化されているといいますか、抽象化されています。



 Aさんが男か女かも決まっていないのですが、おっと、CさんとDさんが兄弟ということになっているので、Aさんは女性ですか。これぐらい何も決めてないんです。

 AさんはCさんに片思いをしていますが、一方でAさんとDさんは親友です。となると、AさんとDさんは同級生で、Cさんはその兄貴なんですかねえ……。あー、いや、CさんとDさんを双子にしても面白そうですよね、なんかタッチみたいな話になりそうですが。

 Cさんは、Bさんを師匠だと思っているようですが、なんの師匠なんでしょうか?
 タッチだったら野球でしょうが、別にお習字でも、水泳でもいいわけです。なんかここを決めると、この物語のジャンルが決まりそうですよね。

 そして、AさんとBさんは互いに敵対している。
 どうもこの対決を中心として、CさんとDさんを巻き込んだ、物語になって行きそうです。ああ、もちろん、そうしなくてもいいのですけれども。

 こうやって考えていくと、ものすごいパターンの物語が、この構成から産めそうです。
 でも、この構成は見てのとおり一つですし、少女漫画のある作品の構成を一般化したように見えます。
 しかし、ここから想像をめぐらせていくと、様々な物語が、この構成から生まれるのです。
 これが物語の抽象化の利点。

 これだけ抽象化した状況で物語を見ていくと、実は書道漫画にもなるし、水泳漫画にもなるし、ロックバンド漫画にもなるのです。つまり、利用可能なパーツとして物語を見ることが出来るようになるのです。
 この話、エアフォース・ワンで、どの大統領だと決めなかったおかげで、いろいろな作品のバリエーションが考えられる、という状況になるのと同じ、というのがなんとなくでもいいですからわかるでしょうか。

 こういう抽象化したパターンを抜き出して、いろいろな物語に流用しちゃおう! というのが物語解析の真髄だったりするのです。

 「つまり、最強のパクり方が、物語解析なんですね!?」

 と、思って頂ければ、このセクションは理解したも同然です(^_^;


 ■人物関係だけしか見てないけれどもいいの?

 さて、ここまでの検討で、なんとなくこの構成が物語になりそうだとわかりました。
 ですが、物語解析は「人物」「舞台」「道具」「決まりごと」の4つの要素があるのだと書いてきました。しかし、いま検討しているのは人物関係だけ。舞台も道具も決まりごとも考えなくていいの? ということが気になり始めてきたのではないでしょうか。

 結論から言えば、まあ活かすに越した事はない、です。
 といいますか、シェイクスピアが、かなり舞台に無頓着なんですね(^_^;
 ヴェニスの商人で、あれはどこでしたっけ? ヴェローナだった気がするのですが、どう考えてもシェイクスピアはヴェローナに行ったことがない。もうその辺なんて、おもいっきし、ぼかして書いているわけです。

 例えば十二夜を開いてみればわかるんですが、

 第一場 オーシーノ公爵邸の一室
 (オーシーノ公爵、侍臣キューリオ、貴族たち。音楽を聞いている。音楽やむ)

 以上! なんですね(^_^; 舞台の説明が一切ないw

 第二場 海岸近く
 (ヴァイオラ、船長、水夫たち)

 以上! 海岸近く、しか設定がないんですw
 これが、夏の夜の夢になると、だいぶ変わりまして、

 第一場 シーシアスの宮殿内、大広間
 (二つの王座のある小壇と暖炉とが、左右に相対している。正面、左右に戸口。その間の壁にも、中央に戸口があって、後方の大廊下に通じている。
 シーシアスとヒポリタが登場、王座につく。あとからフィロストレイトや侍者たちが出る)

 もうなんか、同じ人が書いているとは思えないぐらい違いますよね。
 シェイクスピアの台本って、その芝居を見た人が書いた報告書なんではないか、と思えるぐらいしでして、まあ、たぶんシェイクスピアならば芝居には情熱を裂けるけれども、まさかその台本が、ここまで純文学のテキストとして、偏愛されるなんて夢にも思っていなかったと思うのです。
 だから多分自分で書いてないと思うのですね。
 資料ぐらいは渡したと思うのですが。
 つまり、刊行する書籍としての台本はゴーストライターに任せていたと。
 あと公演ごとに、必ずセリフを変えていたはずだ、と思います。ウケなかったら、これはまずいと思って書き直していたはずだと、わたしは思うのです。
 あの物語バカっぷりですから、直さないはずなどない。
 あいつが直さないはずなどない、と思うのですね。
 さらっと、書くのですが、そもそも物語は動的なものだったと思うのです。芝居しかり、オペラしかり。ですがプリントメディアに主流が移った途端に、一文一句変えるべきではない、という風潮になったのでは、という気がするのです。映画も然りですが、プリントが当たり前になって、物語は固定化されているもの、という感じになってしまった。
 でも、やっぱり書き手ならば直したいって思うと思うのですね。
 特にシェイクスピアは、上演するまでどんな形になるかわからないわけですし、お客さんが目の前にいてその反応を見ているのですから、やっぱり想定と違う反応が返ってきたら、その場で直すと思うのです。
 固定される前の物語の世界はもうちょっと自由だったって、そんな気がするのです。
 そしてゲームを真剣に考え始めると、物語の境界が新しくなる。
 そうおもうのです。

 なんか、どうでもいい話になった・・・。

 えっと、なんでしたっけ・・・、ああ、舞台は活かしたいのならば、活かすべきだけれども、シェイクスピアもあんま使っていないので、まあ、そんなカリカリするポイントじゃないかなあと、それがわたしの見解なのです。
 だから、わたしにあんまり舞台系の見解には期待しないでね、だって、師匠が全然活用してくれないんだもの、となるのです(^_^; ばりばりに使っている師匠がどっかにいるはずなのです。そっちを参考にしてください、としか言えません。

 ミリーの天気予報はどうなの?
 と言われれば、ん…、あれはねえ、とレクチャーできるかもしれませんが……。

 あの話は館ものと言いまして、わたしの分類では消極的閉鎖、という舞台の使い方なんです。つまり舞台を館の中に限ってしまう使い方です。

 わたし、消極的閉鎖はめちゃくちゃ得意なんですね。
 でも、舞台使いのすごい人たちは積極的閉鎖使いなんですね、そこはわたしはめちゃくちゃ苦手……。まあ、物語解析読んでください。それでわからなかったら、聞いてください。多分言葉の意味もわからない状況で聞かれても、物語解析の、積極的閉鎖と消極的閉鎖のところを読んで、というだけだと思うので。
 積極的閉鎖は、舞台使いの総本山なのですが、わたしとは流派が違うんですね。
 TRPGのロングシナリオ(長編)のことですがキャンペーンが得意な人と、ショート(短編)が得意な人では、舞台の使い方の流儀が違うんです。ショートの流儀っていうのはあるのですが、ロングの使い方のほうがよりダイナミックで、すごく魅力的なんですが、そこはわたしが解説できるところじゃなかったりするのです。
 わたしよりすごい人が大量にいるのを、間近に見てしまっていたりするので。
 ショートは映画サイズ、ロングはアニメシリーズと思うといいでしょうか。

 というわけで、ショート派としては、舞台はかなりどうでもいいのですね。
 消極的閉鎖で組まない限り、あんま関係ないといいますか。
 ちなみに、ハリーポッターは消極的閉鎖で、ロードオブザリングは積極的閉鎖です。
 舞台として舞台を活かそうとしないのであれば、
 アドリブでどこでもいいのです。
 水泳勝負でしたら、プールとか大会とかが重要になりそうですが、これが、ヨーヨーだったらどうでしょう。詩吟でもいいかもしれません。舞台ってどこでもいいですよね? むしろ、朝の通勤電車のホームで詩吟勝負とかおもいっきり面白そうです。これは、別に体育館裏でもいいのです。商店街でヨーヨー勝負でも、かなり面白そうです。
 いろいろ想像を巡らせてみると、様々なアイデアが生まれると思います。

 これは、あの不思議な、抽象的な物語構成が生んだ、アイデアなんですよ!
 物語を抽象化することが、どれほど、物語の可能性を生み出すかが分かって頂ければ、とても嬉しいです。


 ■実際にやっていた例。30分でシナリオを考える。

 たぶん、これまではとても抽象的な話をしてきました。
 でも、ここからは具体的で抽象的な話です。

 あれ? なんか矛盾している?
 いえいえ、ここからは、実際にどうやっていたかの話。シナリオを30分で組む話です。

 わたしは、大学のゲーム研究会に所属していました。
 で、その研究会は、月に1回、二三日の合宿を組んでいたんですね。どうです? 具体的でしょう?
 合宿所を借りて、雑魚寝しながらゲームをする。
 ボードゲーム有り、TRPG有り、カードゲーム有り、もうゲーム三昧の合宿です。

 その中で、たまに、セッションが早く終わってしまう組が現れるんです。
 何組かのチームに分かれてセッションをするんですが、

「あの田中さんのセッションは、あと5時間は終わらないなあ」
「加藤さんのところは、マキャベリ(ボードゲーム)始めてるし」
「え?! マキャベリ始めちゃったの?! 8時間ぐらいかかるだろ、あのゲーム!」

 そうすると、5人ぐらいが、4時間ぐらい暇な時間ができるんですね。
 そこで言われるんです。

「だれか、シナリオ持っている人、いない?」

 ないと、わたしに話が持ち込まれるんです。というのは、わたしがショートマスターだから。わたしは短編小説を大量に読んでいたせいか、ショートは得意なんですね。4時間ぐらいのシナリオを組むのがひたすらに得意。なので、こういう短い時間を埋めるシナリオを作るのが、得意ということになっている。

「あ、じゃあ、やりますよ」
「シナリオ、あるの?」
「いえ、キャラクターシート作っている間に(30分ぐらい)、作りますよ」

 これで、納得する人たちってどうなんだろう??? とおもいつつ、ほかに手立てがないので、

 「経験点は4500で。システムはソード(ソードワールドというシステム)」

 こういう時間が始まるんです。
 それで、ソードワールドのルールブックのモンスター欄を見るんですね、どのモンスターだそうかと。そこで、ピクシーに目が行く。あれ? ピクシーの特殊能力の姿を消すって、魔法関係ないのか? ピクシーは親指ほどの小さな妖精です。でも姿かたちは人間と同じような姿をしている。
 あ、これ、行けるかも。
 で、巨大化の腕輪で、人間大になっていることにするんです。
 ここまで5分。

 で、ピクシーは姿を消せるのだけど、それが特殊能力であって、妖精さんの力なので、魔法では感知できないというところが魅力なので、これを使って、なんかトリックを作りたいなあと思うわけです。で、豪雨の中で、少女が姿を消して、悪党が突然襲いかかってくるシチュレーションを作れたら、面白いだろうなあと思いつきます。
 ふっと消えるのは幽霊ぽく見えるだろうなと思っての発想です。
 幽霊が消えるのならば、雨の中だなあと(<安易・・・)。
 ちなみに、ピクシーは透明に近い羽があって飛べるので、豪雨の中では、ふわーっと、幽霊っぽく浮いているように見えます。これは多分びっくりすると思ったのです。なんだ、あの怪奇現象は!? でもソードのルールではそんなことが出来る存在が存在しない。
 で、びっくりしたところで、豪雨の中から、突然に攻撃されるのです。
 これは面白い。

 で、巨大化したピクシーは、なぜ、村(安易に、村にしてしまいましたが・・・)に来ているのだろう? たぶん、村の少年に惚れているんだろう(<この辺安易・・・)。で、少年とピクシーの逢瀬を描きつつ、悪党どもはどう考えているんだろうと、考え始めます。

 これは、考えがまとまらなかったんですね(^_^;
 結論的には、多雨地帯なので、お茶だろ、で結論が着いたのですが、悪党がそこまで悪事を働く理由付けとしては弱い。

 この話は、恋したピクシーを使って、ピクシーの住む多雨の森が伐採すべきだと、情報操作することによって、あの森がいかに危険かを訴える陰謀だったとそういう形で作った話です。
 怪異現象に類似する事件をでっち上げ、それをピクシーに責任を押し付けるという形で成立しています。要するに、ピクシーが巨大化しているために怪異の原因が理解不能で、どういう原則で消えるのかがわからない存在に、あいつは化物だということにして、全部の責任があるように見せかけているのです。
 この辺が、ピクシーをうまく使っているところなんですね。

 だいたいここまで考えると、30分経って、セッションを始めなければならなくなります。
 もう、名前とか考えている暇とかないw

 悪党とかも適当に作ります。
 ファイターL4(戦士レベル4)
 ソーサラーL3(魔法使いレベル3)
 シーフL3(盗賊レベル3)
 これしか、もう書いてあることがないんですねw

 セッションをしている最中に、暇なので覗きに来た人が、それを覗き込んで、
「シナリオ、それだけwww」
 と爆笑されたぐらいだったんですね。HPも、MPも決まってないw

 こういう感じなんですw
 わかるでしょうかw
 あとは全部アドリブなんですw
 さすがに、戦闘が始まる直前に、HPなどは適当に書きましたが……。

 まあ、ぶっちゃけ、こういう状況で作っていたりするので、細かいところなんて詰める時間なんてないんですね。

 とりあえず、このへんで切りましょう。
 もうすでに30枚近く書いてますので、このへんで切らないと、さすがに長すぎるだろう、と思ってしまうのです。このあとは、多分小説の話になって、最終的に、これはやっているのは法律と同じですよ、という話になります。

 とりあえず、本日はこれまで。
 お疲れ様でした!

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| hikaliのゲーム論 | 22:11 | comments(2) | trackbacks(0) |
[hikaliのゲーム論](16)  主人公の抽象化 物語解析解説(後編part12)

 こんばんわ! 管理人のhikaliです!
 最近、事前に論点をメモ書きして、書いてみることにしているのですが、いろいろ書き出してみると、なんだか、とてもたくさん説明が必要になる話をしているのだなあ、と思ってしまって、わたしからしてみるとそんな難しい話じゃないけれども、理解できるように説明すると、なんだかよくわからない話になる、という気がしています(^_^;
 ただ、とても発見が多くて楽しいです。
 まさか、法律とゲームが同じことをしている、という所にたどり着くとは思いませんでした。
 なんとか、そこまで早く行きたいのですが、なかなか、壁が多いようでして・・・。
 そこまでたどり着ける旅を、ご一緒できると嬉しいです。
 出来うる限り、実例をあげて、具体的な像が捉えやすいように努めますので、お楽しみ頂けたら幸いです。

 さて、これまで物語の抽象化という話をしてきたと思いますが、今回はゲームの話。
 ゲームというのは、主人公が抽象化されていることが多い。
 この話になります。
 ひとことでわかりやすく言えば、ドラクエ3って、全員魔法使いでも成り立つように作っているよね? ということ。(どっかで行き詰まるかもしれないけど・・・)

 と、ちょっと先回りしつつ、もうちょっとわかりやすいところから始めましょう。


 前回は、物語の抽象化が、物語解析(正確には静の物語解析)の正体であるという話をしました。

 物語解析は、ストーリーを捨てるとこからはじめて、物語を「人物」「舞台」「道具」「決まりごと(世界観)」にわけて記載し、その関係を考える、というものだという話をしてきました。

 これはもともと、TRPGのシナリオには何を書いたらいいのかを考えた末に、シェイクスピアを読んで、ああ、これでいいのか、と思った、という話でした。

 つまり、「人物」「舞台」「道具」「決まりごと(世界観)」とその関係だけ書けばいいんじゃね? という話だったのですが、その考え方を、ちょっといろいろな物語に適用してみよう!(映画を中心に) と始まったのが、メールマガジン物語解析、だったのです。つまり、ゲームシナリオの記載要件を、実際のストーリーに当てはめて、どうなっているかを分析してみようと思って、物語の解析メールマガジン、物語解析を立ち上げたのです。

 簡単にまとめるとこんな感じです。

 物語を分析(メールマガジン物語解析) |
  ↓                 |静の物語解析
 シナリオ化(ゲーム化する)      |
  ↓
 プレイする(マスタリングする)    |動の物語解析

 ですので、この名称は、名前がわかりにくい、本質をあんまり反映していない、という気がしないでもないのです。
 が、なんかマッドサイエンティストっぽい感じが好きで、わかりにくて申し訳ないのですが、物語解析理論、と呼ばせていただいています。とても正確にいえば、物語解析エンジン、物語解析の根幹になっている考え方、みたいな意味になっています。KJ法よりは、物語解析理論の方が意味がわかりやすいと思っているのですが・・・。

 この方法で分析すると、圧倒的な結果が出るんです。
 もともと作る側の理論だったのだけれども、それよりも分析に使ったほうが、誰も理解できなかった千と千尋の神隠しを分析できたり、ドラえもんの鉄人兵団から色々なことが分かったり、シェイクスピアがすごく良くわかる、と言ったような結果が出るんです。
 すごく簡単な方法なんですけれどもね・・・。
 物語解析読んでください(^_^;
 これは魔法でもなんでもないんです。
 工学的に、物語の機能しか見ない、と覚悟を決めると、突然にあらゆることが見えてくるのです。

 ■物語解析サマリー
 http://story-fact.com/mk_log.php



 ■物語解析はなにを目的にしていたのか

 さて、メールマガジン物語解析が既存の物語を分析することに始終していたことは書いたのですが、実際には、この分析はその成果をTRPGのシナリオに使おうというのが目的だったのです。
 もしかしたら、アカデミックな学術的な情熱をめらめらと燃やして分析しているように、外からは見えていたかもしれませんが、本人は分析をしながら、うっしっし、これは使えるぞ、ドラえもんは宝の山じゃん、お宝おいしー! 財宝ざっくざくで、ウマウマです! 次はあっちにするか、あっちもお宝ありそうだ、と欲望のままに分析していたのです(^_^;

 これはゲームブックの分析をしている、わたしのブログを見ていただければ、わかると思うのですが、なんで200冊ものゲームブックを分析したのかと言えば、それはただ単に、ゲームブックをどう実装したらいいかを研究していたから、という以外にありません。分析が目的であったわけではありません。自作のFLASHゲームブックである『ミリーの天気予報』にたどり着くのが目的だったわけです。
(というか、学術的な好奇心でやっていたのなら、200冊達成で分析が止まらない気が・・・。)
 なので、スティーブ・ジャクソン謹製の「サイボーグを倒せ」という、恐ろしく柔軟な構成を取れる傑作ゲームブックを発見した時点で、ああ、これを使えばいいじゃん、という形で分析が中断しておりまして(^_^; まだ、その先が進んでいないのです。
 魂胆としては、この先行き詰まっても、まだ、スティーブ・ジャクソン謹製の「モンスター誕生」があるので、それを分析すればいいので、これはあとにとっておこうぐらいな感じなのです。

 ■ミリーの天気予報
  http://stpry-fact.com/gamebook_dt3.php


  このゲームブックは、シェイクスピアをゲームブックに実装してしまおう、と考えて作られたものです。もともと物語解析がシェイクスピアの研究から始まったものですが、もどるべきところに戻った、というものです。
  シェイクスピア喜劇だと思うといいです。
  落語みたいにばかばかしい話なんだけれども、ああ、この辺はヴェニスの商人だなあとか、この辺は夏の夜の夢だなあとか、

 「ほんとうにシェイクスピアをパクったんですね!」

 というのが分かって頂ければ嬉しいです(^_^;


 ■抽象化された主人公、もしくは主人公の抽象化

 さて、これまで長々とお話してきましたが、実のところ、あんまりゲーム論の話をしてきませんでした。このシリーズは、実のところゲーム論と称しながら、実のところストーリーゲームの話をしています。
 看板に偽りありで申し訳ないのですが、物語とゲームの境目の話をしているのです。

 そこで、だいぶゲーム論に近い、といいますか物語を、どうゲームにフィットさせるかの話になります。

 題目にありますが、この話を誰かが物語サイドから積極的に読んだことがないのです。
 つまり、主人公が抽象化されているとはどういうことだろう?
 という話です。

 抽象化された主人公をベースに作る物語ってなんだ?
 という、話です。

 これは先回りして書きましたが、ドラゴンクエスト2では、主人公はローレンシアの王子、サマルトリアの王子、ムーンブルクの王女と決まっています。しかし、ドラゴンクエスト3では、主人公が誰とは決まっていません。
 どんな主人公で参加してもいいのです。
 全員戦士でもいいですし、全員僧侶でもいいわけです。
 小説で考えれば、当然にこの双方は全く違うお話になります。
 それでも成立してしまう構成にドラゴンクエスト3はなっていることを示しています。これはskyrimでも同様です。これは物語の世界ではかなり異常な状態なのです。TRPGの世界から帰ってきて、小説書きの視点で見ると、不思議な世界が見えてくるのです。
 つまり、

 主人公が抽象化されている。

 これがわかる人かわからない人かで、凄まじい格差が生まれますので、この辺は丁寧に説明します。たぶん、抽象化ということがどういう作業で、それを前提で物語を組むということが、わかりにくいんです。つまりTRPGのシナリオの書き方はどうすべきかが、たぶんおそろしくわかりにくいんです。


 ■エアフォース・ワンという映画で説明するのが一番わかりやすい

 ハリウッドの映画に、ハリソン・フォード主演のエアフォース・ワンという映画があります。この映画、実は、わたしは見たことがないのですが(^_^; 予告編を見た瞬間に、この話がどうなるか電撃的に手に取るように分かってしまった作品です。
 つまり、底が浅い作品なのです。

 この話は、大統領専用機がテロリストに占拠された、だが、アメリカはテロとは交渉しない、というこの矛盾が起こったときにどうなるか、を問うた話です。

 この問い自体は、とても優れていて、どうするんだろうと、一瞬思います。
 でも、映画としてリアルに考えると、舞台が狭すぎるし、人物の広がりも期待できないし、結局アクションだけど、飛行機内のアクションは制約が多すぎるし、結局大統領万歳で終わるんじゃない? と一撃で見破れるのです。
 この話は、物語解析で改善案を書いていたりします。

 で、そんなことはどうでもよくて、このエアフォース・ワンで優れているの、この部分です。

 大統領専用機がテロリストに占拠された、だが、アメリカはテロとは交渉しない、というこの矛盾が起こったときにどうなるか

 このエアフォース・ワンが書かれたときはクリントン大統領で、武闘派で若いイメージでハリソン・フォード主演だったのですが、この大統領がオバマさんだったらどうなっただろう? これは共和党が怒りそうですが、ヒラリー・クリントンだったらどうなっただろう? 共和党に配慮してブッシュ大統領だったどうなっただろう?

 わかりますでしょうか。アメリカ大統領という言葉は、抽象化されているのです。
 このシナリオは大統領でさえあれば、誰だっていいのです。
 この問いは、オバマさんでも、ヒラリー・クリントンでも、成立するんです。そして、解決方法が、つまり、ストーリーが大幅に違ってくる。オバマさんが、ハリソン・フォードばりのアクションで解決するとは考えにくい。どんなストーリーになりそうかを考えるのは、豊かで創造的な経験です。

 一瞬、ここで区切って、一週間ぐらい宿題として、どういうストーリーになりそうかなあと、想像する時間を設けるのが、実は良心的なのでは? と思ったのですが、うん、やっぱり、それが丁寧か。

 というわけで、ここで一旦区切りますが、これなんです。

 これが主人公が抽象化されているということなんです。
 この感覚掴んでください!


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| hikaliのゲーム論 | 06:18 | comments(0) | trackbacks(0) |
[hikaliのゲーム論](15)  またもや、法律まで行けなかった・・・ 物語解析解説(後編part11)
 こんばんわ! 管理人のhikaliです!
 なにか、あまりにも過去に例のない早い更新で、これまでサボっていたのがばればれなぐらい早いなんだやれば出来るじゃん! 成長したじゃん! というぐらい早い更新ですが、ぶっちゃけ、書き方を変えたのですね(^_^;
 小説でよく、行き詰まった時にモレスキンのノートにプロットを書き、それをもとに小説を書くという方法を取るのですが、それと同じ、論点だけ先に手帳に書き出す方法に切り替えてみたところ、どうもこれが、非常にいいみたい。
 というわけで、赤色に塗ってみたら3倍速くなった量産機みたいなhikaliのゲーム論ですが、お楽しみいただけると、嬉しいです。といいつつ、今日はハードな法律の話になる予定なんですがね・・・。

 さて、前回では、ゲームの抽象化の話をし、実装論と本質論は違う、という話をしました。ゲームブックと小説を例にして、同じ小説形式でも、実は書くときに考えていることが全く違うんだよ、という話になったかと思います。

 今回は物語の抽象化の話。
 物語解析の正体は、正確に言えば「静の物語解析」の正体は、実のところ、この物語の抽象化でして、で、それは、実はやっていることが法律のやっていることと全く同じでした・・・、という話になります。
 そして、最後の方で、法律試験の問題そのものをどんとお見せして、はい、一緒ですね、ということを確認ところまで行くかと思います。

 いやー、事前に予定がまとまっていると、説得力があっていいですね(^_^;
(そして、そこまで行けなかった・・・)


 ■そもそも、なぜ物語を抽象化しなければならないのか。

 なんでだと思いますか?
 これは、これまでさんざん話してきたゲームの抽象化の話と全く同じ理由なんです。
 ちょっと思い出してみてください。
 そう! 処理しきれないからです。マシンパワーが足りないからなんです。

 物語の抽象化も全く同じ理由です。
 この物語解析理論はアナログゲームのTRPGやPBMで、マスターと呼ばれるまとめ役をするときに、マスターとしてオーバーフローな状態にならないように考え出された手法です。

 TRPGだとするとリアルタイムで6人ぐらいを相手に口頭で、PBMだと100人ぐらいを10日ぐらいの時間で原稿用紙200枚ぐらいの文章で、返さなければなりません。

 6人を相手に、即意妙等に物語を進展させていくとが、いかに凄まじい頭の回転の速さを必要とするか考えても見てください。シナリオも複雑で、6人のプレイヤーも丁々発止の頭の切れるプレイヤー、そんなの相手にするにはどうしたらいいか。
 この状況を乗り切るために考え出されたのが物語解析理論なのです。

 TRPGは現在はほとんどが下火になっていますが、これはskyrimのようにコンピュータゲームが、D&Dなどで再現できないほど精緻で、高度化したRPGを提供するようになったというのもあるのですが、実のところわたしは、マスターの脳みそでの処理力問題を誰も解決できなかったから、と思っているのです。
 あらゆる自由なプレイヤーの発想を物語に取り込み、統治的にどうなっていくか最適解にたどり着こうとする、これが個人の処理能力を超えると、支配的になり押さえ込もうというテクニックだけが発展します。
 これは何度も言いましたが、最小公倍数から最大公約数への転落です。
 もしかしたら、最大公約数ですらないかもしれない。独裁者として、ひとつのストーリーしか許さないという選択肢です。これは中国はそこまでひどくなくとも、北朝鮮的なのかもしれません。

 どうすれば、その悲劇から逃れられるのでしょうか?
 これは何度も言ってきました。
 物語を抽象化するのです。
 これは、ひとことで言えば、細かいことを一切決めない、細かいことはその場で作る、ということです。ちょっと、先回りをしました。
 だから、安倍さんが、三本の矢としか言わない、あいまいな表現に始終するというのは、結構正しいのですよ。
 非常に統治的です。
 個別具体的には言わない。これは統治的には正しいのです。
 細かいことを言い出すと、一人の人間には手に負えなくなり始めるのです。

 物語解析もこれと同じです。
 物語の全体構成だけを見て他はあんまり気にせず、細かいところはその場その場で適当に解決する、という思考法なのです。
 具体的には、物語を構成要素に分解して、その関係だけを見て、物語を構築します。
 たぶん、どんなに複雑な物語でも、構成要素は20〜30ぐらい。
 この程度ならば、ひとりの人間でもなんとか処理できます。

(TRPGがわかる人にわかりやすく言えば、シナリオはあんまり細かく書かない。細かいところはアドリブで解決すると書けばわかりやすいでしょうか? 小説ならば構想段階ではあんまり細かく構想しない。細かいところは実際に書くときに考える、でしょうか)


 ■物語解析がみている構成要素 人物、舞台、道具、決まりごと(世界観)

 物語解析理論の元となっているのは、シェイクスピアです。
 シェイクスピアを読んでいて、あれ? 書いてあるのって、人物、舞台、道具、決まりごと(世界観)だけじゃね? と思ったのがはじまりです。
 シェイクスピアの残したのは、芝居の台本なのですが、台本を想像してみると、ああ、たしかにそれしか書いてないかもと想像しやすいかもしれません。実際に読んでみるのをオススメしますが、喜劇を読んでみると多分いいでしょう。十二夜はほんとオススメで、わたしは大学へ向かうバスで読んで、爆笑しそうになるのを耐えるのに必死になった経験があります。基本的にコメディーなので、軽くさくっと読めると思いますよ。
 コントや、落語だと思って読むと、吉です。
 シェイクスピアって、案外ライトなんです。

 なんの話をしていたんだか、ああ、要素に分ける話でしたね。

 物語解析では、物語を、「人物」「舞台」「道具」「決まりごと(世界観)」に分解します。で、その関係がどうなっているかを見ていくのが物語解析です。

 なにか、さらっと書いているのですが、これだけでずいぶん見えてくる世界が違ってくるというのを発見した、というものなのです。事後的に、いろいろなものが見えてきた技術なので、どうしてそんなことを始めたのかを話すと、目的と結果が違いすぎて、愕然とするのですが、とりあえず何のために生み出されたのかをお話します。

 もともと考えていたのは、TRPGのシナリオに必要なのはなんなのだろう? ということでした。ストーリーはあってはならないという信念があったので、じゃあ、ストーリーなしで物語ってどう表記したらいいのだろう、と考えていたのです。

(つまり、TRPGのシナリオの記載要件を考えていたんですね)

 で、上述のシェイクスピアの話になるのですが、「人物」「舞台」「道具」「決まりごと(世界観)」だけ用意しておけばいいんじゃないか? と思ったのが始まりで、まず、ストーリーは完全否定していますから、それだけ書いたんです。
 「人物」「舞台」「道具」「決まりごと(世界観)」
 以上。
 それ以外、何も書かなかった。
 そうしたら、なにかワクワクしてくるんですよね。これは一体全体、どうなるんだろうと。参加する仲間は、なんでこんな人たちがいるんだろうと思える発想力のある人たち。この発想に、難問をぶつけてみたら、どうなるんだろう? これが、すごくワクワクすることで、何にも代え難い娯楽に思えてきたんですね。

 どういう結論になるか、ワクワクする人に投げてみる。
 わたしの欲望は、それだけでした。

 これは今にしてみれば、なにか企画を立てて、仲間と一緒にやってみる、ということと同じなのかもしれません。細かいことはあんまり決まっていない、イベントの企画のようなものではないかと言えば、おそらくそうだろうと思います。

 PBMを通してやったこともそれだけで、ファンというか、このゲームが楽しいと集まってくれる人はほぼわかっていて、そのメンツに対して、何が投げられるのだろうと考えていて、参加するみんなの期待からちょっとだけ外した意外な問題(そして小学生レベルの普遍的な、しかし深刻な)を投げたとき、どうなるのか。どう投げ返して来るのか、それにとてもワクワクする、そんなシナリオになっていったんですね。

 やったことはこれだけなんです。
 ストーリーを捨てる、そして「人物」「舞台」「道具」「決まりごと(世界観)」の四要素だけで物語の構造を構築する。

 そして、なによりも重要なのは、「いかにマシンパワーを使わずに、物語を統治できるか」ということなんです。

 これを考え始めると、どんどんと物語を抽象化していく方向に向きます。
 具体的に言えば、

 「ゲーム論とか変な理論をいろいろ考えているへんな人、hikaliさん」
 ↓
 「ブログを書いている人、Aさん」
 ↓
 「ネットをやる人、Aさん」
 ↓
 「Aさん」


 これ、抽象化している、というのがわかりますか?
 一言でいいます。

 細かいことはどうでもいいんだよ。
 ディテイルはアドリブでやればいいんだ。

 いかに抽象的に物語を捉えるか、これが重要なんだ、というのが物語解析なんです。
 その要素がいかに物語で機能しているか、それしか見ない。
 これが物語解析なんです。

 なので、表現とか、絵のうまさとかはみてないんです。
 もちろん、わたしは実装論として、小説の書き方講座とかはできますよ。
 でも、それは実装論なんです。物語論ではないんです。
 そして、実装論はほんとうに楽しいんですね(^_^; 読んでも楽しいし、書いても楽しいし、語り合っても楽しいんです。わたしなんかは、ミステリーの書き方、という日本推理作家協会編の超豪華ノウハウ本があるのですが、もう、どの話題もおもしろすぎて、もう、夢中になって何度も何度も読みました。
 実装論は、もういくらでも語れるというか、たとえばわたしはデザインの仕事をしてましたので、誰か新しい人が入ってきたとすれば、3年ぐらいは教えることがいくらでもある、という状況になります。

 そこは見ないよ、というのが物語解析が異質なところなんです。
 目の前にアイドルがいるのに、その骨格しか気にしてない、こんな感じです。
 変ですよね(笑)。

 じゃあ、そういうところを一切取り払った物語ってなんだろう?
 これって興味ありませんか?
 装飾的な部分を一切取り払って、物語を機能的にだけ、要素に限って見る。
 そうして見えてきた世界が、物語解析の世界で、先回って言いますと、結果的に法律と全く同じことをしていた、のです。

 物語の中でどう機能しているのか、と、法律要件に照らし合わすとどうなるのか。
 法律試験の勉強をしているわたしからすると、愕然として震えてくるのですが、やってること全くおんなじじゃん、と思えてきて、ぽかんとするのです。

 ちょっと、抽象的ですね。
 実際、物語解析がどんな分析をしているかを紹介します。ドラえもんの「のび太と鉄人兵団」を分析した回のものなのですが、キレキレすぎていて、10年以上後のわたしからすると、いやー、こいつ、キレすぎて怖いなあ、と思う内容です。

 「 物 語 解 析 」 〜 要素による解析基礎 「人物」 実践編 〜
 http://story-fact.com/mk_log.php?shu=kmk&num=7


 読んでいただくと、たぶん、「物語の中でどう機能しているのか」しか見ていない、という話が非常によくわかると思います。そして、そういう見方をすることによって、すごい大量のことが明らかになる、というのがわかると思います。

 ちなみに、この物語解析って、通勤電車でつったって、ドアに背中を預けながら左手でミニワープロを持って、右手片手でキーを打って書いていたりするのですね、仕事帰りに毎日。なので、ハンドヘルドと当時は言ったのですが、この時にヒューレット・パッカードのジョルナダから、NTTドコモ販売でNEC謹製のシグマリオンにどうも変えた直後だったもよう。
 けっこうこの辺、天然です(^_^;
 電車で、ワープロ打てるじゃん、すげー!! という純粋にどこでも書けて楽しい! というのを、富士通のPocket3の時代から延々と続けていて、シグマリオンまでで8年ぐらいそういう環境にいた気がするので、もうなんか、ナニコイツ・・・、アタマおかしい・・・、と思われても、知るかボケ、こちとらPocket3からの古参者だ、お前らとは年季が違う、ぐらいな感じで書いておりました・・・。

 まあ、どちらにしても、通勤電車で書いていたのはかわりないのですが、わたしの感想から言えば、その当時のわたしは、物語解析でコイツより強い奴はない、というものでした。その解析が、千と千尋の神隠しの分析につながっていくのですね。
(ああ、そして当時のわたしがもうちょっと書き残してくれたらなあ、と、今になってみると非常に残念な部分だったりします・・・。せっかくキレキレだったんだから・・・)

 「 物 語 解 析 」  〜 「千と千尋の神隠し」解析 〜
 http://story-fact.com/mk_log.php?shu=kmk&num=16


 と、このへんで、そろそろ、切ったほうがいいかなあと思っているのですが、ぶっちゃけて言うと、長すぎるんですね(^_^; わたしは五時間でも六時間でも平気で聞いていられる人なんですが、これはいくらなんでも長すぎるだろうと思います。
 なので、ここでブチッと切ります。

 なんの話をしていたんだっけ? というのは天然なんですが、ああ、うん、とりあえず物語解析を興味があったら読んでみて! でしょうか。それと、法律の抽象化の仕方の話を次回がしたいと思います。

 なんか、たどりつけるようで、たどり着けない。
 法律試験の問題とか見ていただければ、ああ、すごい、これ物語解析じゃん! ってわかっていただけると思うのですけどね。まあ、その話は、次回。
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